南山堂

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カテゴリー: 医学教育学  |  医学・医療一般

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アメリカ臨床留学への道

You Can Do It !

改訂4版

Professor,Thomas Jefferson University/
野口医学研究所評議員会 会長 佐藤隆美 編集
Director of Interventional Radiology, St. Mary Hospital
中川伸生 編集
東京ベイ・浦安市川医療センター センター長 藤谷茂樹 編集

定価

4,950(本体 4,500円 +税10%)


  • A5判  463頁
  • 2014年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-03004-9

経験者が「本当に必要なノウハウを語った」アメリカ臨床留学ガイドの決定版が,新規執筆者の全面書き下ろしによりパワーアップ!アメリカの医療・試験・卒後臨床研修制度や暮らし方,成功の秘訣に加え,USMLEの最新情報についても掲載.今版では短期研修の情報も充実し,各科の留学生活から研修修了後の人生まで情報満載.

  • 序文
  • 目次
序文
 「インターネットでいろいろな情報が得られる時代に,本書の存在意義はあるのだろうか」.このような疑問を抱きながら,改訂3版の発行から9年の歳月が流れた.その間に,日本でも卒後研修の義務化,マッチング制度の導入,また医学部での学生教育に対する全国共用試験の導入など,アメリカの制度に近い医学教育制度の改革が行われてきた.
 そのような中,アメリカ東部でレジデント研修を受けている若い医師たちの集まりを,野口医学研究所の主催で,New Yorkで開催する機会があった.そこで出会った一人の研修医に,「私は,『アメリカ臨床留学への道』に導かれて渡米しました」と言われた.その後,彼といろいろと話す中で,本書が他の留学手引書では得られないもの,インターネットでは得られないものを提供してきたことを実感した.それをあえて一言で要約するならば,アメリカでの臨床研修に挑戦し,苦労しながらも成功をおさめた先輩医師たちの「心意気」だったと言えるかもしれない.これまでの改訂版には,アメリカでの臨床留学を果たした先輩医師たちから,後輩医師たちに引き継ぐ情報,メッセージをいただいてきた.また,そのような先輩医師の後を追って渡米した若い医師たちに,それぞれの章をバトンタッチしていくことで,その内容が常に“Up to Date”であることを心がけてきた.その意味で,本書そのものが,アメリカ臨床医学留学の歴史を綴る語り部的な役割を担ってきたのかもしれない.
 このような本書の存在意義を南山堂へ伝えたところ,改訂版発行に対する快諾をいただいた.改訂4版の企画にあたっては,その内容がこれから渡米する若い医師や医学生のニードから離れていかないために,アメリカで内科研修を修了し,感染症と集中治療の二つの専門医資格をアメリカで取得して帰国され,現在は日本で後進の教育に携わっている藤谷茂樹先生を編者として迎えた.彼からは,日本の研修医や医学生と接してきた経験からいろいろと貴重な助言をいただいた.また,本改訂では,臨床実習をアメリカで行う学生たちへの情報提供のために,アメリカの医学部での学生教育の実際,アメリカの臨床実習プログラムへの応募の実際についての章を充実させた.
 Educational Commission for Foreign Medical Graduates(ECFMG)は,2023年をめどに,米国医師国家試験(USMLE)の合格認定証を発行する外国人医師の資格として,アメリカの医学部に適用される基準もしくは,World Federation for Medical Education(WFME)から出される基準と同等の基準を満たす医学部を卒業していることを求めることとしている.この動きにより,今後日本の医学教育もさらに国際化を迫られることになり,そしてその流れは,アメリカが主導する国際医師免許証の発行制度につながっていく可能性も秘めている.このような医学教育のグローバル化の中でも,本書は引き続きその存在意義を持ちつづけるものと確信している.
 これまでも何度か述べてきたが,アメリカでの臨床研修は,登山のようなものである.きちんとした準備をしておかなければ,途中で遭難したり,登山を諦めることになるであろう.そして,頂上を目指していく過程が,プロの医師としての自覚を形成し,また,頂上を極めることにより,初めて地上と頂上の違いを実感できるものである.ただ山をみているだけでは何も始まらない.最も大事なことは,最初の一歩を踏み出すことである.アメリカ臨床研修を人生の一つの到達目標として考えている日本の医師,医学生に対して,本書がその頂上を示す道標となることを心から願っている.
 最後になったが,本書の趣旨をご理解いただき,今回の改訂版の発刊を快諾していただいた南山堂,そして日米に在住する著者たちに根気よく連絡をとり,本書の発刊に向け尽力いただいた,南山堂の橘 理恵氏にこの場を借りて深謝させていただきたい.

2014年2月
佐藤隆美
目次
総 論
1. アメリカ臨床留学—Overview—
 A アメリカレジデントポジションの動向とハードル
  1. レジデントポジションの動向
  2. レジデントポジション獲得に際してのハードル
  3. プレマッチポジションの廃止
 B アメリカ医療の標準化
 C 国際標準の流れと日本のポジション
 D アメリカで再研修する意義は
 E 日米の研修制度の違い
 F アメリカ臨床留学に備えて—短期留学,その他方法の多様性—
 G 常に機能する評価と競争の原理
 H アメリカ臨床留学で失われるもの
 I 研修修了後の人生

2. アメリカの医療
 A 医療保険
 B 国民医療費
 C 急性期医療
 D 医師の就業形態
 E 医師以外の医療職種
 F 外国人医師
 G アメリカ医療の将来の展望

3. アメリカ卒後研修制度の実際
 A ACGME
 B レジデンシープログラム
 C フェローシッププログラム
 D アメリカの専門医事情
 E 最近のマッチングの動向

4. アメリカでの臨床研修に求められる資質
 A Evolution of Medical Education in the United States
 B The Philosophy of Medical Education in the United States
 C Choosing a Residency Program
 D The Prototypical Medical Student Applying to a US Residency Program
 E The Components of the Residency Selection Process
  1. Curriculum Vitae
  2. Academic Transcripts
  3. USMLE Scores
  4. Personal Statement
  5. Institutional Letter
  6. Letters of Recommendation
  7. The Residency Interview
  8. The Match
 F Challenges Faced by Japanese Students and Physicians Entering US Residencies

各 論

5. 英語でのプレゼンテーション
 A Goal 1: A Thorough Presentation
 B Goal 2: A Well-Organized Presentation
  1. ID/CC
  2. History of Present Illness
  3. Past Medical History
  4. Allergies and Medications
  5. Social History
  6. Family History
  7. Physical Exam
  8. Labs and Imaging
  9. Summary Statement
  10.Assessment and Plan
 C Goal 3: An Efficient Presentation
  1. Type of Presentations

6. 医学生としてのアメリカでの臨床実習
 A アメリカでの医学部学生教育の実際
  1. アメリカの医学部
  2. アメリカの医学部への入学まで
  3. アメリカの医学教育の実際
 B アメリカでの臨床実習受け入れ施設の選択,探し方,また学生実習に臨むための準備
  1. アメリカ短期研修先の探し方,申し込み方
  2. 海外実習に向けて準備すべきこと
 C アメリカでの臨床学生実習を体験して
  1. アメリカ臨床実習への準備
  2. 実習の実際
  3. 研修の意義

7. USMLE合格への道
 A 試験制度について
  1. 概 要
  2. 試験内容
  3. 最近の変更点
  4. 今後の変更予定
  5. 受験資格
  6. 受験申込要領
  7. 申し込み先
  8. 受験料
  9. 試験詳細
  10.受験会場
 B 私のUSMLE攻略法—Step 1&Step 2 CK—
  1. 試験勉強を始めるに当たって
  2. 実際の勉強方法
  3. 他の医師のUSMLE受験経験
  4. 実際の試験全般に関して
  5. Scoringについて
  6. 反省点
  7. 自分に合った勉強方法を
 C 私のUSMLE攻略法—Step 2 CS—
  1. 試験概要
  2. 受験の申し込み
  3. 各コンポーネント
  4. 準 備
  5. 対策のリソース
  6. 合格してみて

8. アメリカ臨床研修への応募の実際
 A 応募の実際
  1. 概 略
  2. マッチングタイムライン
  3. マッチング参加までに準備しておく書類
  4. プログラムの選び方
  5. プログラムからの返信E-mail
  6. インタビューの練習
  7. インタビュー
  8. インタビュー後
  9. Rank Order List
  10.Match Day
  11.SOAP
 B 応募してみて
  1. 小児科マッチングの現状
  2. アメリカで小児科臨床研修をめざすまでの経緯
  3. マッチまでの道程
  4. これからマッチングに参加するみなさんへ

9. アメリカ臨床研修への道を開く特別なプログラム
 A 臨床留学をサポートするプログラム
  1. 野口医学研究所
  2. N Program
 B 臨床留学をサポートしている研修施設
  1. 手稲渓仁会病院
  2. 亀田総合病院
  3. 東京ベイ・浦安市川医療センター
  4. 沖縄県立中部病院
  5. 沖縄米国海軍病院
  6. 横須賀米海軍病院

10.アメリカで臨床を経験するその他の方法,主要国への臨床留学
 A フェローシップから始める
  1. 経 緯
  2. 応募の実際
  3. 面接対策
  4. フェローから留学するデメリット
  5. フェローから留学するメリット
  6. フェローシップを終えて
 B リサーチを経由する
  1. 臨床留学へのきっかけ
  2. プログラムの選択
  3. リサーチフェロー
  4. J-1 Research VisaからJ-1 Clinical Visaへの切り替え
  5. ACGME認定プログラムと非認定プログラム
  6. フェロー修了後の進路
 C オーストラリアで臨床をするには
  1. オーストラリアでは日本の医師免許がそのまま使える?
  2. まずは英語の試験
  3. 医師登録への3つの道
  4. 専門医を目指すか否か
  5. オーストラリアの医師の待遇
 D カナダへの臨床留学
  1. カナダでフェロー
  2. カナダでの臨床留学を実現させるために
  3. カナダでの専門医取得
  4. カナダのレジデンシーやフェローシップの実態
 E 第3国を経由する
  1. カリブの医学校を経る
  2. Saba島での生活
  3. Saba University School of Medicine
  4. IMGとしての臨床課程

11.臨床留学のためのVisa
 A J-1 Visa
 B ECFMGに提出しなければならない書類
 C H-1B Visa
 D O-1 Visa
 E J-1 Waiver
  1. Conrad State 30
  2. Veterans Affairs Waiver
  3. Appalachian Regional Commission Waiver
  4. Delta Regional Authority Waiver
 F Green Card
  1. EB-1
  2. EB-2
  3. 抽選永住権プログラム
  4. Labor Certification
 G おおまかなVisaの流れの要約
  1. J-1 Visaでレジデンシーを始めた場合
  2. H-1 Visaでレジデンシーを始めた場合

12. 実際の臨床研修を始める前に
 A Visa取得
 B 州医師仮免許の取得
 C SSNの取得
 D 住居探し
 E 引っ越し
 F 給与がでるまでの当面の資金
 G 電気/ガス/水道
 H 電話・インターネット
 I 運転免許の取得
 J 車の購入
 K 自動車保険
 L 在留届
 M 健康保険
 N 銀行口座の開設
 O クレジットカード
 P 子どもの就学
 Q 日本から持って行く資金はいくら必要か?

13.How to Survive Residency Training
 A 日米の研修医の違い
  1. 勤務時間
  2. 業務内容
 B 研修医生活
 C ホスピタリスト
 D インターンとしての一日
 E 入 院
 F サインアウト
 G 外 来
 H 集中治療室
 I 救急外来
 J 必修選択科目
 K 選択科目
 L 休 暇
 M 病院内でのスタッフ
  1. 看護師4
  2. 呼吸療法士
  3. ソーシャルワーカー
  4. 薬剤師
 N 研修医として必要なスキル
  1. 英語,英語,英語
  2. 医学知識をアメリカ式に変換する
  3. EBMになじんでおく
  4. チームプレイヤーとして機能する
  5. 良いOutputができる能力を磨き上げる
 O 研修医が知っておくべき参考資料
  1. 文 献
 P アメリカ医療で頻用される略語

14. フェローシッププログラムへの応募
 A フェローシップとは
 B フェローシップの種類
 C 誰がフェローになるのか
 D フェローシップへの準備
 E 履歴書に載せる研究
 F 推薦状
 G Personal Statement
 H USMLE Step 3
 I チーフレジデント
 J 研修病院外での実習
 K 応募のための提出書類
 L 応募の実際
  1. ERASがOpenするまで
  2. ERAS OpenからInvitationを受け取るまで
  3. 面 接
  4. 面接終了後からランクリスト提出まで
  5. マッチングの1週間前
  6. マッチングの発表

15. 臨床研修修了後の進路
 A アメリカでの就職
  1. 臨床研修修了後にアメリカに残るという選択肢
  2. J-1 Visaの問題点
  3. ポジションの見つけ方
  4. 契約の交渉の仕方
  5. 実際の仕事場における留意点
 B 日本での就職
  1. いつ帰国するか? 帰国のタイミング
  2. 国内のポジションの見つけ方—日本とのつながりを大切に—
  3. 日本での就職の選択肢
  4. 自らの体験から言えること

16. 私のアメリカ臨床研修
Ⅰ. Residency
 A 内 科
 B 小児科
 C 外 科
 D 放射線科
 E 家庭医学
 F 麻酔科
 G 病 理
 H 精神科
 I 救急医学

Ⅱ. Fellowship
 A Hematology/Medical Oncology
 B Rheumatology
 C Cardiology
 D Infectious Diseases
 E Geriatrics
 F Critical Care Medicine
 G Interventional Radiology9
 H Surgical Oncology
 I Public Health
 J Transplant
 K Cardiothoracic

17. アメリカ臨床研修と医師としての人生
 A 女性医師として—子連れ臨床留学サバイバル—
  1. 臨床留学を目指すこと
  2. USMLE受験
  3. 子育て
  4. レジデンシー
  5. 帰国後
 B 日本で
  1. 手稲渓仁会病院への就職
  2. 臨床研修部から総合内科へ
  3. 挫 折
  4. 沖縄県立中部病院との出会い
  5. 帰国してからの成長
  6. 帰国して仕事をする
  7. 留学志望者への助言
 C アメリカで— 一緒に働きたい人を見つける —
  1. 研修医時代
  2. 指導医とは
  3. 実際の生活
 D アメリカで—アテンディングをする理由—
  1. 外科研修今昔
  2. 一人で手術をする醍醐味
  3. お金がすべてではないけれど
  4. Quality Measure
  5. 臨床と教育
  6. 臨床研究
  7. アメリカのアテンディングか日本の指導医か?


資 料
おわりに

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