書籍カテゴリー:医学教育学

外来で教える

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外来で教える
診察室で医学生・研修医を指導するために

1版

  • 東京大学医学教育国際協力研究センター 大西 弘高 監訳

定価:3,240円(本体3,000円+税8%)

  • A5判 215頁
  • 2005年6月 発行
  • ISBN978-4-525-04011-6
  • ISBN4-525-04011-4

概要

外来診療という場においてどのように教育を行えばよいかについての実用書.卒後研修必修化にプライマリ・ケア研修が含まれることになり,医学教育の場がクリニックへと広がりつつある現状で,何をどのように教えればよいか,教育者としてのあり方などを網羅し,実践的でわかりやすく解説した一冊.

序文

外来診療は,数ある臨床業務の中で最も医師の能力が問われるものの一つです.限られた時間の中で診断し,治療を選択し,悩みを聴き,他の医師や医療職・患者の家族・社会福祉などと協力しながら対応するセンスが求められます.しかし,入院診療よりは重症度が低いこと,医学以外の様々な要素が絡むこと,余裕を持って考える時間がないことによってか,系統的な教育のニーズは低く見積もられ,教える場は多くありませんでした.
近年,わが国では外来教育への関心が急激に高まりつつあります.その理由として以下のことが考えられます.まず,医学の専門分化によってプライマリ・ケアを担う医師が相対的に減少し,外来診療の割合が高い医師をより系統的なカリキュラムで養成するニーズが高まってきました.また,状況的学習,技術的合理性,経験学習といった教育理論もこの20年余りで発達し,以前は学問的でないと考えられてきた複雑な内容を教育するための基盤が整備されました.そして,2004年4月から法制化された初期臨床研修のカリキュラムにはプライマリ・ケア研修が義務づけられ,研修医が2年目となる2005年春から多くの診療所医師が外来診療教育に参画しようとしています.
日本の医学教育を振り返ると,1990年代には総合診療,プライマリ・ケア領域が拡充され,医療面接や身体診察の教育,OSCE(objective structured clinical examination: 客観的臨床能力試験)による評価もかなり一般的に受け入れられるようになってきました.ただ,これらの多くは臨床前教育(臨床実習前までの教育)の段階の内容です.2001年にコア・カリキュラムが策定され,これに合わせて2005年度からCBT(computer-based test)とOSCEからなる共用試験が本格実施されるのをみてもおわかりになるでしょう.外来教育は,卒前臨床実習から卒後臨床研修にかけてのより実践的な内容であり,今後改善されていくべき重要な医学教育課題といえます.
このような流れがある中,私は2002年にイリノイ大学医学教育部での留学を終えて帰国する寸前にふと立ち寄った医学部の書店でこの本を見つけました.外来教育に関するいくつかの類書の中で,このDurso氏の著作は最も実践的で,しかも理論的基盤がしっかりしていることから,翻訳すれば日本でもきっと役立つだろうと感じました.そこで,外来教育に詳しい若手の先生方を中心に翻訳を呼びかけ,ようやく出版に漕ぎ着けることができました.
佐賀大学医学教育地域医療研究センターの小田康友先生,京都大学大学院医学研究科の三原華子先生には,訳文の日本語の確認をお願いしました.また,南山堂編集部の平石敦子氏に編集作業に大変ご苦労いただきました.この場を借りて厚く御礼申し上げます.
本書は,診療所,病院を問わず外来で医学生や研修医を教育する全ての方にお勧めしたい本です.特に,これまであまり医学教育に関与してこなかったものの,新たに医学生や研修医を受け入れたいと考えておられる先生方には非常に有用な指針となるのではないかと思います.様々な臨床経験を積んでこられた先生方や外来スタッフが教育に携わることで学ぶ意欲をさらに高め,外来診療の素晴らしさ,奥深さを次世代に広く伝えていただけることを強く願っております.

2005年4月 見事な桜が咲き誇る東京にて 大西弘高


目次

はじめに
1.診察室での教育とその開始
2.外来診療現場における教育目標
3.成人教育
4.効果的な学習のための環境整備
5.何を教えるのか
6.どうやって教えるか
7.外来教育における問題点と課題
8.学習者と指導医を評価する

参考文献
索  引