書籍カテゴリー:医学教育学|医学・医療一般

研修指導スキルの学び方・教え方
立ち読み

在庫状況:在庫あり

研修指導スキルの学び方・教え方
病棟・外来で使える

1版

  • 日本医学教育学会臨床能力教育委員会 編

定価:3,024円(本体2,800円+税8%)

  • B5判 125頁
  • 2006年12月 発行
  • ISBN978-4-525-04121-2
  • ISBN4-525-04121-8

概要

本書は,日本医学教育学会臨床能力教育委員会が主催した「若手指導医のための指導スキルアップ」セミナーに基づいている.セミナーで実施したSESSIONとそこで学ぶべき指導スキルを解説した「レクチャー」からなっている.指導スキルを学ぶツールとしてだけでなく,新たな教育ノウハウの伝播法の創造に役立てていただきたい.

序文

日本の医学教育の体系化は,1969年の日本医学教育学会設立にそのルーツを辿ることができる.1974年からは学会が中心となって「医学教育者のためのワークショップ」(通称「富士研ワークショップ」)が始まった.このワークショップは初期の10数回までの試行錯誤を繰り返した後,“教育原理”,“コミュニケーション技法”,“カリキュラムプランニング”,“組織開発”などを柱とした5泊6日の形が定着した.
その後医学教育のワークショップは教育原理,カリキュラムプランニングなどを柱とした「富士研ワークショップ」のミニ版が主流となり,現在さまざまな団体によって主催されている臨床研修指導医養成講習会も,ほぼこの流れに沿ったものである.
「富士研ワークショップ」で筆者が感じたのは,理念,原理的な内容が主で,教育スキル的なものが少ないということであった.これは,日本医学教育学会の創成期の方達も承知の上で,「教育技法に走らず,まず理念,原理の根幹を押える.枝葉末節に走らない」という考えでやっておられたようである.
このような医学教育ワークショップの本流に対して,日本医学教育学会臨床能力教育ワーキング・グループの主催で,より教育技法に軸足を移したものが「基本的臨床技能の教育法」ワークショップで,1996年に第1回が行われた.そこでは,医療面接と身体診察法の教育の目標,方略,評価のノウハウを満載した資料が提供され,参加者の施設ですぐにでもこれらの教育が実践出来るような,伝播を目指した教員教育であった.毎年定員を上回る参加申し込みがあり,基本的臨床能力の教育の全国的な大きなうねりとなって結実した.
ただ,このワークショップも指導医が学生・研修医とどのような関わり方をすれば教育/学習効果が上がるのか,上手な講義・実習のやり方は,といった教育・指導スキルを前面に置いたものではなかった.ワークショップに参加する若手指導医から出される意見として多かったのは,明日からでも使える「指導スキル」を教えて欲しいというものであった.欧米の医学教育学会やセミナーに出席すると「上手なフィードバックのかけ方」,「モチベーションをあげる方法」,「コーチング法」といった企画が少なくない.そこで日本医学教育学会の臨床能力教育委員会で「若手指導医のための指導スキルアップ」セミナーを企画し,2004年にその第1回を実施した.
本書はこのセミナーの結実したものである.未だ完成度が高いとは言えないが「若手指導医のための指導スキルアップ」のための貴重な種本として利用していただけたら幸いである.

2006年10月
伴 信太郎
日本医学教育学会
「臨床能力教育委員会」(2003〜2005)委員長


【本書の利用の仕方】
本書は,日本医学教育学会の臨床能力教育委員会が主催した「若手指導医のための指導スキルアップ」セミナーに基づいている.このセミナーで意図した「指導スキル」の伝播を全国の臨床研修現場で再現していただけるように企画した.
そこで,各SESSIONは,まずセミナー形式で実施する場合にどのようなやり方で実施すればよいかを示している.これらは実際のSESSIONの経験に基づいているので実施可能なやり方を紹介してあるが,言葉だけでどこまで読者に伝わるかは未知数であり,これは是非読者からのフィードバックをいただきたい.
引き続いて「レクチャー」として,各SESSIONで伝えたい「指導スキル」について解説してある.本書を臨床現場における「指導スキル」の教本として読まれる場合には,「レクチャー」を順番に読んでいただければ,十分にその目的は達成できると思う.
またコラムは,必ずしも一連のセミナーの流れに沿うものではないが「教育のコツ」といえるようなもの,あるいはセミナーに参加した参加者の経験談のようなものを織り込んで読者を厭きさせないように配慮したつもりである.
本書は1泊2日のセミナーの各セッションを取り上げたが,それぞれのセッションはそれぞれ別々に1回のセッションとしても実施可能である.教育の目標,方略は学習者の準備状態と実施するに当たっての現場の制約を勘案しながら,柔軟かつ多様に設定・立案される必要がある.また本書に書かれたことをヒントに,読者が新たな教育ノウハウの伝播法を創造できればこれほど素晴らしいことはない.

目次

SESSION 0  研修指導医の本音を出し合おう  小林裕幸
・目的  ・進め方   付:KJ法(文殊カード法)
SESSION 1  魅力的な教え方とは? その1  橋本正良
・目的  ・進め方   シナリオ例
レクチャー 1  1分間指導法−Five-Step Microskills Model  川畑秀伸
 1.使い方
 2.使い方のコツ
SESSION 2  コミュニケーション技法を身につけよう  星 寿和
 ・目的  ・進め方   ミニレクチャーの内容
レクチャー 2  コミュニケーションの基本  星 寿和
SESSION 3  臨機応変な教え方  橋本正良
 ・目的  ・設定  ・進め方   セミナーでの実例
レクチャー 3  臨床教育のポイント  −Stanford Faculty Development Program−  伴信太郎
 1.教育の雰囲気をよくする
 2.教育を適切にコントロールする
 3.目標を明確化する
 4.理解と定着化の促進のための工夫をする
 5.評価の工夫をする
 6.フィードバックのし方に注意する
 7.自己学習の促進をする
SESSION 4  上手なプレゼンテーションのし方  星 寿和
 ・目的  ・進め方  ・講義内容   3分間プレゼンテーション
レクチャー 4  人をひきつけるプレゼンテーション  星 寿和
SESSION 5  魅力的な教え方とは? その2  小林裕幸
 ・目的  ・設定  ・進め方   改善されたシナリオ例
レクチャー 5  外来・病棟での指導法  川畑秀伸
 1.シャドーイング
 2.さまざまな業務の経験
 3.積極的観察−技能の指導−
 4.フィードバック
 5.問答法−指導医の質問の種類−
 6.鑑別診断のSPIT−鑑別診断の指導法−
 7.ミニ・レクチャー
 8.1分間観察−技能の評価−
 9.診察と症例提示
 10.自主学習
 11.five-step microskills model
 12.RIME評価
SESSION 6  上手な症例提示とは?  植村和正
 ・目的  ・進め方  ・講義内容
レクチャー 6  上手な症例提示の指導法  植村和正
 1.症例提示指導の困難さと症例提示の困難さ
 2.症例提示の困難さ
 3.症例提示指導の困難さ
 4.症例提示の教育的意義
 5.どのような指導のし方が適切なのか−1−
 6.どのような指導のし方が適切なのか−2−
 7.学習者が求めるもの
 8.評価とフィードバック
 9.形式の効用:身体所見
 10.形式の効用:検査所見
 資料:入院患者症例提示要項
SESSION 7  効果的なフィードバックのし方  高山・ジョン・一郎/大滝純司
 ・目的  ・進め方   フィードバックの要点
レクチャー 7  知識構造が診断の思考過程に及ぼす影響  ジョージ・ボダージ/大滝純司
レクチャー 8  ベッドサイド教育の指導医への助言  シュバ・ラマーニ/大滝純司
 助言1 準備
 助言2 計画
 助言3 オリエンテーション
 助言4 導入
 助言5 会話
 助言6 観察
 助言7 指導
 助言8 要約
 助言9 打ち合わせ
 助言10 フィードバック
 助言11 省察
 助言12 次回の準備
セミナーに参加して  原田幸枝
セミナーに参加して  大谷典生