カテゴリー: 解剖学
日本人体解剖学 上巻
解剖学総論・骨格系・筋系・神経系
改訂20版
金子丑之助 原著
金子勝治 監修
穐田真澄 編著
定価
12,100円(本体 11,000円 +税10%)
- 四六倍判 775頁
- 2020年4月 発行
- ISBN 978-4-525-10100-8
充実の解説と実感のもてる解剖図満載で読みごたえバツグン!
初版から半世紀を超えて,医学教育の基礎を支えてきた解剖学の教科書.歴史的にも価値のある人体解剖図の原画を全面リメイク,フルカラー化を施し,いま鮮明によみがえる.人体を系統立て,肉眼解剖学だけでなく組織学の写真も多く収載.また,関連性のある臨床的コラムも増やし,解剖学と臨床医学を結び付けている.読んで飽きない一冊.
- 序文
- 目次
序文
本書の初版は,1956年発刊の金子丑之助著「日本人体解剖学」全3巻である.欧米の優れた解剖学書に対して「日本人体を対象とした日本人の手による解剖学書の編纂に生涯を賭しても」との想いから生まれた大著である.18版もの版を重ね,半世紀以上にわたり,わが国における解剖学書の定本として広く親しまれてきた.2000年に,18版をもとに当時の医学教育のニーズに合わせて見直し,3巻から上下の2巻にまとめられたのが「改訂19版」である.その後,約20年が経過し,多くの方から種々のご指摘を受け,さらなる改訂の必要性を感じ,取り組んだのが今回の「改訂20版」である.
今改訂の最も大きな点は,原著者の金子丑之助先生が東京大空襲の戦火のなか,わが子のように大事に守ってきた本書の命ともいうべき図版を,メディカルイラストレーターの全面的な協力により修復し彩色図としたことである.また,解剖学用語,特にリンパ節に関する用語の改定をおこなった.「改訂19版」と見比べていただければ,その違いは明らかであり,改訂者の意図を汲んでいただけるものと思う.特に留意したのは以下の点である.
1. 解剖図中の引出し線の数を限定し,本文の説明と解剖図の連携を高め,読解しやすくした.
2. 上巻「筋系」については,筋の図と起始停止- 作用- 神経支配の表形式にまとめ,理解しやすくした.
3. 上巻の第1章「解剖学総論」は,初学者を対象に解剖学を学ぶために必要最小限の内容とした.それに続く第2章「骨格系」~下巻では,初学者だけでなく専門的なレベルまでを網羅し,一貫性をもって学べるように配慮した.
4. それぞれの解剖学的事項の説明が,臨床とどのように関連するか,また臨床的にどのような意味・意義を持っているのかを考えるためのコラムを随所に設けた.
5. 本文は,できるだけ平易な表現になるように心がけた.なお,解剖学名は日本解剖学会監修,解剖学用語委員会編集の「日本解剖学用語(改訂13版)」に準拠し,外国語名については,Terminologia Anatomica(TA)に準拠した.また,リンパ節に関しては,日本癌治療学会リンパ節規約(2019年現在)と各種の癌取扱規約(2019年現在)を比較し,用語に大きな相違があるリンパ節に関しては対照表をつけた(下巻「循環器系」).
冒頭のとおり,半世紀以上の月日が過ぎ,貴重な解剖図は,色も褪せ傷みが出てきており修復が必要となってきている.節目となる改訂20版において初版当時の色を蘇らせ,さらに現代の医学教育に適した図とすることを心がけた.改訂19版は,幸いにして医科大学のみならず多くのリハビリテーション関連の学校でも教科書として活用されている.改訂19版同様に,本書が,医学生だけでなく理学・作業療法士,言語聴覚士,柔道整復師など医学・医療を学ぶ多くの学生の方にも活用いただけたら幸いである.
本書の完成には,中枢神経系,特に発生に関して埼玉医科大学解剖学教室の栗﨑知浩講師,高野和敬講師に協力を得た.骨格・筋系に関しては,理学・作業療法の分野から見たご意見を東京国際大学の猪股高志教授から頂いた.また,膨大な数の原図の処理にあたったメディカルイラストレーターの佐藤良孝氏(日本メディカルイラストレーション学会副会長)には多大な労を煩わせた.最後に,本書の出版にあたり20版の企画にご尽力いただいた前 南山堂取締役の直井良一氏,それを引き継いだ南山堂編集部の齋藤代助氏,高柳ユミ氏をはじめ,本書制作に携わった諸氏に,心からお礼を申し上げる.
2020(令和2)年2月
執筆者を代表して
穐田真澄
今改訂の最も大きな点は,原著者の金子丑之助先生が東京大空襲の戦火のなか,わが子のように大事に守ってきた本書の命ともいうべき図版を,メディカルイラストレーターの全面的な協力により修復し彩色図としたことである.また,解剖学用語,特にリンパ節に関する用語の改定をおこなった.「改訂19版」と見比べていただければ,その違いは明らかであり,改訂者の意図を汲んでいただけるものと思う.特に留意したのは以下の点である.
1. 解剖図中の引出し線の数を限定し,本文の説明と解剖図の連携を高め,読解しやすくした.
2. 上巻「筋系」については,筋の図と起始停止- 作用- 神経支配の表形式にまとめ,理解しやすくした.
3. 上巻の第1章「解剖学総論」は,初学者を対象に解剖学を学ぶために必要最小限の内容とした.それに続く第2章「骨格系」~下巻では,初学者だけでなく専門的なレベルまでを網羅し,一貫性をもって学べるように配慮した.
4. それぞれの解剖学的事項の説明が,臨床とどのように関連するか,また臨床的にどのような意味・意義を持っているのかを考えるためのコラムを随所に設けた.
5. 本文は,できるだけ平易な表現になるように心がけた.なお,解剖学名は日本解剖学会監修,解剖学用語委員会編集の「日本解剖学用語(改訂13版)」に準拠し,外国語名については,Terminologia Anatomica(TA)に準拠した.また,リンパ節に関しては,日本癌治療学会リンパ節規約(2019年現在)と各種の癌取扱規約(2019年現在)を比較し,用語に大きな相違があるリンパ節に関しては対照表をつけた(下巻「循環器系」).
冒頭のとおり,半世紀以上の月日が過ぎ,貴重な解剖図は,色も褪せ傷みが出てきており修復が必要となってきている.節目となる改訂20版において初版当時の色を蘇らせ,さらに現代の医学教育に適した図とすることを心がけた.改訂19版は,幸いにして医科大学のみならず多くのリハビリテーション関連の学校でも教科書として活用されている.改訂19版同様に,本書が,医学生だけでなく理学・作業療法士,言語聴覚士,柔道整復師など医学・医療を学ぶ多くの学生の方にも活用いただけたら幸いである.
本書の完成には,中枢神経系,特に発生に関して埼玉医科大学解剖学教室の栗﨑知浩講師,高野和敬講師に協力を得た.骨格・筋系に関しては,理学・作業療法の分野から見たご意見を東京国際大学の猪股高志教授から頂いた.また,膨大な数の原図の処理にあたったメディカルイラストレーターの佐藤良孝氏(日本メディカルイラストレーション学会副会長)には多大な労を煩わせた.最後に,本書の出版にあたり20版の企画にご尽力いただいた前 南山堂取締役の直井良一氏,それを引き継いだ南山堂編集部の齋藤代助氏,高柳ユミ氏をはじめ,本書制作に携わった諸氏に,心からお礼を申し上げる.
2020(令和2)年2月
執筆者を代表して
穐田真澄
目次
第1章 解剖学総論
Ⅰ 人体解剖学への招待
A 人体解剖に関連する用語
B 人体の区分
C 位置・方向を示す用語
D 人体の構成:細胞-組織-器官-器官系の関係
第2章 骨格系
Ⅰ 骨学総論
A 全身の骨
B 骨格系の役割
C 骨の形による分類
D 骨の構造
E 骨の成分と骨の特性
F 骨の発生と成長
G 骨 膜
H 骨の栄養血管,髄腔と骨髄
Ⅱ 脊 柱
A 脊柱の弯曲
B 脊柱管
C 椎骨の基本的形状
D 各椎骨の特徴
Ⅲ 胸 郭
A 胸 骨
B 肋 骨
C 胸郭と呼吸運動
Ⅳ 上肢骨
A 上肢帯
B 自由上肢
Ⅴ 下肢骨
A 下肢帯
B 自由下肢
Ⅵ 頭 蓋
A 頭蓋:前面観
B 頭蓋:側面観
C 頭蓋:上面観と後面観
D 頭蓋:底面観
E 頭蓋泉門
F 脳頭蓋
Ⅶ 関節と靱帯
A 関 節
B 不動性の連結
C 関節の分類
D 関節の神経支配
E 脊柱を構成する椎骨の連結
F 上肢骨の連結
G 下肢骨の連結
第3章 筋 系
Ⅰ 筋系総論
A 骨格筋の形状ならびに起始と停止
B 拮抗筋と協力筋
C 骨格筋の分類
D 骨格筋の構造
E 骨格筋の神経
F T細管と筋小胞体
G 骨格筋の血管
H 骨格筋線維のタイプ
I 筋の補助装置
J 筋の発生
Ⅱ 頭部の筋
A 顔面筋
B 咀嚼筋
C 頭部の筋膜
Ⅲ 頸部の筋
A 浅頸筋
B 深頸筋
C 頸部の筋膜
Ⅳ 体幹の筋
A 背部の筋
B 胸部の筋
C 腹部の筋
D 骨盤の筋
E 会陰の筋
Ⅴ 体肢の筋
A 上肢の筋
B 下肢の筋
Ⅵ 体表解剖学
第4章 神経系
Ⅰ 神経系総論
A 神経系の区分
B 神経系を構成する主要な成分
Ⅱ 中枢神経系
A 中枢神経系の構成
B 終 脳
C 間 脳
D 脳 幹
E 脊 髄
F 小 脳
G 中枢神経系内の神経路
H 髄膜,脳室と脈絡叢,脳脊髄液
I 脳室と脈絡叢,脳脊髄液
Ⅲ 神経系の発生
A 神経管の発生
B 脊髄の発生
C 脳の発生
Ⅳ 末梢神経系
A 脳神経
B 脊髄神経
C 脊髄神経叢
D 脊髄神経後枝
Ⅴ 自律神経系
A 交感神経の中枢と末梢
B 副交感神経の中枢と末梢
C 節前ニューロンと節後ニューロン
D 神経伝達物質
E 交感神経幹
F 副交感神経
Ⅰ 人体解剖学への招待
A 人体解剖に関連する用語
B 人体の区分
C 位置・方向を示す用語
D 人体の構成:細胞-組織-器官-器官系の関係
第2章 骨格系
Ⅰ 骨学総論
A 全身の骨
B 骨格系の役割
C 骨の形による分類
D 骨の構造
E 骨の成分と骨の特性
F 骨の発生と成長
G 骨 膜
H 骨の栄養血管,髄腔と骨髄
Ⅱ 脊 柱
A 脊柱の弯曲
B 脊柱管
C 椎骨の基本的形状
D 各椎骨の特徴
Ⅲ 胸 郭
A 胸 骨
B 肋 骨
C 胸郭と呼吸運動
Ⅳ 上肢骨
A 上肢帯
B 自由上肢
Ⅴ 下肢骨
A 下肢帯
B 自由下肢
Ⅵ 頭 蓋
A 頭蓋:前面観
B 頭蓋:側面観
C 頭蓋:上面観と後面観
D 頭蓋:底面観
E 頭蓋泉門
F 脳頭蓋
Ⅶ 関節と靱帯
A 関 節
B 不動性の連結
C 関節の分類
D 関節の神経支配
E 脊柱を構成する椎骨の連結
F 上肢骨の連結
G 下肢骨の連結
第3章 筋 系
Ⅰ 筋系総論
A 骨格筋の形状ならびに起始と停止
B 拮抗筋と協力筋
C 骨格筋の分類
D 骨格筋の構造
E 骨格筋の神経
F T細管と筋小胞体
G 骨格筋の血管
H 骨格筋線維のタイプ
I 筋の補助装置
J 筋の発生
Ⅱ 頭部の筋
A 顔面筋
B 咀嚼筋
C 頭部の筋膜
Ⅲ 頸部の筋
A 浅頸筋
B 深頸筋
C 頸部の筋膜
Ⅳ 体幹の筋
A 背部の筋
B 胸部の筋
C 腹部の筋
D 骨盤の筋
E 会陰の筋
Ⅴ 体肢の筋
A 上肢の筋
B 下肢の筋
Ⅵ 体表解剖学
第4章 神経系
Ⅰ 神経系総論
A 神経系の区分
B 神経系を構成する主要な成分
Ⅱ 中枢神経系
A 中枢神経系の構成
B 終 脳
C 間 脳
D 脳 幹
E 脊 髄
F 小 脳
G 中枢神経系内の神経路
H 髄膜,脳室と脈絡叢,脳脊髄液
I 脳室と脈絡叢,脳脊髄液
Ⅲ 神経系の発生
A 神経管の発生
B 脊髄の発生
C 脳の発生
Ⅳ 末梢神経系
A 脳神経
B 脊髄神経
C 脊髄神経叢
D 脊髄神経後枝
Ⅴ 自律神経系
A 交感神経の中枢と末梢
B 副交感神経の中枢と末梢
C 節前ニューロンと節後ニューロン
D 神経伝達物質
E 交感神経幹
F 副交感神経