書籍カテゴリー:組織学/発生学

組織学

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組織学

19版

  • 北海道大学名誉教授 伊藤 隆 著
  • 北海道大学名誉教授/北海道医療大学教授 阿部 和厚 

定価:11,880円(本体11,000円+税8%)

  • B5判 601頁
  • 2005年5月 発行
  • ISBN978-4-525-11019-2
  • ISBN4-525-11019-8

概要

組織学の教科書として,長年に渡り標準的で,わかりやすい解説で定評のある教科書.
今改訂では,貴重な組織写生図を補正し,出来る限りカラー化.また,理解を助けるために,彩色した電子顕微鏡写真などを掲載.人体の微細構造の解説ばかりでなく,その機能や疾患についても解説.

序文

本書「組織学」の初版は,名古屋大学医学部の戸苅近太郎 教授によって1954年に出版され,わが国最初の本格的な組織学の教科書となった.その後,戸苅先生に学び,北海道大学医学部の教授となった伊藤 隆が1971年,共著者に加わって改訂14版となり,1977年に戸苅 先生が亡くなられてからは伊藤 先生に引き継がれ,最後の大改訂は伊藤 先生が北海道大学を退官するときの1987年であった.私は,伊藤 隆 先生が北海道大学に来られて最初の学生の一人である.学生時代から伊藤教室に出入りし,電子顕微鏡の技術などは後に名古屋大学の教授になられた星野 洸 先生から手ほどきをうけ,大学院を終わって間もなくの改訂14版には新たな模型図を描いた.また,改訂18版には,200以上の電子顕微鏡写真や模式図を作成した.北海道大学では伊藤 先生のあとを継ぎ,次ぎの改訂は私の役目となったが,おりしも大学改革に大きくかかわることになり改訂は遅れた.伊藤 先生が1998年に亡くなられてからは,改訂を望む声をしばしば聞くようになった.すでに執筆を開始していたが,北海道大学や全国の大学教育改革に対する様々な要請は,これに集中することを許さなかった.そして,2002年に北海道大学を終えて北海道医療大学で教鞭をとるようになり,ようやくこの度の全面改訂となったのである.ほとんどの文章を再考,書き改め,時代を反映して加筆したが,真実は変わらないというところで,初版からの記載は底流に生きている.
このように,本書は半世紀の歴史に支えられて存在することになる.
組織学は解剖学の一翼を担う.人体の理解を根本からささえる必須の学問領域であり,日進月歩の最新の研究技法によって,内容は近年,急速に拡大している.今日,人体は分子や遺伝子のレベルで語られる時代となっているが,厳然と存在する実体として把握されていなければならない.人間を理論や反応で説明しようという時代にあっては,人体の実存を眼で確認しながら認識できる解剖学・組織学は,医学の基盤としてますます重要になっている.
組織学は,肉眼で見えない世界を対象としているが,様々な手法で様々な実体を見えるようにする.これにより眼下に見える世界は,自然そのものであり,無限の情報を含む.観察者はここから適当な情報をひろいあげ,意味を考える.形は意味を示し,さらに,形の時間変化を追うと働きがみえる.生命の形態学は,同時に機能を語り,形態と機能は切り離せなくなっている.
本書を改訂するにあたって,中心は形態構造の説明においたが,機能も同列としてふれた.必要によっては機能をわけて説明した.また,ときには,病気にもふれた.病気もまた,正常の反応の延長で理解できるからである.一方,分子生物学,遺伝学による説明は控えた.形態学は,見えるものを論拠としているという理由と,分子生物学の教科書は他に多いからである.しかし,分子生物学的説明は,以前よりかなり増えているのも必然である.また,外国語の用語は基本的には英語を採用したが,英語圏で用いるラテン語を残しているところもある.
本書の特徴とするものに,多くの組織像の写生図がある.光学顕微鏡像の多くは名古屋大学の戸苅教室で組織像を忠実に描写していた,専属の木戸画伯による.50年ほど前には,外国の組織学や病理学の教科書は,組織像,病理像を写生図で示していた.しかし,優秀な顕微鏡写真が撮影できるようになった今日,そのような図は姿を消した.だが,複雑な組織像を正しくとらえる訓練には,顕微鏡を観察しながらのスケッチは欠かせない.本書では,歴史的価値のある組織図を残し,さらにこれまで白黒で印刷された彩色図には,できるだけ原図の色を再現した.木戸原図は,水彩あるいは墨によるが,組織学実習でのように色鉛筆や黒の鉛筆による私の写生図も加えてある.
模式図もかなり入れて,理解を助けている.原図はすべて私のオリジナルである.新たに加えた図,描き直した図もある.以前からの図の多くは出版社によって線を入れ直してあるが,手描きをそのまま版にしているものもある.さらに,光学顕微鏡写真,電子顕微鏡写真のほとんどは私が撮影したものを使用したが,一部は仲間のお世話になった.とくに,以前,私とともに教室を運営していただいたよしみで,新潟大学の牛木辰男 教授には助けていただいた.電子顕微鏡の写真は本来,白黒であるが,一部は理解を助けるために私が彩色した.なお,写生図や写真の多くはヒトの標本による.
かなり年数のかかった改訂であったので,全体の統一性にまだ不備があろう.適当な範囲とページ制限のなかで,できるだけ簡潔にわかりやすく記述するようにしたため,内容が十分でないところもあろう.だが,ひとりで改訂ということで,全体としてのまとまりには気をつけた.本書を手にする学生諸君が,細胞・組織のリアリティーを感じ取り,人体構造と機能を理解していくことに役立つのであれば最高に嬉しい.また,問題点などご指摘いただければ幸いである.
新しい大学で繁忙をきわめるなか,ひとりでの改訂は大変苦しかった.しかし,喜びでもあった.随分以前にお会いした戸苅 先生,そして恩師の伊藤 先生,星野 先生,それに多くの仲間に思いをはせながら,とにかく長年の懸案であった本書の改訂に対する責任を形にでき,安堵している.そして,またつぎに改訂していく土台ができたことになる.新潟大学の牛木辰男 教授はじめ写真を提供してくださった方々に深謝する.また,本書は,南山堂編集部の齋藤代助 氏はじめ編集部の方々の配慮,協力によって形となった.心からお礼を申し上げる.

2005年3月 阿部和厚


目次

はじめに
 組織学とは
 組織学的観察法の概要
  A.光学顕微鏡による観察
  B.電子顕微鏡による観察
  C.原紙間力顕微鏡による観察

1章 細 胞
 細胞の構造
  A.細胞質
  B.核
 細胞分裂
  A.有糸分裂
  B.減数分裂
 細胞の退化と死

2章 組 織
 上皮組織
  A.上皮組織の分類
  B.上皮細胞の表面構造
  C.腺上皮
 支持組織
  A.結合組織
  B.軟骨組織
  C.骨組織
  D.血 液
 筋組織
  A.骨格筋組織
  B.心筋組織
  C.平滑筋組織
 神経組織
  A.神経細胞
  B.神経線維
  C.シナプス
  D.神経膠

3章 脈管系
 血管系
  A.毛細血管
  B.動 脈
  C.静 脈
  D.動静脈の吻合
  E.心 臓
 リンパ管系

4章 造血組織とリンパ組織
 造 血
  A.骨 髄
 リンパ
  A.リンパ組織
  B.胸 腺
  C.リンパ節
  D.脾 臓

5章 内分泌系
 内分泌腺
  A.下垂体
  B.甲状腺
  C.上皮小体
  D.副腎(腎上体)
  E.パラガングリオン
  F.松果体

6章 神経系
 中枢神経系
  A.脊 髄
  B.脳 幹
  C.小 脳
  D.大 脳
  E.髄膜と脈絡叢
  F.中枢神経系の血管
 末梢神経系
  A.末梢神経節
  B.末梢神経
  C.末梢神経終末

7章 外皮(総皮)
  A.皮 膚
  B.皮膚の付属器

8章 感覚器
 視覚器
  A.眼 球
  B.視神経
  C.副眼器
 平衡聴覚器
  A.外 耳
  B.中 耳
  C.内 耳
 嗅覚器
 味覚器

9章 運動器系
 骨格系
  A.骨
  B.骨の連結(関節)
  C.骨発生
 筋 系
  A.筋
  B.腱
  C.筋系の補助装置

10章 消化器系
 消化管
  A.消化管の一般構造
  B.口 腔
  C.口 唇
  D.頬
  E.口 蓋
  F.舌
  G.口蓋扁桃
  H.唾液腺
   I.歯
   J.咽 頭
  K.食 道
  L.胃
  M.小 腸
  N.大 腸

 消化腺
  A.肝 臓
  B.肝外胆路と胆嚢
  C.膵 臓

11章 呼吸器系
 気 道
  A.鼻 腔
  B.喉 頭
  C.気管と気管支
 呼吸部
  A.肺

12章 泌尿器系
 腎 臓
 尿 路
  A.腎盂・尿管および膀胱
  B.尿 道

13章 男性生殖器系
  A.精 巣
  B.精巣上体と精管
  C.副生殖腺
  D.陰茎と陰嚢

14章 女性生殖器系
  A.卵 巣
  B.卵 管
  C.子 宮
  D.胎盤と臍帯
  E.膣
  F.女性外陰部