なるほどなっとく!病理学 plus
病態形成の機序と各器官の疾病の特徴
1版
北海道医療大学 特任教授 小林正伸 著
定価
2,750円(本体 2,500円 +税10%)
- B5判 407頁
- 2022年1月 発行
- ISBN 978-4-525-15181-2
病理がわかると,病気が見える!
『病理がわかると,病気が見える!』
病理学を初めて学ぶ人がわかりやすく,楽しく学べる教科書!
総論では,病気の成り立ちと病態形成の基本的なメカニズムについて学べ,各論では,各器官に発生する代表的な疾患の特徴や病態についてやさしく学べます.いずれもカラーイラスト,症例写真,図表を数多く使って簡潔に解説しています.
難しい医学用語や補足が必要な用語には,欄外に解説を設けています.
基礎医学から臨床医学へのスムーズな架け橋となる,“なるほどなっとく!”の一冊です.
病理学総論の内容だけでよいという読者さんは,姉妹本の「なるほどなっとく!病理学」を参考にしてください.
- 序文
- 目次
序文
まず,本書が企画出版された経緯について説明する.2015年に病理学総論の内容のみで構成した「なるほどなっとく!病理学」を上梓した.幸いにも医療系学部の教科書として多くの学生に読んでいただけたこと,レビューなどで医療従事者向けの病理学の教科書として必要十分であるといった好意的な評価をいただけたことにはただただ感謝を申し上げる.その一方で,「病理学各論の内容が欠けているので教科書としては使いづらい」といった現場の声もいただいた.そこで,そのような声にも応えるべく,循環器や呼吸器,感覚器など各臓器の代表的疾患の成り立ちなど病理学各論の内容をプラスした姉妹本「なるほどなっとく!病理学plus」を企画し,この度出版に至った.
2019年12月, 新型コロナウイルス感染症が出現し,わずか数ヵ月の間に世界的な流行となった.そして,2020年以後の世界は,社会のあり方や人と人との関係にいたるまで従来とは全く異なる様相となってしまった.ニュースなどでも,飛沫感染,潜伏期,抗体価などの感染症の専門用語があたりまえのように使われ,一般の人たちが日常会話の中でこのような用語を口にする時代となった.教育の現場では,オンライン講義を導入せざるを得なくなり,入学してから一度も通学することができない学生もいる始末である.病院実習などの現場教育も控えざるを得ず,医療従事者を目指す学生にとっては厳しい教育環境となっている.
しかし,こうした時代だからこそ,単に教科書の内容を覚えるだけではなく,病気がどのようなメカニズムで発症するのか,病気に特有の症状がどのようにして出現するのか,といった病気の本態を理解できるようになってほしいと思っている.そのために,本書では病理学総論・各論ともに,病気の発症や症状の出るメカニズムについて,できる限りわかりやすく解説したつもりである.とくに感染症については,「感染」,「免疫」,「炎症」の3章に分けて触れており,たとえば「ウイルスが鼻や喉の粘膜に侵入すると,なぜ熱が出るのか? なぜ喉が痛くなるのか? そのメカニズムはウイルスの侵入以降の生体内の連鎖反応の結果起きること」など,病原体と宿主であるヒトの抵抗力の関係をきちんと理解できるよう,しつこいほど解説している.
また,病理学というと,「覚えなければならないことが多すぎて嫌いだ」,「新しい用語がたくさん出てきて覚えきれない」,といった学生の声を聞くことが多い.しかし,本来の病理学は,なぜ病気を発症するのか,なぜ症状が現れるのか,病気を治すためにどうしたらよいのかを理解していく科目であり,学生自身が「なるほど,そういうことか!」と納得し,学ぶ喜びを感じることができる科目のはずである.
本書が,学生諸君から「病理学を楽しく学べた!」と言ってもらえる教科書となれば,著者として望外の喜びである.
2021年12月吉日
小林正伸
2019年12月, 新型コロナウイルス感染症が出現し,わずか数ヵ月の間に世界的な流行となった.そして,2020年以後の世界は,社会のあり方や人と人との関係にいたるまで従来とは全く異なる様相となってしまった.ニュースなどでも,飛沫感染,潜伏期,抗体価などの感染症の専門用語があたりまえのように使われ,一般の人たちが日常会話の中でこのような用語を口にする時代となった.教育の現場では,オンライン講義を導入せざるを得なくなり,入学してから一度も通学することができない学生もいる始末である.病院実習などの現場教育も控えざるを得ず,医療従事者を目指す学生にとっては厳しい教育環境となっている.
しかし,こうした時代だからこそ,単に教科書の内容を覚えるだけではなく,病気がどのようなメカニズムで発症するのか,病気に特有の症状がどのようにして出現するのか,といった病気の本態を理解できるようになってほしいと思っている.そのために,本書では病理学総論・各論ともに,病気の発症や症状の出るメカニズムについて,できる限りわかりやすく解説したつもりである.とくに感染症については,「感染」,「免疫」,「炎症」の3章に分けて触れており,たとえば「ウイルスが鼻や喉の粘膜に侵入すると,なぜ熱が出るのか? なぜ喉が痛くなるのか? そのメカニズムはウイルスの侵入以降の生体内の連鎖反応の結果起きること」など,病原体と宿主であるヒトの抵抗力の関係をきちんと理解できるよう,しつこいほど解説している.
また,病理学というと,「覚えなければならないことが多すぎて嫌いだ」,「新しい用語がたくさん出てきて覚えきれない」,といった学生の声を聞くことが多い.しかし,本来の病理学は,なぜ病気を発症するのか,なぜ症状が現れるのか,病気を治すためにどうしたらよいのかを理解していく科目であり,学生自身が「なるほど,そういうことか!」と納得し,学ぶ喜びを感じることができる科目のはずである.
本書が,学生諸君から「病理学を楽しく学べた!」と言ってもらえる教科書となれば,著者として望外の喜びである.
2021年12月吉日
小林正伸
目次
総 論
第1章 病気と病理学
A. 病理学とは何か?
B. 医療において病理診断はどのような意義があるのか?
C. 治療やケアに病理学は必要か?
D. 病気はどのように発症するのか?
第2章 細胞の異常—病気の本態
A. 細胞の構造と細胞傷害
B. 正常細胞の新陳代謝 — 恒常性の維持
C. 再生と修復
D. ヒトの体の多層構造
第3章 先天異常
A. 遺伝とは?
B. 先天異常とは?
C. 遺伝要因による先天異常
D. 環境要因による先天異常
第4章 循環障害
A. 循環器系の働き
B. 循環障害
C. 循環障害によって発症する主な疾患と病態
第5章 代謝異常
A. 代謝とは何か?
B. 代謝異常
C. 糖代謝と糖代謝異常
D. 脂質代謝と脂質代謝異常
E. 核酸代謝と核酸代謝異常
F. タンパク代謝とタンパク代謝異常
G. カルシウム代謝とカルシウム代謝異常
H. 代謝障害によって発症する主な疾患
第6章 老 化
A. 老化とは何か?
B. 細胞の老化と個体の老化
C. 老化に伴う各臓器の変化
D. 老化によって発症する主な疾患
第7章 感染と感染症
A. 感染症とは何か?
B. 感染症の原因となる病原体
C. 感染に対する防御能
D. 感染症の発症
第8章 免疫と免疫異常
A. 免疫機構
B. アレルギー
C. 自己免疫疾患
D. 免疫不全症
E. 移植免疫
F. 免疫および免疫異常によって発症する主な疾患
第9章 炎 症
A. 炎症の正体
B. 炎症はどのように起こるのか?
C. 炎症の分類
D. 炎症の全身反応
第10章 腫 瘍
A. 癌とは何か?
B. 腫瘍の分類
C. 癌の特性
D. 腫瘍マーカーと癌の診断
E. 癌の治療
各 論
第11章 呼吸器疾患
A. 呼吸器の働き
B. 呼吸器疾患でみられる主な症状
C. 呼吸器感染症
D. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
E. 気管支喘息
F. 間質性肺炎
G. 肺血栓塞栓症
H. 気 胸
I. 胸膜炎
J. 過換気症候群
K. 呼吸不全
L. 咽頭癌,喉頭癌
M. 肺 癌
第12章 循環器疾患
A. 循環器の働き
B. 循環器疾患でみられる主な症状
C. 不整脈
D. 心不全
E. 虚血性心疾患
F. 心臓弁膜症
G. 心筋症
H. 先天性心疾患
I. 解離性大動脈瘤(大動脈解離)
J. 高血圧症
K. 動脈硬化症
第13章 消化器疾患
A. 消化器の働き
B. 消化器疾患でみられる主な症状
C. 食道の疾患
D. 胃の疾患
E. 大腸の疾患
F. 肝臓の疾患
G. 胆嚢,膵臓の疾患
第14章 内分泌疾患
A. 内分泌系の働き
B. 内分泌疾患でみられる主な症状
C. 下垂体腫瘍
D. 尿崩症
E. 甲状腺の疾患
F. 副甲状腺の疾患
G. 副腎の疾患
第15章 腎・泌尿器疾患
A. 腎・泌尿器の働き
B. 腎・泌尿器疾患でみられる主な症状
C. 尿路感染症
D. 尿路結石症
E. 前立腺肥大症
F. 前立腺癌
G. 糸球体腎炎
H. 糖尿病腎症
I. 腎不全
J. 慢性腎臓病(CKD)
K. 腎細胞癌
第16章 脳・神経疾患
A. 脳・神経系の働き
B. 脳・神経疾患にみられる主な症状
C. 脳血管障害
D. 髄膜炎
E. 認知症
F. パーキンソン病
G. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
H. プリオン病
第17章 血液疾患
A. 血液の働きと造血組織
B. 血液疾患にみられる主な症状
C. 貧 血
D. 白血病
E. 悪性リンパ腫
F. 多発性骨髄腫
G. 出血性疾患
第18章 運動器疾患
A. 運動器の構造と働き
B. 骨 折
C. 脊髄損傷
D. 骨粗鬆症
E. 変形性関節症
F. 関節リウマチ
第19章 女性生殖器疾患
A. 女性生殖器・乳腺の構造と働き
B. 子宮癌
C. 子宮筋腫
D. 卵巣腫瘍
E. 乳 癌
第20章 感覚器疾患
A. 感覚器の構造と働き
B. 眼の疾患
C. 耳の疾患
D. 皮膚の疾患
第1章 病気と病理学
A. 病理学とは何か?
B. 医療において病理診断はどのような意義があるのか?
C. 治療やケアに病理学は必要か?
D. 病気はどのように発症するのか?
第2章 細胞の異常—病気の本態
A. 細胞の構造と細胞傷害
B. 正常細胞の新陳代謝 — 恒常性の維持
C. 再生と修復
D. ヒトの体の多層構造
第3章 先天異常
A. 遺伝とは?
B. 先天異常とは?
C. 遺伝要因による先天異常
D. 環境要因による先天異常
第4章 循環障害
A. 循環器系の働き
B. 循環障害
C. 循環障害によって発症する主な疾患と病態
第5章 代謝異常
A. 代謝とは何か?
B. 代謝異常
C. 糖代謝と糖代謝異常
D. 脂質代謝と脂質代謝異常
E. 核酸代謝と核酸代謝異常
F. タンパク代謝とタンパク代謝異常
G. カルシウム代謝とカルシウム代謝異常
H. 代謝障害によって発症する主な疾患
第6章 老 化
A. 老化とは何か?
B. 細胞の老化と個体の老化
C. 老化に伴う各臓器の変化
D. 老化によって発症する主な疾患
第7章 感染と感染症
A. 感染症とは何か?
B. 感染症の原因となる病原体
C. 感染に対する防御能
D. 感染症の発症
第8章 免疫と免疫異常
A. 免疫機構
B. アレルギー
C. 自己免疫疾患
D. 免疫不全症
E. 移植免疫
F. 免疫および免疫異常によって発症する主な疾患
第9章 炎 症
A. 炎症の正体
B. 炎症はどのように起こるのか?
C. 炎症の分類
D. 炎症の全身反応
第10章 腫 瘍
A. 癌とは何か?
B. 腫瘍の分類
C. 癌の特性
D. 腫瘍マーカーと癌の診断
E. 癌の治療
各 論
第11章 呼吸器疾患
A. 呼吸器の働き
B. 呼吸器疾患でみられる主な症状
C. 呼吸器感染症
D. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
E. 気管支喘息
F. 間質性肺炎
G. 肺血栓塞栓症
H. 気 胸
I. 胸膜炎
J. 過換気症候群
K. 呼吸不全
L. 咽頭癌,喉頭癌
M. 肺 癌
第12章 循環器疾患
A. 循環器の働き
B. 循環器疾患でみられる主な症状
C. 不整脈
D. 心不全
E. 虚血性心疾患
F. 心臓弁膜症
G. 心筋症
H. 先天性心疾患
I. 解離性大動脈瘤(大動脈解離)
J. 高血圧症
K. 動脈硬化症
第13章 消化器疾患
A. 消化器の働き
B. 消化器疾患でみられる主な症状
C. 食道の疾患
D. 胃の疾患
E. 大腸の疾患
F. 肝臓の疾患
G. 胆嚢,膵臓の疾患
第14章 内分泌疾患
A. 内分泌系の働き
B. 内分泌疾患でみられる主な症状
C. 下垂体腫瘍
D. 尿崩症
E. 甲状腺の疾患
F. 副甲状腺の疾患
G. 副腎の疾患
第15章 腎・泌尿器疾患
A. 腎・泌尿器の働き
B. 腎・泌尿器疾患でみられる主な症状
C. 尿路感染症
D. 尿路結石症
E. 前立腺肥大症
F. 前立腺癌
G. 糸球体腎炎
H. 糖尿病腎症
I. 腎不全
J. 慢性腎臓病(CKD)
K. 腎細胞癌
第16章 脳・神経疾患
A. 脳・神経系の働き
B. 脳・神経疾患にみられる主な症状
C. 脳血管障害
D. 髄膜炎
E. 認知症
F. パーキンソン病
G. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
H. プリオン病
第17章 血液疾患
A. 血液の働きと造血組織
B. 血液疾患にみられる主な症状
C. 貧 血
D. 白血病
E. 悪性リンパ腫
F. 多発性骨髄腫
G. 出血性疾患
第18章 運動器疾患
A. 運動器の構造と働き
B. 骨 折
C. 脊髄損傷
D. 骨粗鬆症
E. 変形性関節症
F. 関節リウマチ
第19章 女性生殖器疾患
A. 女性生殖器・乳腺の構造と働き
B. 子宮癌
C. 子宮筋腫
D. 卵巣腫瘍
E. 乳 癌
第20章 感覚器疾患
A. 感覚器の構造と働き
B. 眼の疾患
C. 耳の疾患
D. 皮膚の疾患