書籍カテゴリー:免疫学

免疫学コア講義
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免疫学コア講義

第3版

  • 大阪大学医学部教授 熊ノ郷淳 編
  • 熊本大学生命研究部教授 阪口薫雄 編
  • 大阪大学医学部教授 竹田 潔 編
  • 佐賀大学医学部教授 吉田裕樹 編

定価:5,400円(本体5,000円+税8%)

  • B5判 309頁
  • 2012年11月 発行
  • ISBN978-4-525-16753-0

概要

進歩の速い免疫学分野を,医学部生をはじめとする学部学生向けにわかりやすくまとめた好評の免疫学テキスト.医学教育モデル・コア・カリキュラムを中心とした必修項目に,「自然免疫」や「抗体医薬」など新しい概念を盛り込み,ビジュアル化した図,紙面レイアウトを一新し全面改訂.基礎免疫学編と臨床免疫学編の2部構成で,基本的事項とアドバンス項目を分け,読者の理解を助ける.

序文

 本書は,2001年に医学教育モデル・コア・カリキュラムに策定されたことを契機に,コア・カリキュラムに沿った免疫学のテキストとして,木本雅夫,山下優毅,阪口薫雄の編集委員によって企画・編集され,2002年に本書第1版が刊行された.その後,全国の医学部でコア・カリキュラムに対応したCBT試験が本格施行され,医学部生として身につけるべき基礎知識について全国的な統一が図られた.その流れに対応して,2007年に改訂2版が刊行された.本書は医学教育に対する時代の要請と潮流に適応し,免疫学を基本から応用まで幅広く習得できるように腐心してきたこともあり,これまで多くの医学部をはじめとする生命科学分野の幅広い学部・学科の学生のためのテキストとして使用され,好評を博している.
 第1版刊行から10年を経過したのを契機に,前編集委員から「本書を免疫学テキストとしてのこれまでの成果・伝統を保ちつつ次世代へ改革していく必要がある」との提言がなされ,編集委員,執筆者の大幅な変更を行うこととなった.これまでの本書の特徴である充実した内容を活かしつつ,心機一転,さらに多くの学生に愛用され,より実践に役に立つ免疫学テキストとなるよう,改訂3版刊行に向けて作業を開始した.
 免疫学は,炎症とその関連する免疫応答を理解する上で最も基本的な学問であり,今や,多くの疾患の理解や治療を習得するために必要不可欠な基礎科学となっている.感染症やアレルギー・自己免疫疾患のみならず,呼吸器疾患,消化器疾患,神経疾患,循環器疾患,代謝疾患,内分泌学,血液学,腫瘍医学,整形外科学,眼科学,耳鼻科学,産婦人科学・小児科学・老年病学,臨床検査学,薬学,歯科学など,さまざまな学問領域を理解し,生体の変化を解明する上で重要な基盤となっている.こういった観点から本書は第1版からのコア・カリキュラムに沿った内容としながら,「基礎免疫学編」,「臨床免疫学編」の2部構成において,医学部専門の基礎科目として必須な内容から臨床研修時に必要な医学部生が身につけておくべき内容をわかりやすく包括的にまとめることとした.いわば「免疫学の基礎」から「免疫系にかかわる重要な疾患」までを,体系的に学ぶことができるテキストとして編纂した.また,年々進歩が継続されている免疫学において,改訂2版から大きく変わっている重要な概念を盛り込むため,各章の記述や細項目を見直した.「第4章 自然免疫」を新しく加えるとともに,「第8章 細胞性免疫」で「CD8 T細胞,CD4 T細胞,メモリーT細胞」について,また,「臨床免疫学編」では,「関節リウマチの新しい診断基準」とあわせ,近年進歩著しい「抗体医薬」についての解説を充実させた.また,興味をもって学習できるよう,読者に免疫系のダイナミズムが生き生きと伝わるよう,レイアウトや図なども大幅にリニューアルした.さらに卒業後に免疫学テキストとして活用できるようにアドバンス項目とCD分子,サイトカインの別表を充実させている.このような本書の大幅な改訂にあたり,前版までの編集委員の木本雅夫先生,山下優毅先生,また各項目をご執筆いただいていた諸先生に対して紙面を借りて心より謝辞を申し上げる.
 本書を通して未来の医学・生命科学を担う学生諸君が,免疫学の十分な基盤を固めるべく学習されることを願っている.

2012年10月
編者 識

目次

基礎免疫学編

1.免疫
 1-1 免疫とは  (山下優毅)
 1-2 自然免疫  (竹田 潔)
 1-3 獲得免疫
 1-4 液性免疫と細胞性免疫

2.リンパ組織・リンパ器官  (田中稔之)
 2-1 一次リンパ組織
 2-2 二次リンパ組織
 2-3 リンパ球の再循環

3.免疫関連細胞
 3-1 免疫関連細胞の分化  (竹田 潔)
 3-2 マクロファージ  (松川昭博)
 3-3 樹状細胞
 3-4 顆粒球
 3-5 NK細胞  (浅尾裕信)
 3-6 B細胞
 3-7 T細胞

4.自然免疫  (竹田 潔)
 4-1 上皮のバリア機構
 4-2 貪食細胞の機能
 4-3 補体
 4-4 NK細胞
 4-5 自然免疫系による非自己認識:パターン認識

5.主要組織適合遺伝子複合体  (木本雅夫)
 5-1 主要組織適合遺伝子とは
 5-2 MHCの機能
 5-3 MHCの分子構造・組織発現
 5-4 MHC(HLA)遺伝子
 5-5 MHCのペプチド結合と細胞内移動・T細胞への抗原提示

6.B細胞抗原受容体とシグナル伝達  (阪口薫雄 桒原一彦 前田和彦)
 6-1 B細胞抗原受容体(BCR)
  1)BCRの意義
  2)抗体の多様性の起源とIg遺伝子
  3)BCRの構造
  4)B細胞の分化と抗原受容体の発現
  5)抗原シグナル伝達分子とシグナル伝達機構
  6)B細胞活性化の補助経路
 6-2 B細胞の成熟・分化と選択

7.T細胞抗原受容体とシグナル伝達  (原 博満)
 7-1 T細胞抗原受容体による抗原の認識機構
 7-2 T細胞の分化
 7-3 T細胞活性化の調節機構
 7-4 TCRのシグナル伝達機構

8.細胞間相互作用  (石井直人)
 8-1 一次免疫反応と二次免疫反応
 8-2 抗原提示細胞とT細胞の相互作用
 8-3 白血球のホーミング:血管内皮細胞との相互作用
 8-4 接着分子:細胞間相互作用に関与する分子

9.抗体  (阪口薫雄 前田和彦)
 9-1 免疫グロブリンの構造
 9-2 クラスと機能

10.抗原  (五十嵐英哉・石原克彦)
 10-1 抗原の定義
 10-2 抗原の特徴
 10-3 抗原と自己・非自己の識別

11.抗原抗体反応とその利用  (五十嵐英哉 石原克彦)
 11-1 抗原抗体反応の理解に必要な基礎知識
 11-2 抗原抗体反応の定量解析
 11-3 抗原抗体反応の利用

12.サイトカインとケモカイン  (吉田裕樹 中西憲司)
 12-1 サイトカインとは
 12-2 サイトカインの特徴
 12-3 サイトカインの構造
 12-4 サイトカイン受容体の構造
 12-5 サイトカインの機能
 12-6 サイトカイン機能の三大特徴
 12-7 サイトカインシグナル伝達と負の制御機構
 12-8 ケモカインと受容体

13.細胞性免疫(T細胞免疫)  (村上正晃)
 13-1 T細胞免疫とB細胞免疫
 13-2 ヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞
 13-3 ヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞の種類
 13-4 ヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞の抗原認識
 13-5 MHCクラスⅠによる細胞傷害性T細胞の活性化
 13-6 樹状細胞の細胞傷害性T細胞への抗原提示における重要性:クロスプレゼンテーション
 13-7 T細胞の恒常的分裂
 13-8 MHCクラスⅡによるヘルパーT細胞の活性化
 13-9 サイトカインの産生源,エフェクターヘルパーT細胞
 13-10 活性化ヘルパーT細胞の収束と記憶ヘルパーT細胞の出現
 13-11 T細胞免疫と炎症の誘導:2つの役割

14.抗原認識レパートリー形成と免疫寛容  (瀧 伸介)
 14-1 抗原認識レパートリーの形成と中枢性寛容
 14-2 末梢性寛容

15.粘膜免疫  (高橋一郎)
 15-1 粘膜免疫のユニーク性
 15-2 粘膜における物理的バリア
 15-3 粘膜における化学的バリア:パネート細胞が分泌する抗菌ペプチド
 15-4 腸管関連リンパ組織:パイエル板・M細胞
 15-5 パイエル板における樹状細胞と獲得免疫応答
 15-6 粘膜におけるリンパ球の遊走機構
 15-7 分泌型IgA(S-IgA)
 15-8 腸上皮細胞間リンパ球
 15-9 粘膜における自然免疫系リンパ球

16.自己免疫疾患とアレルギー  (善本知広)
 16-1 自己と非自己の識別の破綻
 16-2 自己免疫
 16-3 アレルギー

17.がん免疫と移植免疫  (西川博嘉)
 17-1 がん免疫
 17-2 移植免疫

18.宿主と病原体の攻防  (吉田裕樹 松﨑吾朗)
 18-1 宿主の感染防御免疫と病原体の病原性のダイナミックな相互反応
 18-2 細菌・真菌感染に対する感染防御免疫
 18-3 ウイルス感染に対する感染防御
 18-4 寄生虫に対する感染防御
 18-5 ワクチンによる感染症予防


臨床免疫学編

19.臨床免疫学概論  (熊ノ郷 淳)
 19-1 免疫の異常と疾患
 19-2 膠原病・アレルギーの概念
 19-3 膠原病の臨床所見
 19-4 自己抗体
 19-5 自己炎症疾患
 19-6 免疫不全症

20.免疫学的検査法  (田中良哉)
 20-1 炎症反応
 20-2 免疫グロブリン
 20-3 感染症に関連する免疫学的検査
 20-4 自己抗体
 20-5 B細胞表面の免疫グロブリン
 20-6 補体
 20-7 細胞性免疫の機能
 20-8 NK細胞活性
 20-9 好中球の機能
 20-10 アレルギー検査
 20-11 血液型,HLAタイピング(移植免疫)
 20-12 腫瘍マーカー

21.膠原病  (緒方 篤 楢﨑雅司 嶋 良仁 平野 亨 熊ノ郷 淳)
 21-1 関節リウマチ
 21-2 全身性エリテマトーデス
 21-3 全身性強皮症
 21-4 多発性筋炎・皮膚筋炎
 21-5 混合性結合組織病
 21-6 シェーグレン症候群
 21-7 血管炎
 21-8 ベーチェット病
 21-9 抗リン脂質抗体症候群
 21-10 血清反応陰性関節炎

22.アレルギー
 22-1 蕁麻疹  (椛島健治)
 22-2 接触皮膚炎
 22-3 アトピー性皮膚炎
 22-4 気管支喘息  (長谷川好規)
 22-5 過敏性肺炎
 22-6 サルコイドーシス
 22-7 アナフィラキシー  (川部 勤)
 22-8 薬物アレルギー
 22-9 食物アレルギー
 22-10 アレルギー性鼻炎
 22-11 花粉症
 22-12 アレルギー性結膜疾患
 22-13 血清病

23.免疫不全
 23-1 総論  (原 寿郎)
 23-2 各論:原発性免疫不全症
  1)複合免疫不全症
  2)抗体欠乏を主徴とする免疫不全症
  3)その他の明確に定義された免疫不全症
  4)免疫系の調節異常による疾患
  5)食細胞機能不全
  6)自然免疫系の欠陥を示す疾患
  7)自己炎症疾患
  8)補体欠損症
 23-3 各論:続発性免疫不全症  (松下修三)

24.リンパ増殖性疾患  (野坂生郷)
 24-1 悪性リンパ腫
  1)ホジキンリンパ腫
  2)非ホジキンリンパ腫
  3)代表的な非ホジキンリンパ腫
 24-2 多発性骨髄腫とその類縁疾患
  1)多発性骨髄腫
  2)多発性骨髄腫類縁疾患

25.ワクチン  (青枝大貴 石井 健)
 25-1 ワクチンとは
 25-2 ワクチンの種類
 25-3 予防接種
 25-4 ワクチン各論:定期接種のワクチン
 25-5 ワクチン各論:任意接種のワクチン
 25-6 次世代のワクチン

26.免疫治療  (田中敏郎)
 26-1 抗原特異的免疫療法
  1)ワクチン
  2)癌ワクチン
  3)アレルゲン免疫療法
 26-2 抗原非特異的免疫療法
  1)非ステロイド性抗炎症薬
  2)ステロイド剤
  3)免疫抑制剤
  4)抗体医薬
  5)サイトカイン製剤
  6)免疫グロブリン大量療法


付表1 CD抗原  (阪口薫雄 桒原一彦)
付表2 サイトカインとサイトカイン受容体  (吉田裕樹)
付表3 ケモカインとケモカイン受容体
付表4 免疫細胞とケモカイン受容体
付表5 ケモカイン受容体

日本語索引
外国語索引

アドバンス項目
 ■ 二度なし現象と予防接種
 ■ クローン選択説
 ■ ファブリキウス嚢
 ■ M1マクロファージとM2マクロファージ
 ■ HLAと疾患感受性の相関
 ■ ウイルスのMHCクラスⅠ機能阻害による免疫回避
 ■ MHCに結合するペプチドの「アンカー残基」
 ■ 抗原提示細胞に発現する「MHC-ペプチド」の数
 ■ Ig遺伝子の再構成がB細胞で規則正しく起こるのはなぜか
 ■ 活性化補助シグナル
 ■ 抑制性シグナル
 ■ スーパー抗原
 ■ アロ抗原認識
 ■ 免疫シナプス
 ■ Fc受容体
 ■ 抗体の抗原性
 ■ 単クローン性抗体
 ■ B細胞エピトープとT細胞エピトープ
 ■ ハプテン-キャリアとアレルギー
 ■ アジュバント
 ■ TD抗原とTI抗原
 ■ ウイルスの抗原性変異
 ■ 平衡透析と親和力
 ■ フローサイトメーター
 ■ タンパク質解析における抗原抗体反応の応用:ウエスタンブロット
 ■ 炎症・免疫反応とサイトカイン
 ■ サイトカインの分類と生理機能
 ■ ケモカインの役割
 ■ 胸腺での選択
 ■ AIREと負の選択
 ■ 対立遺伝子排除と受容体編集
 ■ NK受容体とNK細胞の自己寛容
 ■ 免疫特権と経口寛容
 ■ 自己反応性T細胞による自己免疫疾患
 ■ 自己免疫寛容(中枢性・末梢性)の破綻による自己免疫疾患
 ■ アレルゲンの機能
 ■ 新しいアレルギーの概念
 ■ 遅延型アレルギー反応と疾患
 ■ Cancer immunoediting
 ■ CD4+制御性T細胞による拒絶反応の抑制
 ■ らい菌感染におけるTh1,Th2の誘導と防御免疫
 ■ インフルエンザウイルスの抗原変異と“新型”インフルエンザ
 ■ 原虫に対する免疫応答
 ■ 成人発症Still病
 ■ 封入体性筋炎
 ■ PMRとRS3PE症候群