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カテゴリー: 免疫学

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The Frontiers in Life Sciencesシリーズ

免疫学Update

分子病態の解明と治療への展開

1版

大阪大学免疫学フロンティア研究センター 拠点長/自然免疫学 教授 審良静男 編集
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 教授 
熊ノ郷 淳 編集
大阪大学大学院医学系研究科 免疫制御学 教授 竹田 潔 編集

定価

6,160(本体 5,600円 +税10%)


  • B5判  252頁
  • 2012年12月 発行
  • ISBN 978-4-525-16771-4

自然免疫系,獲得免疫系の基礎研究を主軸とし,免疫疾患の病態の解明から臨床応用への展開,さらに骨免疫学や神経免疫学,慢性炎症など学際的研究まで多面的展開を示す免疫学は多くの者を魅きつけ,これまでも抗体医薬や分子標的薬の形で臨床の場にも革命的な成果をもたらした.次世代を担う研究者や医学者へ,必読かつ待望の新レビュー集第1弾.

  • 序文
  • 目次
序文
 「免疫学」は今も多くの研究者,医学者の興味を引きつけてやまない.免疫系は,生体と外界,自己と非自己の境界で,さまざまな局面において,種々の分子や細胞がダイナミックに行き交い,相互作用しながら,「生体防御」そして「生体の恒常性維持」というミッションを遂行している.
 免疫研究は,他の研究領域に先駆けて分子レベルでの解明が大きく進んだことで,生命科学全体のドライビングフォースとしての役割を果たしてきた.また,疾患制御においては,その破綻プロセスの解明が多面的に進み,その成果は今日の抗体医薬や分子標的薬の形で,臨床の場にも革命的な成果をもたらした.
 近年,これまで免疫系の中心と考えられてきた獲得免疫系に加え,自然免疫系が,粘膜,腸管,呼吸器,皮膚などの外界と接するさまざまな器官で,炎症反応を担うなど重要な役割を示していることがわかってきた.また自然免疫の基礎研究の進展により,臨床面でも「自己炎症疾患」という自然免疫系の破綻に起因する疾患概念が導入されてきている.
 このように,「免疫学」は研究の進歩が非常に早く,常に新しい知見が見いだされ,そこから新たな免疫系のダイナミズムが見えてきている.
 このような点をふまえ,このたび,新しいThe Frontiers in Life Sciencesシリーズの第一弾として「免疫学Update─分子病態の解明と治療への展開─」を刊行することとした.免疫系を担うさまざまな分子や細胞のダイナミズムや免疫学の新しいパラダイムの誕生を感じとっていただければ幸いである.
 本書が,免疫学の次世代を担う研究者をはじめとする読者の将来の礎になることを願っている.

2012年11月
編者
目次
第Ⅰ部 自然免疫研究の展開

第1章 パターン認識受容体(PRR)の展開  (國吉佳奈子 鍛代悠一 審良静男 河合太郎)
 1-1 パターン認識受容体(PRR)
 1-2 Toll様受容体(TLR)
  1 TLRによる病原体認2
  2 TLRを介するシグナル伝達経4
  3 TLRによる内在性因子の認6
 1-3 インフラマソー6
  1 インフラマソームの構造と分類
  2 NLRP3インフラマソーム
  3 NLRC4インフラマソーム
  4 NLRP1インフラマソーム
  5 NLRC5インフラマソーム
  6 NLRP6インフラマソーム
  7 NLRP12インフラマソーム
  8 AIM2インフラマソーム
 1-4 C型レクチン受容体(CLR)


第2章 ウイルス感染における細胞内センシング機構  (船曳正英 藤田尚志)
 2-1 細胞質内RNA認識機構としてのRLR
  1 RLRの分子構造的特徴
  2 RLRのリガンド認識機構
  3 RLRのシグナル伝達機構
  4 RIG-Iの生理学的機能
  5 MDA5の生理学的機能と疾患との関連
  6 RIG-I/MDA5シグナルを制御するLGP2
 2-2 細胞質内DNAセンサー
  1 DNAによる自然免疫応答
  2 DAI
  3 STING(MTIA/MPYS/ERIS)
  4 RNAポリメラーゼⅢ(PolⅢ)
  5 IFI16/p204
  6 DHX9/DHX36


第3章 RNAと自然免疫  (竹内 理)
 3-1 RNA結合タンパク質によるサイトカイン産生調節
  1 ARE結合タンパク質による制御機構
  2 Regnase-1の自然免疫応答における役割
 3-2 自然免疫のmicroRNA(miRNA)によるコントロール
 3-3 サイトカイン産生の翻訳による調節


第4章 NK細胞  (小笠原康悦)
 4-1 NK細胞とは
 4-2 NK細胞の発見の歴史
 4-3 NK細胞の認識機構
  1 ミッシングセルフ仮説の提唱
  2 NK細胞の標的細胞認識機構
  3 NK細胞抑制性受容体
  4 NK細胞活性化受容体
 4-4 NK細胞の機能
 4-5 ウイルス感染とNK細胞
 4-6 メモリーNK細胞
 4-7 ドレス細胞


第5章 ナチュラルキラーT細胞  (渡会浩志)
 5-1 iNKT細胞と糖脂質リガンド
 5-2 iNKT細胞の機能
 5-3 iNKT細胞標的免疫細胞療法とその応用
  1 iNKT細胞
  2 iNKT-ES細胞とiNKT-iPS細胞
 5-4 iNKT細胞サブセット
 5-5 iNKT細胞の胸腺内分化


第6章 免疫系における好塩基球の重要性  (烏山 一)
 6-1 好塩基球による獲得免疫制御
  1 Th2細胞分化の誘導
  2 B細胞の活性化と抗体産生の増強
 6-2 好塩基球による生体防御
  1 外部寄生虫(吸血ダニ)に対する防御
  2 内部寄生虫に対する防御
 6-3 好塩基球がかかわる疾患
  1 アレルギー
  2 自己免疫疾患
  3 自己炎症疾患


第7章 自然リンパ球のサブセットとThサブセット  (小安重夫)
 7-1 ナチュラルキラー(NK)細胞
 7-2 リンパ組織誘導(LTi)細胞
 7-3 ナチュラルヘルパー(NH)細胞
 7-4 Th2型炎症とナチュラルヘルパー細胞



第Ⅱ部 獲得免疫研究の展開

第8章 T細胞の活性化・抑制シグナルとその制御機構  (斉藤 隆)
 8-1 T細胞活性化シグナル伝達の生化学
 8-2 免疫シナプス
 8-3 TCRミクロクラスター
  1 TCRミクロクラスターを介する活性化シグナル
  2 TCRナノクラスターと活性化
  3 ラフトとTCRミクロクラスター
 8-4 T細胞活性化シグナルと細胞骨格制御
 8-5 T細胞活性化における補助刺激シグナル
  1 CD28ミクロクラスターによる補助刺激
  2 細胞内シグナルコンパートメント
 8-6 T細胞活性化の負の制御
  1 TCR下流によるネガティブ制御
  2 負の補助刺激シグナル


第9章 Th1,Th2,Th17─その発見から最新の知見まで─  (渋谷和子)
 9-1 ヘルパーT細胞サブセットの発見
 9-2 Th1,Th2,Th17の機能
 9-3 Th1,Th2,Th17の分化機構
 9-4 Th1,Th2,Th17の可塑性
 9-5 制御性T細胞(Treg)からエフェクターヘルパーT細胞への移行


第10章 制御性T細胞  (山口智之 坂口志文)
 10-1 免疫寛容とは
 10-2 免疫応答を抑制する細胞系統
 10-3 Foxp3+制御性T細胞に重要な遺伝子群
 10-4 免疫抑制のメカニズム


第11章 T細胞の免疫記憶  (遠藤裕介 中山俊憲)
 11-1 メモリーCD4+T細胞の形成と機能維持
   1 メモリーCD4+T細胞形成の概要
   2 メモリーCD4+T細胞の維持機構9
   3 メモリーTh細胞の多様性と病因(pathogenic)となる亜集団
 11-2 メモリーCD8+T細胞の形成と維持
   1 メモリーCD8+T細胞の分化
   2 メモリーCD8+T細胞分化の分子制御機構
   3 ウイルス持続感染とCD8


第12章 樹状細胞の免疫調節機構  (邊見弘明 改正恒康)
 12-1 樹状細胞サブセット
   1 形質細胞様樹状細胞(pDC)
   2 通常樹状細胞
   3 末梢組織樹状細胞
 12-2 樹状細胞分化
 12-3 樹状細胞と免疫応答
   1 DCの生体内での機能
   2 免疫寛容
 12-4 臨床応用


第13章 粘膜免疫  (國澤 純)
 13-1 粘膜組織に存在する各種リンパ組織
 13-2 MALTの組織構造とユニークな抗原取り込みシステム
 13-3 MALTにおける抗体クラススイッチの誘導と組織指向性の獲得
 13-4 MALTの組織構築メカニズム
 13-5 MALT非依存的な免疫誘導機構
 13-6 粘膜組織での抗体を介した生体防御
 13-7 粘膜組織での生体防御・恒常性維持システムとしてのT細胞
 13-8 粘膜組織での獲得免疫を基盤とした粘膜ワクチンの開発
 13-9 粘膜組織での抑制型獲得免疫系を標的とした免疫療法の開発


第14章 腸内細菌と免疫細胞サブセット  (香山尚子 竹田 潔)
 14-1 腸内細菌叢と疾患
 14-2 獲得免疫細胞の分化における腸内常在細菌の役割
 14-3 食事成分の代謝と腸管免疫系の発達
 14-4 マクロファージによる腸管免疫系の恒常性維持
 14-5 上皮細胞
 14-6 プロバイオティクス


第15章 B細胞活性化機構とB細胞エフェクター機能  (黒崎知博)
 15-1 B細胞の活性化機構
   1 BCRシグナル伝達カスケード
   2 BCRシグナルカスケードとB細胞の運命決定(cell-fate decision)
 15-2 エフェクターB細胞
   1 抗体産生細胞とメモリーB細胞
   2 制御性B細胞(Breg)



第Ⅲ部 免疫病態の解明と疾患治療の展開

第16章 ケモカインと免疫応答・免疫病態  (長澤丘司)
 16-1 ケモカインとその受容体の同定
 16-2 免疫系形成とケモカイン
   1 造血および免疫担当細胞の産生
   2 造血幹細胞・前駆細胞ニッシェ
   3 リンパ節の形成
 16-3 免疫監視とケモカイン
 16-4 免疫反応とケモカイン
   1 獲得免疫
   2 自然免疫
 16-5 疾患とケモカイン
   1 細菌感染症
   2 動脈硬化症
   3 エイズ
   4 がんの進展と転移
   5 WHIM症候群
 16-6 ケモカイン制御の臨床応用


第17章 アレルギー疾患研究最前線  (椛島健治)
 17-1 アレルギーの発症機序の概説
 17-2 アレルギーマーチに対する従来の考え方
 17-3 フィラグリンとアレルギー
 17-4 外来抗原に対する皮膚免疫応答
 17-5 皮膚を介したTh2型免疫反応誘導機構
 17-6 IgEを介さないアレルギー発症機構


第18章 免疫系ヒト化マウスを用いたヒト免疫と疾患の理解  (石川文彦)
 18-1 これまでのヒト化マウス開発
 18-2 新生仔NSGマウスを用いた免疫系のヒト化
 18-3 免疫環境をヒト化した新しいヒト化マウス
 18-4 骨髄微小環境のヒト化
 18-5 ヒト化マウスを用いた白血病モデルの作製
 18-6 ヒト化マウスを用いた治療モデルと再発原因の解明


第19章 ライブイメージングによる免疫動態の解明  (岡田峰陽)
 19-1 二次リンパ性組織(リンパ節)のイメージング
   1 樹状細胞とT細胞の相互作用動態と細胞分化の関係
   2 B細胞とT細胞の相互作用と胚中心のダイナミクス
 19-2 さまざまな組織における免疫系のライブイメージング
   1 脳,脊髄のイメージング
   2 気道,肺のイメージング
   3 腸管のイメージング
   4 皮膚のイメージング
   5 骨髄のイメージング
   6 肝臓のイメージング
   7 腫瘍のイメージング


第20章 自己免疫疾患研究 ─T細胞を中心とした新しい治療法と今後の展望─  (山本一彦)
 20-1 自己免疫疾患
 20-2 病因に対するアプローチ
 20-3 関節リウマチ:臨床の進歩と現状
 20-4 T細胞を中心とした最近の治療法
   1 抗CD4抗体
   2 抗CD3抗体
   3 CD28とCTLA-4
   4 ICOSとICOSL,PD-1とPD-L1,PD-L2
 20-5 これからの自己免疫疾患研究
   1 ヒトの免疫学の確立
   2 抗原特異的T細胞


第21章 抗体医薬  (田中敏郎 高橋 良)
 21-1 抗体医薬とは
 21-2 抗体医薬の特徴
 21-3 抗体医薬の作用機序
   1 結合阻害
   2 抗体依存性細胞傷害作用と補体依存性細胞傷害作用
   3 その他
 21-4 代表的な抗体医薬
   1 関節リウマチに対する抗体医薬
   2 乾癬に対する抗体医薬ウステキヌマブ
   3 喘息に対する抗体医薬オマリズマブ
   4 クリオピリン関連周期性症候群に対する抗体医薬カナキヌマブ
   5 がんに対する抗体医薬
   6 RSウイルス感染に対する抗体医薬パリビズマブ
   7 加齢黄斑変性症に対する抗体医薬ラニビズマブ
   8 発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する抗体医薬エクリズマブ
   9 腎移植後の急性拒絶反応に対する抗体医薬
 21-5 抗体医薬品の増加
 21-6 抗体医薬の今後の展開


第22章 がん免疫療法の進歩と今後の展開 ─がんワクチン治療と補助シグナル制御を中心に─  (岡 芳弘)
 22-1 がん抗原を標的としたペプチドワクチン療法や樹状細胞療法
   1 がん抗原としてのWT1─その機能と発現(優れたがん抗原としての条件)─
   2 ペプチドがんワクチン療法の原理 ─WT1ペプチドワクチンを例にして─
   3 WT1の免疫原性
   4 WT1を標的としたがん免疫療法の臨床応用例 ─ペプチドワクチン,樹状細胞療法─
   5 さまざまな臨床セッティングにおけるペプチドワクチン治療
   6 がんワクチン治療の今後に向け
 22-2 補助シグナルの制御による抗腫瘍免疫反応の増強
   1 T細胞の活性化にかかわる補助シグナル
   2 CTLA-4システムをブロックする抗体
   3 PD-1経路をブロックする抗体
   4 補助シグナル分子刺激抗体


第23章 ワクチン開発研究の展開  (青枝大貴 石井 健)
 23-1 自然免疫と獲得免疫
 23-2 自然免疫受容体
 23-3 現行のワクチン(生ワクチン,不活化ワクチン)
 23-4 現行ワクチンの課題
 23-5 アジュバント
 23-6 樹状細胞と免疫応答
 23-7 樹状細胞サブセット
 23-8 次世代ワクチンの開発にむけて



第Ⅳ部 学際的免疫研究の展開

第24章 疾患生物学  (北村明子 安友康二)
 24-1 稀少遺伝性疾患
 24-2 自己炎症疾患
   1 自己炎症疾患とゲノム解析
   2 NLRファミリーと炎症性疾患
 24-3 JASL
   1 JASLの背景と症状
   2 ゲノム解析
   3 プロテアソーム
   4 免疫プロテアソームと炎症
   5 免疫プロテアソームと脂肪萎縮
   6 免疫プロテアソームと疾患


第25章 ゲノム研究と免疫疾患  (高地雄太)
 25-1 免疫疾患の遺伝性
 25-2 HLA遺伝子
 25-3 GWASによる疾患感受性遺伝子の網羅的探索
 25-4 eQTLと疾患感受性遺伝子
 25-5 各疾患の感受性遺伝子
   1 関節リウマチ
   2 全身性エリテマトーデス
   3 クローン病
   4 喘息
 25-6 疾患ゲノム解析の今後
   1 rare variant解析
   2 エピゲノム解析


第26章 骨免疫学の新展開  (岡本一男 高柳 広)
 26-1 骨と免疫系をつなぐサイトカインRANKL
 26-2 RANKLによる破骨細胞分化機構
 26-3 関節リウマチにおける骨破壊機構
   1 炎症性骨破壊と破骨細胞
   2 T細胞による破骨細胞制御
   3 破骨細胞誘導性T細胞としてのTh17細胞の役割
 26-4 炎症性骨破壊の治療戦略とその骨免疫学的作用
 26-5 骨髄微小環境における骨代謝細胞と造血幹細胞の関係


第27章 神経免疫学の展 開─視神経脊髄炎(NMO)の免疫病態と治療─  (山村 隆 千原典夫 荒木 学 荒浪利昌)
 27-1 MSとNMO
 27-2 NMOにおける臨床・病理所見と免疫学的異常
 27-3 NMOとアクアポリン4抗体
 27-4 NMOとプラズマブラスト
 27-5 IL-6シグナル阻害療法


第28章 セマフォリン分子群と免疫疾患  (吉田祐志 野島 聡 熊ノ郷 淳)
 28-1 セマフォリンの構造と機能
 28-2 セマフォリンと免疫疾患
   1 セマフォリン4D
   2 セマフォリン4A
   3 セマフォリン3A
   4 セマフォリン7A
 28-3 セマフォリンと骨免疫
 28-4 その他のセマフォリンファミリーと疾患


第29章 慢性炎症を分子レベルで理解する ─がん,肥満,代謝性疾患との関係─
 29-1 急性炎症と慢性炎症
 29-2 炎症反応のプライミングステップと活性化ステップ
 29-3 インフラマソームとIL-1,IL-18の活性化
 29-4 慢性炎症とがん
 29-5 慢性炎症と肥満,糖尿病,動脈硬化
 29-6 慢性炎症の制御に向けたアプローチ

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