書籍カテゴリー:寄生虫学/医動物学

医動物学
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医動物学

第6版

  • 京都府立医科大学名誉教授 吉田幸雄 著
  • 京都府立医科大学名誉教授 有薗直樹 著

定価:6,156円(本体5,700円+税8%)

  • 四六倍判 219頁
  • 2013年3月 発行
  • ISBN978-4-525-17326-5

概要

初版以来,多数の読者を得て改訂しながら常に最新のデータを追加してきた.今改訂では最新の感染症新法を示すとともに,総論の内容充実を図り,各論においては,最近とくに重要度を増してきた寄生虫症ならびに衛生動物媒介疾患について内容の全面改訂を行い,5項目を追加,2表,25図,10頁の増補を行った.

序文

 本書は1985年,拙著「図説人体寄生虫学」の姉妹編として初版が刊行され,以来,1〜2年毎に刷りを改めて新知見を加え,さらに4〜5年に一度,全面改訂を行ってきた.今回その時期となり,ここに改訂第6版を刊行することとなった.
 本書はもともと臨床検査技師ならびにナースのために,という趣旨のもとに記述してきたのであるが第4版からは医学生のための簡明な教科書としても用いることができるよう総論を充実し,症状,診断,治療など臨床的な内容を増補した.さらに第5版からは本書の継続,近代化のために京都府立医科大学における筆者の後継者である有薗直樹教授を共著者に迎えることとした.
 わが国における寄生虫症の歴史を見ると,戦前はもとより戦後20年頃までは肥料に人糞を用いる習慣と生活困窮などのため回虫,鉤虫,鞭虫などの土壌媒介線虫をはじめ諸々の寄生虫が多くのヒトに感染し,結核とともに国民病とまでいわれた.その頃は医師も行政もマスコミも,また民衆も寄生虫の重要性を認識していたが,その後のめざましい経済発展と生活レベルの向上に伴って寄生虫症が次第に減少してくると関心が薄れ,医学教育の場においても軽視され,当然の結果として診断能力が著しく低下してきた.
 ところが最近の状況を見ると,下記のような原因により寄生虫感染も多岐にわたり複雑化している.すなわち海外滞在での感染,感染外国人観光客や労働者の入国,輸入生鮮食品の増加などによる外来寄生虫症の増加,特にマラリア,またレジャー,グルメ,ペットなどに起因する寄生虫症,さらに医療行為に付随して発症する感染症,AIDSの合併症,性行為による感染,水道水汚染による集団感染,高齢者や要介護者収容施設内での寄生虫の濃厚重複感染など,国際化,高齢化,経済不況,災害,廃棄物処理,環境破壊,地球温暖化などとも関連し複雑化している.最近の事例を見てもハチ刺傷による死亡例の多発,路上生活者におけるシラミの濃厚感染,ホテルなどでの南京虫の蔓延,今まで安全と思われていた馬肉の生食による肉胞子虫の感染,性行為による赤痢アメーバ症の多発,コンタクトレンズ使用によるアメーバ性角膜炎,ダニ媒介による日本紅斑熱,ライム病,恙虫病 等々,新顔の寄生虫を含め多岐にわたり診断を困難にしている.
 わが国の感染症対策は明治30年に制定された伝染病予防法によって律せられてきたのであるが最近の感染症の急激な変化とグローバル化に対応するため1999年,感染症新法が制定され,4〜5年毎に改定されることになった.その中には本書に含まれている寄生虫性疾患や衛生動物が媒介する疾患が多数含まれている.
 今回の改訂では最新の感染症新法を示すとともに,上記のような最近重要度を増してきた寄生虫症ならびに衛生動物媒介疾患について内容の全面改訂を行い,5項目を追加,2表,25図,10頁の増補を行った.
 最後に今回の改訂に当たり貴重なご意見ならびに資料を提供された各位に対し深甚の謝意を表するとともに出版に尽力された南山堂担当スタッフに感謝する.


2013年1月
改訂6版の序

目次

総 論
 Ⅰ.医動物学Medical Zoologyとは
 Ⅱ.生物の分類法と命名法
 Ⅲ.宿主・寄生体相互関係
 Ⅳ.寄生虫の生殖方法および生活史
 Ⅴ.寄生虫の棲息場所および病原性
 Ⅵ.寄生虫感染に対する宿主の反応と免疫
 Ⅶ.寄生虫の感染経路と疫学
 Ⅷ.感染症新法の制定と寄生虫疾患および新興・再興感染症
 Ⅸ.寄生虫症の診断と治療に関するconsultation

各 論
 Ⅰ.原 虫 類
  1.人体寄生原虫 総論
  2.人体寄生原虫の分類
  3.赤痢アメーバの疫学,形態および生活史
 4.赤痢アメーバの病理,症状,診断および治療
 5.その他の消化管寄生アメーバおよびヒトブラストシスチス
   Ⅰ.大腸アメーバ
   Ⅱ.ハルトマンアメーバ
   Ⅲ.歯肉アメーバ
   Ⅳ.小形アメーバ
   Ⅴ.ヨードアメーバ
   Ⅵ.ヒトブラストシスチス
  6.赤痢アメーバなど消化管寄生原虫の臨床検査
  7.病原性自由生活アメーバ
   Ⅰ.髄膜脳炎を起こすアメーバ
    1.フォーラーネグレリア
    2.カルバートソンアメーバ
    3.多食アメーバ
   Ⅱ.角膜炎を起こすアメーバ
    1.カステラーニアメーバ

    2.多食アメーバ
  8.ランブル鞭毛虫
  9.腟トリコモナスおよび消化管内寄生鞭毛虫類
   Ⅰ.口腔トリコモナス
   Ⅱ.腸トリコモナス
   Ⅲ.メニール鞭毛虫
 10.トリパノソーマ科原虫 総論
 11.トリパノソーマ 各論
    ・ガンビアトリパノソーマ
    ・ローデシアトリパノソーマ
    ・クルーズトリパノソーマ
  12.リーシュマニア 各論
    ・ドノバンリーシュマニア
    ・熱帯リーシュマニア
    ・ブラジルリーシュマニア
    ・メキシコリーシュマニア
 13.クリプトスポリジウム
 14.イソスポーラおよびサイクロスポーラ
 15.肉胞子虫
 16.トキソプラズマ
 17.トキソプラズマ症の臨床検査
 18.マラリアの疫学
 19.マラリアの生活史
 20.ヒト寄生4種マラリア原虫の形態の比較
 21.マラリアの臨床
 22.マラリアの臨床検査
 23.ニューモシスチスの分類,疫学,形態および生活史
 24.ニューモシスチス肺炎の臨床
 25.ニューモシスチス肺炎の臨床検査
 26.バベシアおよび大腸バランチジウム
 27.後天性免疫不全症候群(AIDS)

Ⅱ.蠕 虫 類
 A.線形動物
 28.蠕虫類および線形動物 総論
 29.人体寄生線虫の分類

 30.回 虫
  31.ブタ回虫,イヌ回虫,ネコ回虫およびアライグマ回虫
 32.幼虫移行症
 33.アニサキスの歴史,分類,形態および疫学
  34.アニサキスの生活史と病理
  35.アニサキス症の症状,診断,治療および予防
 36.蟯 虫
 37.鉤虫の形態と生活史
 38.鉤虫の臨床と検査法
 39.東洋毛様線虫
 40.広東住血線虫
 41.糞線虫
 42.有棘顎口虫および剛棘顎口虫
 43.ドロレス顎口虫および日本顎口虫
 44.バンクロフト糸状虫およびマレー糸状虫
 45.イヌ糸状虫
  46.東洋眼虫,回旋糸状虫,ロア糸状虫およびメジナ虫
  47.鞭虫およびフィリピン毛細虫
  48.旋毛虫
  49.旋尾線虫

 B.扁形動物
 a.吸 虫 類
  50.扁形動物および吸虫類 総論
  51.人体寄生吸虫の分類
 52.肝吸虫(付.タイ肝吸虫)
 53.横川吸虫
 54.有害異形吸虫,槍形吸虫,肥大吸虫および膵蛭
 55.ウェステルマン肺吸虫の形態と生活史
 56.ウェステルマン肺吸虫の臨床
 57.宮崎肺吸虫
 58.大平肺吸虫およびその他の肺吸虫
   Ⅰ.大平肺吸虫
   Ⅱ.小形大平肺吸虫
   Ⅲ.佐渡肺吸虫
  59.棘口吸虫
  60.肝 蛭

 61.日本住血吸虫(付.メコン住血吸虫)
 62.マンソン住血吸虫およびビルハルツ住血吸虫
  63.鳥類住血吸虫のセルカリアによる皮膚炎
 64.咽頭吸虫

 b.条 虫 類
 65.条虫類 総論
 66.人体寄生条虫の分類
 67.広節裂頭条虫および日本海裂頭条虫
 68.クジラ複殖門条虫(大複殖門条虫)およびマンソン裂頭条虫
  69.孤虫症(幼裂頭条虫症)
   Ⅰ.マンソン孤虫
   Ⅱ.芽殖孤虫
 70.無鉤条虫
 71.有鉤条虫
  72.単包条虫および多包条虫の形態と生活史
 73.単包条虫および多包条虫の臨床と疫学
 74.小形条虫,縮小条虫,瓜実条虫,多頭条虫および有線条虫
 75.鉤頭虫類

Ⅲ.衛生動物
 76.衛生動物 総論
 77.医学上重要な貝の分類と形態
 78.医学上重要な軟体動物
 79.医学上重要な甲殻類
 80.ダニ 総論
 81.ダニの分類およびマダニ 総論
  82.マダニが媒介する疾患 [A]日本紅斑熱
  83.マダニが媒介する疾患 [B]ライム病および野兎病
 84.恙虫および恙虫病 [A]歴史,形態および生活史
 85.恙虫および恙虫病 [B]臨床および疫学
 86.ヒゼンダニおよびイエダニ
 87.ニキビダニ,屋内塵ダニおよびダニアレルギー
 88.蚊
 89.ブユおよびアブ
 90.ハ エ
 91.ノ ミ
 92.アタマジラミおよびコロモジラミ
 93.ケジラミおよびトコジラミ
 94.ハ チ
  95.シバンムシアリガタバチ,ゴキブリおよびムカデ
  96.毒 蛇
  97.ネズミ

Ⅳ.知識のまとめと検査法
 98.人体寄生虫の感染経路のまとめ
  99.人体寄生虫の寄生部位のまとめ
100.中間宿主または媒介者を有する寄生虫のまとめ
101.現在の日本における主な寄生虫症の流行要因別分類
102.人畜共通寄生虫症
103.主要寄生虫症に対する最近の治療薬のまとめ
 104.糞便からの寄生虫卵検査法
 105.主要人体寄生虫卵図譜
 106.虫卵の大きさ,色,検査法のまとめ
 107.主な寄生虫症における診断検査材料
 108.免疫学的診断法およびDNA診断
 109.寄生蠕虫標本作成法 A.吸虫類および条虫類
 110.寄生蠕虫標本作成法 B.線虫類

Ⅴ.練習問題
  Ⅰ.医動物学全般
  Ⅱ.原虫類
  Ⅲ.線虫類
  Ⅳ.吸虫類
  Ⅴ.条虫類
  Ⅵ.衛生動物