書籍カテゴリー:寄生虫学/医動物学

医動物学
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医動物学

第7版

  • 京都府立医科大学 名誉教授 吉田幸雄 著
  • 京都府立医科大学 名誉教授 有薗直樹 著
  • 京都府立医科大学 講師 山田 稔 著

定価:6,156円(本体5,700円+税8%)

  • 四六倍判 226頁
  • 2018年3月 発行
  • ISBN978-4-525-17327-2

概要

初版以来,多数の読者を得てきた医動物学の決定版!!改訂7版出来.

初版以来,多数の読者を得てきた医動物学の決定版!!今改訂でも,最近とくに重要度を増してきた寄生虫症ならびに衛生動物媒介疾患を中心に全面改訂を行った.また,寄生虫の和名については最新の情報をできるだけ採用した.索引は読者の検索性を重視し,ポイントに絞った内容とした.トータルで2項目.10頁の増補の充実した内容となった.

序文

 本書は1985年,拙著「図説人体寄生虫学」の姉妹編として初版が刊行され,以来,1~2年毎に刷りを改めて新知見を加え,さらに4~5年に一度,全面改訂を行ってきた.今回その時期となり,ここに改訂第7版を刊行することとなった.
 本書は当初,臨床検査技師ならびにナースのために,という趣旨のもとに記述してきたのであるが第4版からは医学生のための簡明な教科書としても用いることができるよう総論を充実し,症状,診断,治療など臨床的な内容を増補した.また第5版からは筆者の後継者である有薗直樹教授を,さらに第7版からは山田稔講師を共著者に迎えることとした.
 わが国における寄生虫症の歴史を見ると,戦前はもとより戦後十数年頃までは肥料に人糞を用いる習慣があり,生活の困窮と相俟って回虫,鉤虫,鞭虫をはじめ諸々の寄生虫が多くのヒトに感染し,結核とともに国民病といわれた.その頃は医師も行政もマスコミも寄生虫の重要性を認識していたが,その後の経済発展により上下水道,塵芥処理,化学肥料などが普及充実するに伴って寄生虫症が次第に減少してくると関心が薄れ,医学教育においても軽視され,当然の結果として診断能力が著しく低下してきた.
 ところが最近の状況を見ると,下記のような原因により寄生虫感染も多岐にわたり複雑化している.すなわち海外滞在での感染,感染外国人の入国,輸入生鮮食品の増加などによる外来寄生虫症の増加,またレジャー,グルメ,ペットなどに起因する寄生虫症,さらに医療行為に付随して発症する感染症,AIDSの合併症,性行為による感染,水道水汚染による集団感染,高齢者や要介護者収容施設内での寄生虫の濃厚重複感染など,国際化,高齢化,格差社会,災害,廃棄物処理,環境破壊,地球温暖化などとも関連し複雑化している.最近の事例を見てもハチ刺傷による死亡例,路上生活者におけるシラミの濃厚感染,ホテルなどでの南京虫の蔓延,馬肉の生食による肉胞子虫の感染,輸入養殖ヒラメ生食によるナナホシクドア感染,性行為による赤痢アメーバ症の多発,コンタクトレンズ使用によるアメーバ性角膜炎,ダニ媒介による日本紅斑熱,ライム病,恙虫病,重症熱性血小板減少症候群(SFTS),ヒトスジシマカ媒介によるデング熱,ジカ熱,強い毒をもつヒアリの侵入,等々,新顔の寄生虫を含め多岐にわたり診断を困難にしている.
 わが国の感染症対策は明治30年に制定された伝染病予防法によって律せられてきたのであるが最近の感染症の急激な変化とグローバル化に対応するため1999年,感染症新法が制定され,必要に応じ適宜改定されることになった.その中には本書に含まれている寄生虫性疾患や衛生動物が媒介する疾患が多数含まれている.
 今回の改訂では最新の感染症新法を示すとともに,上記のような最近重要度を増してきた寄生虫症ならびに衛生動物媒介疾患について内容の全面改訂を行った.さらに2017年5月,日本寄生虫学会用語委員会が発表した寄生虫和名(案)を今回,できるだけ採用した.
 最後に今回の改訂に当たり貴重なご意見ならびに資料を提供された各位に対し深甚の謝意を表するとともに出版に尽力された南山堂担当スタッフに感謝する.

  2018年1月
   吉田 幸雄

目次

総論
Ⅰ.医動物学Medical Zoologyとは
Ⅱ.生物の分類法と命名法
Ⅲ.宿主・寄生体相互関係
Ⅳ.寄生虫の生殖方法および生活史
Ⅴ.寄生虫の棲息場所および病原性
Ⅵ.寄生虫感染に対する宿主の反応と免疫
Ⅶ.寄生虫の感染経路と疫学
Ⅷ.感染症新法の制定と寄生虫疾患および新興・再興感染症
Ⅸ.寄生虫症の診断と治療に関するコンサルテーション

各論
Ⅰ.原虫類
 1.人体寄生原虫 総論
 2.人体寄生原虫の分類
 3.赤痢アメーバ[A]歴史,疫学,形態および生活史
 4.赤痢アメーバ[B]病理,症状および感染経路
 5.赤痢アメーバ[C]診断および治療
 6.その他の消化管寄生アメーバおよびヒトブラストシスチス
  Ⅰ.大腸アメーバ
  Ⅱ.ハルトマンアメーバ
  Ⅲ.歯肉アメーバ
  Ⅳ.小形アメーバ
  Ⅴ.ヨードアメーバ
  Ⅵ.ヒトブラストシスチス
 7.消化管寄生原虫の臨床検査
 8.病原性自由生活アメーバ
  Ⅰ.髄膜脳炎を起こすアメーバ
   1.フォーラーネグレリア
   2.カルバートソンアメーバ
   3.Balamuthia mandrillaris
  Ⅱ.角膜炎を起こすアメーバ
   1.カステラーニアメーバ
   2.多食アメーバ
 9.ランブル鞭毛虫
 10.腟トリコモナスおよび消化管内寄生鞭毛虫類
  Ⅰ.口腔トリコモナス
  Ⅱ.腸トリコモナス
  Ⅲ.メニール鞭毛虫
 11.トリパノソーマ科原虫 総論
 12.トリパノソーマ 各論
  Ⅰ.ガンビアトリパノソーマ
  Ⅱ.ローデシアトリパノソーマ
  Ⅲ.クルーズトリパノソーマ
 13.リーシュマニア 各論
  Ⅰ.ドノバンリーシュマニア
  Ⅱ.熱帯リーシュマニア
  Ⅲ.ブラジルリーシュマニア
  Ⅳ.メキシコリーシュマニア
 14.クリプトスポリジウム
 15.戦争シストイソスポーラおよびサイクロスポーラ
 16.肉胞子虫
 17.トキソプラズマ[A]歴史,形態,生活史および感染経路
 18.トキソプラズマ[B]症状,診断,治療および予防
 19.マラリア[A]歴史,疫学およびサルマラリア
 20.マラリア[B]生活史
 21.マラリア[C]ヒト寄生4種マラリア原虫の形態
 22.マラリア[D]症状,診断,治療および予防
 23.マラリア[E]血液検査
 24.バベシアおよび大腸バランチジウム
 25.ニューモシスチス[A]分類,疫学,形態および生活史
 26.ニューモシスチス[B]症状,診断,治療および予防
 27.ニューモシスチス[C]臨床検査
 28.ナナホシクドア
 29.後天性免疫不全症候群(AIDS)

Ⅱ.蠕虫類
A.線形動物
 30.蠕虫類および線形動物 総論
 31.人体寄生線虫の分類
 32.回虫
 33.豚回虫,犬回虫,猫回虫およびアライグマ回虫
 34.幼虫移行症
 35.アニサキス[A]歴史,分類,形態および疫学
 36.アニサキス[B]生活史,感染源および病理
 37.アニサキス[C]症状,診断,治療および予防
 38.蟯虫
 39.鉤虫[A]形態および生活史
 40.鉤虫[B]臨床および検査法
 41.東洋毛様線虫
 42.広東住血線虫
 43.糞線虫
 44.有棘顎口虫および剛棘顎口虫
 45.ドロレス顎口虫および日本顎口虫
 46.バンクロフト糸状虫およびマレー糸状虫
 47.犬糸状虫
 48.東洋眼虫,回旋糸状虫,ロア糸状虫およびメジナ虫
 49.鞭虫およびフィリピン毛細線虫
 50.旋毛虫
 51.旋尾線虫
B.扁形動物
 a.吸虫類
  52.扁形動物および吸虫類 総論
  53.人体寄生吸虫の分類
  54.肝吸虫およびタイ肝吸虫
  55.横川吸虫
  56.有害異形吸虫,槍形吸虫,肥大吸虫および膵蛭
  57.ウェステルマン肺吸虫[A]形態,生活史および疫学
  58.ウェステルマン肺吸虫[B]症状,診断および治療
  59.宮崎肺吸虫
  60.大平肺吸虫およびその他の肺吸虫
   Ⅰ.大平肺吸虫
   Ⅱ.小形大平肺吸虫
   Ⅲ.佐渡肺吸虫
  61.棘口吸虫
  62.肝蛭
  63.日本住血吸虫およびメコン住血吸虫
  64.マンソン住血吸虫およびビルハルツ住血吸虫
  65.鳥類住血吸虫のセルカリアによる皮膚炎
  66.咽頭吸虫
 b.条虫類
  67.条虫類 総論
  68.人体寄生条虫の分類
  69.広節裂頭条虫および日本海裂頭条虫
  70.クジラ複殖門条虫およびマンソン裂頭条虫
  71.孤虫症(幼裂頭条虫症)
   Ⅰ.マンソン孤虫
   Ⅱ.芽殖孤虫
  72.無鉤条虫
  73.有鉤条虫
  74.単包条虫および多包条虫[A]形態および生活史
  75.単包条虫および多包条虫[B]臨床および疫学
  76.小形条虫,縮小条虫,瓜実条虫,多頭条虫,有線条虫およびサル条虫
  77.鉤頭虫類

Ⅲ.衛生動物
 78.衛生動物 総論
 79.医学上重要な貝の分類と形態
 80.医学上重要な軟体動物
 81.医学上重要な甲殻類
 82.ダニ 総論
 83.ダニの分類およびマダニ総論
 84.マダニが媒介する疾患[A]日本紅斑熱および野兎病
 85.マダニが媒介する疾患[B]ライム病および重症熱性血小板減少症候群
 86.恙虫および恙虫病[A]歴史,形態および生活史
 87.恙虫および恙虫病[B]臨床および疫学
 88.ヒゼンダニおよびイエダニ
 89.ニキビダニ,屋内塵ダニおよびダニアレルギー
 90.蚊
 91.ブユおよびアブ
 92.ハエ
 93.ノミ
 94.アタマジラミおよびコロモジラミ
 95.ケジラミおよびトコジラミ
 96.ハチ
 97.シバンムシアリガタバチ,ゴキブリ,ムカデおよびヒアリ
 98.毒蛇
 99.ネズミ

Ⅳ.知識のまとめと検査法
 100.人体寄生虫の感染経路のまとめ
 101.人体寄生虫の寄生部位のまとめ
 102.中間宿主または媒介者を有する寄生虫のまとめ
 103.現在の日本における主な寄生虫症の流行要因別分類
 104.人畜共通寄生虫症
 105.主要な寄生虫症に対する最近の駆虫薬のまとめ
 106.糞便からの寄生虫卵検査法
 107.主要人体寄生虫卵図譜
 108.虫卵の大きさ,色,検査法のまとめ
 109.主な寄生虫症における診断検査材料
 110.免疫学的診断およびDNA診断
 111.寄生蠕虫標本作成法[A]吸虫類および条虫類
 112.寄生蠕虫標本作成法[B]線虫類

Ⅴ.練習問題
 Ⅰ.医動物学全般
 Ⅱ.原虫類
 Ⅲ.線虫類
 Ⅳ.吸虫類
 Ⅴ.条虫類
 Ⅵ.衛生動物

索引
 日本語索引
 外国語索引