災害時の公衆衛生
私たちにできること
1版
元 長崎大学熱帯医学研究所 教授 國井 修 編集
他35名
定価
6,050円(本体 5,500円 +税10%)
- B5判 437頁
- 2012年7月 発行
- ISBN 978-4-525-18131-4
災害の多い日本では,常に災害時の対応・準備が求められてきた.過去の教訓を活かした医療支援が行われる一方,避難所の水・衛生問題,母子保健,栄養問題など数多くの公衆衛生問題が浮き彫りになっている.本書は,医師・保健師をはじめとするすべての医療従事者にむけた災害時における公衆衛生問題の教訓と対策を示した書籍である.
- 序文
- 目次
序文
2011年3月11日に発生した東日本大震災は多くの教訓を残した.その一つは,阪神・淡路大震災に比べ,医療面での緊急支援には格段の進歩がみられたが,公衆衛生面での対応・対策には十分な進展がみられなかったことである.
東日本大震災では,災害派遣医療チーム(DMAT)を含め,発災直後より全国から多くの医療チームが駆けつけ,避難所,被災地域の多くで支援活動を開始した.医療コーディネーターの下,県・市町村レベルで,官・民・自衛隊の連携・協力が有機的になされ,切れ目のない支援が続けられた.
しかしながら,阪神・淡路大震災のときに直面した食事・栄養,避難所の水・衛生・環境,感染症対策,母子保健,高齢者・障害者福祉などはどうであったろうか.
1ヵ月を経過しても食事は2食,それもパンとおにぎりしか出ない,土埃で汚れた体育館の冷たい床の上にビニールシート1つ,足も伸ばせないほどの狭い場所で寝泊りしている,手指消毒はあっても顔を洗う十分な水がない,避難者の数に比して仮設トイレが少ない,避難所の人々の健康状態は把握していても,半壊した家に住んでいる人々がいる地域の状況は全くわからない,など問題は山積していた.
さらに,1ヵ月を経過しても,避難所の状況は断片的にしか把握されておらず,感染症サーベイランスの立ち上げも遅れ,母子保健はおろか,高齢者・障害者福祉にも十分に手がまわらない地域も少なくなかった.
編者は,宮城県災害医療アドバイザーおよび日本ユニセフ協会のフィールドマネジャーとして現場で2ヵ月半の支援活動に従事したが,これまで開発途上国の大規模災害の緊急援助で活動してきた経験から,人的,経済的,物的資源がこれほど恵まれた日本で,なぜこのように基本的な公衆衛生面での対応・対策ができなかったのか,とても疑問に思えてならなかった.
「行政が悪い」と一口で片付ける被災者や外部支援者がいた.しかし,被災した自治体の職員は,自分の家が全半壊し,家族が死亡・行方不明であっても,発災当時からほとんど不眠不休で被災者のために支援を行っていた.では,なぜ医療に比べ,公衆衛生は対応・対策が不十分だったのか.
一言で言えば,そのための十分な備えをしてこなかったからであろう.
医療については,1979年のカンボディア難民支援以来,日本政府から50回以上,国際緊急援助として海外に医療チームが派遣され,2011年5月時点でJICA国際緊急援助隊医療チームの研修を受け,登録している者は医師260人を含む計937人に上っている.
日本で発生した阪神・淡路大震災,地下鉄サリン事件などを契機に,1995年には日本集団災害医療研究会(のちに日本集団災害医学会)が発足し,国内外での集団災害医療の経験・教訓を学びあってきた.
災害医療の人材育成の強化,派遣の組織化を目指して,2004年には都道府県DMAT,2005年には日本DMATが発足し,本格的な緊急医療支援体制の整備がなされてきた.これに対して,公衆衛生についてはどれほどの災害に対する準備や努力がなされてきただろうか.
東日本大震災でも,全国から保健師・保健所長,大学・研究所の教育者・研究者までさまざまな公衆衛生の人材が支援に駆けつけたが,医療チームに比べ,その人数は少なく,対応能力にも大きな差があった.なかには何をしてよいのかわからず派遣期間が過ぎてしまった人,聞き取りやデータ集めだけをして帰る人もいたようである.
さらに,公衆衛生問題が山積しているにもかかわらず,保健師は医療チームの補助として活動し,一方で,医療チームが避難所の公衆衛生問題の解決に尽力しているという例もみられた.「大規模災害における保健師マニュアル」などの災害時マニュアルもあるが,実際にはマニュアルにはない多くの問題が次々に浮かび上がり,どのように具体的に解決すべきかがわからない.わかっていても,時間も人も足りず,どのように優先順位をつけたらよいのかわからないという声も聞かれた.
情報収集・健康管理を行える保健師はいても,被災者,避難所,地域の公衆衛生問題を総合的に把握・分析し,課題に優先順位をつけ,企画・調整できる人材がいない地域もあった.また,外部支援が来ても,効率よく業務を割り振り,連携・協力を推進できる人材も限られていた.
災害時には,水・衛生,環境,食事・栄養,精神衛生,高齢者・障害者福祉など,個々の健康問題としてではなく,集団・地域の健康・保健・福祉問題として扱わなければならないさまざまな課題,そしてニーズがある.アメリカでは既に多くの大学・大学院に災害公衆衛生に関する講座やカリキュラムがあり,米国疾病予防管理センター(CDC)を含め,実際に災害時の公衆衛生対策に技術的・人的貢献をする機関があり,アメリカ全体として災害時の公衆衛生人材の登録・派遣制度なども整備されている.
東日本大震災の教訓をもとに,日本でも「災害公衆衛生」という分野を確立し,災害時の公衆衛生対策を見直すべきではないかとの意見が医療・公衆衛生の専門家たちから出された.日本には「災害公衆衛生」に関する教科書がないので,まずはまとまった一冊の本を作ろう.そこで試みられたのがこの本である.阪神・淡路大震災,東日本大震災を含む日本の集団災害で実際に活躍された,各方面の第一線の専門家を集めて執筆を分担した.
国・地方自治体,大学,研究所,民間企業,NPOなどの公衆衛生の専門家・従事者,医師・看護師を含む医療従事者,医学生・看護学生を含む医療系の学生など,多くの方々にご一読頂ければと思う.
さらに,この分野はまだ確立されておらず,今後,議論や分析を重ね,発展させ,将来の災害対策に真に貢献できるものにしなければならない.そのためには,本書に対する忌憚なきご意見,ご助言を是非とも頂ければ幸いである.
2012年5月
國井 修
東日本大震災では,災害派遣医療チーム(DMAT)を含め,発災直後より全国から多くの医療チームが駆けつけ,避難所,被災地域の多くで支援活動を開始した.医療コーディネーターの下,県・市町村レベルで,官・民・自衛隊の連携・協力が有機的になされ,切れ目のない支援が続けられた.
しかしながら,阪神・淡路大震災のときに直面した食事・栄養,避難所の水・衛生・環境,感染症対策,母子保健,高齢者・障害者福祉などはどうであったろうか.
1ヵ月を経過しても食事は2食,それもパンとおにぎりしか出ない,土埃で汚れた体育館の冷たい床の上にビニールシート1つ,足も伸ばせないほどの狭い場所で寝泊りしている,手指消毒はあっても顔を洗う十分な水がない,避難者の数に比して仮設トイレが少ない,避難所の人々の健康状態は把握していても,半壊した家に住んでいる人々がいる地域の状況は全くわからない,など問題は山積していた.
さらに,1ヵ月を経過しても,避難所の状況は断片的にしか把握されておらず,感染症サーベイランスの立ち上げも遅れ,母子保健はおろか,高齢者・障害者福祉にも十分に手がまわらない地域も少なくなかった.
編者は,宮城県災害医療アドバイザーおよび日本ユニセフ協会のフィールドマネジャーとして現場で2ヵ月半の支援活動に従事したが,これまで開発途上国の大規模災害の緊急援助で活動してきた経験から,人的,経済的,物的資源がこれほど恵まれた日本で,なぜこのように基本的な公衆衛生面での対応・対策ができなかったのか,とても疑問に思えてならなかった.
「行政が悪い」と一口で片付ける被災者や外部支援者がいた.しかし,被災した自治体の職員は,自分の家が全半壊し,家族が死亡・行方不明であっても,発災当時からほとんど不眠不休で被災者のために支援を行っていた.では,なぜ医療に比べ,公衆衛生は対応・対策が不十分だったのか.
一言で言えば,そのための十分な備えをしてこなかったからであろう.
医療については,1979年のカンボディア難民支援以来,日本政府から50回以上,国際緊急援助として海外に医療チームが派遣され,2011年5月時点でJICA国際緊急援助隊医療チームの研修を受け,登録している者は医師260人を含む計937人に上っている.
日本で発生した阪神・淡路大震災,地下鉄サリン事件などを契機に,1995年には日本集団災害医療研究会(のちに日本集団災害医学会)が発足し,国内外での集団災害医療の経験・教訓を学びあってきた.
災害医療の人材育成の強化,派遣の組織化を目指して,2004年には都道府県DMAT,2005年には日本DMATが発足し,本格的な緊急医療支援体制の整備がなされてきた.これに対して,公衆衛生についてはどれほどの災害に対する準備や努力がなされてきただろうか.
東日本大震災でも,全国から保健師・保健所長,大学・研究所の教育者・研究者までさまざまな公衆衛生の人材が支援に駆けつけたが,医療チームに比べ,その人数は少なく,対応能力にも大きな差があった.なかには何をしてよいのかわからず派遣期間が過ぎてしまった人,聞き取りやデータ集めだけをして帰る人もいたようである.
さらに,公衆衛生問題が山積しているにもかかわらず,保健師は医療チームの補助として活動し,一方で,医療チームが避難所の公衆衛生問題の解決に尽力しているという例もみられた.「大規模災害における保健師マニュアル」などの災害時マニュアルもあるが,実際にはマニュアルにはない多くの問題が次々に浮かび上がり,どのように具体的に解決すべきかがわからない.わかっていても,時間も人も足りず,どのように優先順位をつけたらよいのかわからないという声も聞かれた.
情報収集・健康管理を行える保健師はいても,被災者,避難所,地域の公衆衛生問題を総合的に把握・分析し,課題に優先順位をつけ,企画・調整できる人材がいない地域もあった.また,外部支援が来ても,効率よく業務を割り振り,連携・協力を推進できる人材も限られていた.
災害時には,水・衛生,環境,食事・栄養,精神衛生,高齢者・障害者福祉など,個々の健康問題としてではなく,集団・地域の健康・保健・福祉問題として扱わなければならないさまざまな課題,そしてニーズがある.アメリカでは既に多くの大学・大学院に災害公衆衛生に関する講座やカリキュラムがあり,米国疾病予防管理センター(CDC)を含め,実際に災害時の公衆衛生対策に技術的・人的貢献をする機関があり,アメリカ全体として災害時の公衆衛生人材の登録・派遣制度なども整備されている.
東日本大震災の教訓をもとに,日本でも「災害公衆衛生」という分野を確立し,災害時の公衆衛生対策を見直すべきではないかとの意見が医療・公衆衛生の専門家たちから出された.日本には「災害公衆衛生」に関する教科書がないので,まずはまとまった一冊の本を作ろう.そこで試みられたのがこの本である.阪神・淡路大震災,東日本大震災を含む日本の集団災害で実際に活躍された,各方面の第一線の専門家を集めて執筆を分担した.
国・地方自治体,大学,研究所,民間企業,NPOなどの公衆衛生の専門家・従事者,医師・看護師を含む医療従事者,医学生・看護学生を含む医療系の学生など,多くの方々にご一読頂ければと思う.
さらに,この分野はまだ確立されておらず,今後,議論や分析を重ね,発展させ,将来の災害対策に真に貢献できるものにしなければならない.そのためには,本書に対する忌憚なきご意見,ご助言を是非とも頂ければ幸いである.
2012年5月
國井 修
目次
総論 〜 災害と公衆衛生 〜
第1章 災害の定義・原因分類・関連要因
A 災害の定義
B 災害の原因と分類
C 災害の発生・被害・対応に関連する因子
第2章 世界の大規模災害と健康問題
A 世界の大規模災害の趨勢
B 日本の大規模災害の趨勢と特徴
C 世界の大規模災害と健康影響
1 災害に伴う健康問題
2 災害と感染症流行
COLUMN クラスター・アプローチ
第3章 災害のサイクルと災害時の公衆衛生の役割
A 災害の疫学
B 災害のサイクル
C 災害における保健医療の役割
1 災害時保健医療の4つの役割
2 事前に行動計画を策定し備えておくべき事項
3 情報管理と支援ネットワーク
D 保健医療スタッフへの支援
第4章 災害時における公衆衛生対策の最低基準
A ビルド・バック・ベターの思想
B 人道緊急支援の国際的な基準づくり
1 変貌する人道緊急支援
2 行動規範と人間の安全保障
3 人道支援の質の向上を目指して
C 保健医療に関する最低限の基準
1 安全な水の供給と衛生環境
2 食料の確保と栄養
3 感染症対策
4 心理社会的サポート
D 人道支援に関する評価
E 国際基準を満たす仕組みづくりを目指して
COLUMN 「災害医療」と「災害公衆衛生」
各論 〜 現場での活動 〜
第5章 迅速ニーズアセスメント
A 災害下の迅速アセスメント
1 災害下で行われるさまざまなアセスメント
2 迅速アセスメントについて
B アセスメントの実際
1 発災後最初に行う迅速アセスメント
2 全体アセスメント
3 迅速アセスメントの実施に際しての参考事項
4 情報の集約と共有・公開
第6章 感染症サーベイランス
A 災害時のサーベイランス
1 「災害」および「災害後のサーベイランスの 考え方」の基本
2 災害のサイクルに基づいた考え方
B 実際のリスクアセスメント
1 急性期における被災地・避難所における感染症リスクアセスメント
2 急性期における集団発生サーベイランス
3 避難所サーベイランス
4 岩手県における避難所サーベイランス(ICATによる実施)
5 平時からの準備の必要性
第7章 感染症対策
A 災害と感染症
1 災害時のウソとホント
2 遺体と感染症
3 感染症対策の基本ステップ
4 専門化チームの現地派遣とロジスティクス
B 感染症の対策と予防
1 系統的な感染症対策
2 物品のキット化
3 遺体の取り扱い
第8章 水・衛生対策
A 災害時における水利用
1 災害時の水供給
2 災害時における用途別の必要水量と水質
3 緊急時の水質試験と水の保管
4 医療施設での水供給
5 トイレ対策
B 水の確保と衛生対策
1 水道への被害
2 水の確保
3 トイレ
第9章 歯科口腔保健・衛生対策
A 歯科・口腔保健の重要性
1 歯科・口腔外科治療
2 口腔ケア
3 オーラルマネジメントとして取り組む
4 東日本大震災での活動から
B 現場での予防と対策
1 災害時にこそOMが必要
2 褥瘡対策,OM,こころのケアを3点セットで
C 遺体の検案検死
第10章 母子保健対策
A 母子保健サービスとケア
1 母子保健は人権である
2 妊娠・出産・新生児・小児とつづく継続ケア
3 ニーズは掘り起こすもの
B 母子保健サービスの早期再開を目指す
1 妊産婦ケア
2 周産期医療
3 乳幼児健康診査
4 予防接種
5 母乳育児推進
6 子どもを中心とした復興を目指して
COLUMN 国際協力の経験と知恵を活かして(予防接種の再開までに)
第11章 栄養対策
A さまざまな栄養問題
1 災害時の栄養問題
B 問題解消にむけた栄養対策
1 ポピュレーションアプローチとしての 栄養確保対策
2 ハイリスクアプローチとしての慢性疾患・ 感染症・要介護者など対策
3 栄養対策の推進
第12章 高齢者対策
A 近年の震災にみる高齢者への対策
1 高齢化社会と災害
2 過去の教訓
B 高齢者対応の実際
1 2011年東日本大震災での活動
2 遊楽館に設置された福祉避難所
3 桃生農業者トレーニングセンターに設置された福祉避難所
4 これからの課題
第13章 福祉対策
A 災害と福祉
1 地域福祉を推進する福祉施策と防災施策
2 大震災で明らかになった災害時の福祉および防災施策の機能不全
3 早期の通所施設復旧の必要性
4 地域と一体となった福祉避難所のあり方
B 東日本大震災で明らかになった福祉的課題
1 地域移行によって点在・分散した障害者の把握
2 避難所でのトリアージの必要性
3 通所施設の早期開所の必要性
4 通所・入所施設でのボランティアの活用の工夫
C 災害時にも安心して暮らせる地域福祉対策の必要
1 災害時における地域福祉実践のあり方
2 自宅避難者に対する物資の供給など支援体制の構築
D これからの福祉対策
第14章 環境・職業要因
A 災害直後に建物に入る際の環境・職業要因
B 要因別の対策
1 化学的要因
COLUMN 安全情報と危険情報から適切なリスク認識を
2 物理学的要因
3 生物学的要因
COLUMN 津波によって運ばれたヘドロの細菌
4 心理・社会学的要因
5 環境・職業要因から守る体制
6 情報や指導を得るリソース
7 健康と安全の確保に向けて
第15章 衛生害虫対策
A 世界のさまざまな衛生害虫問題
1 蚊が媒介する感染症の世界的現状
2 自然災害と蚊媒介性感染症
3 自然災害とそのほかの衛生害虫問題
B 東日本大震災における問題と対策
1 東日本大震災で発生したがれき
2 被災地で発生したハエ類
3 被災地で発生した蚊類
4 衛生害虫の防除対策と基本的な問題点
5 避難所,仮設住宅での衛生害虫対策
6 衛生害虫専門家の重要性
第16章 医療・保健・福祉の連携
A 被災地における支援と連携
B 実践と考察
1 発災後約1週間の時点での気仙沼総合体育館(ケーウェーブ)
2 気仙沼巡回療養支援隊
3 気仙沼市口腔ケア・摂食嚥下・コミュニケーションサポート
4 福祉との連携全般
5 精神科的支援との連携
C これからの連携・支援に向けて
第17章 外部支援者・ボランティアの調整
A 災害支援者の受け入れ態勢
1 災害ボランティアの類型
2 外部支援者・ボランティア派遣数の広域的な調整
3 必要マンパワーの算定
4 コーディネート機能
5 公衆衛生コーディネート支援者
6 TOR(取り決め事項)
B 被災地での実際の調整
第18章 外部支援者の考慮すべき事
A 外部からの災害支援
B 求められる外部支援者
1 外部支援者の心構え
2 外部支援者に必要な視点
3 実際の活動
4 実施体制
5 被災者側との関係
C 今後の対応
第19章 災害公衆衛生専門家の人材育成
A 人材を育てる
1 わが国での健康危機管理人材のためのコンピテンシー
2 アメリカの健康危機管理人材のためのコンピテンシー
B さまざまな人材育成活動
1 アメリカの人材育成
2 イギリスの人材育成
3 国立保健医療科学院での人材育成
4 DPATについて
5 職種間の連携について
第20章 こころのケア
A 精神医療対応からみた自然災害
B 災害時の地域精神保健医療の指針
1 災害時の精神心理的負荷
2 災害時の精神保健医療の意義
3 災害時の精神保健医療活動の方針
4 災害に伴うストレス要因
5 心理的反応のタイプ
6 災害時における地域精神保健医療活動の具体的展開
C 東日本大震災における精神医療的な初期対応
1 精神医療の継続
2 こころのケアチーム
3 情報発信
4 今後の復興に向けて
第21章 自殺予防対策
A 自殺の概念
1 自殺とは,自殺予防とは
2 自殺の実態からみた自殺予防対策の視点
3 自殺の関連要因
4 精神保健の問題
5 アクセシビリティ
6 総合的な支援
7 災害と自殺
B 自殺を予防するために
1 自殺対策の公衆衛生的視点
2 災害における自殺予防対策の展望
第22章 ロジスティクス
A ロジスティクスとは
1 ロジスティクスの定義
2 ロジスティクス活動
B 東日本大震災におけるWFPのロジスティクス活動
教訓 〜 過去に起きた災害事例 〜
第23章 DMATからの教訓
A 東日本大震災におけるDMAT活動概要
B DMAT制度の概要
1 DMATとは
2 法的根拠
3 運用の基本方針
4 初動
5 DMATの指揮系統
6 DMATの活動
7 費用の支弁
C 広域災害救急医療情報システム
D DMATの活動と戦略
1 DMAT活動の原則(CSCATTT)
2 マネージメント機能としてのDMATの重要性
3 広域災害時の医療ニーズ
4 広域災害時のDMAT活動戦略
5 DMAT活動戦略と公衆衛生
E DMAT設立の経緯
F DMATの研修と制度設計
G まとめと教訓(公衆衛生における災害派遣チーム)
第24章 阪神・淡路大震災の教訓
A 医療機関や行政職員も被災者
B 救護活動
1 救護活動の拠点となった保健所
2 ボランティアによる救護活動
3 疾病分類
4 医薬品の確保
5 精神科・歯科救護
6 救護活動の終息
C 急性および慢性疾患・感染症・孤独死対策
1 避難所の巡回健康相談
2 仮設住宅・自宅避難者への訪問活動
3 感染症予防
4 仮設住宅の孤独死対策
D 被災者検診
1 ボランティアによる「トリアージ検診」
2 基本健康診査
E 避難所などの食品・環境衛生
1 食中毒対策
2 環境衛生
F 遺体
1 法医学者不足の遺体検案
2 満杯の斎場
G そのほかの対策
1 被災者支援窓口
2 コンパニオンアニマル対策
3 化学薬品
4 助け合いの力
H 活動のまとめ
I 阪神・淡路大震災を振り返って
COLUMN NGOからみた阪神・淡路大震災
第25章 新潟県中越沖地震の教訓
A 柏崎保健所管内の概況
B 地震の概要
C 県型保健所の役割
D 災害医療コーディネート
1 中越地震後の災害時医療救護活動マニュアルの改訂
2 DMATの活動
3 災害医療本部の引き継ぎ
4 避難所巡回医療チームの調整
5 ミーティング
6 避難所における診療
7 医療チームの撤退
8 避難所巡回チームに関するコーディネート
E 関連死,二次的健康被害の予防
1 在宅人口呼吸器利用の難病患者の支援
2 透析患者への対応
3 感染症,食中毒対策
4 熱中症対策
5 エコノミークラス症候群対策
6 生活不活発病の予防
7 AEDの設置
F 保健師活動
1 県内外からの派遣保健師の調整
2 主な活動
3 健康福祉ニーズ調査
G こころのケア
1 こころのケアホットライン
2 災害時精神科医療の確保
3 こころのケアチーム
H 歯科医療救護班
第26章 東日本大震災(陸前高田市)の教訓
A マニュアルがない東日本大震災被災地支援
1 考えながら一歩ずつ進む支援活動
2 支援者に必要な被災地の正しい理解
B できる人ができることを
1 一人ひとりができることを
2 ネットワークによる公衆衛生活動の展開が被災地復興の基盤づくり
3 公衆衛生活動の基本再確認(ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの融合)
C 陸前高田市復興支援における教訓(公衆衛生の原点とは)
COLUMN スマトラ島沖地震・インド洋津波からの教訓
COLUMN 災害・緊急事態におけるウソ(迷信)とホント(現実)
COLUMN 災害時における在日外国人の対応
提言 〜 災害への備え 〜
第27章 将来の大規模災害に向けた提言
A 大規模災害時の公衆衛生対策の抜本的な見直し
B 公衆衛生分野での連携・協力・調整メカニズム構築
C 災害ロジスティクスの強化
D 公衆衛生人材の育成と派遣体制
E 災害公衆衛生および災害疫学の充実
第1章 災害の定義・原因分類・関連要因
A 災害の定義
B 災害の原因と分類
C 災害の発生・被害・対応に関連する因子
第2章 世界の大規模災害と健康問題
A 世界の大規模災害の趨勢
B 日本の大規模災害の趨勢と特徴
C 世界の大規模災害と健康影響
1 災害に伴う健康問題
2 災害と感染症流行
COLUMN クラスター・アプローチ
第3章 災害のサイクルと災害時の公衆衛生の役割
A 災害の疫学
B 災害のサイクル
C 災害における保健医療の役割
1 災害時保健医療の4つの役割
2 事前に行動計画を策定し備えておくべき事項
3 情報管理と支援ネットワーク
D 保健医療スタッフへの支援
第4章 災害時における公衆衛生対策の最低基準
A ビルド・バック・ベターの思想
B 人道緊急支援の国際的な基準づくり
1 変貌する人道緊急支援
2 行動規範と人間の安全保障
3 人道支援の質の向上を目指して
C 保健医療に関する最低限の基準
1 安全な水の供給と衛生環境
2 食料の確保と栄養
3 感染症対策
4 心理社会的サポート
D 人道支援に関する評価
E 国際基準を満たす仕組みづくりを目指して
COLUMN 「災害医療」と「災害公衆衛生」
各論 〜 現場での活動 〜
第5章 迅速ニーズアセスメント
A 災害下の迅速アセスメント
1 災害下で行われるさまざまなアセスメント
2 迅速アセスメントについて
B アセスメントの実際
1 発災後最初に行う迅速アセスメント
2 全体アセスメント
3 迅速アセスメントの実施に際しての参考事項
4 情報の集約と共有・公開
第6章 感染症サーベイランス
A 災害時のサーベイランス
1 「災害」および「災害後のサーベイランスの 考え方」の基本
2 災害のサイクルに基づいた考え方
B 実際のリスクアセスメント
1 急性期における被災地・避難所における感染症リスクアセスメント
2 急性期における集団発生サーベイランス
3 避難所サーベイランス
4 岩手県における避難所サーベイランス(ICATによる実施)
5 平時からの準備の必要性
第7章 感染症対策
A 災害と感染症
1 災害時のウソとホント
2 遺体と感染症
3 感染症対策の基本ステップ
4 専門化チームの現地派遣とロジスティクス
B 感染症の対策と予防
1 系統的な感染症対策
2 物品のキット化
3 遺体の取り扱い
第8章 水・衛生対策
A 災害時における水利用
1 災害時の水供給
2 災害時における用途別の必要水量と水質
3 緊急時の水質試験と水の保管
4 医療施設での水供給
5 トイレ対策
B 水の確保と衛生対策
1 水道への被害
2 水の確保
3 トイレ
第9章 歯科口腔保健・衛生対策
A 歯科・口腔保健の重要性
1 歯科・口腔外科治療
2 口腔ケア
3 オーラルマネジメントとして取り組む
4 東日本大震災での活動から
B 現場での予防と対策
1 災害時にこそOMが必要
2 褥瘡対策,OM,こころのケアを3点セットで
C 遺体の検案検死
第10章 母子保健対策
A 母子保健サービスとケア
1 母子保健は人権である
2 妊娠・出産・新生児・小児とつづく継続ケア
3 ニーズは掘り起こすもの
B 母子保健サービスの早期再開を目指す
1 妊産婦ケア
2 周産期医療
3 乳幼児健康診査
4 予防接種
5 母乳育児推進
6 子どもを中心とした復興を目指して
COLUMN 国際協力の経験と知恵を活かして(予防接種の再開までに)
第11章 栄養対策
A さまざまな栄養問題
1 災害時の栄養問題
B 問題解消にむけた栄養対策
1 ポピュレーションアプローチとしての 栄養確保対策
2 ハイリスクアプローチとしての慢性疾患・ 感染症・要介護者など対策
3 栄養対策の推進
第12章 高齢者対策
A 近年の震災にみる高齢者への対策
1 高齢化社会と災害
2 過去の教訓
B 高齢者対応の実際
1 2011年東日本大震災での活動
2 遊楽館に設置された福祉避難所
3 桃生農業者トレーニングセンターに設置された福祉避難所
4 これからの課題
第13章 福祉対策
A 災害と福祉
1 地域福祉を推進する福祉施策と防災施策
2 大震災で明らかになった災害時の福祉および防災施策の機能不全
3 早期の通所施設復旧の必要性
4 地域と一体となった福祉避難所のあり方
B 東日本大震災で明らかになった福祉的課題
1 地域移行によって点在・分散した障害者の把握
2 避難所でのトリアージの必要性
3 通所施設の早期開所の必要性
4 通所・入所施設でのボランティアの活用の工夫
C 災害時にも安心して暮らせる地域福祉対策の必要
1 災害時における地域福祉実践のあり方
2 自宅避難者に対する物資の供給など支援体制の構築
D これからの福祉対策
第14章 環境・職業要因
A 災害直後に建物に入る際の環境・職業要因
B 要因別の対策
1 化学的要因
COLUMN 安全情報と危険情報から適切なリスク認識を
2 物理学的要因
3 生物学的要因
COLUMN 津波によって運ばれたヘドロの細菌
4 心理・社会学的要因
5 環境・職業要因から守る体制
6 情報や指導を得るリソース
7 健康と安全の確保に向けて
第15章 衛生害虫対策
A 世界のさまざまな衛生害虫問題
1 蚊が媒介する感染症の世界的現状
2 自然災害と蚊媒介性感染症
3 自然災害とそのほかの衛生害虫問題
B 東日本大震災における問題と対策
1 東日本大震災で発生したがれき
2 被災地で発生したハエ類
3 被災地で発生した蚊類
4 衛生害虫の防除対策と基本的な問題点
5 避難所,仮設住宅での衛生害虫対策
6 衛生害虫専門家の重要性
第16章 医療・保健・福祉の連携
A 被災地における支援と連携
B 実践と考察
1 発災後約1週間の時点での気仙沼総合体育館(ケーウェーブ)
2 気仙沼巡回療養支援隊
3 気仙沼市口腔ケア・摂食嚥下・コミュニケーションサポート
4 福祉との連携全般
5 精神科的支援との連携
C これからの連携・支援に向けて
第17章 外部支援者・ボランティアの調整
A 災害支援者の受け入れ態勢
1 災害ボランティアの類型
2 外部支援者・ボランティア派遣数の広域的な調整
3 必要マンパワーの算定
4 コーディネート機能
5 公衆衛生コーディネート支援者
6 TOR(取り決め事項)
B 被災地での実際の調整
第18章 外部支援者の考慮すべき事
A 外部からの災害支援
B 求められる外部支援者
1 外部支援者の心構え
2 外部支援者に必要な視点
3 実際の活動
4 実施体制
5 被災者側との関係
C 今後の対応
第19章 災害公衆衛生専門家の人材育成
A 人材を育てる
1 わが国での健康危機管理人材のためのコンピテンシー
2 アメリカの健康危機管理人材のためのコンピテンシー
B さまざまな人材育成活動
1 アメリカの人材育成
2 イギリスの人材育成
3 国立保健医療科学院での人材育成
4 DPATについて
5 職種間の連携について
第20章 こころのケア
A 精神医療対応からみた自然災害
B 災害時の地域精神保健医療の指針
1 災害時の精神心理的負荷
2 災害時の精神保健医療の意義
3 災害時の精神保健医療活動の方針
4 災害に伴うストレス要因
5 心理的反応のタイプ
6 災害時における地域精神保健医療活動の具体的展開
C 東日本大震災における精神医療的な初期対応
1 精神医療の継続
2 こころのケアチーム
3 情報発信
4 今後の復興に向けて
第21章 自殺予防対策
A 自殺の概念
1 自殺とは,自殺予防とは
2 自殺の実態からみた自殺予防対策の視点
3 自殺の関連要因
4 精神保健の問題
5 アクセシビリティ
6 総合的な支援
7 災害と自殺
B 自殺を予防するために
1 自殺対策の公衆衛生的視点
2 災害における自殺予防対策の展望
第22章 ロジスティクス
A ロジスティクスとは
1 ロジスティクスの定義
2 ロジスティクス活動
B 東日本大震災におけるWFPのロジスティクス活動
教訓 〜 過去に起きた災害事例 〜
第23章 DMATからの教訓
A 東日本大震災におけるDMAT活動概要
B DMAT制度の概要
1 DMATとは
2 法的根拠
3 運用の基本方針
4 初動
5 DMATの指揮系統
6 DMATの活動
7 費用の支弁
C 広域災害救急医療情報システム
D DMATの活動と戦略
1 DMAT活動の原則(CSCATTT)
2 マネージメント機能としてのDMATの重要性
3 広域災害時の医療ニーズ
4 広域災害時のDMAT活動戦略
5 DMAT活動戦略と公衆衛生
E DMAT設立の経緯
F DMATの研修と制度設計
G まとめと教訓(公衆衛生における災害派遣チーム)
第24章 阪神・淡路大震災の教訓
A 医療機関や行政職員も被災者
B 救護活動
1 救護活動の拠点となった保健所
2 ボランティアによる救護活動
3 疾病分類
4 医薬品の確保
5 精神科・歯科救護
6 救護活動の終息
C 急性および慢性疾患・感染症・孤独死対策
1 避難所の巡回健康相談
2 仮設住宅・自宅避難者への訪問活動
3 感染症予防
4 仮設住宅の孤独死対策
D 被災者検診
1 ボランティアによる「トリアージ検診」
2 基本健康診査
E 避難所などの食品・環境衛生
1 食中毒対策
2 環境衛生
F 遺体
1 法医学者不足の遺体検案
2 満杯の斎場
G そのほかの対策
1 被災者支援窓口
2 コンパニオンアニマル対策
3 化学薬品
4 助け合いの力
H 活動のまとめ
I 阪神・淡路大震災を振り返って
COLUMN NGOからみた阪神・淡路大震災
第25章 新潟県中越沖地震の教訓
A 柏崎保健所管内の概況
B 地震の概要
C 県型保健所の役割
D 災害医療コーディネート
1 中越地震後の災害時医療救護活動マニュアルの改訂
2 DMATの活動
3 災害医療本部の引き継ぎ
4 避難所巡回医療チームの調整
5 ミーティング
6 避難所における診療
7 医療チームの撤退
8 避難所巡回チームに関するコーディネート
E 関連死,二次的健康被害の予防
1 在宅人口呼吸器利用の難病患者の支援
2 透析患者への対応
3 感染症,食中毒対策
4 熱中症対策
5 エコノミークラス症候群対策
6 生活不活発病の予防
7 AEDの設置
F 保健師活動
1 県内外からの派遣保健師の調整
2 主な活動
3 健康福祉ニーズ調査
G こころのケア
1 こころのケアホットライン
2 災害時精神科医療の確保
3 こころのケアチーム
H 歯科医療救護班
第26章 東日本大震災(陸前高田市)の教訓
A マニュアルがない東日本大震災被災地支援
1 考えながら一歩ずつ進む支援活動
2 支援者に必要な被災地の正しい理解
B できる人ができることを
1 一人ひとりができることを
2 ネットワークによる公衆衛生活動の展開が被災地復興の基盤づくり
3 公衆衛生活動の基本再確認(ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの融合)
C 陸前高田市復興支援における教訓(公衆衛生の原点とは)
COLUMN スマトラ島沖地震・インド洋津波からの教訓
COLUMN 災害・緊急事態におけるウソ(迷信)とホント(現実)
COLUMN 災害時における在日外国人の対応
提言 〜 災害への備え 〜
第27章 将来の大規模災害に向けた提言
A 大規模災害時の公衆衛生対策の抜本的な見直し
B 公衆衛生分野での連携・協力・調整メカニズム構築
C 災害ロジスティクスの強化
D 公衆衛生人材の育成と派遣体制
E 災害公衆衛生および災害疫学の充実