南山堂

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カテゴリー: 衛生・公衆衛生学

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マニュアルシリーズ

疫学マニュアル

改訂7版

自治医科大学 名誉教授/埼玉県立大学 名誉教授 柳川 洋 編集
岩手医科大学 教授 坂田清美 編集

定価

4,620(本体 4,200円 +税10%)


  • A4判  172頁
  • 2012年10月 発行
  • ISBN 978-4-525-18357-8

疫学の基礎知識から応用までを表形式でまとめたマニュアル書である.改訂7版では,新たに「サーベイランス」「病因疫学」「政策疫学」の章を追加.さらに,前々版で好評だった「感染症の疫学」も復活した.その他についても最新データへの更新および内容の追加などより充実した書籍となった.疫学を学ぶすべての医療関係者におすすめの一冊.

  • 序文
  • 目次
序文
 「疫学マニュアル」の初版が刊行された1985年の老年人口割合は10.3%でしたが,2010年の国勢調査では23.1%と,過去25年間に2.2倍に増加したことになり,「少子高齢化社会」への動きは着実に進展しつつあります.このような状況の下,2013〜2022年度の10年間を対象にした新たな健康づくり運動として「21世紀における第2次国民の健康づくり運動(健康日本21〔第2次〕)」が策定され,健康寿命の延伸と健康格差の縮小,生活習慣病の発症予防と重症化予防を目指し,そのための社会環境の整備に重点をあてた運動が展開されることになりました.
 このような運動を成功させるためには,客観的な資料に基づき,疾病・リスク・生活習慣の現状と変化を明らかにし,個々の健康政策の成果を慎重に評価する必要があります.その意味で,疫学はますます重要な役割を果たさなければなりません.今回の改訂では,このような動きに対応するために,新たに「病因疫学」,「政策疫学」の項を設けました.
 また,2009年3月にメキシコで端を発した豚インフルエンザ由来のインフルエンザ(H1N1)2009が地球規模のパンデミックを引き起こし,サーベイランス体制の整備,感染拡大防止措置,積極的疫学調査の実施,発熱外来等の医療体制の強化,抗インフルエンザウイルス薬の確保,ワクチン製造,医療従事者・初動対処要員の保護などの対策が講じられました.このほかにも,高病原性鳥インフルエンザ(H5N1),重症急性呼吸器症候群(SARS),口蹄疫など,新興,再興感染症に対する危機管理体制を整えておかなければなりません.これらの点も考慮して,「サーベイランス」の項目を新設するとともに第5版まで掲載していた「感染症の疫学」の項目を復活させることにしました.
 以上のように改訂7版では,最近の新しい動きを的確に捉え,読者の皆様方に正しい情報が提供できるよう努めましたが,不備な点も多々あると思います.皆様方の忌憚のないご意見,ご批判をいただきたく,また,不正確な記述などを指摘していただければ幸いです.
 本書は,第一線の公衆衛生,医療関係者はもとより,保健医療活動に従事する幅広い職種の方々の日頃の活動の手引き書として,医学,看護学,保健学,栄養学,健康科学などの大学生,大学院生の教科書としても役立つよう工夫して編集しました.改訂7版の出版にあたり,煩わしい仕事を快く引き受けて下さった南山堂のスタッフ各位に厚く御礼申し上げます.
 最後になりましたが,本書の初版が刊行された1985年以来,ずっとご指導,ご鞭撻いただいた重松逸造先生が2012年2月6日ご逝去されました.25年以上にわたり,温かいご指導を賜ったことに対して,感謝の念を捧げるとともに心からご冥福をお祈りいたします.

2012年8月
柳川 洋
目次
1 疫学とはなにか
1-1 疫学の定義
1-2 疫学の意義
1-3 疫学の目的
1-4 疫学の歴史における主要人物


2 疾病頻度の測定
2-1 罹患率
2-2 累積罹患率
2-3 有病率
2-4 死亡率
2-5 致命率
2-6 相対頻度


3 曝露効果の測定
3-1 率の差と比
3-2 生存率
3-3 健康寿命


4 疫学研究方法
4-1 疫学研究方法の分類
4-2 観察研究
 4-2-1 記述的研究
 4-2-2 横断研究
 4-2-3 生態学的研究
 4-2-4 症例対照研究
 4-2-5 コホート研究
4-3 介入研究


5 標本調査
5-1 全数調査と標本調査
5-2 母集団と標本
5-3 無作為化
5-4 標本抽出法
5-5 疫学調査における標本抽出の考え方
5-6 標本の大きさ
 5-6-1 決定要因
 5-6-2 平均値,割合の推定
 5-6-3 2群の平均値,割合の差の検定
 5-6-4 症例対照研究,コホート研究に必要な大きさの決定法


6 誤差,偏りとその制御
6-1 誤 差
6-2 誤差の分類
6-3 バイアス,偏りの二義
6-4 分析疫学(症例対照研究,コホート研究)における偏り
 6-4-1 選択バイアス
 6-4-2 情報バイアス
 6-4-3 交絡バイアス
6-5 ValidityとPrecision
6-6 偏りを避ける方法
6-7 交絡因子の影響を取り除くための研究デザイン
6-8 交絡因子の影響を取り除くための解析方法
 6-8-1 マンテル・ヘンツェル法
 6-8-2 マンテル・ヘンツェル法の計算例
 6-8-3 ロジスティック回帰分析法
 6-8-4 比例ハザードモデル
6-9 率の標準化,年齢調整死亡率


7 因果関係の判定
7-1 因果関係の歴史
7-2 因果関係の考え方
7-3 因果関係判定の基準
7-4 喫煙と肺がんの因果関係の評価
7-5 日本人のがんの危険因子と予防因子


8 疫学要因
8-1 宿主要因
8-2 環境要因
8-3 多要因病因論


9 既存統計資料の利用
9-1 既存統計資料の利用方法
9-2 国勢調査
9-3 人口動態統計
9-4 患者調査,その他の疾病に関する調査
9-5 国民健康・栄養調査,その他の関連する調査
9-6 医療施設調査,その他の医療介護福祉に関する調査
9-7 保健事業の実績などに関する調査
9-8 厚生労働省所管以外の調査


10 スクリーニング
10-1 スクリーニングの目的と意義
10-2 疾病の自然史とスクリーニングの関係
10-3 スクリーニング検査の評価方法
10-4 スクリーニング実施の条件
10-5 スクリーニングプログラムの評価
10-6 わが国で実施されている主なスクリーニングプログラム
10-7 神経芽細胞腫マススクリーニング検査の評価


11 サーベイランス
11-1 サーベイランス概論
11-2 感染症のサーベイランス
11-3 疾病登録(がん登録を中心に)
 11-3-1 疾病登録の概念
 11-3-2 がん登録
 11-3-3 その他の疾病登録(結核,脳卒中,難病など)


12 感染症の疫学
12-1 感染症発生の3条件
12-2 感染と発病
12-3 まん延の指標
12-4 流 行
12-5 宿主の抵抗力
12-6 免疫の種類
12-7 病原体
12-8 感染経路
12-9 昆虫媒介感染症
12-10 流行調査


13 臨床疫学
13-1 臨床疫学の定義と関連の説明
13-2 偶然誤差,系統誤差と精度,妥当性との関係
13-3 リスクの評価
13-4 診断の一致性(カッパ統計量)
13-5 尤度比,検査前確率,検査後確率
13-6 治療効果の評価


14 病因疫学
14-1 病因疫学
14-2 リスク因子
14-3 分子疫学


15 政策疫学
15-1 ハイリスク対策
15-2 ポピュレーション対策
15-3 医療の費用に関する分析手法
15-4 保健と医療の予防戦略
15-5 生活習慣病予防の保健医療政策の歴史


16 疫学における統計手法
16-1 基本的な統計量
16-2 推定と検定の考え方
16-3 平均の推定と検定
 16-3-1 1つの母集団の場合
 16-3-2 分散が等しい2つの母集団の場合
 16-3-3 対応がある2つの母集団の場合
16-4 割合の推定と検定
 16-4-1 1つの母集団の場合
 16-4-2 1つの母集団(小さな標本サイズ)の場合
 16-4-3 2つの母集団の場合
16-5 分割表
 16-5-1 2×2分割表
 16-5-2 2×2分割表(フィッシャーの直接確率法による検定)
 16-5-3 マッチしたデータにおける2×2分割表
 16-5-4 複数の2×2分割表の併合
 16-5-5 2×R分割表(カイ2乗検定)
16-6 回帰と相関
16-7 ノンパラメトリック検定
16-8 多変量解析


17 調査計画の実際
17-1 調査項目の選定
17-2 調査情報の収集方法
17-3 調査票の作成
17-4 調査票の作成例
17-5 データの解析と報告書作成


18 統計図表の作成
18-1 図表作成の原則
18-2 図表の形式と特徴


19 疫学研究と倫理
19-1 疫学研究と倫理
19-2 日本疫学会「疫学研究を実施するにあたっての倫理宣言」
19-3 文部科学省,厚生労働省「疫学研究に関する倫理指針」
19-4 対象者選択の問題
19-5 介入研究における介入の妥当性


付録 参考書一覧
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