カテゴリー: 総合診療医学/プライマリ・ケア医学 | 感染症学
おとなのワクチン
1版
医療法人メファ仁愛会 マイファミリークリニック蒲郡
中山久仁子 編
定価
3,850円(本体 3,500円 +税10%)
- B5判 204頁
- 2019年12月 発行
- ISBN 978-4-525-18811-5
おとなに足りないワクチンは?
一般臨床医のために成人患者向けのワクチン情報をまとめた1冊.定期接種に指定されているワクチンは年代ごとに変更がなされているため,生まれた年によって患者ごとに接種したワクチンが異なっている.場合によっては追加で接種する必要があり,本書ではどの年代に何のワクチンが足りていないかなど細かく解説している.
- 序文
- 目次
序文
予防接種は,病原体に対して免疫をもたない感受性者に免疫をつける,あるいは免疫の増強を目的として行われる.感染・発病・重症化・感染症の蔓延の予防,そして感染症の排除と根絶を目的としており,予防医療の4項目(予防接種,スクリーニング,カウンセリング,予防的内服)のうちの,重要な柱の1つである.そして,一次予防(病気になることを防ぐ)の手段として,プライマリ・ケアの実践すべきヘルスメンテナンス(予防・健康増進)活動のなかに取り入れられている.プライマリ・ケアに従事するわれわれにとって,患者さんの疾病予防と健康維持に予防接種は欠かせない.
日本の予防接種は欧米よりも20年遅れているといわれてきた時代もあったが,2005年以降,現在定期接種になっている小児のインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン,小児肺炎球菌ワクチン,B型肝炎ワクチン,水痘ワクチンが定期接種化され,生ポリオが不活化ポリオワクチンになり,さらに四種混合ワクチンになり,麻しん風しんワクチンの接種回数が1回から2回に変更になるなど,多くの方々の尽力により接種可能なワクチンが増えてきている.また,予防接種法などの制度も変更され,ワクチンギャップが克服されてきた.
しかし,小児のワクチンが認可され,接種スケジュールが欧米並みになっただけでは予防医療としてのワクチンは不十分である.小児期に打ち損じた子どもにどのように接種するか(キャッチアップスケジュールの立て方),定期接種を完遂していても時代とともに追加が必要になっているワクチン,海外旅行や赴任に伴って必要なワクチン,妊娠可能な女性と妊婦,慢性疾患や免疫不全,医療従事者など個々に必要なワクチンがある.このような小児期以降の予防接種による予防医療は,これまでほとんど知られていなかった.しかしプライマリ・ケアの臨床にはなくてはならないものであり,ヘルスメンテナンスの重要な位置を占めている.
本書では主にその思春期以降のワクチンについてまとめた.予防接種はワクチン,疾病の流行,人の移動,社会情勢等によって刻々と変化している.将来,十分な情報公開のもとで,すべての人々と医療者が,患者さんや自分と家族に必要な予防接種を理解し,自分の意志で接種する.そして,さまざまなシチュエーションによってリスクが異なり,その予防手段として子どもだけでなく大人にも必要なワクチンがあることを広く知っていただき,ワクチンで防げる病気(vaccine preventable disease:VPD)にかかる人と,合併症に苦しむ人が減ることを願っている.
本書は,各分野でご活躍されている素晴らしい執筆陣にご執筆いただくことができました.この場を借りて深謝いたします.また,本書の執筆にあたり,ご尽力くださった南山堂の片桐様,そして私事ですがいつも私を支えて下さっている家族にも感謝いたします.
本書が読者の皆様のお役に立つことがありましたら幸いです.
2019年11月
中山久仁子
日本の予防接種は欧米よりも20年遅れているといわれてきた時代もあったが,2005年以降,現在定期接種になっている小児のインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン,小児肺炎球菌ワクチン,B型肝炎ワクチン,水痘ワクチンが定期接種化され,生ポリオが不活化ポリオワクチンになり,さらに四種混合ワクチンになり,麻しん風しんワクチンの接種回数が1回から2回に変更になるなど,多くの方々の尽力により接種可能なワクチンが増えてきている.また,予防接種法などの制度も変更され,ワクチンギャップが克服されてきた.
しかし,小児のワクチンが認可され,接種スケジュールが欧米並みになっただけでは予防医療としてのワクチンは不十分である.小児期に打ち損じた子どもにどのように接種するか(キャッチアップスケジュールの立て方),定期接種を完遂していても時代とともに追加が必要になっているワクチン,海外旅行や赴任に伴って必要なワクチン,妊娠可能な女性と妊婦,慢性疾患や免疫不全,医療従事者など個々に必要なワクチンがある.このような小児期以降の予防接種による予防医療は,これまでほとんど知られていなかった.しかしプライマリ・ケアの臨床にはなくてはならないものであり,ヘルスメンテナンスの重要な位置を占めている.
本書では主にその思春期以降のワクチンについてまとめた.予防接種はワクチン,疾病の流行,人の移動,社会情勢等によって刻々と変化している.将来,十分な情報公開のもとで,すべての人々と医療者が,患者さんや自分と家族に必要な予防接種を理解し,自分の意志で接種する.そして,さまざまなシチュエーションによってリスクが異なり,その予防手段として子どもだけでなく大人にも必要なワクチンがあることを広く知っていただき,ワクチンで防げる病気(vaccine preventable disease:VPD)にかかる人と,合併症に苦しむ人が減ることを願っている.
本書は,各分野でご活躍されている素晴らしい執筆陣にご執筆いただくことができました.この場を借りて深謝いたします.また,本書の執筆にあたり,ご尽力くださった南山堂の片桐様,そして私事ですがいつも私を支えて下さっている家族にも感謝いたします.
本書が読者の皆様のお役に立つことがありましたら幸いです.
2019年11月
中山久仁子
目次
Ⅰ章 総 論
1 どうして成人にもワクチンが必要なのか そもそも予防接種・ワクチンとは
2 大人のワクチンスケジュール
3 効果と集団免疫
4 抗体検査
5 ワクチンの種類 生ワクチンと不活化ワクチン
6 接種方法 皮下注と筋注
7 記録の残し方
8 副反応と救済制度
9 予防接種の制度と法令
Ⅱ章 キャッチアップしたいワクチン
10 麻しん
11 風しん
12 水痘・帯状疱疹
13 おたふくかぜ
14 A型肝炎
15 B型肝炎
16 百日咳
17 破傷風
18 日本脳炎
19 ポリオ
20 小児期に打ち損じた場合
21 小児期に海外にいた場合
Ⅲ章 年齢別 これから必要なワクチン
思春期以降のワクチン
22 ヒトパピローマウイルス
23 髄膜炎菌
中年以降のワクチン
24 肺炎球菌
25 インフルエンザ
26 帯状疱疹
Ⅳ章 特殊な場合のワクチン
27 妊娠可能な女性,妊婦とその家族
28 免疫不全
29 慢性疾患
30 医療関係者
Ⅴ章 海外渡航時のワクチン
31 渡航ワクチンの考え方
32 未承認ワクチン
33 狂犬病
34 ダニ媒介性脳炎
35 腸チフス
36 コレラ
37 黄 熱
38 海外旅行・出張・赴任
39 予防接種証明書の書き方(英文)
1 どうして成人にもワクチンが必要なのか そもそも予防接種・ワクチンとは
2 大人のワクチンスケジュール
3 効果と集団免疫
4 抗体検査
5 ワクチンの種類 生ワクチンと不活化ワクチン
6 接種方法 皮下注と筋注
7 記録の残し方
8 副反応と救済制度
9 予防接種の制度と法令
Ⅱ章 キャッチアップしたいワクチン
10 麻しん
11 風しん
12 水痘・帯状疱疹
13 おたふくかぜ
14 A型肝炎
15 B型肝炎
16 百日咳
17 破傷風
18 日本脳炎
19 ポリオ
20 小児期に打ち損じた場合
21 小児期に海外にいた場合
Ⅲ章 年齢別 これから必要なワクチン
思春期以降のワクチン
22 ヒトパピローマウイルス
23 髄膜炎菌
中年以降のワクチン
24 肺炎球菌
25 インフルエンザ
26 帯状疱疹
Ⅳ章 特殊な場合のワクチン
27 妊娠可能な女性,妊婦とその家族
28 免疫不全
29 慢性疾患
30 医療関係者
Ⅴ章 海外渡航時のワクチン
31 渡航ワクチンの考え方
32 未承認ワクチン
33 狂犬病
34 ダニ媒介性脳炎
35 腸チフス
36 コレラ
37 黄 熱
38 海外旅行・出張・赴任
39 予防接種証明書の書き方(英文)