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カテゴリー: 法医学

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学生のための法医学

改訂6版

産業医科大学 教授 田中宣幸 著
ほか12名 著

定価

5,830(本体 5,300円 +税10%)


  • B5判  282頁
  • 2006年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-19026-2

医学生を対象に必要事項を網羅した教科書.その解説は卒業後も十分活用できると好評を得ている.今改訂では新たに5名の執筆陣を加え,内容の更新と図表の充実をはかった.最終章“法医学と現代の社会問題”では,医療関連死の項を追加し,患者死亡調査のモデル事業についても概説.各章末には学習到達目標をまとめたExerciseを収録.

  • 序文
  • 目次
序文
 1980(昭和55)年に第1版が発行された「学生のための法医学」は,今回第6版を迎えることになった.四半世紀にわたり,学生はもとより多くの方々に受け入れられ,喜びとともに感謝を申しあげる.これも偏に第1版を担当された先輩の諸先生方の「この本は,はじめて法医学を学ぶ学生を主な対象として編集したもので,…」の編集趣旨,それに基づいた内容が版を重ねても踏襲され,その結果として読者に広く受け入れられてきたのではないかと思われる.
 現在,法医学への関心が拡がるとともに,その重要性が改めて認識されるようになってきた.さらに法医学はこれまでの直接的な医と法の問題のみならず,子どもの虐待,老人介護,自殺などの身近な社会問題にも深い係わりをもつようになってきた.このような状況から,法医学が社会に対して果たすべき事項・責任が拡大・重大化しており,その任を全うすることが社会から強く求められている.
 今回は,第5版後の新しい知見や社会的変化および,これまでにいただいたご意見やご指摘に沿って内容を改めるとともに,新たに執筆者を加え内容の刷新をも図った.この版でも,上記の「学生のための」および社会からの要請に応えられる教科書を念頭におき,必要不可欠な事項の紹介のみならず理解を助けるために図版を多用し,さらに現象や所見の発現機序について可能な限り詳しい説明を加えた.
 それぞれの執筆者の個性を生かしながら可能な限り内容の検討および全体の統一をはかったが,不適切な箇所があればご指摘をいただきたい.大方の忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いである.
 前回に引き続き温かいご助言を賜った久留米大学名誉教授 原 三郎先生に深く感謝するとともに,種々お世話をいただいた南山堂編集部に厚く御礼申しあげる.

2006(平成18)年9月  著者一同
目次
1 概 論
 a.法医学の定義・目的
 b.法医学の歴史
 c.法医学の対象
  1.生体の検査
  2.死体の検査
  3.その他
 d.死因論
  1.死因の定義
  2.外因と死因
  3.死因の競合
  4.死因の判定

2 検案・解剖
 a.異状死体と検案
  1.日本における死者への対応
  2.異状死体
  3.検案(死体検案)
 b.死体検案の実際
  1.検案時の一般的注意事項
  2.死体検案の方法
  3.試料の採取
  4.画像を用いた検査の応用
 c.解 剖
  1.司法解剖
  2.行政解剖
  3.承諾解剖
  4.病理解剖
  5.系統解剖
 d.生活反応
  1.局所的生活反応
  2.全身的生活反応
 e.死亡診断書,死体検案書
  1.死亡診断書(死体検案書)の意義
  2.死亡診断書と死体検案書の使い分け
  3.死亡診断書(死体検案書)記入上の注意

3 死体現象
 a.死の徴候
 b.臨床医学上の死の判定
  1.脳死,植物状態
 c.早期死体現象
  1.死斑・血液就下
  2.死後硬直・死体硬直
  3.死体の冷却
  4.死体の乾燥
  5.眼球の変化
 d.晩期死体現象
  1.自家融解
  2.腐 敗
  3.白骨化
  4.死体の損壊
 e.異常死体現象
  1.死ろう化
  2.ミイラ化
  3.第三永久死体
 f.死後経過時間の推定
  1.超生反応を利用する方法
  2.死体現象を利用する方法
  3.死の瞬間から停止する現象を利用する方法
  4.周囲の状況や情報を利用する方法

4 損 傷
A 総 論
 a.損傷検査
  1.部 位
  2.形 状
  3.大きさ
  4.性 状
  5.個 数
  6.相互の位置関係
  7.付着物
  8.受傷時期
  9.その他の注意事項
 b.損傷の治癒過程
 c.損傷検査に基づく診断事項
 d.損傷の種類
B 各 論
 a.鋭器損傷
  1.切 創
  2.割 創
  3.刺 創
 b.鈍器損傷
  1.表皮剥脱
  2.皮下出血
  3.皮内出血
  4.挫 創
  5.裂 創
  6.挫裂創
  7.デコルマン
  8.骨 折
  9.臓器の損傷
  10.成傷機転が表現された損傷
 c.銃器損傷(射創)
  1.弾丸の構造
  2.射創の種類
  3.形状・性状
  4.法医診断的意義
 d.大きな鈍力による損傷
  1.墜転落による損傷
  2.体幹部の広範囲の打撲・圧迫による損傷
  3.爆発による損傷
 e.交通事故損傷
  1.自動車事故損傷
  2.自動二輪車事故損傷
  3.その他の交通事故損傷
 f.頭部損傷
  1.頭部外傷急性期における病型分類
  2.頭蓋軟部組織の損傷
  3.頭蓋骨骨折
  4.頭蓋内出血(血腫)
  5.脳の損傷
 g.頭部以外の損傷
  1.脊椎・脊髄損傷
  2.頚部損傷
  3.胸部損傷
  4.腹部損傷
  5.四肢の損傷
 h.損傷の自他為
  1.判断の注意点
  2.判断の一般原則

5 窒 息
A 総 論
  1.窒息を起こす外因の分類
  2.窒息の経過および症状
  3.窒息死体の一般所見
B 各 論
 a.頚部圧迫による窒息死
  1.縊 死
  2.絞 死
  3.扼 死
  4.圧痕部の組織学的検査
b.溺 死
  1.溺死の経過および症状
  2.溺死の死体所見
  3.プランクトンとくに珪藻の検出による溺死の証明
 c.その他の原因による窒息死
  1.鼻口部閉塞による窒息
  2.気道内異物による窒息
  3.胸郭の運動障害,圧迫による窒息,圧死
  4.その他の原因による窒息
  5.水中急死あるいは水浴死

6 異常環境下の障害
 a.高温による障害
  1.熱 傷
  2.焼 死
  3.熱中症
 b.低温(寒冷)による障害
  1.定 義
  2.凍 傷
  3.凍 死
 c.電気による障害
  1.電気に関する概説
  2.人体への障害
  3.電撃死(感電死)
  4.雷撃(落雷)死
 d.放射線障害
  1.発生要因
  2.局所障害
  3.全身障害と死因
 e.気圧異常による障害
  1.高圧環境下の障害
  2.低圧環境下の障害
 f.飢餓(死)
  1.定 義
  2.抵抗力
  3.発生環境
  4.症 状
  5.死体所見

7 内因性急死
 a.病変を確認しうる内因性急死
  1.中枢神経系疾患
  2.心疾患
  3.動静脈疾患
  4.呼吸器系疾患
  5.消化器系疾患
  6.内分泌系疾患
  7.泌尿器系疾患
  8.産科的疾患
 b.原因不明の内因性急死
  1.乳幼児突然死症候群
  2.青壮年の原因不明の突然死

8 周産期の障害
A 母体の障害
 a.排卵誘発剤による母体の障害
  1.ゴナドトロピンとは
  2.代表的な排卵誘発剤
  3.排卵誘発剤による母体の障害
 b.子宮収縮薬(分娩誘発剤)による母体の障害
  1.代表的な子宮収縮薬
  2.子宮収縮薬(分娩誘発剤)による母体の障害
 c.人工妊娠中絶
  1.人工妊娠中絶とは
  2.妊娠中絶法
  3.人工妊娠中絶による母体の障害
 d.堕 胎
  1.堕胎とは
  2.堕胎の手段・方法
  3.堕胎による母体の障害
B 新生児死体
 a.新生児死体の特殊性と法律上の問題
 b.生存能力の判定
  1.発育程度
  2.成熟児
 c.生産・死産の鑑別
  1.自己呼吸に基づく生産児の徴候
  2.その他の生産児の徴候
 d.生存期間(死亡時期の推定)
  1.分娩後の生存期間
  2.子宮内での死亡時期の推定
 e.死因および手段・方法
  1.分娩前の死
  2.分娩中の死
  3.分娩後の死
 f.墜落産
 g.殺害行為
  1.積極的殺児
  2.消極的殺児
 h.偶発的事故

9 性と法医学
 a.異常性欲
  1.フェティシズム
  2.露出症
  3.窃視症
  4.小児性愛
  5.サドマゾヒズム
  6.同性愛
  7.その他の性嗜好の障害
 b.わいせつ行為
  1.公然わいせつ
  2.わいせつ物頒布等
  3.強制わいせつ
 c.強 姦
  1.被害者の法医学的検査
  2.加害者の法医学的検査

10 中 毒(薬毒物に基づく障害)
A 総 論
 a.法中毒学および法医中毒学
 b.毒物および中毒
  1.毒 物
  2.中 毒
  3.毒物の分類
  4.中毒の発生条件
  5.中毒発生の現状
 c.中毒の診断―1.推測
  1.臨床症状からの推測
  2.身体,死体所見からの推測
 d.中毒の診断―2.薬毒物検査
  1.法医学における薬毒物検査の必要性
  2.法医学における薬毒物検査の実際
  3.薬毒物検査の法医学的特殊性
  4.資料取り扱いの実際
  5.分析手順の概略
  6.主な測定法
B 各 論
 a.規制薬物
  1.麻薬性鎮痛薬
  2.覚せいアミン(覚せい剤)
  3.向精神薬
  4.幻覚薬(精神異常誘発物質)
 b.揮発性およびガス状物質
  1.青酸および青酸塩
  2.硫化水素
  3.一酸化炭素
  4.LPガス
  5.その他の炭化水素類
 c.有機薬毒物
  1.催眠薬
  2.局所麻酔薬
  3.解熱鎮痛薬
  4.抗生物質
  5.農 薬
  6.動物毒
  7.植物毒
 d.金属毒
  1.水 銀
  2.ヒ 素
  3.カドミウム
  4.クロム
 e.酸・アルカリ
  1.酸
  2.アルカリ

11 アルコール中毒
 a.代謝,酵素活性
  1.吸 収
  2.分 布
  3.血中濃度
  4.代 謝
  5.排 泄
 b.薬理作用
  1.局所作用
  2.全身作用
 c.アルコール酩酊
  1.酩酊度
  2.酩酊度の判定
  3.致死量
  4.急性アルコール中毒死
 d.アルコール濃度測定
  1.測定法
  2.死体からの試料についてアルコール濃度を測定する場合の留意事項
 e.アルコール中毒の社会的側面
  1.飲酒と道路交通法
  2.飲酒と精神機能
  3.飲酒と法的責任能力
  4.飲酒と犯罪

12 物体検査
 a.一般的事項
  1.対象となる資料
  2.取り扱い上の注意
 b.血 痕
  1.形状・付着状況の観察・記録
  2.予(備)試験
  3.確認試験(本試験)
  4.人血証明(人獣血鑑別)
  5.個人識別(血液型検査など)
  6.その他
 c.精 液
  1.付着物の付着状況の観察・記録
  2.予(備)試験
  3.確認試験(本試験)
  4.人獣鑑別
  5.個人識別(血液型検査など)
 d.唾 液
  1.付着物の付着状況の観察・記録
  2.予(備)試験
  3.確認試験(本試験)
  4.個人識別(血液型検査など)
 e.骨
  1.形態学的特徴と人獣の鑑別
  2.骨の陳旧度
  3.個人識別(血液型検査など)
  4.その他
 f.毛 髪
  1.形態学的特徴と人獣の鑑別
  2.検査法
  3.個人識別(血液型検査など)
 g.その他

13 血液型とDNA多型
 a.赤血球型
 a-1.糖鎖抗原
  1.ABO式血液型
  2.Lewis式血液型
  3.P式血液型
 a-2.赤血球膜たんぱく抗原
  1.MNSs式血液型
  2.Rh式血液型
  3.Duffy式血液型
 b.血清(たんぱく)型
  1.免疫グロブリンアロタイプ
  2.ハプトグロビン型
  3.Gc型
  4.トランスフェリン型
  5.その他の血清型
 c.酵素型
  1.酸性フォスファターゼ型
  2.フォスフォグルコムターゼ1型
  3.エステラーゼD型
  4.6-フォスフォグルコン酸脱水素酵素型
 d.ヒト白血球抗原(HLA)〜ヒトMHC分子とHLA抗原〜
  1.HLAクラスI抗原
  2.HLAクラスII抗原
  3.HLAクラスIII抗原
  4.HLA型の検査法
  5.HLA抗原の遺伝様式
  6.HLAと疾患
  7.HLAと移植
 e.DNA多型
  1.遺伝子DNAと非遺伝子DNA
  2.DNAの変異と遺伝
  3.ミトコンドリアDNA
  4.DNA多型
 f.親子鑑定
  1.親子鑑定が必要な場合
  2.親子鑑定の実際
  3.卵性診断の実際

14 個人識別
 a.定 義
 b.鑑定項目
 c.身体的特徴
  1.全身的特徴
  2.局所的特徴
 d.性 別
  1.生体の性別
  2.死体の性別
  3.白骨の性別
  4.その他
 e.年 齢
  1.外表所見
  2.内景所見
 f.身 長
 g.指紋・掌紋・足紋
  1.指 紋
  2.指紋採取法
  3.掌紋,足紋
 h.血液型とDNA多型
 i.顔貌による個人識別
  1.スーパーインポーズ法
  2.復顔法

15 医と法
 a.医師法
 b.医療法(抄)
 c.その他の医療に関連する法律
  1.資格に関するもの
  2.解剖に関するもの
  3.規制薬物取締に関するもの

16 医事紛争
 a.医療行為
  1.医療行為の3条件
  2.3条件の不完全な特殊例
 b.診療契約と医師の義務
  1.診療契約
  2.診療契約に伴う医師の義務
 c.医療事故と医療過誤
  1.医療過誤と医事紛争
  2.医療過誤の法的要件
  3.医療過誤をめぐる制裁
  4.医療事故発生時になすべきこと
  5.医療紛争増加の原因
 d.医療事故の防止

17 法医学と現代の社会問題
 a.臨床法医学
 b.賠償科学(賠償医学)
 c.医療関連死
 d.子どもの虐待
  1.子どもの虐待の社会的認識
  2.子どもの虐待の定義と種類
  3.子どもの虐待に関する法律
  4.子どもの虐待の実態
  5.子どもの虐待防止活動
  6.子どもの虐待と法医学
 e.高齢化社会と老人介護の問題
  1.高齢化社会と医療
  2.介護保険制度
  3.要介護高齢者と法医学上の問題
 f.自殺とその防止活動
  1.自殺の定義と検屍検案
  2.自殺の統計と社会現象
 g.交通事故死や突然死の予防と救急処置の普及活動
  1.交通事故死と法医学の立場からの交通安全教育
  2.乳幼児の事故死や突然死と法医学
  3.応急手当の普及と法医学
 h.インターネットと法医学

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