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UCSFに学ぶ できる内科医への近道

改訂4版

藤田保健衛生大学病院 総合救急内科 山中克郎 編集
なごや調剤薬局 澤田覚志 編集
藤田保健衛生大学病院 総合救急内科 植西憲達 編集

定価

3,080(本体 2,800円 +税10%)


  • B6変型判  428頁
  • 2012年10月 発行
  • ISBN 978-4-525-20154-8

UCSFでの臨床研修の経験を基に,研修医に必要とされる知識をコンパクトにまとめた内科研修マニュアルの決定版!改訂4版では新たな編者を迎え,「代表的内科疾患」に新規項目を追加し充実させた.わかりやすい解説に詳細な文献を明示し,“現場で活きる”実践的な知識が満載!研修医のみならず,指導医にも読みごたえのある一冊である.

  • 序文
  • 目次
  • 書評
序文
 青木眞先生にカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のLawrence Tierney教授を紹介していただき,UCSFで総合診療を初めて学んだのは1999年でした.米国の内科専門医は専門領域のみならず内科疾患全体を網羅する幅広い医学知識があり,病歴や身体所見をとても大切にしていました.教育システムの素晴らしさに感激し,内科医としての自らの力不足にがっかりしましたが,内科診療の奥深さと楽しさを学ぶことができました.この感動を日本の若手医師に是非伝えたいと思い,UCSFでの講義資料や欧米の標準的教科書をもとに執筆し,伴信太郎先生にご尽力いただき2003年,第1版を出版しました.その後,3年毎に最新論文や教科書を参考としながら改訂を重ね,今回は3回目の改訂となります.
 私は総合診療を希望する若手医師を5つの分野:①北米型ERでの救急診療,②集中治療,③一般病棟での入院治療,④外来診療,⑤地域医療で教育したいと考えています.卒後3年から5年の時期にこれらの場でジェネラリストとしての基礎的な医学知識と技術,経験を身につけ,その後は希望に応じてどこに軸足を置いて活動するのかを決めればよいと思います.また,総合診療教育を通じてジェネラルマインドを持つ専門医がたくさん生まれて欲しいと願っています.
 世阿弥は晩年の著書『花鏡』で「老後の初心忘るべからず」と述べています.初心とは物事を習い始めた頃の未熟で失敗ばかりであったという屈辱や悔しさ,それを切り抜けるために費やした努力です.若手医師への教育を通じて何歳になっても,老境の未熟を戒め絶えず新たな自分を創造するように精進上達していきたいと思います.

             One is never too old to learn.

自分の学んだことを,できるだけたくさんの若手医師に伝えることができれば幸せです.

今回の改訂では
①舞鶴市民病院,洛和会音羽病院/丸太町病院で長年指導医を務め,臨床能力の卓越した植西憲達先生に「ショック」「カルテの書き方」「胸部レントゲン写真/HRCTの読み方」「人工呼吸器管理」「失神」「腹痛」「貧血」「ナトリウム異常」「頭痛」「めまい」「関節痛」の原稿を新たに執筆してもらいました.また,Peer Reviewerとして,すべての原稿を批判的に吟味してもらい本書の信頼性を増しました.
②名古屋記念病院で,総合内科教育に優れたリーダーシップを発揮してきた井口光孝先生には「入院中の発熱」「尿路感染症」「酸‐塩基異常」「浮腫」を執筆していただきました
③「最新のエビデンスに基づいた,わかりやすい解説」を心がけ,根拠となる参考文献をできるだけ多く示しました.

謝辞: 
 UCSF留学は内海眞先生(名古屋医療センター院長),青木眞先生(サクラ精機)のおかげで実現しました.UCSFではLawrence Tierney教授,Dr. Jeffrey Wiese,Dr. Jonathan Yagerに特にお世話になりました.第1版,第2版,第3版では青木恵津子先生,飯田和正先生,岩田充永先生,川島篤志先生,岸本暢将先生,北啓一朗先生,寺澤晃彦先生,野口善令先生,藤田芳郎先生,峯村信嘉先生,安岡彰先生(50音順)に執筆をお願いしました.また深田絵美さんからはいつも貴重なアドバイスをいただいております.TFCメーリングリストに最新論文を要約し,情報提供される仲田和正先生の勉強会資料からもたくさんのことを学ばせていただきました.
 最後に南山堂編集部/渋田百日紅さんの励ましと協力に深謝いたします.

 本書に対するご意見,ご要望はyamanakk@gmail.comまでお寄せ下さい.

2012年9月
山中克郎

【注意】
 本書で示されている治療法は米国での標準的なものであり,日本の標準的治療と異なることがあります.執筆時点では最新のエビデンスを示しましたが,日々進歩する医学では執筆内容の全てが絶対に正しいと言えないことをご理解下さい.


目次
Part 1 救急医療
 1.ショック
 2.持続投与量早見表
  ・ノルエピネフリン
  ・ドブタミン塩酸塩
  ・ドパミン塩酸塩
  ・ニカルジピン塩酸塩
  ・ジルチアゼム塩酸塩
  ・硝酸イソソルビド
  ・ニトログリセリン
  ・ミダゾラム
  ・プロポフォール

Part 2 これだけは知っておこう
 1.カルテの書き方
 2.胸部レントゲン写真 / HRCTの読み方
 3.ECG

Part 3 代表的内科疾患
 1.不明熱
 2.入院中の発熱(院内感染症)
 3.肺 炎
 4.尿路感染症
 5.気管支喘息
 6.低酸素血症
 7.人工呼吸器管理
 8.肺塞栓症
 9.高血圧
 10.脂質異常症
 11.うっ血性心不全
 12.不整脈
 13.冠動脈疾患
 14.失 神
 15.腹 痛
 16.下 痢
 17.異常出血
 18.貧 血
 19.急性腎不全
 20.酸-塩基異常
 21.カリウム異常
 22.ナトリウム異常
 23.カルシウム異常
 24.浮 腫
 25.糖尿病
 26.脳血管障害
 27.頭 痛
 28.めまい
 29.関節痛
 30.腰 痛
 31.中 毒
 32.術前評価
 33.癌性疼痛

Part 4 疾患別問題
 A.感染症
 B.呼吸器
 C.循環器
 D.消化器
 E.血液/腫瘍
 F.腎 臓
 G.内分泌
 H.神 経
 I. 自己免疫
 J.その他

Part 5 頻用薬剤比較表
 1.睡眠薬
 2.抗不安薬
 3.抗うつ薬(SSRI,SNRI,NaSSA)
 4.利尿薬
 5.ACE阻害薬
 6.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
 7.β遮断薬
 8.Ca拮抗薬
 9.α遮断薬
 10.硝酸薬
 11.脂質異常症治療薬
 12.抗血小板薬
 13.消炎鎮痛貼付剤
 14.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
 15.片頭痛治療薬(トリプタン)
 16.H2受容体拮抗薬
 17.プロトンポンプ阻害薬(PPI)
 18.防御因子増強薬
 19.消化管運動賦活薬
 20.整腸剤
 21.止瀉薬
 22.下 剤
 23.インスリン製剤
 24.糖尿病治療薬
 25.抗甲状腺ホルモン剤
 26.甲状腺ホルモン剤
 27.骨粗鬆症治療薬
 28.ステロイドホルモン
 29.吸入薬(β2刺激薬,抗コリン薬)
 30.鉄 剤

Column
 ・栄養投与成分の決定手順
 ・経腸栄養剤の分類
 ・効果的なプレゼンテーションの方法
 ・抗菌薬のPK / PD
 ・妊婦,授乳婦と薬剤
 ・高齢者への薬物療法


■Index
書評
これ一冊で代表的内科疾患を戦える

仲田和正 先生 (医療法人社団健育会西伊豆病院)

「UCSFに学ぶ できる内科医への近道」の第4版が出版されました.
UCSFとは山中克郎先生が総合診療を勉強されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校の事です.
過去10年の間にこまめに改訂され,大変使い勝手の良い本になっています.
この歳で言うのも何だけど,表紙が「チョーかわいい!」.

表紙の見返しには日常頻用する数式(クレアチニンクリアランス,浸透圧,アニオンギャップ,BMI,eGFRノモグラムなど)がまとめて掲載されているのは大変便利です.

また最初の方に,緑ページの「鑑別診断一覧表」があるのもとても助かります.
例えば「空洞を有する肺病変」「昏睡のAIUEOTIPS」「胸水」「腹水」など,
外来でとっさに参照できます.

そして救急でよく使う薬剤(ノルアド,ドブトレックス,イノバン,ペルジピン,ニトログリセリン,ドルミカムなど)の持続投与量早見表も最初にまとめられており,まるで自分の診療を見透かされているような気がします.
大動脈解離で即座の転送時,あせりまくっているときの薬用量決定がらくちんです.患者さん入院後の指示出しもだいぶ短縮できます.
筆者たちが,「救急外来で真に必要とする知識」をまとめたのだということがよくわかります.

本文は代表的内科疾患ごとに重要かつアップデイトなポイントが満載です.
FUO,肺炎,UTI,喘息,冠動脈疾患,脳血管障害,DMなどの診断から具体的治療までが要領よくまとめられています.

後半の100ページほどは,疾患別問題となっていますが,実はこれこそ臨床のパール集ともいうべきもので,知っていれば必ず役に立つものばかりです.是非精読,怒涛の反復をお勧めします.これであなたは必ずカンファでひときわ目立つ存在となることでしょう.

巻末は薬剤師によって書かれた頻用薬剤一覧表です.
医師とはかなり違った視点で書かれており「へーっ」と思うことが大変多いのです.つくづくinterdisciplinary(学際的)な視点を持つことは重要であるなあと思いました.

例えば,温湿布はパップ剤に含まれる水分蒸発で貼付後,温度は下がる,アスピリンアレルギーは練り歯磨きで誘発されることがある,ガスターは腎障害で減量が必要,プリンペランは脱水で腎不全時,副作用発現が高まる,タンナルビンは牛乳アレルギーで禁忌など,知らないことばかりでした.

ただ,抗菌薬については記載がありません.しかし最近は,抗菌薬については,
青木眞先生,岩田健太郎先生,矢野晴美先生方の良書が手に入るようになりましたので別に購入すれば済む話です.

ハリソンを読んでも薬の具体的用量までは書いてないし,ポケットには入らないし,これ一冊で代表的内科疾患をほぼ網羅し戦えてしまうというのがすごいです.是非,熟読をお勧めします.
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