書籍カテゴリー:麻酔蘇生学|癌・腫瘍学

医療用麻薬
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臨床医のくすり箱
医療用麻薬

1版

  • 東芝病院緩和ケア科 科長 茅根義和 編
  • 城西大学薬学部薬剤学講座 准教授 細谷 治 編

定価:4,320円(本体4,000円+税8%)

  • B5判 286頁
  • 2011年8月 発行
  • ISBN978-4-525-20201-9

概要

患者さんはもとより医療従事者においても,いまだ医療用麻薬は怖い薬,扱いづらい薬といった誤解やバリアがある.
それらを払拭し,臨床現場でスムーズに医療用麻薬を使用するためのノウハウが詰まっている一冊!

序文

2006年にがん対策基本法が成立して以来,緩和ケアの普及活動が急速に進みつつある.医療用麻薬は,疼痛緩和治療においては重要な役割を担う薬剤であり,緩和ケアの普及に伴って,医療用麻薬の使用機会も格段に増加しているはずである.しかし,実際はどうであろう.臨床の現場では,医療用麻薬は怖い,難しい,管理などが面倒くさいといったバリアが,まだ多く存在しているように思われる.確かに,医療用麻薬は「麻薬及び向精神薬取締法」という他の薬剤と異なった法律により管理されており,特別に扱わなければならない.また,そのほとんどはモルヒネを代表とするオピオイド鎮痛薬であり,いまだに「怖い薬」との誤解を受けている.しかし,ある程度の知識とそれを運用する組織の力があれば,医療用麻薬を適正に臨床の現場で使用することは,それほど難しいことではない.
また,医療用麻薬は決してがん緩和治療だけに使用するわけではない.手術においても,慢性疼痛などの各種疼痛治療においても,医療用麻薬を使用する機会はいくらでも存在するため,医療のさまざまな現場において医療用麻薬は必要な薬剤である.
本書は,前述のような臨床現場での医療用麻薬に対するバリアを少しでも解消し,医療用麻薬が安全にそして臨床の現場でスムーズに使用されることを願って編集された.がん疼痛治療のテキストでもなければ,オピオイド鎮痛薬の解説書でもない.「医療用麻薬」について,臨床の現場で必要な知識を集めて示したおそらくわが国初の書籍である.
各項目は,医療用麻薬そのものの薬理学的知識,各薬剤の実際の使用方法や使用する際の注意点・コツといった内容を,医療用麻薬の管理についてそれぞれ専門的知識を持ち,第一線の現場で活躍されている医師,薬剤師,看護師の方々に執筆していただいた.それぞれ非常にすばらしい内容となっており,必要なときに各項目だけを読んでいただいても十分ためになる内容になっている.しかし,できれば本書を通読していただき,医療用麻薬の適正な使用と普及に役立てていただくことを編者は願っている.
最後に,本書を企画・編集するにあたって,南山堂編集部の大城梨絵子氏に感謝したい.はじめに彼女のアイディアがなければ,本書は生まれなかった.それをかたちにするにあたって,多少なりとも協力できたことを編者は喜びに思っている.

2011年7月
茅根義和
細谷 治

目次

第1章 医療用麻薬の誤解を解く 〜その「常識」は間違っている?!〜
Q1  医療用麻薬は危険な薬?
Q2  医療用麻薬でも麻薬乱用時のような高揚感が起こる?
Q3  医療用麻薬は薬物依存になる? 一度使い始めると中止できなくなる?
Q4  医療用麻薬を使い続けると体が弱くなったり,命が短くなったりする?
Q5  終末期のみに使う薬? 痛みに対する最終手段?
Q6  長期服用で耐性が起こる? 慣れて効果がなくなる?
Q7  医療用麻薬を使いながら働いたり,車を運転することはできない?
Q8  医療用麻薬を使いながら海外旅行には行けない?
Q9  医療用麻薬を使うと抗がん剤が効かなくなる?
Q10  痛みがあるときのみに頓用で使う薬?
Q11  医療用麻薬を使っていればNSAIDsの併用は不要?
Q12  副作用が多くて使いづらい?
Q13  医療用麻薬により呼吸抑制が起こる?
Q14  がん疼痛にしか使えない?

第2章 医療用麻薬を処方する
①麻薬施用者免許・麻薬管理者免許の申請の仕方
②麻薬の処方
③外来で麻薬処方せんを出す
④保険薬局における麻薬の在庫管理や譲渡の原則および実態・実情

第3章 医療用麻薬の各薬剤における特徴
①主なオピオイド鎮痛薬とケタミン塩酸塩
モルヒネ(総論)
モルヒネ塩酸塩
モルヒネ硫酸塩
オキシコドン塩酸塩
複方オキシコドン
コデインリン酸塩

フェンタニル
ケタミン塩酸塩
②その他のオピオイド鎮痛薬

第4章 医療用麻薬の剤形・投与方法別の特徴および使用方法
①内服薬
速放性製剤
徐放性製剤
②外用薬
貼付剤
坐剤
③注射剤(投与経路別)
持続皮下注入
持続静注
硬膜外投与・くも膜下投与
コラム フェンタニル貼付剤(1日製剤)

第5章 医療用麻薬開始時のポイント
①医療用麻薬によるがん疼痛管理
②医療用麻薬の開始時期
③鎮痛の目標
④医療用麻薬を安全に導入するためのポイント
⑤導入時の投与原則
⑥初回投与量
⑦投与後のモニタリングポイント

第6章 医療用麻薬によるがん疼痛管理の原則と留意点
①タイトレーション(増量と1日必要量の決定)の留意点
②レスキュー・ドーズの原則
③PCAの使い方
④オピオイドローテーションを理解する
⑤オピオイドローテーションの留意点
⑥薬剤や剤形によるPKの違いを理解する
⑦退薬症状を知る
⑧硬膜外・くも膜下投与時の留意点
⑨投与経路の変更
⑩過量投与への対応

第7章 がん疼痛以外の適応症
①各種疼痛時における鎮痛
②呼吸器症状(咳,呼吸困難の緩和)
③激しい疼痛時における鎮痛
④下痢症状の改善
⑤全身麻酔(導入および維持)における鎮痛
⑥硬膜外麻酔・脊椎麻酔における鎮痛
⑦産科麻酔における鎮痛

第8章 実際に使用するうえでの問題点
①フェンタニル貼付剤使用時の問題点
②臓器障害患者に投与する際の留意点
③高齢者に投与する場合の留意点
④服用後(挿入後)に嘔吐(排便)した場合の対処法
⑤小児に投与する際の留意点
⑥突然中止する場合の留意点
⑦手術を行う前の投与量の調整
⑧大量投与時のオピオイドローテーション
⑨投与経路が異なる同成分オピオイド鎮痛薬の併用
⑩一般的でない投与経路変更
⑪オピオイド鎮痛薬の減量

第9章 副作用とその対策
①副作用対策の考え方
②各種副作用とその対策
 便秘
 嘔気・嘔吐
 眠気
 呼吸抑制
 混乱,幻覚(せん妄)
 排尿困難,尿閉
 その他の副作用
 ケタミン塩酸塩の副作用

第10章 医療用麻薬の管理
①病棟での管理方法
②紛失した場合の対応
③病院での廃棄方法
④在宅での廃棄方法
⑤海外旅行の際に留意すること
⑥患者入院時の持参麻薬の取り扱い
⑦在宅における看取り後の麻薬の引き取り

付録 ①「麻薬管理マニュアル」改訂のポイント(平成23年4月改訂)
 ②持続皮下注射ポンプ

索引