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THE 整形内科

1版

隠岐広域連合立隠岐島前病院 白石吉彦 編集
隠岐広域連合立隠岐島前病院 白石裕子 編集
城東整形外科 皆川洋至 編集
弘前大学医学部附属病院総合診療部 小林 只 編集

定価

4,620(本体 4,200円 +税10%)


  • B5判  340頁
  • 2016年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-20501-0

エコーは近い将来,家電になる―
その前にスキルを手に入れろ!

■caracteristique:特徴■

・日本初の整形“内”科テキスト

・即完売となった雑誌特集の書籍化

・特集時から約3倍にボリュームアップ

■objet:オススメしたい方■

・運動器疾患で苦しむ患者を助けたい方

・時代の最先端を臨床に取り入れたい方

・診療の幅を広げたい方

  • 序文
  • 目次
序文
 月刊誌『治療』の2015年5月号で「THE整形内科」という特集を組みました.この特集は,へき地の診療所ベースのセッティングで,どういった疾患をどのくらいの頻度で診る機会があるか,そしてどういった処置が必要になるかという観点でつくりました.実際,内科,小児科を除く,いわゆる処置を要する外来を受診するのは,半数以上が有痛性の運動器疾患です.特集では,総論としての運動器エコー,筋膜を含むfasciaの話,漢方やボトックス®を含めた一歩突っ込んだ薬物療法の話,そして整形外科的にみた各論をまとめました.都市部で医療機関がたくさんあるところでは,必ずしもこれらすべてを実施できる必要はないでしょう.しかし,一般住民をみれば,これだけ高頻度に運動器疾患で困っている患者がいるということは事実です.この5月号は飛ぶように売れて,またたく間に完売いたしました.へき地に限らず,従来の整形外科だけでは対応しきれなかった部分の需要が高いからだと思います.
 そしてこのたび,特集を拡充させる形で書籍化することとなりました.各項目の充実はもちろんのこと,雑誌では誌面の都合で取りあげられなかった項目─ 日本における痛みの治療の現状,ヒアルロン酸やステロイド注射,肘や骨盤周囲の痛み,スポーツ外傷や救急分野における運動器エコー,保存療法の基本である装具療法や理学療法,慢性疼痛に向き合う心理療法について新たに追加しました.まだまだ発展途中の部分もたくさんありますが,現在わかっていることを可能な限り網羅し,本分野の発展性と期待を含めて作成いたしました.少しでも運動器,そして痛みに対する日常診療のお役に立てれば幸いです.


月刊誌『治療』2015年5月号 巻頭言(一部改変)
 「整形内科」って聞かないですね.神経内科があって,脳神経外科がある.消化器内科があって消化器外科がある.それなのに,なぜだか整形内科ってのは聞きません.しかし,膝が痛い,肩が痛い,腰が痛いというお年寄りはあふれるほどいます.しかも全く減る気配はない.団塊の世代が後期高齢者,そして超高齢者になっていく,あと20年はこうした患者が増え続けることが予想されます.
 その人たちを診る整形外科医が十分な数いればよいですが,全国で整形外科医は17 ,989人(2015年12月現在),筆者の働いている高齢化率全国第3位の島根県に至ってはたった105人(2015年12月現在)しかいません.全国平均では,国民約7 ,000人当たり整形外科医1人となるわけです.都市部のように整形外科の開業医が多くいるなど,整形外科医へのアクセスがよいところでは問題ないかもしれません.しかし,へき地・離島や,地方都市といった整形外科受診のハードルが高い地域が日本全国には数多くあります.そして,そういうところにこそ,簡単に受診することすらままならないお年寄りがたくさんいます.誰が彼らを診ればよいのでしょうか.へき地の診療所や中小病院の外来を担っている総合診療医などが,自分で診るしかない状況で,しかたなく診療しているのが現状ではないでしょうか.とはいえ,“患者を診る”ということに関して適当でよいわけはありません.「自分で診ることのできる疾患」「相談すべき疾患」「紹介すべき疾患」をきちんと見極めることが最も重要です.そのうえで,少しでも質の高い診察・治療ができるように努力をしなければなりません.
 骨・関節などの骨格系と,それを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなるものを「運動器」といいます.運動器の傷害のなかでも,開放性骨折などの緊急を要する疾患は,誰でもただちに手術可能な整形外科に紹介すると思います.一方,あわてなくてよい骨折の初期治療,専門医に送るタイミング,しびれや痛みのred flagなども重要です.また整形外科的な入院適応なども,案外,総合診療医には十分に知られていません.どういった疾患の,どういった状態は整形外科医へきちんとパスするべきか,整形外科にかかることができない人たちの運動器疾患を非整形外科医がどう診ていくか.こういったことを少しでも明らかにしたいと思い,この「THE整形内科」という特集が出来上がりました.本特集では,近年技術が著しく進歩した表層エコーを利用した画像診断・処置なども紹介していきます.それに加えて,慢性期の痛みやしびれに対する治療,とくに注射や薬物・理学療法,セルフケアといったことに関して,各分野のスペシャリストに執筆していただきました.へき地・離島でがんばる総合診療医の診察の質の向上に,少しでもつながれば幸いです.

2016年3月
編者を代表して 白石吉彦
目次
Ⅰ 整形内科に必要な知識と技能
 1 地域における運動器疾患の疾病頻度と必要な手技
 2 痛みの医療・民間療法に関する日本の現状
 3 レントゲン時代からエコー時代へ
 ─エコーでみえる,わかる運動器疾患─
 4 エコーのいろは
  ─Myエコーの時代がやってきた!─
 5 新しい概念「筋膜性疼痛症候群(MPS)」
 ─筋肉は痛くない!? キーワードは膜!
 すごワザ生食注射によるエコーガイド下筋膜リリース!!─
 6 痛みに対する新時代の薬物療法!
  ─NSAIDs・漢方薬からトラムセット®,リリカ®,
   サインバルタ®,そしてワンデュロ®を超えて─
 7 私もやってみた整形内科ビギナーの扱う運動器エコー
  ─はじめの一歩─
 8 在宅医療と整形内科
  ─在宅医療における小技,工夫,注意点─
 9 注射も手術もご勘弁の患者さんのために
  ─患者さんによって対応を変えよう! 整形内科はカメレオン─
10 プライマリ・ケアにおける整形内科と漢方医学
  ─急性期・慢性期の運動器の痛みにいかに漢方を使うか─
11 運動器疾患におけるヒアルロン酸注射とステロイド注射+α
12 痙縮に対するボトックス®治療
  ─手足の筋肉のつっぱり治療の極意─
13 神経ブロック
  ─地域医療で役立つ小外科時の伝達麻酔─
14 装具(含む足底板)・サポーター・皮膚テーピングなど
15 理学療法・鍼灸療法
16 セルフケア
  ─外来でできるワンランク上の患者指導─
17 胸腹の打撲を診たら肺エコーとFAST!
18 「治らない痛み」と向き合う心理療法

Ⅱ よくある運動器疾患,疾患ごとの診断と治療
19 頚診療の基本とよくある頚部痛
20 肩こり症の診断と治療
  ─局所治療からセルフケアまで─
21 これさえ読めば肩痛はこわくない!
  ─肩専門医が教える簡単で大事なポイント─
22 中高年・小児の肘痛
23 手 指
  ─神経障害・腱鞘炎・突き指─
24 腰痛・腰下肢痛
25 膝の診察の基本,診断,治療
26 骨盤周囲の痛み
27 足首の捻挫に対するエコー診療
  ─エコーを使った診断と正しい保存的治療─
28 エコーによる関節リウマチの早期診断と治療の実際
29 整形外科っぽいのに整形外科以外の疾患
30 骨粗鬆症の内服・注射治療&腰椎圧迫骨折の保存的治療
31 運動器スポーツ診療とその必須アイテムとしてのエコー
32 “しこり”の相談

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