1版
定価:3,850円(本体3,500円+税10%)
概要
専門医試験に必要なポートフォリオを全領域実例で収載!
総合診療専門医試験,家庭医療専門医試験での提出が見込まれるポートフォリオについて,対象となる詳細事例21領域,簡易事例10領域の「すべて」を実例で収載.各領域のポートフォリオを記述するときのポイント,症例の選び方,改善するポイントがわかる!ポートフォリオを通して,プライマリ・ケアに必要なコンピテンシーを理解しよう!
「ポートフォリオは難しい」と書く側からも教える側からもよくいわれます.それはなぜなのでしょうか? 筆記試験やOSCEなどの実技試験に慣れている方でも,ポートフォリオという評価法は初めてという方がほとんどでしょう.しかも,単なる事例報告ではなく,「省察」が問われるということで,一層不安が増してくることかと思います.
しかし,私自身がポートフォリオを記載し,指導してきた経験から考えると,ポートフォリオは学び得たことをもっとも自然に表現するのに最適な評価法だといえます.筆記試験やOSCEで問われるのは膨大な知識や技能の一部ですし,結果はその時の体調や直前の経験に大きく影響されます.しかし,ポートフォリオは研修の間に得た経験全体から選択でき,なおかつ文献などを参考にしながら,経験から得た学びを存分に記載することができるのです.何度も推敲できますし,指導医との対話からさらに理解を深める時間もあります.
総合診療医としての診療のエッセンスには包括的ケアや多職種連携,さらに地域志向型ケアなどが含まれますが,そこで求められるものの多くは単純な知識でなく複雑な問題解決能力です.こうした能力の評価にもポートフォリオは最適といえるでしょう.イギリスの家庭医の専門医認定試験でポートフォリオが必須となっているように,その教育的な有効性は世界中で着実に認められつつあります.
本書はそうしたポートフォリオをいかに記載し,いかに指導するか,学習者・教育者双方を意識した内容となっています.よき指導医との対話からよきポートフォリオが紡がれていきます.そうした対話のヒントが散りばめられた本書が,総合診療医としての基盤を構築することの一助となれば何よりの喜びです.
2018年6月
北海道家庭医療学センター
草場鉄周
目 次
Ⅰ章 ポートフォリオをつくるまえに
ポートフォリオの意義:どうしてポートフォリオ?
ポートフォリオの書き方
評価基準(ルーブリック)について
ポートフォリオの活かし方:生涯学習に活かすために
Ⅱ章 ポートフォリオ実例集
詳細事例
1.専門医を特徴づける能力
BPSモデル
家族志向型ケア
統合的ケア
行動変容
地域健康増進
2.すべての医師が備える能力
EBM
コミュニケーション
プロフェッショナリズム
生涯学習
施設管理・運営
チーム・ネットワーク
3.教育/研究
教 育
研 究
4.医学的な知識と技術
個人への健康増進・予防医学
幼小児・思春期
高齢者
終末期
女性・男性のケア
リハビリテーション
メンタルヘルス
救 急
簡易事例
心血管系
呼吸器系
消化器系
代謝内分泌・血液系
神経系
腎・泌尿器系
リウマチ性・筋骨格系
皮 膚
耳鼻咽喉
眼
Ⅲ章 ポートフォリオ作成プロセスモデル集
日々の継続的なケースログから抽出してポートフォリオを作成する
定期的な振り返りからポートフォリオを作成する
追い込み型でポートフォリオを作成する
Ⅳ章 Q&A
よい症例がみつからないときは?
どのエントリー項目で書けばよいのか迷ってしまう
文章が足りないときはどうしたらよい?
文章が長すぎてしまう,だらだら書いてしまうときは?
指導医に時間を取ってみてもらえないときは?
参考にすべき本はありますか?