カテゴリー: 地域医療
チャレンジ!
非がん疾患の緩和ケア
1版
梶原診療所在宅サポートセンター 平原佐斗司 編著
定価
3,740円(本体 3,400円 +税10%)
- A5判 234頁
- 2011年8月 発行
- ISBN 978-4-525-20931-5
世界の緩和ケアの潮流はがん緩和ケアから非がん疾患を含むより包括的な方向に向かっていますが,非がん疾患の緩和ケアは,患者の予後予測が困難で症状も多彩と,がん緩和ケア以上に困難な課題です.本書は非がん疾患の緩和ケアを可能な限りエビデンスに基づいて解説しました.在宅に限らず緩和ケアに従事する方々待望の,わが国初の一冊です.
- 序文
- 目次
序文
全ての人に緩和ケアの光を!
~チャレンジ!非がん疾患の緩和ケア発刊によせて~
緩和ケアは,「生命を脅かす疾患による問題に直面している全ての患者とその家族」に対して開かれるべきケアである.世界の緩和ケアの潮流は,がんの緩和ケアから非がん疾患を含む全ての患者と家族に対する緩和ケアへ,そして,緩和ケア病棟などの特別な場所で提供される特殊なケアから,自宅や介護施設などの生活の場(地域)で普通に提供されるケアへ,さらには急性期病院も含めたあらゆる場で途切れることなく提供されるケアへと,より普遍的で包括的な方向に向かっている.「全ての人に緩和ケアの光を!」は,緩和ケアの基盤となる理念である.
我が国では,今世紀に入り,在宅医療や高齢者医療の現場で,非がん疾患の緩和ケアの必要性が叫ばれるようになり,静かな広がりを見せている.しかし,未だに「緩和ケア=がんの緩和ケア」という考え方が根強く残っているのも事実である.
わが国において,がんの緩和ケアと非がん疾患の緩和ケアの両方を日々実践している医師は在宅医であろう.そして,ほとんどの在宅医は,非がん疾患の緩和ケアのほうが,がんの緩和ケアよりも困難な課題であると認識している.
それは,非がん疾患は,終末期の軌道が複雑で,症状が多様であり,それらについてのエビデンスが限定されており,各専門領域にまたがる個別の疾患群の自然経過や特性をある程度深く学ぶ必要があるため,十分な実践ができるようになるまでには,かなりの時間と労力を要するからであろう.
本書は,わが国で最初の非がん疾患の緩和ケアのテキストである.本書の執筆陣は,各領域の専門家であり,各疾患の進行期の治療や緩和ケア,在宅医療を熟知している方々である.非がん疾患の緩和ケアに関するエビデンスの不足を各専門領域で構築されてきたコンセンサスで補うことで,現場の実践に役立つ内容に仕上がっている.
本書が在宅ケアの現場や地域の病院,あるいは福祉現場で,このチャレンジングな課題に日々真摯に向き合っている多くの専門職にとってよい手引き書となることを期待している.2009年に発刊した「チャレンジ!在宅がん緩和ケア」(平原佐斗司,茅根義和編著)と合わせて,緩和ケアの実践書としてご活用いただければ幸甚である.
2011年6月
平原佐斗司
~チャレンジ!非がん疾患の緩和ケア発刊によせて~
緩和ケアは,「生命を脅かす疾患による問題に直面している全ての患者とその家族」に対して開かれるべきケアである.世界の緩和ケアの潮流は,がんの緩和ケアから非がん疾患を含む全ての患者と家族に対する緩和ケアへ,そして,緩和ケア病棟などの特別な場所で提供される特殊なケアから,自宅や介護施設などの生活の場(地域)で普通に提供されるケアへ,さらには急性期病院も含めたあらゆる場で途切れることなく提供されるケアへと,より普遍的で包括的な方向に向かっている.「全ての人に緩和ケアの光を!」は,緩和ケアの基盤となる理念である.
我が国では,今世紀に入り,在宅医療や高齢者医療の現場で,非がん疾患の緩和ケアの必要性が叫ばれるようになり,静かな広がりを見せている.しかし,未だに「緩和ケア=がんの緩和ケア」という考え方が根強く残っているのも事実である.
わが国において,がんの緩和ケアと非がん疾患の緩和ケアの両方を日々実践している医師は在宅医であろう.そして,ほとんどの在宅医は,非がん疾患の緩和ケアのほうが,がんの緩和ケアよりも困難な課題であると認識している.
それは,非がん疾患は,終末期の軌道が複雑で,症状が多様であり,それらについてのエビデンスが限定されており,各専門領域にまたがる個別の疾患群の自然経過や特性をある程度深く学ぶ必要があるため,十分な実践ができるようになるまでには,かなりの時間と労力を要するからであろう.
本書は,わが国で最初の非がん疾患の緩和ケアのテキストである.本書の執筆陣は,各領域の専門家であり,各疾患の進行期の治療や緩和ケア,在宅医療を熟知している方々である.非がん疾患の緩和ケアに関するエビデンスの不足を各専門領域で構築されてきたコンセンサスで補うことで,現場の実践に役立つ内容に仕上がっている.
本書が在宅ケアの現場や地域の病院,あるいは福祉現場で,このチャレンジングな課題に日々真摯に向き合っている多くの専門職にとってよい手引き書となることを期待している.2009年に発刊した「チャレンジ!在宅がん緩和ケア」(平原佐斗司,茅根義和編著)と合わせて,緩和ケアの実践書としてご活用いただければ幸甚である.
2011年6月
平原佐斗司
目次
第1章 非がん疾患の緩和ケアとは ~総論~
A.非がん疾患の緩和ケアをめぐる動向
B.わが国の在宅非がん疾患の終末期像
C.非がん疾患の終末期の軌道
D.非がん疾患の終末期の苦痛と緩和
E.非がん疾患の予後予測について
F.意思決定の支援について
コラム1 米国における非がん疾患の緩和ケアの動向
コラム2 非がんの終末期を支える在宅医療支援病棟と地域連携の在り方
第2章 非がん疾患の予後予測
A.予後予測についてのエビデンス
B.在宅医療での疾患別軌道の理解と予後予測の実際
第3章 高齢者の緩和ケア
A.高齢者の緩和ケアとは
B.認知症の緩和ケア
コラム3 スウェーデンの認知症緩和ケア
C.脳卒中の緩和ケア
コラム4 老衰と老衰死
D.老年症候群への緩和ケアの実際
E.高齢者の嚥下障害と経管栄養
第4章 疾患別の緩和ケアの実際
A.神経難病の緩和ケア① 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
B.神経難病の緩和ケア② パーキンソン病とパーキンソン病関連疾患
C.呼吸器疾患の緩和ケア
コラム5 人工呼吸器の差し控えと中止に関する問題
D.慢性心不全の緩和ケア
E.肝不全の緩和ケア
コラム6 腹水濾過濃縮再静注法(CART)
F.末期腎不全の緩和ケア
コラム7 透析非導入と中止の判断基準と意思決定の支援
第5章 非がん疾患の意思決定の支援
A.非がん疾患の意思決定の支援の方法① 看護師の立場から
B.非がん疾患の意思決定の支援の方法② 在宅医の立場から
資料A.疾患別の予後予測評価方法
資料B.米国,英国のガイドライン
A.非がん疾患の緩和ケアをめぐる動向
B.わが国の在宅非がん疾患の終末期像
C.非がん疾患の終末期の軌道
D.非がん疾患の終末期の苦痛と緩和
E.非がん疾患の予後予測について
F.意思決定の支援について
コラム1 米国における非がん疾患の緩和ケアの動向
コラム2 非がんの終末期を支える在宅医療支援病棟と地域連携の在り方
第2章 非がん疾患の予後予測
A.予後予測についてのエビデンス
B.在宅医療での疾患別軌道の理解と予後予測の実際
第3章 高齢者の緩和ケア
A.高齢者の緩和ケアとは
B.認知症の緩和ケア
コラム3 スウェーデンの認知症緩和ケア
C.脳卒中の緩和ケア
コラム4 老衰と老衰死
D.老年症候群への緩和ケアの実際
E.高齢者の嚥下障害と経管栄養
第4章 疾患別の緩和ケアの実際
A.神経難病の緩和ケア① 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
B.神経難病の緩和ケア② パーキンソン病とパーキンソン病関連疾患
C.呼吸器疾患の緩和ケア
コラム5 人工呼吸器の差し控えと中止に関する問題
D.慢性心不全の緩和ケア
E.肝不全の緩和ケア
コラム6 腹水濾過濃縮再静注法(CART)
F.末期腎不全の緩和ケア
コラム7 透析非導入と中止の判断基準と意思決定の支援
第5章 非がん疾患の意思決定の支援
A.非がん疾患の意思決定の支援の方法① 看護師の立場から
B.非がん疾患の意思決定の支援の方法② 在宅医の立場から
資料A.疾患別の予後予測評価方法
資料B.米国,英国のガイドライン