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カテゴリー: 循環器学

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エキスパートが本音で明かす

不整脈診療の極意

1版

公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下武志 編集

定価

3,960(本体 3,600円 +税10%)


  • B5判  179頁
  • 2015年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-22031-0

患者の多様化が進むなかで,不整脈診療はガイドラインが示す標準的医療をなぞるだけで問題ないのだろうか? 薬物治療,カテーテルアブレーション治療,デバイス治療の使い分けは? 日常診療において直面する疑問に答えるべく,不整脈診療のエキスパートが,エビデンスからさらに踏み込んだ診療のコツを26の「極意」として公開!

  • 序文
  • 目次
序文
 「極意」とは,学問や技芸などで,核心となる大切な事柄や奥義のことをいう.熟練者がその長い経験のなかで,先達者から学んだり,盗んだり,あるいは自ら編み出してきた総合的叡智と置き換えてもいいだろう.また,近い言葉に「暗黙知」という謎めいた用語がある.『広辞苑 第六版』によると,「暗黙知」とは“明確に言葉で表現することが困難な直観的・身体的・技能的な知識”をいう.現在の私が不整脈診療をするうえで,この「極意」や「暗黙知」は欠かせない,そして,これまで以上に必要とされる時代になったと感じる.その背景には,患者の高齢化と多様化があり,患者の標準化が想定しにくくなった現実がある.
 21世紀になって進歩した学問領域に,クリニカルエビデンス,同時にこれらの集大成から構築されるガイドラインがあげられる.20世紀まで,いわゆる医師の個人的経験がまかりとおり過ぎたという反省に基づくものであろう.その意味で,ガイドラインが標準的医療を示したことは医療としての大躍進である.しかし,ガイドラインには,すべての泥臭い人間的要因を恣意的かつ科学的でないと考えて排除し,同時にそのすべてを文章で明示するという「形式知」を集めたものにすぎなくなってしまうという限界がある.つまり,極意や暗黙知はエキスパート一人ひとりの視点に立脚し,人間的であるがゆえに,今はやりのガイドラインから抜けがちである.
 本書は,このような時代背景のなかで埋もれがちな,極意や暗黙知を本音で明かしていただき集積しようとした独自のテキストである.不整脈診療の第一線を担うエキスパートに「得意な分野での極意を教えてください.テーマはその極意に合わせましょう」とご依頼をし,快く引き受けてくれた先生がたの総合的叡智となっている.ガイドラインには書かれていない,にもかかわらず臨床現場で困ったときの助けになる内容だと私は信じて疑わない.
 極意は,経験によって形成されるエッセンスである.だからこそエキスパート間でも,その見解が異なることもあるだろう.そのようなときは,読者の経験やセンスに沿いやすいものを選べばよい.医療は人間的であるがゆえに本質的にそのような差異や相違を逃れえない….それらの相違点が生じることを肯定し,その集積から見えてくる新しい視座もあると考えたところが,本書の出発点である.

2015年3月
公益財団法人 心臓血管研究所 所長
CVI ARO Chairman
山下武志
目次
総論

「極意」のための極意   (山下武志)


I 不整脈診断の心得

1. ST-T解釈の極意
 不整脈や失神の病態評価に役立てる!   (渡邉重行)
2. すべての不整脈が治療対象?   (川村祐一郎)
3. 不整脈のリスク評価をどこまで行う?
 Case:健診で指摘されたBrugada型心電図波形   (臼田和生)
4. ペースメーカーを植込む?
 Case:チルト試験で10秒以上の心停止   (住吉正孝)


II 薬物で治す! 上室性不整脈

5. Ⅰ群抗不整脈薬はやめられる? いつやめる?   (渡邉英一)
6. 少量アミオダロンを使う? 使わない?
 Case:超高齢者心房細動のリズムコントロール   (髙橋尚彦)
7. 新規経口抗凝固薬の性能とそれを発揮させるコツとは?
 〜ワルファリンを超えるのも使い方次第!〜   (奥山裕司)
8. 抗凝固療法をどこまで行う?
 Case:高齢者の心房細動   (赤尾昌治)
9. 新規経口抗凝固薬のモニタリングをどう行う?   (味岡正純)
10. 新規経口抗凝固薬の効果に季節変動はある?   (鈴木信也)


III アブレーションで治す! 上室性不整脈

11. あなたの診断は本当に大丈夫?
 Case:AVNRT診断時   (吉田明弘)
12. アブレーションで注意が必要な心電図とは?
 Case:WPW症候群   (野田 崇)
13. どのようにアブレーションする?-1
 Case:非肺静脈起源の心房細動   (桑原大志)
14. Ⅰ群抗不整脈薬はどれくらい有効?
 Case:心房細動アブレーション治療後   (林 明聡)
15. アブレーションを行う? 行わない?-1
 Case:無症候性心房細動   (大塚崇之)
16. アブレーションを行う? 行わない?-2
 Case:70歳女性の慢性心房細動   (山根禎一)
17. リズムコントロールを行う?
 Case:心不全を合併する心房細動   (井上耕一)


IV アブレーションで治す! 心室性不整脈

18. どのようにアブレーションする?-2
 Case:多発性心室期外収縮   (中村知史  沖重 薫)
19. アブレーションに薬物を利用する
 Case:ベラパミル感受性心室頻拍の誘発困難例   (飯田剛幸  小林義典)
20. アブレーションと植込み型除細動器の使い分け?
 Case:器質的心疾患に合併する心室頻拍   (合屋雅彦)
21. アブレーションできる? できない?
 Case:遺伝性心室細動   (野上昭彦)


V デバイスを活用した不整脈治療

22. dyssynchronyの評価は必要?
 Case:CRTの適応決定   (石川利之)
23. 伝家の宝刀はむやみに使ってはいけません!
 ショックデバイスの有効な使い方とは?   (栗田隆志)
24. ICDが本当に必要?
 Case:70歳男性,心筋梗塞.左室駆出率30%.有意狭窄なし   (清水昭彦)
25. WCDはいつ使う?   (三田村秀雄)
26. 無症候性心房細動… 治療する?
 Case:デバイスで検出されたとき   (河野律子  安部治彦)


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