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カテゴリー: 整形外科学

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運動器の超音波

1版

筋・骨格画像研究会 木野達司 編著

定価

8,800(本体 8,000円 +税10%)


  • A4判  243頁
  • 2008年9月 発行
  • ISBN 978-4-525-22631-2

超音波診断装置は人体に侵襲がなく,非常に安全な装置である.また,反復検査が可能で,リアルタイムに患部の観察ができる唯一の診断装置でもある.本書は前作の『超音波による骨・筋・関節の観察』を発展させ,より実践的・応用的に運動器に対する超音波を学びたいというニーズに応えるべく企画された.各部の基本画像の充実はもちろん,「症例編」として多くの外傷時のエコー写真を満載した.実際の人体の断面解剖を各ページに併記し,超音波の観察をよりリアルに学ぶことができる.運動器に関わるすべての医療従事者に送る,画期的な一冊である.

  • 序文
  • 目次
序文
 近年,軟部組織に対する超音波観察の診断力が飛躍的に向上しており,有用性が認められてきている.これは医療現場において,精度の高い総合的な判断・診断を要求されているからではないだろうか.一般的に運動器領域の画像検査ではX線,CT,MRIなどの検査機器にて病態把握がなされる.しかし,これらは全て静止状態に焦点を当てたものであり,筋収縮あるいは関節運動などの動的観察には不向きである.その点,超音波診断は動的観察も可能な検査機器である.言い換えるならば筋肉や靭帯などの軟部組織の観察に最も適した検査機器であるといえよう.また,リアルタイムに観察が行えるという特性からも,持ち運び可能なポータブル超音波機器が多くの競技大会において,医療ボランティアとして従事される医療関係者の手によって活用されるケースが増加している.徐々にではあるが,選手ならびに一般の方々の超音波観察に対する認知度も上がってきているともいえる.
 このように,超音波観察における必要性が急速に増しているにもかかわらず,運動器領域における超音波の手引書が乏しいという現状を打破すべく,本書の前身となる『超音波による骨・筋・関節の観察』を平成18年3月に発刊した.これは当初,運動器領域の第一線に立つ医療従事者の方々の一助を担えればという思いから制作にあたり,でき得る限り平易かつ実際の臨床の場に生かせる構成にまとめたものであった.それ以来,読者の方々から厚いご支持を得てきたことは望外の光栄であり,同時に超音波観察のさらなる研鑽・研究の使命を痛感した.一方,運動器領域の最前線に立たれる方々に対して,もう一歩踏み込んだ観察ならびに診断を行う上で,さらなる観察箇所の拡大と走査テクニックの幅を広げた専門書が必要であるとも考えた.また近年,医療系学校の教育課程に超音波観察が組み込まれてきている背景もあり,本書の制作を決意した.
 本書の特徴は臨床の現場において遭遇する,外傷および疾患に対して適応できるよう,観察箇所を広げ,でき得る限り大きな項目で分類し,各パートで細分化して解説していく構成としたことである.書き出しには超音波観察のポイントを挙げ,概要を説明した後,各々の基本観察法の解説を提示している.さらに,画像の描出テクニックならびに画像の見方,そして観察上の留意点を詳述した.見やすいエコー画像を多く掲載し,それぞれに図説を設けることで,観察の着目点を一目で確認できるようになっている.加えて,今回は体表からのみでは観察箇所の断層解剖のイメージがつきにくい方のために,各所に参考となる断面解剖写真も掲載している.また,後半には症例画像をふんだんに盛り込んだ.疾患ごとの映り方や正常画像との違いを比較,観察していただきたい.
 運動器領域の医療従事者やこれから従事される方にとって,本書が臨床の場において超音波観察をより一層活用し,患者との信頼関係を構築し,そして正確な医療を行うためのツールとなることを期待している.
 最後に本書を執筆するにあたり多大な協力をいただいた後藤陽正先生をはじめ,筋・骨格画像研究会の先生方に心より感謝申し上げる.
 なお,本書出版に際して賛同いただき,煩雑な作業を引き受けていただいた株式会社南山堂編集部関係者および同編集部 岩崎剛氏,芳賀瑛典氏に深甚の謝意を表します.


2008年7月
木野達司
目次
第1章 超音波総論
  超音波の基礎
  超音波とは
  超音波の特性
  周波数の特徴
  音響インピーダンスとは
  超音波の反射と透過の特徴
  エコー域の特徴
  超音波観察の表示法
  プローブ(探触子)の種類と特徴
  観察部位による周波数の選択
  入射角
  アーチファクト(虚像)
  プローブ走査の基本
  LandMark
  超音波画像診断装置の調整法
  断面解剖図
  肩部
  上腕部
  肘部・前腕部
  手指部
  股関節部
  大腿部
  膝 部
  下腿部・足部
  体幹部

第2章 上肢の観察
1 肩関節周辺の観察
 A 鎖骨周辺の観察
  胸鎖関節の観察(長軸)
  肩鎖関節の観察(長軸)
  鎖骨上部の観察(長軸)
  烏口鎖骨靭帯の観察(長軸)
 B 肩外側部の観察
  腱板(棘上筋腱)部の観察(長軸)
  上腕骨近位部の観察(長軸)
  肩峰下滑液包の観察(短軸)
 C 肩前面部の観察
  結節部周辺の観察
  上腕中央部の観察(短軸)
 D 肩後面部の観察
  上腕三頭筋の観察(長軸)
  後方関節唇の観察(長軸)

 E 腱板部の観察
  腱板(棘下筋腱)部の観察(長軸)
  肩甲下筋腱の観察(長軸)
2 肘関節周辺の観察
 A 肘外側伸筋部の観察
  肘関節伸筋起始部の観察(長軸)
  近位部(長軸)および中間部(長軸)
  短軸走査
 B 肘内側部の観察
  前腕屈筋群の観察(長軸)
  内側側副靭帯(前斜走線維)
  尺骨神経の観察(長軸)
 C 肘関節部の観察
  上腕骨内側上顆の観察(長軸)
  上腕骨外側上顆の観察(長軸)
  腕橈関節部の観察(長軸)
  腕尺関節部の観察(長軸)
  上腕骨遠位端部の観察(短軸)
  上橈尺関節部の観察(短軸)
  円回内筋の観察(長軸)
 D 前腕中央部の観察
  前腕中央部の観察(短軸)
3 手指部周辺の観察
 A 手関節背側部の観察
  橈骨茎状突起部の観察(長軸)
  リスター結節部の観察(長軸)
  尺骨茎状突起部の観察(長軸)
  尺骨頭の観察(長軸)
  遠位橈尺関節(伸筋腱群)の観察(短軸)
 B 手関節掌側部の観察
  遠位橈尺関節(屈筋腱群)の観察(短軸)
  正中神経の観察(長軸)
  手根管近位部の観察(短軸)
  手根管遠位部の観察(短軸)
  尺骨神経の観察(長軸)
 C 手関節外側部の観察
  手関節外側部の長軸走査
  手関節外側部の短軸走査
 D 手根骨の観察
  舟状骨の観察(長軸)
  背側部の観察
  近位手根骨の観察(短軸)
  遠位手根骨外側の観察(短軸)
  遠位手根骨内側の観察(短軸)
  外側手根骨の観察(長軸)
  内側手根骨の観察(長軸)
 E 手指掌側部の観察
  第1手根中手関節部の観察(長軸)
  第1中手指節関節部の観察(長軸)
  第2中手指節関節部の観察(長軸)
  第1指節間関節部の観察(掌側)
  第2指節間関節部の観察(掌側)
 F 手指背側部の観察
  第5中手指節関節部の観察(長軸)
  第1指節間関節部の観察(長軸)
  第2指節間関節部の観察(長軸)
 G 側副靭帯の観察
  第2中手指節関節外側側副靱帯の観察(長軸)
  第2指節間関節外側側副靱帯の観察(長軸)
  第2指節間関節内側側副靱帯の観察(長軸)

第3章 下肢の観察
1 股関節部周辺の観察
 A 股関節前面部の観察
  股関節部の観察(長軸)
  股関節部の観察(短軸)
  大腿骨頚部の観察(長軸)
 B 骨盤骨付着筋部の観察
  縫工筋起始部の観察(長軸)
  大腿直筋起始部の観察(長軸)
 C 大腿中央部の観察
  大腿中央前面部の観察(短軸) 中央部
  大腿中央前面部の観察(短軸) 外側部
  大腿中央前面部の観察(短軸) 内側部
  大腿中央前面部の観察(長軸) 中央・外側・内側部
  大腿中央後面部の観察(短軸) 外側部,内側部
  大腿中央後面部の観察(長軸) 外側部,内側部
2 膝関節周辺の観察
 A 膝関節内側部の観察
  内側側副靭帯の観察(長軸)
  内側半月中節部の観察(長軸)
  鵞足の観察(長軸)
 B 膝関節外側部の観察
  外側側副靱帯の観察(長軸)
  外側半月中節部の観察(長軸)
  腸脛靭帯の観察(長軸)
 C 膝関節前面部の観察
  膝蓋骨(大腿四頭筋付着部)の観察(長軸)
  膝蓋靭帯(付着部)の観察(長軸)
  前十字靭帯の観察(長軸)
 D 膝関節後面部の観察
  内側半月後節部の観察(長軸)
  外側半月後節部の観察(長軸)
  後十字靭帯の観察(長軸)
3 下腿・足趾部の観察
 A 下腿中央部の観察
  前方コンパートメント(短軸)
  外側コンパートメント(短軸)
  浅・深後方コンパートメント(短軸)
  内側部の観察(長軸)
  外側部の観察(長軸)
 B 下腿下部の観察
  アキレス腱の観察(長軸)
  筋腱移行部の観察(長軸)
  アキレス腱の観察(短軸)
  筋腱移行部の観察(短軸)
 C 靭帯の観察
  前脛腓靭帯の観察(長軸)
  前距腓靭帯の観察(長軸)
  踵腓靭帯の観察(長軸)
  三角靭帯の観察(長軸)
 D 足根管の観察
  短軸走査
  長軸走査
 E 足根骨の観察
  距骨前面(底屈位)の観察(長軸)
  内側足根骨(近位,遠位)の観察(長軸)
  外側足根骨の観察(長軸)
 F 中足骨の観察
  第2中足骨の観察(長軸)
  短腓骨筋腱付着部の観察(長軸)
  第3,4,5中足骨の観察(短軸)
 G 足趾部の観察
  第1中足趾節関節部の観察(長軸)
  第2趾節間関節部の観察(長軸)
 H 足底腱膜の観察

第4章 体幹の観察
1 頚部の観察
 A 下部頚椎の観察
  棘突起の観察(長軸)
  椎弓の観察(長軸)
  椎間関節の観察(長軸)
 B 頚部の観察
  後頚部(第5頚椎)の観察(短軸)
  前頚部の観察(短軸)
2 胸椎部の観察
 A 上部胸椎の観察
  棘突起の観察(長軸)
  肋横突関節の観察(長軸)
 B 肋骨の観察
  肋硬骨・肋軟骨境界部(第7肋骨)の観察(長軸)
  肋骨角の観察(長軸)
3 腰椎部の観察
 A 腰椎の観察
  棘突起の観察(長軸)
  椎間関節の観察(長軸)
  肋骨突起の観察(長軸)
  腰仙部の観察(長軸)
  椎体部の観察(長軸)
 B 腰部の観察
  椎間関節の観察(短軸)
  仙骨部の観察(短軸)
  仙腸関節部(右側)の観察(短軸)
  腰椎側面部の観察(短軸)

第5章 特殊な観察
1 小児の観察
 A 肩部周辺の観察
  鎖骨中外1/3部の観察(長軸)
  上腕骨骨頭部の観察(長軸)
  上腕骨骨幹部の観察(長軸)
  結節間溝部の観察(短軸)
 B 肘部周辺の観察
  上腕骨外側上顆部の観察(長軸)
  上腕骨内側上顆部の観察(長軸)
  橈骨頚部の観察(長軸)
 C 手指部周辺の観察
  橈骨茎状突起部の観察と橈骨リスター結節部の観察(長軸)
  尺骨茎状突起部の観察(長軸)
  第1手根中手関節掌側部の観察(長軸)
  第2中手指節関節の観察,第2近位遠位指節間関節の観察(長軸)
 D 股関節周辺の観察
  大腿骨骨頭部の観察,大腿骨頚部の観察,大腿骨内側顆の観察
 E 膝部周辺の観察
  大腿骨内側顆の観察,大腿骨外側顆の観察(長軸)
  脛骨粗面部の観察(長軸)
 F 足趾部周辺の観察
  内果の観察,外果の観察(長軸)
  踵骨隆起部の観察(長軸)
  第1中足趾節関節部の観察,第2中足趾節関節部の観察(長軸)
 G 体幹部周辺の観察
  頚椎棘突起の観察(長軸),頚椎椎間関節の観察(長軸),頚椎棘突起の観察(短軸)
  腰椎棘突起の観察(長軸),腰椎椎間関節の観察(長軸),腰椎棘突起の観察(短軸)
2 鍼灸領域の観察(運動器領域の刺鍼)
 A 前胸部刺鍼時の観察
 B 胸背部刺鍼時の観察
 C 腰椎椎間孔近傍刺鍼時の観察
 D 腰椎椎間関節近傍刺鍼時の観察
 E 曲池穴刺鍼時の観察
 F 前腕部刺鍼時の観察
 G 前腕伸筋群刺鍼時の観察
 H 下腿部刺鍼時の観察
3 血管系の観察
 A 総頚動脈の観察
 B 内頚動脈・外頚動脈の観察
 C 椎骨動脈の観察
 D 鎖骨下動脈の観察
 E 腋窩動脈の観察
 F 上腕動脈の観察
 G 橈骨動脈の観察
 H 大腿動脈・足背動脈・後脛骨動脈の観察

第6章 疾患の観察
1 症例画像
 小児鎖骨骨折における治癒機序
 鎖骨骨折
 上腕骨外科頚外転型不全骨折
 上腕骨大結節剥離骨折
 上腕骨小結節剥離骨折
 肩鎖関節脱臼
 肩関節腋窩脱臼(整復後)
 棘上筋腱断裂(陳旧性)
 棘上筋損傷(1)
 棘上筋損傷(2)
 上腕二頭筋長頭腱断裂
 上腕二頭筋長頭腱炎
 滑液包炎
 上腕骨外顆骨折
 肘関節脱臼後の血腫像
 外側上顆炎
 手関節捻挫による関節炎症像
 コーレス骨折
 中手骨頚部骨折(ボクサー骨折)
 中節骨基底部剥離骨折における治癒機序
 マレットフィンガーII型(陳旧例)
 マレットフィンガー
 母指弾発指(屈曲不能)
 母指弾発指(軽度)
 長母指屈筋腱腱鞘炎
 第4指MP掌側部のガングリオン
 指部側副靱帯損傷
 変形性股関節症(大腿骨骨折)
 変形性股関節症による腸腰筋萎縮と関節炎
 大腿部打撲
 大腿部内側部肉離れ
 膝関節内側側副靱帯損傷
 膝関節内側半月後節部損傷
 腸脛靱帯損傷
 膝蓋上嚢炎
 分離膝蓋骨III型
 変形性膝関節症
 膝蓋靱帯石灰化(脛骨粗面付着部)
 オスグッド・シュラッテル病
 膝窩部滑液包炎の消失経過
 小児脛骨遠位骨端線離開
 腓骨遠位端骨端軟骨板損傷
 下腿(腓骨)骨折
 腓腹筋内側頭損傷と治癒機序
 下腿部打撲
 下腿浮腫(重度)
 アキレス腱断裂(新鮮例)
 第4趾趾骨不全骨折
 第5中足骨基底部骨折
 頚椎症
 肋骨骨折
 肋骨骨折の治癒機序
 腰椎捻挫における椎間関節部の炎症(1)
 腰椎捻挫における椎間関節部の炎症(2)
 胸郭出口症候群
 骨腫瘍
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