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カテゴリー: 内科学一般  |  内分泌・代謝学

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脂質異常症 診療ガイド Q&A

1版

帝京大学臨床研究センター(TARC) センター長
帝京大学医学部 臨床研究医学講座 特任教授 寺本民生 編集

定価

4,180(本体 3,800円 +税10%)


  • B5判  178頁
  • 2014年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-23401-0

動脈硬化性疾患・心筋梗塞・脳卒中をもたらす重要な危険因子である脂質異常症をLDL-C,HDL-C,TGなどの脂質値からどのように診療していくか?高血圧や糖尿病をあわせもつ場合や,ライフステージ,リスクチャートに応じた治療・管理方法とは? 具体的な症例を示しながら,経口薬の選択や管理目標値についてQ&A形式でわかりやすく解説した1冊.

  • 序文
  • 目次
序文
 わが国は,際立った高齢化社会を迎えている.超高齢社会における疾病構造に特徴的な疾患は,悪性腫瘍と脳・心血管疾患であることはいうまでもない.そして,これらの疾患が全死因の約1/3ずつを占めるだけでなく,患者のQOLを悪化させるのもまたこれらの疾患群であり,その発症予防と適切な治療は医療者・患者にとってのみならず,医療経済的にも重要課題である.
 わが国の健康政策として,対がん政策には数十年の来歴があるが,動脈硬化性疾患の予防政策が本格的に始まったのは,平成20年から導入された,特定健診・特定保健指導制度に端を発するといってよいであろう.以前より,厚生労働省は,平成8年には生活習慣病という概念を発表し,生活習慣の改善によって悪性腫瘍と脳・心血管疾患の予防が可能になるということから,平成12年には食生活や身体活動などの具体的な目標を掲げた「健康日本21」をスタートさせ,生活習慣改善に力点を置いた政策を打っている.しかし,本当の意味で,これらの政策を根づかせるためには,健診などで見いだされた患者とじかに接する医療機関での指導がきわめて重要である.そのためにこそ,生活習慣病の診療ガイドラインが各学会から発せられているのである.しかし,これも十分な認識と適切な運用がなされて初めて意味をもつものである. 本書は,日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012年版」に基づいて,臨床医にとって,どのような患者にどのような指導が重要なのか,そして,場合によってはどのような治療が適しているのかを,脂質異常症を中心に具体例をもって,専門医のご意見をもとにまとめていただいた.
 かならずや,本書が多くの実地の先生方のお役に立つことを期待するとともに,わが国における動脈硬化性疾患増加の抑制に役立つことを願うものである.

2014年3月
帝京大学臨床研究センター(TARC)センター長
帝京大学医学部 臨床研究医学講座 特任教授
寺本民生
目次
総論
ガイドラインにもとづいた実地診療 (寺本民生)
  1 診断基準の改訂
  2 絶対リスクの適用
  3 高リスク病態
  4 脂質異常症の治療


I 臨床検査値でみる ─脂質異常症の診断と管理目標─

 1 LDL-Cが高い(家族性高コレステロール血症) (斯波真理子)
  Point 1 家族性高コレステロール血症の診断の進め方
  Point 2 家族性高コレステロール血症の動脈硬化の診断の進め方
  Point 3 家族性高コレステロール血症の管理目標

 2 LDL-Cが高い(家族性複合型高脂血症) (木下 誠)
  Point 1 二次性高脂血症の除外
  Point 2 ほかの原発性高脂血症との鑑別
  Point 3 家族性複合型高脂血症の治療
  Point 4 家族性複合型高脂血症の管理で注意すべき点

 3 LDL-Cが高い(二次性高脂血症) (松島照彦)
  Point 1 二次性高LDL-コレステロール血症の診断のアプローチ
   1)ネフローゼ症候群
   2)甲状腺機能低下症
   3)閉塞性黄疸,原発性胆汁性肝硬変
  Point 2 二次性高LDL-コレステロール血症の治療方針

 4 LDL-Cが高い(生活習慣病) (松島照彦)
  Point 1 生活習慣病としての高LDL-コレステロール血症の診断のアプローチ
  Point 2 食品とLDL-コレステロール
  Point 3 食事療法の原則

 5 トリグリセライドが高い(家族性Ⅳ型高脂血症) (林 洋)
  Point 1 Ⅴ型高脂血症との鑑別診断
  Point 2 二次性高脂血症の除外診断
  Point 3 インスリン抵抗性の合併
  Point 4 家族性Ⅳ型高脂血症のトリグリセライド管理目標値は空腹時150mg/dL未満

 6 トリグリセライドが高い(家族性Ⅲ型高脂血症) (林 洋)
  Point 1 リポ蛋白電気泳動による脂質異常症の表現型分類
  Point 2 アポリポ蛋白E(アポE)の異常
  Point 3 家族性Ⅲ型高脂血症のスクリーニング方法
  Point 4 家族性Ⅲ型高脂血症の発症因子の管理

 7 トリグリセライドが高い(家族性Ⅰ型高脂血症) (真下大和)
  Point 1 家族性Ⅰ型高脂血症の特徴
  Point 2 合併症・問題点
  Point 3 具体的な検査方法

 8 トリグリセライドが高い(二次性高脂血症) (松島照彦)
  Point 1 高トリグリセライド血症の診断のアプローチ
   1)糖尿病
   2)クッシング症候群,先端肥大症,褐色細胞腫
   3)ネフローゼ症候群
   4)慢性腎不全,透析
  Point 2 二次性高脂血症の管理目標と治療方針

 9 トリグリセライドが高い(生活習慣病) (松島照彦)
  Point 1 生活習慣による高トリグリセライド血症の診断のアプローチ
  Point 2 高トリグリセライド血症に対する管理

 10 家族性LCAT欠損症 (木下 誠)
  Point 1 ほかの低HDL-コレステロール血症との鑑別
  Point 2 LCAT欠損症で認められるリポ蛋白代謝
  Point 3 LCAT欠損で出現する病型(家族性LCAT欠損症と魚眼病)
  Point 4 LCAT欠損症の治療

 11 アポA-Ⅰ異常症 (木下 誠)
  Point 1 アポリポ蛋白A-Ⅰ
  Point 2 アポA-Ⅰ欠損症とは
  Point 3 アポA-Ⅰ変異体症とは

 12 HDL-Cが低い(二次性低HDL-コレステロール血症) (松島照彦)
  Point 1 HDL-コレステロールの産生・代謝と低下の機序
  Point 2 二次性低HDL-コレステロール血症の診断のアプローチ
   1)糖尿病,メタボリックシンドローム
   2)急性肝炎,肝硬変
   3)慢性腎不全
   4)薬剤性
  Point 3 二次性低HDL-コレステロール血症の治療方針

 13 HDL-Cが低い(生活習慣病) (松島照彦)
  Point 1 生活習慣による低HDL-コレステロール血症の診断のアプローチ
  Point 2 生活習慣による低HDL-コレステロール血症への対応

 14 HDL-Cが高い (木下 誠)
  Point 1 二次性高HDL-コレステロール血症の除外
  Point 2 原発性高HDL-コレステロール血症を呈する疾患
  Point 3 コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)欠損症
  Point 4 肝性トリグリセライドリパーゼ(HTGL)欠損症


Ⅱ さまざまなリスクに応じた治療方針と薬物療法

 15 2型糖尿病 (川村光信 三宅敦子 蘆立恵子)
  Point 1 2型糖尿病における脂質異常症の特徴
  Point 2 糖尿病における脂質管理
  Point 3 糖尿病における冠動脈疾患予防のためのLDL-C管理目標値(一次予防のためのLDL-C管理)

 16 高血圧 (塚本和久)
  Point 1 高血圧症を合併する脂質異常症患者が来院したら
  Point 2 高血圧症へのアプローチ
  Point 3 脂質異常症へのアプローチ
  Point 4 薬物療法で留意するポイント

 17 喫煙 (蔵野 信)
  Point 1 初診時の対応
  Point 2 喫煙と動脈硬化
  Point 3 禁煙による動脈硬化のリスク軽減
  Point 4 喫煙合併脂質異常症の治療法

 18 二次予防(合併症のあるケース) (木庭新治)
  Point 1 冠動脈疾患(CAD)とLDL粒子
  Point 2 冠動脈疾患(CAD)の既往と高リスク病態
  Point 3 急性冠症候群(ACS)と脂質低下療法
  Point 4 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)とスタチン
  Point 5 コレステロール低下薬
  Point 6 低HDL-コレステロール血症をともなう高トリグリセライド血症とフィブラート系薬剤
  Point 7 多価不飽和脂肪酸の効果

 19 CKDにおける脂質異常の病態と治療 (渡辺 毅)
  Point 1 慢性腎臓病(CKD)における脂質異常の特徴
  Point 2 CKDにおいても脂質異常症は心血管イベント・死亡の発症リスクか?
  Point 3 CKDの進展に,脂質異常症はリスクとなるか?
  Point 4 CKDにおいて,脂質異常への介入は心血管イベント発症を抑制するか?
  Point 5 CKDにおける脂質異常への介入にはCKDの病態改善・進展抑制効果があるか?
  Point 6 CKDにおける血清脂質値の治療目標
   コラム CKDにおける脂質介入戦略について
  Point 7 CKDにおける脂質介入の基本方針

 20 家族性高コレステロール血症 (斯波真理子)
  Point 1 家族性高コレステロール血症に対する治療の基礎
  Point 2 家族性高コレステロール血症へテロ接合体患者のコントロール目標
  Point 3 成人(15歳以上)家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者の薬物療法
  Point 4 薬物治療中に気をつけるべきこと
  Point 5 家族性高コレステロール血症のなかでもとくに高いリスク

 21 末梢動脈疾患 (枇榔貞利)
  Point 1 末梢動脈疾患(PAD)の診断
  Point 2 末梢動脈疾患(PAD)合併者の予後は悪い
  Point 3 高LDL-コレステロール血症に対する治療
  Point 4 包括的管理の重要性

 22 脳卒中 (木下 誠)
  Point 1 脳卒中の病型と頻度
  Point 2 脳卒中のリスク因子
  Point 3 脂質低下療法と脳卒中
  Point 4 脳卒中予防のための方策

 23 メタボリックシンドローム (宮崎 滋)
  Point 1 メタボリックシンドロームの病態
  Point 2 メタボリックシンドロームへのアプローチの進め方
  Point 3 メタボリックシンドローム患者に対するライフスタイルの改善
  Point 4 薬物療法の選択


Ⅲ 脂質異常症の合併症のケーススタディ

 24 2型糖尿病を合併した高齢男性 (三宅敦子 川村光信)
  Question かかりつけ医で2型糖尿病の加療中の患者です.高血圧,脂質異常症についても加療されていましたが,LDL-C値が高めです.どのように治療すればよいでしょうか?

 25 高血圧を合併した高齢女性 (塚本和久)
  Question 3カ月前にめまいをともなった突発性難聴にて耳鼻咽喉科で入院加療を行い,その後の外来通院中に高血圧症と脂質異常症を指摘されて紹介受診した患者です.どのように治療すればよいでしょうか?

 26 冠動脈疾患を発症した高齢男性(二次予防) (木庭新治)
  Question 急性心不全(急性肺水腫)で入院した患者です.陳旧性心筋梗塞と診断し,冠動脈バイパス手術と左室形成術を行い,術後4カ月経過しました.心不全入院時の血液検査で脂質異常症と糖尿病を認めました.今後どのように治療すればよいでしょうか?

 27 CKDを合併した高齢女性 (渡辺 毅)
  Question 3カ月前,下腿・足部に軽度の圧痕浮腫を自覚し,受診した患者です.脂質異常の評価と治療方針はどのように決定すればよいでしょうか?

 28 家族性高コレステロール血症が疑われる壮年男性 (斯波真理子)
  Question 10年ほど前に心筋梗塞と診断され,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行されています.これまで,内服治療を行っていましたが,脂質異常がみられます.最近,再び心筋梗塞を引き起こしました.どのように対応すればよいでしょうか?


 29 末梢動脈疾患を合併した高齢男性 (枇榔貞利)
  Question 散歩中に右腓腹部の痛みが生じ,しばらく休むとまた歩くことができるという症状にて受診した患者です.以前から脂質異常症と糖尿病を指摘されていましたが,放置していました.今後,どのような検査と治療を行えばよいでしょうか?

 30 メタボリックシンドロームと診断された壮年男性 (宮崎 滋)
  Question 職場の健診でメタボリックシンドロームに該当したため,再検査と治療を指示され来院した患者です.今後,どのような検査と治療・指導を行っていけばよいでしょうか?

 31 NASHを合併した壮年男性 (蔵野 信)
  Question 健診にて肝機能異常と脂質異常症を指摘されて来院した患者です.肝炎ウイルスマーカーは陰性でした.どのように治療すればよいでしょうか?

 32 脳卒中を既往にもつ中年男性 (木下 誠)
  Question 高血圧にて5年前より加療されていた患者です.3カ月前に左上肢の感覚障害,運動障害が出現し,入院しました.その後,ラクナ梗塞と診断され,リハビリ後に退院しています.今後の治療方針はどのように決定すればよいでしょうか?

 33 急性冠症候群で入院した中年男性 (木庭新治)
  Question 急性心筋梗塞による急性心不全で入院した患者です.高LDL-コレステロール血症を認めます.今後どのように治療を進めたらよいでしょうか?

 34 痛風をきたした中年男性(藤森 新)
  Question 近所の整形外科で痛風と診断された患者です.加療により痛風発作は数日で改善しましたが,高血圧と脂質異常症,肝機能異常を指摘されて紹介受診しました.どのように対応すればよいでしょうか?


Ⅳ ライフステージ別の脂質異常症のケーススタディ

 35 小児(LDL-Cが高い) (太田孝男)
  Question コレステロール値の高い,やや肥満した学童がいます.どのように診断し,治療を行えばよいでしょうか?

 36 若年女性 (前田朝美)
  Question 健診で脂質異常を指摘された若い女性です.1年後の採血で経過観察すればよいですか? 何か治療するべきでしょうか?

 37 若年男性(初診時に家族性高コレステロール血症の疑い)  (塚本和久)
  Question 健診で,脂質異常を指摘されて来院した32歳の男性です.30歳時の健診で食事指導を受け,その後は「昼食は手づくり弁当持参でカロリー制限,夜遅くは食べない」ように注意していました.今後,どのように検査や治療を行っていけばよいでしょうか?

 38 壮年期男性 (蘆立恵子 川村光信)
  Question 人間ドックで脂質異常症を指摘された,メタボリックシンドロームを有する50代の男性です.どのような治療をすればよいでしょうか?

 39 更年期女性・閉経後女性 (松島照彦)
  Question それまでの健診では血清脂質値は正常であったが,50歳で閉経し,最近の検査では脂質異常が認められるようになった55歳の患者です.どのように診断・管理すればよいでしょうか?

 40 高齢者 (小松知広 綾織誠人 池脇克則)
  Question 脳梗塞を発症し,入院となった83歳の男性の患者です.高齢者の脂質異常症には,どのような治療介入が必要でしょうか?

Ⅴ チーム医療の実践のケーススタディ

 41 生活習慣の改善(栄養指導を管理栄養士に依頼する) (丸山千寿子)
  Question 以前から脂質異常症を指摘されていましたが,食事療法は行わずに放置されていました.心筋梗塞の家族歴もあり,食事療法を確実に実施させたいのですが,管理栄養士とどのように連携をとればよいでしょうか?

 42 生活習慣の改善(運動療法) (木庭新治)
  Question 急性心筋梗塞で入院した患者です.生活習慣の改善指導はどのように進めたらよいでしょうか?

 43 生活習慣改善(禁煙指導) (飯田真美)
  Question 健診でHDL-C値が低いことを指摘された喫煙者がいます.どのような指導をすればよいでしょうか?


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