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カテゴリー: 免疫・アレルギー学  |  産婦人科学

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臨床医のための

膠原病・リウマチ疾患と妊娠・授乳ハンドブック

1版

国立成育医療研究センター 村島温子 監修
国立成育医療研究センター 金子佳代子 編
東京都立多摩総合医療センター 綿貫 聡 編

定価

3,960(本体 3,600円 +税10%)


  • B5判  259頁
  • 2019年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-23461-4

疾患活動性をコントロールしながら妊娠・授乳をサポートする!

膠原病・リウマチ疾患は,妊娠可能年齢の女性に好発する疾患群であり,出産年齢が高齢化しているわが国では,発症後に妊娠を計画する女性が増えると予想されている.患者さんが妊娠・授乳を諦めることなく,膠原病治療と両立するために,妊娠前から出産後までの薬物治療や管理のポイントをまとめた,この分野のバイブル的な一冊である.

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  • 監修のことば
  • 序文
  • 目次
監修のことば
 原因不明で生涯にわたって闘病が必要な患者さんの役に立ちたいと,膠原病を専攻してから約35年が経つ.恩師や諸先輩からの熱心な指導を受けながら膠原病道を究めるべく修行していたつもりだったが,目の前の患者さんのニーズに応えるべく奔走していたら,気がつくと母性内科という道に入ってしまっていた.この歳になると名刺の交換をする機会が多い.決まって「ご専門は何ですか?」と尋ねられる.このようなときには端的に答えなければならないと思うのだが,「非常にニッチな領域ですし…」という枕詞から始まって,非常にくどい説明となってしまう.その根底には「膠原病合併妊娠は自分にとっては最も重要でやりがいのある分野だけれども,普通興味ないですよね…」という,テーマとしたらマイノリティであるという想いと,そのための遠慮があるのだと思う.マイノリティであることは膠原病を扱う主たる学会である日本リウマチ学会総会・学術集会の抄録集を見れば一目瞭然である.
 そんな状況下,2015年の学術集会で,「膠原病と妊娠」に関する素晴らしいポスター発表が他の施設からされていた.嬉しくなった私と金子佳代子先生とで声をかけさせていただいたのが綿貫 聡 先生との出会いである.その後,綿貫先生の人並みならぬ実行力と金子先生の綿密な企画力が融合し,膠原病に特化した母性内科研究会である「妊娠と膠原病を考える会」の発足と本書発刊が実現したわけである.そして,これらの取り組みを通して,当該テーマに興味をもち,情報源を欲している膠原病医が少なくないことが実感できた.
 このように,若手の膠原病医2人の熱意により発案された本書ではあるが,エビデンスが限られた当該分野にあって,渾身の原稿をお寄せいただいた先生方のご理解とご協力があったからこその発刊であり,ここに深甚なる謝意を表したい.
 膠原病治療の進歩の先にあるのはQOLの向上であり,その最たるものが妊娠・出産ではなかろうか.本書が膠原病診療において「妊娠に関するテーマ」が当然のように語られる環境をつくっていく牽引役となれたなら,この上ない喜びである.
 最後に,本書の出版を快く引き受けてくださった南山堂のご理解と,大城梨絵子 氏の多大なご支援に感謝申し上げる.

2019年3月

国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター
妊娠と薬情報センター

村島温子
序文
 「慢性疾患をもつ一人でも多くの女性に,安全に元気な赤ちゃんを産んでもらいたい」そんな思いで産科の研修医から膠原病内科医に転向し,もう15年が経ちます.この15年の間に,同じ思いをもつ多くの先生方と知り合うことができ,また尊敬する上司との出会いもあり,本書の出版に至りました.この場をかりて,今回の執筆に関わってくださったすべての先生方,そして出版まで辛抱強くサポートしてくれた南山堂の大城さんに心から感謝を申し上げたいと思います.
 本書のきっかけは,2015年の日本リウマチ学会総会・学術集会での,東京都立多摩総合医療センターリウマチ膠原病科 綿貫 聡 先生との出会いにさかのぼります.彼も私も,ちょうど膠原病合併妊娠を題材にした演題をポスター発表しており,お互いの発表について意見を交わし合ったのが始まりでした.その後,綿貫先生が私の施設を訪ねてくださり「膠原病と妊娠について,みんなで意見交換をする会をやりましょう!」という熱いラブコールを受けて,2015年12月に「妊娠と膠原病を考える会」がノンプロフィットの会として始まりました.その後,綿貫先生のご尽力もあり,当初はわれわれと多摩総合医療センター,昭和大学病院リウマチ・膠原病内科のメンバーで始めたものが,毎回30〜40人のさまざまな施設の先生方にご参加いただくまでに発展し,2018年12月には第6回目の会を開催するに至っています.本書は,まさにこの「妊娠と膠原病を考える会」で提示された症例や,話し合った内容が基になり編集されました.
 この会を運営するにあたり,大切にしていることが一つあります.それは「治療の選択に正解はない」ことを大事にし,それぞれの施設での経験,選択された治療方針を尊重してそれを共有することです.合併症妊娠,特に膠原病合併妊娠の世界には確固たるエビデンスというものは存在しません.膠原病合併妊娠は稀少疾患であり,しかも数十年前まで子どもをもつという希望さえもてなかった女性がさまざまな困難を乗り越えて妊娠します.受け入れる医療者側にも十分な経験がなく,膠原病患者さんが予期せぬ妊娠をされた場合,患者さんのみならず医療者側にも多少の混乱が生じます.そのような中で,医療者と患者さんが一生懸命に考え選択した治療,それが,その時点ではベストの選択であると考えます.
 最後に,わが子をこの胸に抱くことを願いながら,病と闘い尊い命を散らされた,ある膠原病患者さんに本書を捧げたいと思います.

2019年3月

編者を代表して 金子佳代子
目次
座談会


第1章 膠原病と妊娠・授乳の基礎知識

1.妊娠前
 ①妊娠を考える女性患者を前にしたときの対応
 ②プレコンセプションケアの実際
 ③生殖年齢の女性患者に注意して使用する薬剤
 ④内科医のための婦人科疾患の基礎知識
 ⑤内科医のための不妊治療の基礎知識
 ⑥内科医のための避妊の基礎知識

2.妊娠中
 ①妊娠経過中のフォローアップで気をつけること
 ②妊娠・授乳中における侵襲的な検査

3.分娩時
 ①内科医のための分娩の基礎知識

4.出産後
 ①産後うつ
 ②産後圧迫骨折
 ③産後の薬物療法
 ④乳児へのワクチン対応

5.健やかな中高年への移行に向けた管理
 ①更年期障害
 ②長期合併症


第2章 各疾患と妊娠・授乳

1.関節リウマチ
 ①症 例
 ②妊娠前に考慮すべきこと
 ③妊娠中および出産後に考慮すべきこと
 ④妊娠可能女性に対する治療計画
 ⑤実際のマネジメント

2.全身性エリテマトーデス
 ①症 例
 ②妊娠を希望する患者へ説明すること
 ③妊娠前に評価すべき項目
 ④妊娠中の病態増悪時の対応
 ⑤ヒドロキシクロロキンの適正使用
 ⑥分娩時
 ⑦出産後

3.抗SS-A抗体陽性妊娠(シェーグレン症候群含む)
 ①症 例
 ②妊娠前
 ③妊娠中
 ④出産後

4.抗リン脂質抗体症候群
 ①症 例
 ②妊娠前
 ③妊娠中
 ④分娩時
 ⑤出産後
 
Column APSの診断・治療の問題点

5.膠原病類縁疾患
 ①強皮症
 ②成人スティル病
 ③高安動脈炎
 ④炎症性筋炎
 ⑤ベーチェット病

6.自己炎症疾患(家族性地中海熱)
 ①診 断
 ②症 例
 ③妊娠前
 ④妊娠中
 ⑤分娩時
 ⑤出産後
 ⑥症例の患者からの質問に対するAnswer

7.妊娠合併症
 ①流産・早産
 ②胎児発育不全
 ③妊娠高血圧症候群
 ④妊娠糖尿病
 ⑤妊娠中の甲状腺機能異常

付 録 
妊娠を考えている膠原病患者さんに知っておいてほしいこと

索 引
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