南山堂

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かかりつけ医とケアスタッフのための

BPSD対応マニュアル

BPSDの早期発見と早期治療を目指して

改訂2版

いわて盛岡認知症介護予防プロジェクト もの忘れ検診専門医部会 編集

定価

2,200(本体 2,000円 +税10%)


  • A4判  106頁
  • 2013年2月 発行
  • ISBN 978-4-525-24132-2

認知症における易怒性・徘徊などのBPSD(周辺症状)への対応法をビジュアルにわかりやすく解説していると大好評の本書が,認知症への薬物療法の選択肢が増えたことなどを踏まえて待望の改訂.患者環境をよく知るかかりつけ医やケアスタッフが,介護者にBPSDへの適切な対応法を伝え,基本的な薬物療法を習得・実践していくためのテキスト.

  • 序文
  • 目次
序文
 第1版を発刊して,早くも4年になります.盛岡市では,平成14年に医師会が主導で,もの忘れ検診がスタートし,かかりつけ医が主役の検診によって,多くの早期認知症およびMCIの患者様が発見され,かかりつけ医の先生方も認知症医療に熟達して来られました.そんな中,かかりつけ医の先生から,BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia,認知症に伴う行動症状および精神心理学的症状)の治療マニュアルがほしいという要望にお応えして,第1版を作成しました.
 2011年,アルツハイマー病の診断ガイドラインが,アルツハイマー病協会(AA)と米国立加齢研究所(NIA)によって27年ぶりに改訂されました.この改訂の要点は,アルツハイマー病の研究の促進および根本治療を念頭に,軽度の症状を伴う軽度認知障害(MCI),さらには,“症状発現前preclinical”ステージまでを含めて,病理学的に連続したプロセスをアルツハイマー病としてとらえていること,および,血中や髄液中の特定の蛋白質の変化などいわゆる“バイオマーカー”の使用を組み入れた点です.さらに,2011年には,わが国で,アルツハイマー病治療薬であるガランタミン,リバスチグミン,メマンチンの3種が認可され,これまでドネペジルのみに限られていた,アルツハイマー病治療薬に複数の選択肢ができました.
 アメリカの診断ガイドラインの改訂がかかりつけ医の先生方の臨床にどのように反映されるかは即断できませんが,社会の高齢化はさらに進行し,認知症の人の数は年を追うごとに増加しており,新薬の認可と相まって,認知症か否かの診断に加えて,原因疾患は何なのか,BPSDの関わりはどうかなど,それに対してどう対応すべきかなど,かかりつけ医の先生方の認知症への関わりは,ますます重要となっていくと思います.
 第2版では,認知症治療薬の解説を一部改め,また,かかりつけ医やケアスタッフが,認知症初期に気づいて理解するためのスクリーニングシートを解説とともに加えました.本書が,かかりつけ医やケアスタッフがBPSDを含めた認知症の人の症状,思いを,早期から理解し,適切なケアや薬物療法を習得し,実践する参考となれば幸いです.
 本書第1版は,いわて盛岡認知症介護予防プロジェクト もの忘れ検診専門医部会のメンバーである岩手医科大学内科学講座 神経内科・老年科分野 故高橋 智准教授が中心となって企画,編集し出版されました.第2版でも彼が中心となり改訂が行われましたが,最終稿の校正を前にして逝去されました.私どもは彼の遺志を継いで,今後も研鑽を続けていきたいと思います.

平成24年12月
いわて盛岡認知症介護予防プロジェクト もの忘れ検診専門医部会一同
目次
中核症状と周辺症状

BPSDとは

周辺症状からBPSDへ

BPSDの理解と対処の基本

BPSDをかかりつけ医が治療するメリット
  早期発見と早期からの介入
  時間をかけて、介護者に繰り返し説明できる
  患者背景を考慮した治療法の選択

BPSDの非薬物療法
  やすお じいちゃん物語

かかりつけ医に必要な認知症の診断基準
  認知症およびアルツハイマー病の臨床診断基準
  血管性認知症の診断基準
  レビー小体型認知症の臨床診断基準
  前頭側頭型認知症の臨床診断基準
  アルツハイマー型認知症の臨床経過(FAST)
  FASTにおける各病期の臨床的特徴

介護保険における認知症性老人の日常生活自立度判定基準

記憶の分類と車の運転

アルツハイマー病の病期とBPSD

認知症の原因疾患・背景因子とBPSD

認知症の中核症状への対応
  中核症状に対する非薬物療法
  中核症状に対する薬物療法

アルツハイマー病における抗アルツハイマー病薬の効果とBPSD治療

『いわて盛岡型もの忘れ包括スクリーニングシート』
  かかりつけ医とケアスタッフのためのいわて盛岡型もの忘れ包括スクリーニングシート
  スクリーニングシートを用いた気づきのフローチャート

『いわて盛岡型もの忘れ包括スクリーニングシート』の運用方法
  ①中核症状:記憶障害とその自覚,実行機能障害
  ②うつ病の除外
  ③せん妄の除外
  ④Treatable dementiaの除外 正常圧水頭症,慢性硬膜下血腫の除外
  ⑤Treatable dementiaの除外 甲状腺機能低下症の除外
  ⑥変性疾患の診断 レビー小体型認知症,パーキンソニズムの診断
  ⑦変性疾患の診断 前頭側頭型認知症の診断
  ⑧血管性認知症および脳血管障害合併の診断
  ⑨アパシー(意欲低下)の有無の確認
  ⑩中核症状の出現に伴う焦燥,易怒性,うつ状態の出現の確認
  ⑪もの盗られ妄想,その他の被害的妄想の確認
  ⑫病前性格の確認

スクリーニングシートの活用例
  症例1:72歳女性
  症例2:54歳女性
  症例3:63歳男性

ワンポイント講座
  前頭葉症状
  前頭葉傷害を示唆する病的反射
   吸引反射(Sucking Reflex)
   把握反射(Grasp Reflex)
   強制把握反射(Forced Grasping Reflex)
   手掌オトガイ反射(Palmomental Reflex)

  悪性症候群・セロトニン症候群・横紋筋融解症

  薬剤性パーキンソニズム

  筋固縮の診かた
  せん妄

認知症の諸症状に対する治療薬の分類とお勧めベスト13アイテム

認知症の諸症状に対する治療薬の分類
  抗精神病薬
  抗うつ薬
  抗不安薬
  焦燥・興奮への生薬
  気分安定薬
  睡眠導入薬
  やる気導入薬

“認知症治療の13アイテム”
  1.ドネペジル
  2.ガランタミン
  3.リバスチグミン
  4.メマンチン
  5.アマンタジン
  6.抑肝散
  7.トラゾドン
  8.ミルタザピン
  9.セルトラリン
  10.バルプロ酸
  11.クエチアピン
  12.リルマザホン
  13.ロラゼパム

“その他のBPSD治療薬”
  14.パロキセチン
  15.ゾルピデム
  16.ゾピクロン
  17.ミアンセリン
  18.チアプリド
  19.スルピリド
  20.カルバマゼピン
  21.クロナゼパム
  22.オランザピン
  23.リスペリドン
  24.ハロペリドール
  25.ブロチゾラム
  26.エチゾラム

かかりつけ医のための認知症の諸症状に対する治療薬―13アイテム

索引
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