カテゴリー: 循環器学
この症状を見逃さない 戦略的循環器疾患の診かた
1版
北里大学 名誉教授 和泉 徹 監修
北里大学 准教授 東條美奈子 編集
定価
4,400円(本体 4,000円 +税10%)
- B5判 272頁
- 2014年3月 発行
- ISBN 978-4-525-24551-1
循環器疾患の患者数は非常に多く,高血圧・動脈硬化など,その臨床像・患者背景は多彩である.また糖尿病,CKDなどの疾患を合併している例が多く,他科のプライマリケア医が頻繁に循環器疾患に遭遇する.循環器専門医の思考プロセスを俯瞰し,その症状からどのような戦略的な考え方で鑑別?診断していくかを解説した実践書である.
- 序文
- 目次
序文
循環器疾患には緊急を要する患者が多く含まれ,ファースト・タッチのプライマリケアを担当する医師の見立てにより,患者の予後が大きく左右されるといわれて
いる.
さらに循環器疾患の患者数は非常に多く,高血圧や脂質異常症など動脈硬化性疾患の原因となる生活習慣病やメタボリックシンドロームにはじまり,心房細動や狭心症,心不全などの頻度の高い疾患,さらには時に致死的となる不整脈や心筋梗塞,重症心不全など,その臨床像・患者背景は多彩である.また近年は,糖尿病,CKD,COPD,骨粗鬆症・ロコモティブシンドロームなどの他疾患を合併している,多疾患有病者の高齢者症例も急激に増加してきている.このため他科の医師や,プライマリケア医にとっても,循環器疾患の患者に遭遇する機会が大変多くなってきており,「どこまでが緊急事態で,どこまで様子をみてよいのか,いつ専門医に紹介すべきかがわからない」と相談を受ける機会が少なくない.
最初に本書の出版のお話をいただいたときに,近未来に実現するであろう,診療支援ツールとしての電子化書籍をイメージし,非循環器専門医であっても,目の前の患者の訴えや症状から的確なキーワードを抜き出し,検索できるような書籍にしたいと考えた.本書では,循環器疾患でよくみられる患者の訴えとともに,見逃されやすい症状にも焦点をあて,「胸部症状,神経学的症状,下肢症状,不定愁訴」別に項目立てし,その具体的症例のなかで循環器専門医の思考プロセスを俯瞰し,どのような戦略的な考え方で診断・治療していくかを解説した実践書としたいと考えた.また,循環器専門医以外の読者が理解しやすいよう,重要な症状に対する見逃さないアプローチ,初診時の所見,初診における考え方,診断・治療経過,疾患解説と,プライマリケア医やこれから循環器専門医をめざす研修医に,目の前の患者をイメージしながら読み進めることのできる,読み物的な要素の強い書籍とし,ページをぱらぱらとめくりながら,気になるページからいつでも読み進めていただけるような構成とした.
本書では,循環器疾患を見落とさないための基本知識から,一般内科医でも可能な標準治療,手術適応から最新治療までを紹介する.ストーリー性の高い読み物として診療の合間に,楽しく知識の整理・補充をしていただけるような本としてお読みいただければ,編者としてこのうえなく嬉しく思う.
最後にお忙しい中,本書の執筆・出版にご協力いただいたすべての方々に,心よりお礼を申し上げたい.
2014年1月
編著者を代表して
東條美奈子
いる.
さらに循環器疾患の患者数は非常に多く,高血圧や脂質異常症など動脈硬化性疾患の原因となる生活習慣病やメタボリックシンドロームにはじまり,心房細動や狭心症,心不全などの頻度の高い疾患,さらには時に致死的となる不整脈や心筋梗塞,重症心不全など,その臨床像・患者背景は多彩である.また近年は,糖尿病,CKD,COPD,骨粗鬆症・ロコモティブシンドロームなどの他疾患を合併している,多疾患有病者の高齢者症例も急激に増加してきている.このため他科の医師や,プライマリケア医にとっても,循環器疾患の患者に遭遇する機会が大変多くなってきており,「どこまでが緊急事態で,どこまで様子をみてよいのか,いつ専門医に紹介すべきかがわからない」と相談を受ける機会が少なくない.
最初に本書の出版のお話をいただいたときに,近未来に実現するであろう,診療支援ツールとしての電子化書籍をイメージし,非循環器専門医であっても,目の前の患者の訴えや症状から的確なキーワードを抜き出し,検索できるような書籍にしたいと考えた.本書では,循環器疾患でよくみられる患者の訴えとともに,見逃されやすい症状にも焦点をあて,「胸部症状,神経学的症状,下肢症状,不定愁訴」別に項目立てし,その具体的症例のなかで循環器専門医の思考プロセスを俯瞰し,どのような戦略的な考え方で診断・治療していくかを解説した実践書としたいと考えた.また,循環器専門医以外の読者が理解しやすいよう,重要な症状に対する見逃さないアプローチ,初診時の所見,初診における考え方,診断・治療経過,疾患解説と,プライマリケア医やこれから循環器専門医をめざす研修医に,目の前の患者をイメージしながら読み進めることのできる,読み物的な要素の強い書籍とし,ページをぱらぱらとめくりながら,気になるページからいつでも読み進めていただけるような構成とした.
本書では,循環器疾患を見落とさないための基本知識から,一般内科医でも可能な標準治療,手術適応から最新治療までを紹介する.ストーリー性の高い読み物として診療の合間に,楽しく知識の整理・補充をしていただけるような本としてお読みいただければ,編者としてこのうえなく嬉しく思う.
最後にお忙しい中,本書の執筆・出版にご協力いただいたすべての方々に,心よりお礼を申し上げたい.
2014年1月
編著者を代表して
東條美奈子
目次
総 論
1 戦略的循環器疾患の診かた・診断の進めかた
1 緊急性の高さを診る
2 見逃さないための問診のポイント
3 典型的な症状の出にくい患者
4 データの過去比較で診断精度を高める
5 戦略的に循環器症状を診るために
2 症状鑑別のための問診,身体所見,検査の組み立て
1 問診のしかた
2 身体所見のとりかた
3 検査の組み立て
[症状鑑別のための14項目]
3 専門医へすぐに紹介が必要な急性疾患とその対応
1 どのような疾患をすぐに紹介すべきなのか
2 症状・病歴からのアプローチ
3 どのような検査をすべきか
4 リスクファクターについて
4 疾病管理の主役を担う,かかりつけ医の役割
1 超高齢社会の疾病構造
2 かかりつけ医に期待される疾病管理
3 動脈硬化進展予防のためのリスクファクター是正を
4 心筋梗塞二次予防?慢性心不全発症予防のための疾病管理
5 命を支える地域医療
6 医療費の最多を占める「循環器系疾患」
7 循環器専門医に紹介する際に,提供してほしい情報
8 かかりつけ医から循環器専門医への注文
9 かかりつけ医ならではの対話中心の医療を見直す
各 論 Ⅰ 胸部症状
症状1 胸 痛
症状2 息切れ
症状3 動 悸
症状4 咳 嗽
症状5 胸部圧迫感
症状6 夜間の胸部圧迫感
症状7 胸部重苦感
症状8 激烈な背部痛
各 論 Ⅱ 神経学的症状
症状9 めまい
症状10 運動時に生じるめまい
症状11 失 神
症状12 異常な眠気
症状13 意識消失
各 論 Ⅲ 下肢症状
症状14 下腿浮腫
症状15 全身性浮腫
症状16 むくみ
症状17 歩行障害
症状18 足の激痛
症状19 筋力低下
各 論 Ⅳ 不定愁訴
症状20 倦怠感
症状21 気分障害
症状22 夜間多尿
症状23 歯 痛
症状24 食欲低下
症状25 すっきりしない
症状26 胃のむかつき
症状27 発 熱
付 録:戦略的な臨床診断にすぐに役立つガイドライン解説
1 戦略的循環器疾患の診かた・診断の進めかた
1 緊急性の高さを診る
2 見逃さないための問診のポイント
3 典型的な症状の出にくい患者
4 データの過去比較で診断精度を高める
5 戦略的に循環器症状を診るために
2 症状鑑別のための問診,身体所見,検査の組み立て
1 問診のしかた
2 身体所見のとりかた
3 検査の組み立て
[症状鑑別のための14項目]
3 専門医へすぐに紹介が必要な急性疾患とその対応
1 どのような疾患をすぐに紹介すべきなのか
2 症状・病歴からのアプローチ
3 どのような検査をすべきか
4 リスクファクターについて
4 疾病管理の主役を担う,かかりつけ医の役割
1 超高齢社会の疾病構造
2 かかりつけ医に期待される疾病管理
3 動脈硬化進展予防のためのリスクファクター是正を
4 心筋梗塞二次予防?慢性心不全発症予防のための疾病管理
5 命を支える地域医療
6 医療費の最多を占める「循環器系疾患」
7 循環器専門医に紹介する際に,提供してほしい情報
8 かかりつけ医から循環器専門医への注文
9 かかりつけ医ならではの対話中心の医療を見直す
各 論 Ⅰ 胸部症状
症状1 胸 痛
症状2 息切れ
症状3 動 悸
症状4 咳 嗽
症状5 胸部圧迫感
症状6 夜間の胸部圧迫感
症状7 胸部重苦感
症状8 激烈な背部痛
各 論 Ⅱ 神経学的症状
症状9 めまい
症状10 運動時に生じるめまい
症状11 失 神
症状12 異常な眠気
症状13 意識消失
各 論 Ⅲ 下肢症状
症状14 下腿浮腫
症状15 全身性浮腫
症状16 むくみ
症状17 歩行障害
症状18 足の激痛
症状19 筋力低下
各 論 Ⅳ 不定愁訴
症状20 倦怠感
症状21 気分障害
症状22 夜間多尿
症状23 歯 痛
症状24 食欲低下
症状25 すっきりしない
症状26 胃のむかつき
症状27 発 熱
付 録:戦略的な臨床診断にすぐに役立つガイドライン解説