EOLC for ALL すべての人にエンドオブライフケアの光を
非がん性呼吸器疾患の緩和ケア
全ての人にエンドオブライフケアの光を!
1版
霧ヶ丘つだ病院 院長 津田 徹 編
梶原診療所在宅総合ケアセンター長 平原佐斗司 編
定価
4,180円(本体 3,800円 +税10%)
- B5判 267頁
- 2017年7月 発行
- ISBN 978-4-525-24881-9
「苦しい」にできること あります!
日本では健康保険の緩和ケアの対象が,がんとAIDSに限定されているが,COPDや間質性肺炎など呼吸不全患者の苦痛は大きく,緩和ケアを必要としている.また実際,現場では多職種によるケアが行われ,エビデンスも確立されつつある.本書では,包括的リハビリテーションから薬物療法,支持療法,意思決定支援まで,患者を支える手段を解説する.
- 序文
- 目次
序文
全ての人にエンドオブライフケアの光を!
日本では健康保険における緩和ケアの対象は「がん」と「HIV感染症」に限定されています.しかし,その他の疾患においても,終末期における苦痛や痛み・不安などはがん患者に匹敵するといわれています.呼吸器領域についても,COPDや間質性肺炎等による呼吸不全患者の苦痛は大きく,緩和的なケアのニーズは非常に高いことがわかります.
緩和ケアは,がん,非がんなどの疾患を問わず,場所を問わずに提供されるべき基本的ケアであることは,世界の緩和ケアの歴史からも自明のことであります.厚生労働省では「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」において,「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方」が検討課題に挙がったことは,すべての人に緩和ケアが提供されることを望む患者,家族,医 療者にとって大きな意味をもつこととなります.
循環器のみならず,呼吸器疾患,腎疾患,神経難病,認知症などにも緩和ケアが必要であり,有効です.
日本呼吸器学会から出されたCOPDガイドライン第4版(2013年)では,呼吸器疾患では初めて疾患特有の終末期対応について取り上げ,2015年 日本緩和医療学会において日本呼吸器学会・神経内科学会のジョイント企画であるシンポジウム:専門領域と緩和ケアのコラボレーションが開催されました.がんの緩和医療に携わってこられた先生方も非がん性疾患への取り組みをサポートしていただけるということになりました.現場では医療チームの手厚いケアが行われている反面,非がん性呼吸器疾患の緩和ケアにつては成書が少ないのが現状でした.このシンポジウムを契機として,この本が企画され,日本全国の慢性呼吸器疾患に取り組んでいる医師,理学療法士,慢性疾患看護専門看護師,慢性呼吸器疾患看護認定看護師,ソーシャルワーカー,ケアマネージャー,臨床美術士,音楽療法士に原稿を寄せていただきました.
がんと比べ予後予測も終末期の見極めも困難である非がん性呼吸器疾患,本書では急性期から在宅医療まで,症状緩和,支持療法,家族・医療者へのケア,呼吸器内科それぞれの医療現場や地域包括といった複合的な視点について書いていただきました.緩和ケア実践への道標となる一冊となればありがたいと考えております.
2017年5月
津田 徹
平原佐斗司
日本では健康保険における緩和ケアの対象は「がん」と「HIV感染症」に限定されています.しかし,その他の疾患においても,終末期における苦痛や痛み・不安などはがん患者に匹敵するといわれています.呼吸器領域についても,COPDや間質性肺炎等による呼吸不全患者の苦痛は大きく,緩和的なケアのニーズは非常に高いことがわかります.
緩和ケアは,がん,非がんなどの疾患を問わず,場所を問わずに提供されるべき基本的ケアであることは,世界の緩和ケアの歴史からも自明のことであります.厚生労働省では「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」において,「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方」が検討課題に挙がったことは,すべての人に緩和ケアが提供されることを望む患者,家族,医 療者にとって大きな意味をもつこととなります.
循環器のみならず,呼吸器疾患,腎疾患,神経難病,認知症などにも緩和ケアが必要であり,有効です.
日本呼吸器学会から出されたCOPDガイドライン第4版(2013年)では,呼吸器疾患では初めて疾患特有の終末期対応について取り上げ,2015年 日本緩和医療学会において日本呼吸器学会・神経内科学会のジョイント企画であるシンポジウム:専門領域と緩和ケアのコラボレーションが開催されました.がんの緩和医療に携わってこられた先生方も非がん性疾患への取り組みをサポートしていただけるということになりました.現場では医療チームの手厚いケアが行われている反面,非がん性呼吸器疾患の緩和ケアにつては成書が少ないのが現状でした.このシンポジウムを契機として,この本が企画され,日本全国の慢性呼吸器疾患に取り組んでいる医師,理学療法士,慢性疾患看護専門看護師,慢性呼吸器疾患看護認定看護師,ソーシャルワーカー,ケアマネージャー,臨床美術士,音楽療法士に原稿を寄せていただきました.
がんと比べ予後予測も終末期の見極めも困難である非がん性呼吸器疾患,本書では急性期から在宅医療まで,症状緩和,支持療法,家族・医療者へのケア,呼吸器内科それぞれの医療現場や地域包括といった複合的な視点について書いていただきました.緩和ケア実践への道標となる一冊となればありがたいと考えております.
2017年5月
津田 徹
平原佐斗司
目次
1.非がん性呼吸器疾患の緩和ケアを巡って
A. 緩和ケアにおける動向
B. 呼吸器内科医からみた現状と課題
C. 呼吸器疾患終末期における海外および日本のガイドライン
Column① 非がん性呼吸器疾患における終末期の用語の整理
2.非がん性呼吸器疾患の症状と緩和
A. 各種症状とその緩和の意義
B. 呼吸困難
Column② 呼吸困難の病態生理と症状緩和
3.疾患ごとの呼吸不全末期の病態・治療・経過・予後
A. 慢性閉塞性肺疾患(COPD
【事例】終末期に至る前に呼吸リハを十分行えた事例
B. 間質性肺炎
【事例】間質性肺炎終末期にオピオイドも導入した事例
C. 気管支拡張症
【事例】繰り返す入院歴のある気管支拡張症の事例
D. 高齢者肺炎―医療・介護関連肺炎(NHCAP)を中心に―
【事例】認知症に伴う重症肺炎例の終末期の緩和ケア
E. 肺結核後遺症
【事例】肺結核後遺症の終末期事例
F. 非結核性抗酸菌症
【事例】23年間の経過を追えた肺MAC症の事例
4.症状緩和の方法
A. 終末期の包括的呼吸リハビリテーション
(1) 終末期の包括的呼吸リハビリテーションの目的と意義
(2) 呼吸法
(3) 息切れしない動作の工夫(ADLトレーニング)
(4) 呼吸介助
(5) 排痰ケア
(6) 運動療法(COPD/間質性肺炎)
(7) 栄 養
(8) 神経筋電気刺激
B. 在宅酸素療法
C. 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)
D. ネーザルハイフロー
【事例】終末期呼吸不全に至ったCOPDと間質性肺炎に対してネーザルハイフローを使用した事例
E. 薬物療法
F. 精神症状への対応
G. 看護ケア―慢性呼吸器疾患認定看護師の活用―
H. 在宅酸素療法患者の禁煙支援
Column③ 呼吸器疾患終末期の吸引のエッセンス
Column④ 呼吸を楽にする動作・姿勢
5.呼吸不全のサポーティブケア
A. サポーティブケアの目的と意義
B. アロマテラピー
C. 音楽療法
【事 例】自己表現,気分転換を目的としたベッドサイドにおける音楽療法,うつ的な気分の軽減を目指したベッドサイドにおける音楽療法
D. 臨床美術
E. ストレスマネジメント
Column⑤ 呼吸器障害者のフライングディスク競技
6.予後予測と意思決定支援
A. 予後予測
B. 意思決定支援
7.ソーシャルサポートとケアマネジメント
A. ソーシャルサポート
B. ケアマネジメント
【事 例】COPDで在宅酸素療法中.急性増悪による入退院を繰り返しているA氏の支援事例
8.非がん性呼吸器疾患患者を支えるシステム
A. 病院中心モデル(霧が丘つだ病院の例)
【事 例】チーム医療で進めたCOPDの終末期の事例
B. 在宅中心モデル(いきいきクリニックと川崎地域の例)
【事 例】地域包括ケアを駆使できているCOPDの事例
【事 例】24時間寄り添う家族が主体となった間質性肺炎の事例
【事 例】グループホームで看取った結核後遺症の事例
C. 地域中心モデル(長野県北信地区の例)
【事 例】終末期までフライングディスクを楽しめたCOPDの事例
巻末資料
1.諸外国の終末期に関する基準
2.呼吸困難の予後予測に関する指標
3.呼吸状態の評価方法
4.その他の評価尺度
5.主な吸入薬一覧
6.その他緩和に使う薬
索 引
A. 緩和ケアにおける動向
B. 呼吸器内科医からみた現状と課題
C. 呼吸器疾患終末期における海外および日本のガイドライン
Column① 非がん性呼吸器疾患における終末期の用語の整理
2.非がん性呼吸器疾患の症状と緩和
A. 各種症状とその緩和の意義
B. 呼吸困難
Column② 呼吸困難の病態生理と症状緩和
3.疾患ごとの呼吸不全末期の病態・治療・経過・予後
A. 慢性閉塞性肺疾患(COPD
【事例】終末期に至る前に呼吸リハを十分行えた事例
B. 間質性肺炎
【事例】間質性肺炎終末期にオピオイドも導入した事例
C. 気管支拡張症
【事例】繰り返す入院歴のある気管支拡張症の事例
D. 高齢者肺炎―医療・介護関連肺炎(NHCAP)を中心に―
【事例】認知症に伴う重症肺炎例の終末期の緩和ケア
E. 肺結核後遺症
【事例】肺結核後遺症の終末期事例
F. 非結核性抗酸菌症
【事例】23年間の経過を追えた肺MAC症の事例
4.症状緩和の方法
A. 終末期の包括的呼吸リハビリテーション
(1) 終末期の包括的呼吸リハビリテーションの目的と意義
(2) 呼吸法
(3) 息切れしない動作の工夫(ADLトレーニング)
(4) 呼吸介助
(5) 排痰ケア
(6) 運動療法(COPD/間質性肺炎)
(7) 栄 養
(8) 神経筋電気刺激
B. 在宅酸素療法
C. 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)
D. ネーザルハイフロー
【事例】終末期呼吸不全に至ったCOPDと間質性肺炎に対してネーザルハイフローを使用した事例
E. 薬物療法
F. 精神症状への対応
G. 看護ケア―慢性呼吸器疾患認定看護師の活用―
H. 在宅酸素療法患者の禁煙支援
Column③ 呼吸器疾患終末期の吸引のエッセンス
Column④ 呼吸を楽にする動作・姿勢
5.呼吸不全のサポーティブケア
A. サポーティブケアの目的と意義
B. アロマテラピー
C. 音楽療法
【事 例】自己表現,気分転換を目的としたベッドサイドにおける音楽療法,うつ的な気分の軽減を目指したベッドサイドにおける音楽療法
D. 臨床美術
E. ストレスマネジメント
Column⑤ 呼吸器障害者のフライングディスク競技
6.予後予測と意思決定支援
A. 予後予測
B. 意思決定支援
7.ソーシャルサポートとケアマネジメント
A. ソーシャルサポート
B. ケアマネジメント
【事 例】COPDで在宅酸素療法中.急性増悪による入退院を繰り返しているA氏の支援事例
8.非がん性呼吸器疾患患者を支えるシステム
A. 病院中心モデル(霧が丘つだ病院の例)
【事 例】チーム医療で進めたCOPDの終末期の事例
B. 在宅中心モデル(いきいきクリニックと川崎地域の例)
【事 例】地域包括ケアを駆使できているCOPDの事例
【事 例】24時間寄り添う家族が主体となった間質性肺炎の事例
【事 例】グループホームで看取った結核後遺症の事例
C. 地域中心モデル(長野県北信地区の例)
【事 例】終末期までフライングディスクを楽しめたCOPDの事例
巻末資料
1.諸外国の終末期に関する基準
2.呼吸困難の予後予測に関する指標
3.呼吸状態の評価方法
4.その他の評価尺度
5.主な吸入薬一覧
6.その他緩和に使う薬
索 引