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カテゴリー: 腎・泌尿器科学

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対話で学ぶ 腎不全と透析療法の知識

改訂4版

望星病院 院長 北岡建樹 著

定価

4,950(本体 4,500円 +税10%)


  • B5判  284頁
  • 2014年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-25814-6

初学者にとって理解しにくい腎不全と透析療法について,対話とエピソードでわかりやすく記述.また,本書に散りばめられたmemoのコーナーでは覚えておきたい知識が満載となっている.
今回の改訂ではCKD,AKIなどの概念にも触れ,実地で透析に携わっている方にオススメの一冊.

  • 序文
  • 目次
序文
 2002 年に米国腎臓財団により慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念が提唱され,瞬く間に世界中に波及し,わが国も日本腎臓学会が中心となり,CKD の意義とその対策の重要性が社会的に認知されてきている.以前より慢性の腎臓疾患については,学校検尿を初めとして健康診断や検診において尿検査の重要性が認識され,専門医と開業医との病診連携がうまく機能していたのであるが,さらに腎臓病専門医以外の医師にも一般的にも腎臓病について理解してもらい,早期発見と早期治療により,その進行を阻止することが重要になっている.
 この理由は世界的に CKD の終末像である末期腎不全・尿毒症から透析治療に移行する症例が増加していること,しかも末期腎不全に至る以前に,心血管系の合併症による死亡が注目されていること,さらに透析治療においては患者の QOL や ADL が不良であることに加えて国家として医療経済の負担が過大であることである.このような理由から CKD 対策が国家的な規模で取り組まれることになっている.特に近年では CKD をきたす原因として,いわゆる慢性腎炎以外に生活習慣に関係した糖尿病や高血圧・高齢化に伴った腎硬化症が目立っていることが特徴になっている.
 この CKD に加えて,急性腎不全といわれた急激な腎機能の低下を生じる疾患群は,急性腎臓傷害(acute kidney injury:AKI)と称されるようになり,今までの急性腎不全の概念をより包括的にとらえた内容になっている.
 今回の本書の改訂に当たって,CKD および AKI という概念を中心にする必要が生じた.このことは既刊の本書の内容がすべて陳腐となったわけではなく,基本的な部分は何も変わらないのであるが,CKD の普及により種々のガイドラインが示され,これにより腎臓病専門医以外の一般人を含めて,その内容が平易に理解でき,ガイドに従って診療することが可能になったのである.ただし,CKD の疑念は世界共通のものであるため,概念や用語ならびに診療方針が年々改訂されつつある.新規の内容が提唱されることは,これも学問の進歩と考えて納得するしか無いようである.
 今回の改訂に当たって,本書の特徴は初心者に腎不全・透析療法の基礎的な知識を学んでもらうのが目的であり,対話による内容はそのままとして,新しい概念や最新の情報に関しては書き改めることにした.あくまでも CKD/AKI に沿った内容であり,読みやすさをモットーにして改訂したということである.

2014年 4月
北岡建樹
目次
CKDの定義


1 保存期腎不全の診かたと治療

 ある紹介患者とのであい
  腎疾患における問診
 腎機能検査
 腎臓のはたらきとは?
 タンパク尿の原因?
 画像診断検査
 CKDの病期分類
 腎疾患の進行と障害因子
 慢性腎不全と食事療法
  腎不全の食事療法を受ける
 保存期腎不全の薬物療法

memo
 腎疾患の診療のすすめ方 CKDによる診療法
 糸球体濾過値の求め方
 腎機能検査の種類
 腎臓の構造とそのはたらき
 タンパク尿の分類
 タンパク尿の検査
 血尿の意義と原因
 高血圧の原因と分類
 腎疾患と画像検査
 腎生検の意義
 CKDの重症度分類とSeldin分類
 尿毒症の症候
 尿毒症毒素の概念
 血清尿素窒素値の解釈
 血清クレアチニン濃度の解釈
 慢性腎不全の原因疾患
 腎疾患の進行度 血清クレアチニン濃度の逆数による予測
 腎不全の食事療法の考え方
 食事療法の意義
 腎不全の栄養状態の把握
 低タンパク治療用食品
 腎不全に使用される降圧薬
 腎不全に使用される利尿薬
 保存期腎不全に使用される薬物療法


2 CKDの原因疾患

 医師会での講演会
   病理組織学的分類/慢性腎炎の概念
 IgA 腎症
 ネフローゼ症候群
  微小変化型/巣状分節性糸球体硬化症/膜性増殖性糸球体腎炎/膜性腎症
 質疑応答

memo
 慢性腎炎の進行度の予測
 WHO による糸球体腎炎の分類
 腎炎の進行を予防する薬剤
 ANCA 関連腎炎


3 全身性疾患による慢性腎不全

二次性の糸球体腎炎
 糖尿病性腎症と糖尿病による腎障害
 ループス腎炎
  SLE以外の膠原病による腎障害
 高血圧による腎障害
 痛風による腎障害

memo
 糖尿病性腎症の病変
 糖尿病性腎症の病期分類
 ループス腎炎の病因
 高血圧と腎障害
 痛風腎に対する治療
 多発性骨髄腫による腎障害


4 透析療法の基礎知識

 透析治療の原理
  ダイアライザ(透析器)
 ダイアライザの種類
 透析の効率
   限外濾過率/透析膜の種類
  透析液
   多人数用供給装置と個人用供給装置
  ナトリウム
  カリウム
  カルシウム
  マグネシウム
  アルカリ化剤
  重曹用透析液使用の問題点
  ブドウ糖濃度の意義
  希釈水

memo
 物質移動の原理
 拡散に影響する因子
 除去量の概念
 水分除去量の設定法
 透析膜の種類
 透析液の K 濃度について
 透析液の至適 Ca 濃度とは
 透析液の Mg 濃度について
 粉末透析液(顆粒型透析液)
 透析液の処理水の問題
 エンドトキシンとは


5 バスキュラーアクセスの方法と抗凝固法

 バスキュラーアクセスとは
 外シャント
 内シャント
 抗凝固法

memo
 シャントの合併症
 内シャントの合併症と対策
 抗凝固薬の種類と特徴


6 長期透析患者の主要な合併症

 腎性貧血
  エリスロポエチン/EPO の副作用
 心血管系の合併症
  心不全の成因/ドライウエイトの設定法/動脈硬化症/高血圧の原因と対策
 脳・神経系の合併症
  不均衡症候群
 末梢神経障害
 腎性骨症
  骨のリモデリング/副甲状腺機能低下症/CKD-MBDの対策
 透析アミロイドーシス
 透析アミロイドーシスの対策
 感染症と免疫不全
  悪性腫瘍
 後天性腎嚢胞(多嚢胞腎)

memo
 鉄欠乏性貧血の原因と対策
 新しい EPO 製剤・ESAの種類
 ドライウエイト(基準体重)の設定
 動脈硬化症と心血管系の障害
 透析患者の低血圧
 透析患者の中枢神経障害
 腎性骨症の画像検査
 腎性骨症の病型
 腎性骨症・二次性副甲状腺機能亢進症の対策
 PTXの適応
 透析患者の免疫関連細胞と感染症
 透析患者と不明熱
 透析患者と悪性腫瘍
 多発性嚢胞腎と後天性嚢胞腎


7 透析療法の適応と必要な検査項目

 透析開始の基準
 透析療法における検査
 導入期・安定期の定期検査
 合併症に対する検査
 長期透析患者の検査

memo
 透析療法の導入にあたって
 特殊な事情の透析開始時期
 透析による検査の目標値
 適正透析とは
 維持透析患者の検査について


8 透析中の偶発症と事故

 透析困難症
 透析期の血圧低下の原因
 透析期の血圧上昇
 筋痙攣の原因と対策
 そう痒症の原因
 透析中の事故
 透析液濃度異常
 透析膜破損(リーク)
 凝血・残血
 空気誤入

memo
 透析中の血圧低下の原因
 地震・停電などの事故とその対策


9 透析法の選択とその実際

 透析の諸条件の決め方
 ダイアライザの選択
 透析の条件設定
 透析効率の問題
 透析液の選択
 抗凝固薬の選択
 血液流量の考え方
 QBの設定法
 透析時間の設定法
 透析治療法の開始時の注意
  一般状態の確認/透析開始時の操作/圧設定の方法
 透析中のチェック項目
 返血時の注意事項
  穿刺部位の消毒
 透析終了後の注意

memo
 血液浄化法の種類
 ダイアライザの使用に関して
 QBとクリアランスの関係
 透析の操作の実際について


10 透析期腎不全の食事療法

 透析期食事療法の意義
 繊維食の意義
 食事調査の意義
 透析導入期の食事療法
 食事調査の評価上の問題点
 塩分摂取の注意
 水分摂取量について
 タンパク質の摂取量
 カリウムの摂取
 リンの摂取
 自由食という意味

memo
 透析患者の食事療法の意義
 糖尿病を合併した腎不全の食事
 食事から摂取できる塩分量
 塩分摂取量
 水分の摂取量について
 カロリーとタンパク質について
 カリウム摂取量について


11 急性腎不全・急性腎障害

 急性腎不全の分類
  腎前性急性腎不全/腎性急性腎不全/腎後性急性腎不全
 乏尿性急性腎不全の病期区分
 急性腎不全の鑑別診断
 腎毒性薬物・薬剤による急性腎不全
 特殊な急性腎不全
  横紋筋融解症による腎障害/播種性血管内凝固症候群
 急性腎不全の治療方針
  フロセミド試験
 急性腎不全の透析導入基準
 透析治療の基本方針
 治療成績と予後
 血液浄化法の選択
  血液濾過法/持続的血液濾過法/血液灌流法とプラスマフェレーシス
 透析治療の継続と中止の時期
 救急の処置
 栄養管理

memo
 腎虚血に対する腎臓の反応
 NSAIDsによる腎障害
 O-157による溶血性尿毒症症候群
 急性腎不全における透析療法の開始基準
 急性腎不全における透析治療の目標と対策
 CAVHについて


12 持続的外来腹膜透析法と腎移植

 持続的外来腹膜透析
   家庭透析〜在宅透析
  CAPDの適応患者の選択
  CAPD 用透析液
  CAPD の合併症
  カテーテルの管理
   注液・排液における注意とトラブルの原因/操作上の注意観察事項
  腹膜炎
   透析の効率/腹膜平衡試験
 腎移植
   透析療法と腎移植の選択/腎移植数
  治療成績と拒絶反応
   拒絶反応の型/拒絶反応に対する治療法/生体腎移植と献腎移植/献腎移植の問題点

memo
 CAPDの原理と特徴
 CAPD の合併症
 被嚢性腹膜硬化症
 腎移植における感染症
 ABO式の血液型不適合移植
 再生医療と腎移植


13 透析療法の進歩と新しい知識

 アミロイドーシスとエンドトキシン
   適正透析

memo
 透析液とエンドトキシン
 サイトカイン
 サイトカイン(モノカイン)仮説
 透析による尿素窒素濃度の変動 urea kinetics
 タンパク異化率について
 標準化透析量
 MIA症候群


14 糖尿病性腎症による透析治療の問題点とその対策

 保存期腎不全の治療の指針
  糖尿病性腎症の食事療法/糖尿病性腎症による末期腎不全治療の困難さ
 透析治療への導入指針
 透析療法の問題点と予後
  血糖管理/二次性副甲状腺機能低下症/神経・筋障害
 血管系の合併症
  糖尿病性眼合併症
 糖尿病の消化器系合併症
 診療上のチェックポイント
  血糖コントロールの目標/低血糖発作の防止と治療/透析困難症の対策

memo
 糖尿病性腎症に対する薬物療法



15 高齢透析患者の合併症と日常生活の注意点

 高齢者の特徴
  体液の変化/高齢者の身体的特徴/高齢者の精神的特徴/高齢透析患者の診療の注意事項
 透析治療における注意点
  体重管理の重要性
 ADLを阻害する合併症
  腎性貧血の対策/腎性骨症の対策/不眠,そう痒症
 食事療法と栄養の評価
  食事療法の工夫
 精神・心理的な問題
  精神・心理的な障害に対する工夫
 日常生活の質の向上をめざして
  日常生活の工夫/要介護透析患者の増加

memo
 透析医療の将来は



本書で使用した略語一覧
索引
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