南山堂

カートを見る

カテゴリー: 栄養学  |  臨床看護学

立ち読み
注文数:

在庫あり

実践!ケースに学ぶ

栄養管理・食事指導エキスパートガイド

1版

京都大学大学院医学研究科 教授 稲垣暢也 編集
京都大学大学院医学研究科 講師 長嶋一昭 編集
京都大学医学部付属病院 疾患栄養治療部 副部長 幣 憲一郎 編集

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • B5判  260頁
  • 2015年1月 発行
  • ISBN 978-4-525-26051-4

治療において栄養管理の貢献度が高く重要な役割を担った症例を紹介し,検査値から病態を読み解き,実際に栄養管理を行うコツを医師と栄養士がわかりやすく解説! 栄養管理・食事指導を医療の補助的手段としてだけでなく,治療手段のひとつとして捉えなおし,生活習慣病やがん周術期を含む37疾患の症例を通して,基本から実践まで学べる1冊.

  • 序文
  • 目次
序文
 臨床栄養学においては,終戦後長らく低栄養を問題にした「不足の栄養学」が中心でした.高度成長期を経て,近年は逆に「過剰の栄養学」へと大きくシフトし,食事の過剰摂取をコントロールしていくことが主眼として論じられるようになりました.その一方で,わが国の高齢化社会の著しい進展とともに,高齢者の栄養不足や老衰による廃用症候群,寝たきりなどの問題が認識され,サルコペニア(筋肉量の減少)やフレイル(ぜい弱性)の兆候には十分な注意を払って栄養介入・栄養治療をしていくことが重要な課題となってきています.
 本書では,栄養管理を単なるエネルギー摂取量あわせの「足し算」「引き算」にとどめることなく,エネルギーと栄養素の適材・適量・最適化のための「足し算」「引き算」の栄養管理,同じ量のエネルギーを摂取する際に栄養素や食材・食形態の組み合わせにも配慮する「かけ算」の栄養管理の考えかたで,栄養管理・食事指導を医療の補助的手段としてばかりでなく,治療手段のひとつとしてとらえ直し,治療の過程で栄養管理や食事指導が重要な役割を担ったさまざまな疾患のケースを通して,栄養療法の基本から実践までを学んでいくことを目的としています.
 これまで京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部では,長年にわたり糖尿病などの代謝性疾患や呼吸器疾患・消化器疾患などで診療を受ける多くの外来患者さん・入院患者さんに対し,栄養管理・食事指導に地道に取り組み,幅広い成果を上げてきました.このたび,京大病院をはじめとして,栄養管理や食事指導に熱意をもって取り組んでいる医療機関において,培ってきた数々の経験のなかから,栄養管理・食事指導の寄与率が高く,治療の主軸となった症例を,ご紹介いただきました.それぞれの症例の解説にあたって,医師と栄養士・管理栄養士がパートナーを組み,疾患における患者背景や栄養管理に必要な検査値をもとに,まず医師により病態を読み解き,栄養指導の前提となる疾患に関する知識をわかりやすく解説したうえで,現場の第一線で活躍する栄養士・管理栄養士により日ごろの食事指導や栄養管理の工夫やノウハウを公開しています.
 栄養管理をはじめとする療養指導では,医師,栄養士・管理栄養士とともに看護師,薬剤師,臨床検査技師など,それぞれの医療職の専門性を活かした多職種連携やチーム医療が大切であり,それぞれの立場からの提案・アプローチを結集することでこそ,治療効果ならびに患者さんのQOLの向上が望めます.本書を通して明日からの実践に役立つ知識を身につけ,現場での栄養管理・食事指導に役立てていただければ幸いです.

2014年12月
京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授
京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 部長
稲垣暢也
目次
Ⅰ.総論

  1 糖質・脂質・たんぱく質の作用と代謝  (田中 仁 細川雅也 津田謹輔)
  2 水・電解質・酸塩基平衡の基礎知識 ─アシドーシスとアルカローシス─  (川﨑英二)
  3 栄養管理に必要な検査値の読み方  (中屋 豊)


Ⅱ.疾患別の栄養管理

  4 糖尿病  (稲垣暢也 長嶋一昭 幣 憲一郎)
  5 脂質異常症  (細川雅也 和田啓子)
  6 腎臓病(腎炎)  (佐々木 環 市川和子)
  7 腎臓病(ネフローゼ症候群)  (長嶋一昭 浅井加奈枝)
  8 腎臓病(糖尿病腎症)  (藤本新平 伊與木美保)
  9 腎臓病(腎不全保存期)  (藤本新平 伊與木美保)
 10 腎臓病(透析期) ─腹膜透析から血液透析への移行例─  (佐々木 環 市川和子)
 11 肥満症  (藤倉純二 水野菜穂子)
 12 高尿酸血症・痛風  (濵崎暁洋 藤田美晴)
 13 骨粗鬆症  (田中 清 桑原晶子 太田淳子 楊 鴻生)
 14 高血圧  (曽根正勝 和田啓子)
 15 心不全  (原田範雄 古御門恵子)
 16 動脈硬化性疾患(狭心症・心筋梗塞)  (中屋 豊 栢下淳子)
 17 動脈硬化性疾患(脳卒中・脳血管障害)  (冨田 努 辻 秀美)
 18 摂食・嚥下障害  (八十田明宏 藤田美晴)
 19 逆流性食道炎  (池松禎人 岡本康子)
 20 胃炎  (佐々木真美 岡本智子)
 21 消化性潰瘍  (佐々木真美 岡本智子)
 22 脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎  (三宅映己 利光久美子 日浅陽一)
 23 慢性肝炎  (徳本良雄 利光久美子 日浅陽一)
 24 肝硬変・肝不全  (藤田義人 玉井由美子)
 25 胆石症  (田中大祐 京面ももこ)
 26 膵炎  (河本 泉 北谷直美)
 27 炎症性腸疾患(クローン病)  (佐々木雅也 岩川裕美)
 28 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)  (佐々木雅也 岩川裕美 髙岡あずさ)
 29 食道がん術後  (池田香織 松原亜海)
 30 胃がん周術期  (池松禎人 岡本康子)
 31 膵全摘術後  (森野勝太郎 岩川裕美)
 32 吸収不良症候群  (鈴木壱知 牧岡 舞)
 33 便通異常(下痢)  (鈴木壱知 牧岡 舞)
 34 COPD  (小倉雅仁 大島綾子)
 35 免疫抑制状態(易感染性)  (山根俊介 御石絢子)
 36 食物アレルギー  (原島伸一 井田めぐみ)
 37 貧血(鉄欠乏性貧血)  (山本卓也 黒江 彰 矢野秀樹)
 38 貧血(巨赤芽球性貧血)  (山本卓也 黒江 彰 矢野秀樹)
 39 褥瘡  (三谷恒雄 真壁 昇)
 40 終末期・緩和ケア  (梶山 徹 真壁 昇)


Ⅲ.患者背景に応じた指導

 41 高齢者・超高齢者(サルコペニア)  (玉井由美子)
 42 高齢者・超高齢者(歯周病)  (辻 秀美)
 43 仕事が不規則  (和田啓子)
 44 偏食傾向・食べ過ぎ  (井田めぐみ)
 45 疾患を未受容  (大島綾子)
 46 軽度認知症  (水野菜穂子)
 47 自己流  (浅井加奈枝)
 48 アルコール・間食がやめられない  (松原亜海)
 49 外食  (古御門恵子)
 50 健康食品  (京面ももこ 御石絢子)


Topics & Key Words コラム

 ・DPP-4阻害薬と栄養指導  (矢部大介 岩崎真宏 桑田仁司 清野 裕)
 ・食品交換表の改訂  (福井道明)
 ・食塩摂取制限  (山根俊介)
 ・SGLT2阻害薬  (藤田義人)
 ・GI(グライセミック・インデックス)  (藤倉純二)
 ・スポーツをした日の栄養摂取  (原田範雄)
 ・脂肪酸(短鎖脂肪酸,n-3系多価不飽和脂肪酸,EPAとDHA)  (濵崎暁洋)
 ・医薬品との相互作用  (山際岳朗)
 ・肥満外科手術  (卯木 智)
 ・食べる順番と血糖値  (岩崎真宏 桑田仁司 矢部大介 清野 裕)
 ・リフィーディング症候群  (田中大祐)
 ・多職種連携  (原島伸一)
 ・プレバイオティクス・プロバイオティクス・シンバイオティクス  (城尾恵里奈)
 ・生物時計・生活リズム・睡眠  (黒瀬 健)
 ・かおり・おいしさ・だし  (小倉雅仁)
 ・カーボカウントと糖質制限  (長嶋一昭)


付録Ⅰ 疾患の分類と基準
付録Ⅱ 検査項目一覧  (岡﨑一幸)


日本語索引
外国語索引
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む