書籍カテゴリー:放射線医学/核医学

医用画像情報学
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診療放射線技術選書
医用画像情報学

第3版

  • 帝京大学福岡医療技術学部診療放射線学科教授) 桂川茂彦 編

定価:3,564円(本体3,300円+税8%)

  • A5判 328頁
  • 2014年3月 発行
  • ISBN978-4-525-27933-2

概要

診療放射線技師を目指す学生のための定番教科書,診療放射線技術選書シリーズ.医用画像情報学の授業内容に対応した目次立てになっており,必須知識を偏りなく得ることができる.今回の改訂では,より時代に即した教科書とするべく医療情報システムの章を大幅にアップデートし,システム構築方法をはじめとする必須知識を盛り込んだ.

序文

 改訂2版の出版から7年が経過した.この間もコンピュータやネットワークに関連する技術の進歩は急速であり,それらの技術に大きく依存している医療情報システムに関する記述の改訂の必要に迫られ,あわせて他の項目も見直し,改訂3版を出版することになった.なお,旧版同様,医用画像情報学分野の重要用語は,本文中で色文字にしている.

 現在の医療現場で使用されている主要な医用画像モダリティ,たとえば,ディジタルX線撮影装置,CT,MRI,超音波診断装置,SPECT,PETなどは本書の初版が出版された2006年にはすべて出現しており,その後,それらのハードウェアの進歩はあったものの,画像診断に大きく影響を与えるような画期的で新しいモダリティは出現していない.しかし,被験者に対する侵襲を軽減させて,画質を向上させる努力は常に行われてきた.とくに2011年3月に起きた福島第1原子力発電所の事故以来,放射線による人体への影響は国民的な関心事となり,医療被曝に対しても非常に敏感になってきた.
 しかし,放射線を用いた画像検査の目的は,あくまでも疾病の発見や治療の効果を検証することにある.したがって,その目的を達成できないような被曝線量の低減はいたずらに患者を被曝させるだけで意味が無く,画像に含まれる情報を最大限に描出できるような画質および画像診断の有用性を維持しながらの被曝線量の低減が必要になる.

 画質や診断の有用性の維持を図るには,画像評価が非常に重要となり,モダリティが異なっても,同じ概念の画像評価法が適用されている.たとえば,CTでも平面X線画像と同じように,解像特性と雑音特性はMTFとノイズパワースペクトルで評価され,また,診断における有用性の評価はROC解析で評価される.したがって,本書で詳細に記述している画像評価法は,どのようなモダリティにも適用できる基本的な評価法であり,患者被曝線量の低減が注目されている現状では,ますます重要性を増してきている.

 本書で扱う医用画像情報学には,画像の基本的な性質の理解や,画像の評価が含まれ,また,画像処理と画像の分析で診断に役立つ情報を強調する技術や,情報技術(IT)を使って,画像の保存や通信を行う技術が含まれる.このように発生した画像の性質,評価,分析,通信までを含む総合的な過程を理解することで医用放射線技術学の基礎を学び,進歩が続く放射線医療に大きく貢献できる診療放射線技師が育つことを期待する.


2014年2月
桂川 茂彦

目次

1章 医用画像情報学とは  (桂川茂彦)  

A.医用画像の歴史  

B.本書で扱う医用画像情報学の範囲  



2章 フーリエ変換  (桂川茂彦)  

A.空間周波数とは  

B.フーリエ級数展開とフーリエ変換
1.周期関数とフーリエ級数  
a.周期関数  
b.周期関数のフーリエ級数展開  
c.複素フーリエ級数  
2.フーリエ変換とその性質  
a.フーリエ変換とは  
b.偶関数および奇関数のフーリエ変換  
c.フーリエ変換の対称性  
d.パーシバルの定理  
e.畳み込み積分定理  
C.フーリエ変換の応用  
1.方形パルスのフーリエ変換  
2.デルタ関数のフーリエ変換  
3.デルタ関数列のフーリエ変換  
4.線形システム応答  
5.二次元ディジタル画像の離散フーリエ変換  



3章 X線画像の形成  (藤田広志)  

A.画像形成と診断  
1.画像形成  
2.X線画像診断  

B.アナログ画像の形成  
1.画像形成過程  
2.画質に影響する因子  
a.X線スペクトル  
b.幾何学的不鋭  
c.ヒール効果  

C.ディジタル画像の形成  
1.ディジタル系における画像形成装置  
2.ディジタル化  
a.A/D変換  
b.標本化  
c.量子化  
d.時間情報のディジタル化
3.標本化  
a.サンプリング間隔  
b.サンプリング定理  
c.エリアシングエラー  
4.量子化  
a.量子化間隔  
b.量子化誤差  
5.画像のディジタル化と画質  
a.画 素  
b.アパーチャ効果  
c.サンプリング格子  
d.画質への影響  
6.画像のデータ量  
7.CRにおける画像形成  
8.FPDにおける画像形成


  
4章 画像の評価  

A.入出力特性  (杜下淳次)  
1.増感紙—フィルム系の入出力特性  
a.フィルムのコントラスト特性  
b.ベース+カブリの写真濃度  
c.ダイナミックレンジ  
d.フィルム特性曲線のその他の利用法  
2.ディジタルX線画像システムの入出力特性  
a.X線TV系の入出力特性  
b.ディジタルX線画像システム  
3.フィルム特性曲線やディジタル特性曲線の測定法  

B.解像特性  
1.空間領域における評価  
a.広がり関数  
2.空間周波数領域における評価  
3.MTFの定義と測定法  
a.スリット法  
1)スリット  
2)トランケーションエラー  
3)エリアシングエラー  
b.矩形波チャート法  
1)矩形波レスポンス関数の測定  
2)コルトマンの式  
3)矩形波レスポンス関数のフィッティング  
4)矩形波チャート法の測定の正確度と再現性に影響を及ぼすおもな技術的因子  
c.エッジ法  
4.ディジタルX線画像システムの解像特性  

C.ノイズ特性  
1.画像におけるノイズの影響  
2.X線光子の統計的な性質  
a.写真濃度の変動と透過率およびX線量の変動  
3.ノイズ特性の評価法  
a.RMS粒状度  
b.自己相関関数  
c.ウィーナースペクトル  
d.ノイズの解析  
4.増感紙—フィルム系におけるノイズの構成  
5.ディジタルX線画像システムのノイズ特性の評価  

D.DQE  
1.DQEの定義  
2.DQEの測定  
3.DQEの解釈と注意点  

E.ROC解析  (白石順二)  
1.客観的評価と主観的評価  
2.診断能  
3.感度・特異度とROC曲線  
4.両正規分布ROC解析の理論  
a.両正規分布とROC曲線  
b.カーブフィッティング  
5.ROC観察者実験の手順  
a.実験目的と信号の決定  
b.試料の作成  
c.試料の収集  
d.ROC観察者実験の試料数  
e.予備実験  
f.観察者の選択および数  
g.学 習  
h.評定実験  
i.読影順序効果  
j.独立評定実験と連続評定実験  
k.データ入力とカーブフィッティング  
6.データ解析とROC曲線間の統計的検定  
7.ROC解析の実験例  
8.LROCとFROC  
a.LROC解析  
b.FROC解析  



5章 ディジタル画像処理  (桂川茂彦)  

A.ディジタル画像ファイル  
1.ビットとバイト  
2.画像ファイルの構成  
3.文字列のテキスト形式表現  
4.数値のバイナリ形式表現  
5.DICOMファイルフォーマット  

B.フィルタリング  
1.空間フィルタリング  
a.平滑化フィルタ  
1)移動平均フィルタ  
2)加重平均フィルタ  
3)ガウシャンフィルタ  
4)メディアンフィルタ  
b.エッジ検出フィルタ  
c.線検出フィルタ  
2.空間周波数フィルタリング  
a.低域通過フィルタ  
b.高域通過フィルタ  
c.帯域通過フィルタ  

C.画像診断で使われる画像処理技術  
1.階調処理  
a.ウインドーイング  
b.DR圧縮  
c.ヒストグラム平坦化  
2.ボケマスク処理  
3.サブトラクション処理  
a.エネルギーサブトラクション  
b.経時サブトラクション  

D.しきい値処理  
1.2値化のためのしきい値決定法  
a.固定しきい値処理  
b.パーセンタイル法  
c.判別分析法  

2.連結成分のラベリング  



6章 コンピュータ支援診断(CAD)  

A.コンピュータ支援診断とは  (藤田広志)  

B.乳房X線写真のコンピュータ支援診断  
1.マンモグラフィ検査と商用化されたCADシステム  
2.マンモグラフィCADシステムの概要  
a.CADシステムの構成  
1)ハードウェア  
2)ソフトウェア  
b.画像処理技術  
c.画像認識技術  
d.医師との共同作業  
e.画像データベース  
3.CADシステムの性能評価  
a.実験室での評価  
b.ROC解析  
c.臨床的な評価  
4.CAD技術の展開  
5.CADの課題と将来展望  

C.胸部単純X線写真のコンピュータ支援診断 (桂川茂彦)  
1.結節状陰影の検出  
a.コンピュータによる結節状陰影の検出の概要  
b.結節状陰影の強調  
c.候補陰影の拾い上げ  
d.候補陰影の絞り込み  
e.結節状陰影の検出に関するROC曲線  
2.間質性肺疾患の検出  
a.テクスチャー解析  
b.正常肺と異常肺の分類  
3.CT画像における胸部CAD  



7章 医療情報システム  (祐延良治)  

A.医用画像管理システムpicture archiving and communication system(PACS)  
1.PACSの目的  
2.PACSの歴史  
3.画像の規格DICOM  
a.情報オブジェクトの定義  
b.規格の構成  
c.適合性の宣言conformance statement  
4.PACS構成要素  
a.情報量と転送速度  
b.コンピュータ・システム  
c.ネットワーク  
d.画像圧縮  
1)JPEG圧縮  
2)ウェーブレット圧縮  
3)動画圧縮  
5.PACSの規模  
6.画像表示モニター  
a.液晶モニター(LCD)の構造  
b.モニターの品質管理  
1)受入試験  
2)不変性試験  
c.大量モニターの一括管理  
d.複数モニター間における画像の見え方の統一  
7.関連法律  

B.放射線情報システムradiology information system(RIS)  
1)放射線部門検査依頼  
2)検査の予約管理  
3)会計情報入出力  
4)HISおよびモダリティとの情報連携 
5)検 像  
6)読影レポート機能  
7)医療用資材の在庫管理  
8)照射録  
9)核医学部門RIS  
10)放射線治療部門RIS  
11)各種統計処理,帳票印刷  
12)検査業務支援  

C.病院情報システムhospital information system(HIS)  
1.HISの目的  
2.HISの機能  
3.これからのHIS  
a.データ交換のための規格  
b.EBMとクリニカル・パス  
c.システムの統合化(IHE)  
d.データ・ウェアハウスとデータ・マート  

D.遠隔画像診断teleradiology(テレラジオロジー)と地域医療連携  
1.目 的  
2.方 法  
3.遠隔画像診断サービス  

E.情報システムの構築・プロジェクトマネジメント  
1.システム構築の必要性  
2.プロジェクトマネジメントとは  
3.アプローチ方法の選択  
4.目的の明確化  
5.人選・組織体制づくり  
6.現状の評価分析を行う  
7.システム・アーキテクチャの策定を行う  
8.導入案の作成を行う  
9.導入後の運用 

F.個人情報保護と情報セキュリティ  
1.セキュリティの重要性  
2.個人情報保護法  
3.セキュリティ対策  
4.セキュリティ管理  
5.何をしなければならないか  

参考文献 
 
日本語索引  
外国語索引