書籍カテゴリー:小児科学|産婦人科学

新生児蘇生法NCPR
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ガイドライン2015準拠
新生児蘇生法NCPR
もっと早く!人工呼吸を確実に成功させるためにできること

1版

  • 公益財団法人田附興風会医学研究所 北野病院小児科 水本 洋 著

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

  • B5判 83頁
  • 2016年5月 発行
  • ISBN978-4-525-28171-7

概要

少しでも、もっと、さらに 人工呼吸に自信を持てるように!

分娩室,手術室,NICU,新生児搬送用のドクターカー….新生児が蘇生を必要とする場面は突然訪れます!そんな時,蘇生に立ち会う医療従事者が誰であっても,遅延なく有効な人工呼吸を確実に成功させるためにできること・・・がこの一冊に詰まっています.

序文

私の新生児医療との出会いは新生児仮死の立ち会いでした.生まれてきたのは全身真っ黒でピクリとも動かない赤ちゃん.私の頭の中は真っ白になり,体の震えを抑えることができず,ただ上級医の蘇生を見ていることしかできませんでした.その時に感じた恐怖と無力感は,今でも鮮明に記憶に残っています.当時NCPRはもちろんのこと,標準的といえる新生児蘇生法は普及していませんでした.私が初めて北米の新生児蘇生ガイドラインであるNRPを知ったときには,「こんなに大切な知識・技術も学ばずに,よくこれまで出産に立ち会っていたものだ」と大きな衝撃を受けました.その後私は新生児医療を専門としていますが,とりわけ新生児蘇生法の教育には今でも特別な思いがあります.
2015年10月16日,約5年ぶりに改訂された新生児蘇生法ガイドラインが公表されました.私は大好きなアーティストの新作アルバムを聞くような気持ちで,ワクワクしながらその内容を読みました.世界中の医療スタッフが,少しでも赤ちゃんの予後を改善するために,出生後の蘇生というわずか10分間の行動に情熱を燃やしていて,この5年間にも膨大な数の論文が発表されています.新しい推奨の背景にある臨床研究やその評価に目を向けると,大変興味深いものばかりでした.
本書は私の受けた感動をそのままに,最新のNCPRの内容をわかりやすく皆様にお伝えするためにまとめました.NCPRの最重要事項は「蘇生に立ち会う医療従事者が誰であっても,遅延なく有効な人工呼吸が実践できること」であり,これはずっと昔から,そしてこれからも変わることのないテーマでしょう.本書では特に「人工呼吸を確実に成功させるためにできること」について重点的に解説しており,半分以上はバッグ・マスク換気に関する内容になっています.
本書には以下のような特徴があります.
1.症例をベースとして解説しています.
新しいガイドラインの内容を実際の蘇生場面の中でお伝えできるように,各章の冒頭にはシナリオを提示しています.
2.2015年ガイドラインの変更点を紹介しています.
「ココに注目!」の箇所をすべて読んでいただければ,主要な変更点のほとんどが網羅できるようにしました.
3.興味深い論文を多数紹介しています.
今回の改訂の根拠となった論文や,ガイドライン策定以降に発表された興味深い論文など,厳選した論文49編についてその内容をまとめました.

本書を読んでいただいた皆さんが少しでも人工呼吸に自信をもつことができ,赤ちゃんの予後が改善すれば幸いです.

2016年3月
水本 洋

目次

症例1 アルゴリズム通りの蘇生…?
Point1 30秒ごとに次のステップに進むわけではありません

症例2 All you need is Bag(人工呼吸こそはすべて)
Point2 まず大切なのは,必要な赤ちゃんに人工呼吸を「開始できる」こと
Point3 人工呼吸の成功・不成功を判断できるようになりましょう

症例3 じゃあ,そのバギングを成功させましょう
Point4 バッグ・マスク換気が不成功の原因は3つに分類できます
Point5 リークの確認法は,使用する蘇生器具によって少し異なります
Point6 出生直後の人工呼吸における,“加圧不足”の考え方
Point7 十分に加圧しても有効換気が得られなければ気道閉塞を考えます

症例4 自己膨張式バッグがあってよかった
Point8 自己膨張式バッグは「どこでも使用できる」だけじゃない?

症例5 流量膨張式バッグと5cmH2Oの優しさ
Point9 流量膨張式バッグの利点を活かすには,練習が必要です
Point10 早産児の人工呼吸ではPEEPを使用しましょう
Point11 CPAPが成功しているかどうか,判断できますか?

症例6 Give T-piece a Chance (圧を一定に)
Point12 Tピース最大の特徴は「圧設定が一定」であることですが…

症例7 心電図がある時,ない時
Point13 心電図があれば,人工呼吸の必要性・有効性の判断が容易です

症例8 まだあります.心電図の秘めたる可能性
Point14 心電図があれば,徐脈や心停止を正確に判断できるかもしれません

症例9 保温って,そんなに大事ですか?
Point15 保温の重要性が再認識されています
Point16 新生児の入院時体温はその施設の医療レベルを反映する

症例10 最も確実で最もハイリスク…それが挿管
Point17 気管挿管に絶対はありません
Point18 気管挿管中の“急変”に対応できるようにしましょう

症例11 バギングできない!?挿管もできない!
Point19 本当にいざという時のために,LMAはあったほうがよいと思います

症例12 見て,4人のチームワーク!〜重症仮死編〜
Point20 直前の作戦会議(ブリーフィング)が有効です
Point21 蘇生終了後のデブリーフィングも忘れずに
Point22 今の胸骨圧迫の方法がベストと再認識されました
Point23 胸骨圧迫開始後の酸素濃度について

症例13 どや,4人のチームワーク!〜超早産児編〜
Point24 早産児の蘇生に関する改訂のポイント
Point25 臍帯遅延結紮とミルキング

Column
(1) 思い出
(2) バギングできるという自信
(3) バッグ・マスク換気を習得するためには
(4) 一番変わったこと
(5) リアリティの追及
(6) モニタワー
(7) 更なる評価に注目を
(8) 効率のよい学習方法