書籍カテゴリー:小児科学|臨床看護学

写真でみる乳児健診の神経学的チェック法

在庫状況:絶版

※「写真でみる乳幼児健診の神経学的チェック法」と改題し、改訂されました

写真でみる乳児健診の神経学的チェック法

第6版

  • 東京慈恵会医科大学名誉教授 前川 喜平 著

定価:6,264円(本体5,800円+税8%)

  • 四六倍判 338頁
  • 2003年3月 発行
  • ISBN978-4-525-28636-1
  • ISBN4-525-28636-9

概要

著者の豊富な写真により乳児健診のチェックポイントを分かりやすく解説した本書は実践書としても教科書としても多くの読者の支持を受けつづけています.
第6版では,異常の発見から育児支援へ という乳児健診の理念の変化に対応して,「これからの乳児健診に必要な知識・技能」の章を追加,心の発達のチェックも更に充実した.

序文

本書の第1版が出版されてから25年近くの歳月が流れている.25年間もの長い間多くの読者の皆様に利用され,こうして版を重ねることは非常な喜びであると同時にご利用戴いた皆様に心より感謝している.医学の進歩が速い時代に25年も生き残ることができたことは幸福としか言いようがない.
本格的な高齢化・少子社会を迎えるに当たり高齢化社会を支える心身ともに健康な子どもの育成が強く叫ばれている.地域保健法の施行に伴い,国は母子保健の理念として疾病指向から健康指向へ,育児支援の中心的役割,保健・福祉・医療の連携が掲げているが,これらと最も関係しているのが乳幼児健診である.現在,21世紀の母子保健のビジョンであり,親子が健やかに育つための「健やか親子21」が国民運動として展開中である.健やか親子21の第4課題に「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」がある.これは子どもの心の健康,育児不安の軽減,虐待の防止を主な柱としたものであるが,これと最も関係しているのも乳幼児健診である.このように公的乳幼児健診はこれからの乳幼児の健全育成のための大きな柱なのである.健診に従事する人々はこのことを忘れてはいけない.
従来の健診は障害児の早期発見や保健指導の名のもとに,子どもの発達や家庭の状況を無視したマニュアル通りの指導を行ってきた.その結果,母親はストレスが溜り,余裕がない子育てとなってしまった.育児は理論ではない,生活である.母親の話をよく聞き,受容し,共感し,ポジティブな言葉掛けをおこなう.指導ではなく相談・助言である.さらにこれからの健診は育児支援・育児不安の軽減・子どもの心の健康・養育機能不全家庭の発見と支援に結びつくものでなければならない.すなわち,気付かせ型,育児能力を高める,交流の場,相手のメンタルヘルスを考慮した健診でなければならない.施行する側がなにをしたかではなく,受ける側が満足するものでなければならない.
今回の改版は私の乳児健診の集大成ともなるべきものと考えている.前回の内容に新生児期のエコー所見と脳性麻痺,心の発達とチェック法,耐性や社会性の発達,虐待の早期発見と対応,連携の仕方などを加え,療育関係の施設の名簿を削除した.情報化時代の現在,このような情報は十分に得られると考えられたからである.本書が21世紀の子どもたちの健全な育成に少しでも役にたてばと願ってやまない.

2003年1月吉日 前川喜平


目次

第1部 これからの乳幼児健診に必要な知識・技能
 従来の健診とどこが違うか
 健康指向の健診の実際
  1.身体発育の解釈
  2.発達の解釈
 機能訓練,療育の考えの再検討
 指導でなく相談・助言を
  1.指導と相談・助言の相違
  2.育児相談の実際
 月齢別心の発達チェックポイント
  1.チェックポイントの考え方
  2.各月齢別心の発達チェックリスト
 社会性・耐性の発達の評価
  1.社会性の発達の評価
  2.耐性の発達の評価(幼児期後半から学童)
 養育機能不全家庭の発見と支援
 虐待の防止・早期発見と対応
  1.虐待が疑われる症状・所見
  2.虐待しやすい親の条件
  3.初期対応
  4.子どもの治療
  5.親への援助と長期フォローアップ

第2部  乳幼児健診に必要な医学的知識

 配偶子病(染色体異常)
 遺伝子病
 胎芽病,胎児病
  1. 感染症
  2.薬物 および 化学物質
  3.母親の疾病 と 栄養障害
  4.放射線
  5.重症妊娠中毒症
  6.喫煙,アルコール
  7.臍帯,胎盤の異常
 低酸素性虚血性脳症
 低出生体重児 (LBW) と 子宮内発育遅滞 (IUGR)
 アプガースコア と その意味
 脳障害の時にみられやすい新生児期の症状
 silent neurological abnormalities の診断
  1.在胎週数の評価
  2.新生児の行動 および 反応による評価
  3.泣き声
  4.哺乳力
  5.微細発作
 新生児期における神経学的異常 と 予後
  1.脳障害の可能性のある因子 あるいは ハイリスク因子
  2.脳障害の時にみられやすい症候 および 症状
  3.神経学的異常所見
  4.脳性麻痺と新生児期の頭部エコー所見

第3部 乳幼児健診に必要な発達神経学的知識
 神経の発達
  1.脳の構造のあらまし
  2.神経の成熟
  3.脳の発達,その可塑性 と 敏感期
  4.感覚機能の発達における神経組織の過剰発生,消失 と その意義
  5.子供の発達に影響を与える因子
 姿勢の発達
  1.腹臥位
  2.這い這い
  3.仰臥位
  4.坐 位
  5.水平抱き
  6.立 位
 反射の発達
  1.脊髄反射
  2.脊髄・橋レベルの反射
  3.その他の原始反射
  4.中脳レベルの反射‥ 89
  5.皮質レベルの反応‥ 92
 神経の発達 と 行動発達
  1.行動発達
  2.乳幼児の心の発達

第4部  神経学的発達チェック法
 基本的事項
  1.乳児健診の目的 と 意義
  2.正常発達の評価
  3.乳児健診における Key age の条件 と その設定
  4.乳児健診における low risk infant と high risk infant とにみられやすい疾患
  5.各月齢別チェックリストの作成
  6.母子手帳の利用の仕方
 各月齢別のチェックポイント
  1.1か月児のチェックポイント
  2.2か月児のチェックポイント
  3.3か月児のチェックポイント
  4.4か月児のチェックポイント
  5.5か月児のチェックポイント
  6.6か月児のチェックポイント
  7.7か月児のチェックポイント
  8.8か月児のチェックポイント
  9.9か月児のチェックポイント
  10.10か月児のチェックポイント
  11.11か月児のチェックポイント
  12.12か月児のチェックポイント
  13.15か月児のチェックポイント
  14.1歳6か月児のチェックポイント
  15.3歳児のチェックポイント
  16.就学児のチェックポイント

第5部  発達遅滞の診断
 正常発達のバリエーション
  1.バリエーションとは
  2.バリエーションの診断
  3.バリエーション と ボーダーラインとの相違
  4.発達における個人差の幅
  5.発達のバリエーションのいろいろ
 乳児期における脳障害の早期診断
  1.脳障害児の概念 と その臨床症状
  2.脳性麻痺的脳障害児 と 知能障害的脳障害児
  3.脳性麻痺的脳障害児の診断
  4.知能障害的脳障害児の早期診断
 脳性麻痺の診断
  1.姿勢の異常
  2.反射の異常
  3.筋トーヌスの異常
  4.Vojta 法
  5.脳性麻痺診断の時期
 精神遅滞の診断
  1.周囲に対する関心が鈍い
  2.手を伸ばして物をつかまない
  3.運動発達の遅れ と 反射の成熟の遅れ
 フロッピーインファントの診断
  1.筋トーヌスの診かた
  2.症 例
  3.フロッピーインファントの特徴
  4.フロッピーインファントの原因と分類
 言葉の遅れ
  1.言葉の遅れの原因
  2.鑑別
 境界児,軽度障害児,学習障害リスク児の診かた
  1.学習障害の歴史的背景 と 概念
  2.乳幼児健診 と LD リスク児
  3.境界児,LD リスク児の診断
  4.対処
 変質徴候 と 小奇形の診かた
 視力障害,聴力障害の診かた
  1.視覚スクリーニング
  2.難聴のスクリーニング

第6部 事後措置
 乳幼児健診のシステム と 事後措置
  1.一次健診
  2.精密健診
  3.健康診査の事後指導の流れ
  4.異常を発見したときの対処の仕方
  5.連携の仕方
 遺伝相談の実際
  1.遺伝相談に必要な知識
  2.遺伝相談の落とし穴
  3.遺伝情報を伝える態度
  4.保因者診断の方法
  5.羊水診断,絨毛診断の適応
  6.Down 症候群の遺伝相談