書籍カテゴリー:呼吸器学

マギル胸部外科研修クイックマニュアル
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マギル胸部外科研修クイックマニュアル

1版

  • 富山大学附属病院 呼吸器一般外科 本間崇浩 翻訳
  • Amin Madani 編著
  • Andrew Seely 編著
  • Lorenzo Ferri 編著

定価:4,536円(本体4,200円+税8%)

  • B6変型判 239頁
  • 2017年4月 発行
  • ISBN978-4-525-31231-2

概要

外科研修用にベストな一冊!
胸部外科のNEWゴールドスタンダード!

カナダ・マギル大学の外科医により執筆された,超実践的胸部外科ハンドブックの翻訳版.手術の流れ・適応がフローチャート,端的な文章によって説明され,素早く知識の習得ができる.研修医はもちろん,専門医の知識の整理にも使える一冊.

序文

 胸部外科の分野はここ10 年間でめざましい進歩を遂げており,新たな知見とそれに伴うパラダイムシフトが今もなお起こり続けている.治療は進歩しているものの,情報が膨大ゆえに初学者向けの教育ツールが追いついていないのが現状である.もちろん,教科書はたくさん手に入るが,初学者が外来で,手術室で,病棟で,集中治療室で,そして救急部でも手軽に見ることのできるエビデンスのつまったマニュアルが必要だった.
 本書は9章に分かれているが,簡潔なだけでなく,胸部外科分野でよく見る病態をすべて含んでいる.すなわち術前評価,周術期管理,肺と気管・気管支疾患(膨大な情報をカバーするため3つのパートに分けた),胸膜疾患,縦隔疾患,胸壁疾患,胸部外傷,そして食道疾患である.各章は効率よく学べるように箇条書きで記載し,治療アルゴリズム,フローチャート,表や画像をふんだんに用いた.成書とは異なり,重要な項目を記憶できるよう,文章は最小限にした.さらに最新のエビデンスを保ち,議論の余地がある点にも焦点をあてた.
 最後に本書の出版に協力してくださった方々に感謝いたします.

2014 年10 月

Amin Madani
Lorenzo Ferri
Andrew Seely


 本書の出版に至る過程を振り返るとき,人の縁を感じずにはいられません.いくつもの出会いの中で「マギル胸部外科研修クイックマニュアル」は産声をあげました.
 マギル(McGill)とは,カナダのモントリオールにあるマギル大学を指します.カナダで最も歴史があり,世界大学ランキングの上位に位置づけられる名門大学です.医学の分野では「医学教育の父」と評されるウィリアム・オスラー博士が教鞭を執ったことで知られ,附属病院であるMontreal General Hospital にはオスラー博士を讃えたオスラー講堂があります.
 私はこのMontreal General Hospital の胸部外科で研修する機会に恵まれた縁で,「Pocket Manual of General Thoracic Surgery」を訳すことになりました.短期間であったものの,モントリオールではあたたかい人々に囲まれ,多くのことを学び,今の私がいます.学生からスタッフまで皆が向上心にあふれ,オスラー博士の伝統が今も息づいていることを感じました.
 「マギル胸部外科研修クイックマニュアル」は,呼吸器外科と食道外科の最新エッセンスを簡潔にまとめた一冊で,私の恩師で胸部外科教授のDr. Ferri と,若くして外科教育の旗手となったDr. Madani によって書かれました.医学生やレジデントが効率よく胸部外科を学べるよう,頻度の高い病態を中心に,解剖から病態,治療方針まで最新のエビデンスに基づいて幅広く網羅しています.著者らの独善的な記載はありません.マギル大学の教育的雰囲気や,ふたりの人柄を示す良書だと思います.北米の胸部外科は,呼吸器外科と食道外科を担うため,本書も前半は呼吸器外科,後半は食道外科について記載されています.したがって,日本では呼吸器外科と消化器外科を学ぶ医学生や初期・後期研修医を対象としています.北米でも日本でも,このようなエッセンスが凝縮された本は少ないため,ぜひ白衣に忍ばせていただき,病態や治療方針の理解や決定に役立てていただければ幸いです.
 また,本書を読むとわが国との違いに気づく箇所もあるでしょう.海外との違いを知ることで,現在行っている医療への疑問を感じたり,日本の常識が世界の常識でないことを知るきっかけになれば,と思います.他者を知ることは自己を知ることにつながります.単なるマニュアル本に留まらず,より良い医療を追求するヒントになれば,訳者としてこれ以上の喜びはありません.
 本書はたくさんの縁に恵まれて生まれました.これまで私と出会ったすべての方々に感謝申し上げます.特に留学をサポートいただいた富山大学呼吸循環総合外科学講座教授の芳村直樹先生,恩師土岐善紀先生,マギル大学でご縁をいただいた北海道大学消化器外科Ⅱの倉島庸先生と渡邊祐介先生,一緒に本書を作り上げた古賀倫太郎氏,窪田雅彦氏には,格別のご高配を賜りました.ここに改めて心からの感謝を申し上げます.

2017年1月30日

本間崇浩

目次

第1章 胸部外科患者の術前評価
1胸部外科手術の生理学的影響
2心肺合併症イベントの減少
3心臓評価
4肺機能検査
5機能と心肺運動負荷試験
6動脈血ガス分析

第2章 術中,術後に考えるべきこと
1分離肺換気
2術後管理
3術後合併症

第3章 肺と気道疾患
 Ⅰ 肺 癌
1原発性肺癌
2転移性肺腫瘍
 Ⅱ 気管の疾患
1気管癌
2気管狭窄
3気管食道瘻:後天性
4気管切除の原則
5気管切開
 Ⅲ その他の病態
1血 痰
2肺膿瘍
3慢性閉塞性肺疾患:手術治療方針

第4章 胸膜疾患
1解剖と生理
2気 胸
3胸 水
4胸膜感染(膿胸)
5悪性胸水
6胸腔ドレーン癒着療法のテクニック(悪性胸水)
7胸膜腫瘍:悪性胸膜中皮腫

第5章 縦隔疾患
1縦隔腫瘍:アプローチ
2胸腺腫
3胸部交感神経切除術

第6章 胸壁疾患
1先天性疾患
2原発性胸壁腫瘍
3胸郭出口症候群

第7章 胸部外傷
1気 胸
2血 胸
3胸壁外傷
4鈍的心損傷
5横隔膜損傷
6鋭的胸部外傷の治療方針

第8章 良性食道疾患
1食道:解剖と生理学
2胃食道逆流症
3食道裂孔ヘルニア
4食道運動障害
5食道憩室症
6食道穿孔
7腐食性食道炎

第9章 食道癌
1Barrett食道
2食道癌

索 引