書籍カテゴリー:整形外科学|小児科学

小児整形外科の実際
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小児整形外科の実際

1版

  • 福岡市立こども病院・感染症センター副院長 藤井 敏男 編

定価:12,960円(本体12,000円+税8%)

  • AB判 290頁
  • 2008年4月 発行
  • ISBN978-4-525-32121-5

概要

「目の前の患児をどのように診断を進めるか?」「どんな治療がこの子に適しているか?」「いつ小児整形外科の医師に相談すべきか?」などの疑問を解決するために簡便に紐解ける有用なツール.小児整形外科を専門としない一般整形外科医に向けて送る,図表に富んだビジュアルで実地に即した一冊となっている.付録のCDには,実際の小児整形外科現場での診察・治療等の動画を収載!

序文

エコー,CT,MRIなどの画像診断法の進歩により,小児整形外科疾患の病態が客観的に確実に把握できるようになった.その結果,経験主義に陥りがちであった小児整形外科の治療体系も,客観的な解析による科学的評価が可能となってきた.
小児の整形外科疾患の診療に当たっては健全で堅固な治療哲学が必要である.すなわち,小児の心身の成長や発達を阻害しない治療をできるだけ早期に行って,小さいうちに病気を治し,骨・関節を良好に発育させるという思想である.そのためには臨床的研究を通して,こどもたちから多くのことを学び,最適な治療法を考案し,その成績を長期間にわたって追跡し厳密に評価して改善する持続的な努力が要る.本書は1980年の福岡市立こども病院開設以来,この方針に基づいて実践してきた小児整形外科診療の実際を,図や表を多用しながら簡明に表現したもので,当院および九州大学整形外科で編者とともに学んだ執筆者により書かれている.
小児は成長途上なので保存的治療が原則だが,われわれの治療手技の発展と創外固定器をはじめとする治療機器の開発や小児麻酔の進歩により,観血的治療が幼少児期から積極的に行えるようになった.例えば,先天異常や骨髄炎後の関節変形例は,成長とともに変形が進行し治療が難しくなることがあるが,創外固定器を応用するとこれらを低侵襲で繰り返し矯正することが可能なので,変形が日常生活を著しく障害しない適切なタイミングで早く治療することができるようになった.このような観血的治療の進歩に伴い,保存的治療体系も見直しを進めて,嘗ては夢であった「乳幼児期から早く治す」ことをめざし,罹患した骨・関節を早期からの治療で良好に発育させることが可能になりつつある.
わが国の出生数は1970年代前半に年間200万人を超えていたが,1975年以降は毎年減少し続け,昨年にはついにほぼ半減した.この少子化に伴い整形外科専門医研修中の医師が小児整形外科疾患の診療に実際に携わる機会は減少し,その結果一般整形外科医にとって小児整形外科はなじみが少ない領域になりつつあるが,本書が「目の前の患児をどのように診断を進めるか?」「どんな治療がこの子に適しているか?」「いつ小児整形外科の医師に相談すべきか?」などの疑問を解決するために役立って,こどもたちに明るい未来を開く一助となることを切に願っている.なお,新しい試みとして,本書には動画を多数収載したCD-ROMを付して読者の方々に提供した.

最後に本書の刊行に当たり,福岡市立こども病院整形外科で診療をともにした方々と,長年にわたり私を支えてくれた妻,佳代子に感謝をささげる.


2008年 春  藤井 敏男





目次

1章 小児の診察 小児の発育
  小児の診察
  小児の発育
2章 頸・肩甲骨
  筋性斜頚
  炎症性斜頚
  環軸椎回旋位固定
  環軸椎亜脱臼
  Klippel-Feil症候群
  先天性鎖骨偽関節
  先天性肩甲骨高位症(Sprengel変形)
3章 脊椎
  特発性側弯症
  先天性側弯症
  症候性側弯症
  腰椎分離症・すべり症
4章 上肢
  上肢先天異常の分類
  母指多指
  合指
  短合指症
  裂手
  橈側列欠損
  尺側列欠損
  先天性絞扼輪症候群
  強直母指・弾発母指(他の指も含む)
  橈尺骨癒合症
5章 下肢
  先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全
  先天性内反股
  小児の外反股
  ペルテス病
  単純性股関節炎
  大腿骨頭すべり症
  先天性大腿骨中枢端欠損症
  習慣性膝蓋骨脱臼、反復性膝蓋骨脱臼
  O脚 Blount病
  先天性膝関節脱臼
  先天性膝蓋骨脱臼
  先天性脛骨偽関節症
  先天性脛骨列欠損症
  先天性腓骨列欠損症
  先天性内反足
  先天性内転足
  先天性外反踵足
  先天性垂直距骨
  小児外反扁平足
  症候性外反扁平足
  足根骨癒合症
  尖足
  第1ケーラー病
  Freiberg病(第2ケーラー病)
  踵骨骨端症
  中手骨中足骨短縮症
  足趾の先天異常
6章 感染症疾患
  化膿性骨髄炎
  化膿性関節炎
  新生児・乳児化膿性股関節炎
  化膿性仙腸関節炎 / その他の炎症
7章 麻痺性疾患、神経筋疾患
  脳性麻痺
  二分脊椎
  筋ジストロフィー
  先天性多発性関節拘縮症
  下肢長不等をきたす疾患
8章 外傷性疾患
  小児の骨折 総論
  鎖骨骨折
  上腕骨近位端骨折
  上腕骨骨幹部骨折
  上腕骨遠位端骨折
  前腕骨骨折
  手根骨骨折
  中手骨骨折
  指骨骨折
  骨盤骨折
  大腿骨骨折
  膝蓋骨骨折
  下腿骨骨折
  距骨骨折
  踵骨骨折
  舟状骨・立方骨・楔状骨剥離骨折
  中足骨骨折
  足趾骨骨折
  分娩麻痺
  被虐待児症候群
9章 小児のスポーツ障害
  小児のスポーツ障害
10章 骨系統疾患と骨代謝異常
  先天性脊椎骨端異形成症
  骨幹端異形成症
  大理石病
  骨形成不全症
  軟骨無形成症
  多発性骨端異形成症、偽性軟骨無形成症
  低リン血症性くる病
11章 腫瘍と腫瘍類似疾患
  骨腫瘍
  軟部腫瘍
12章 画像検査法
13章 小児整形外科手術の麻酔管理
14章 小児のリハビリテーション(発達支援を中心として)