カテゴリー: 整形外科学
ベッドサイドの高齢者運動器の診かた
1版
国立障害者リハビリテーションセンター 総長 中村耕三 編集
定価
7,700円(本体 7,000円 +税10%)
- B5変型判 431頁
- 2014年6月 発行
- ISBN 978-4-525-32151-2
ロコモティブシンドロームの第一人者が編纂し,高齢者運動器の最新臨床知見を解説,今後重要になってくる予防の概念も併せ,医療現場で役立つ考え方や知識を網羅した実践書である.高齢者運動器に対する整形外科医の視点を研修医だけでなくプライマリケア医にも伝授することでより質の高い臨床が可能となる.
- 序文
- 目次
序文
運動器の不調は生命そのものに直結せず,運動器の健康に対する社会の関心はいまだ薄いのが現状である.運動器の障害は健康寿命の延伸を阻害し,人の自立性を著しく障害する.
「立つ」,「歩く」は人の社会参加の基本であって,人の移動は一つの社会を存続する力を持つ.それが危うくなっていること,そして運動器の健康は当たり前のものとして常に備わっているものではない,という認識が必要な時代が到来したのである.
人の直立二足歩行は,四足による移動よりも,下肢や脊柱に過剰の負荷をきたしやすい.人生が50年位であった頃は問題にはならなかったが,長寿社会が実現した今,症候的になった運動器の疾患を持つ人の数が非常に多くなり,その障害は個人にとっても家族にとっても,そして社会にとってもきわめて深刻なものとなっている.この対策として日本整形外科学会が提唱したのが“ロコモティブシンドローム”である.
高齢者の運動器疾患の特徴は,複数の運動器疾患が併存していることが多いことである.そのため,直接的に課題となっている局所への対応と同時に,全身としての移動機能,身体の使い方にも配慮がいる時代になっている.
病院では,局所の急性期治療が行われても,そのままでは自宅へ戻ることが難しい人が増えている.病院の外来で気づくことは,整形外科の患者だけでなく,それ以外の診療科に訪れる患者でも移動機能低下が明らかな人が多いことである.
本書はこのような観点から運動器の課題を整理し,ロコモティブシンドロームの概念や予防,各疾患のリハビリテーションも含め,高齢者運動器の臨床知見を網羅し,日常診療・在宅の観点からも役立つ考え方や知識をまとめた実践書をめざした.高齢者の運動器診療にかかわる整形外科医,リハビリテーション医だけでなく,プライマリケア医,研修医の方に座右において参考にしていただけば幸甚である.
本書の意図が広く伝わり,日本の喫緊の課題である健康寿命の延伸に貢献できることを願っている.
2014年4月
中村耕三
「立つ」,「歩く」は人の社会参加の基本であって,人の移動は一つの社会を存続する力を持つ.それが危うくなっていること,そして運動器の健康は当たり前のものとして常に備わっているものではない,という認識が必要な時代が到来したのである.
人の直立二足歩行は,四足による移動よりも,下肢や脊柱に過剰の負荷をきたしやすい.人生が50年位であった頃は問題にはならなかったが,長寿社会が実現した今,症候的になった運動器の疾患を持つ人の数が非常に多くなり,その障害は個人にとっても家族にとっても,そして社会にとってもきわめて深刻なものとなっている.この対策として日本整形外科学会が提唱したのが“ロコモティブシンドローム”である.
高齢者の運動器疾患の特徴は,複数の運動器疾患が併存していることが多いことである.そのため,直接的に課題となっている局所への対応と同時に,全身としての移動機能,身体の使い方にも配慮がいる時代になっている.
病院では,局所の急性期治療が行われても,そのままでは自宅へ戻ることが難しい人が増えている.病院の外来で気づくことは,整形外科の患者だけでなく,それ以外の診療科に訪れる患者でも移動機能低下が明らかな人が多いことである.
本書はこのような観点から運動器の課題を整理し,ロコモティブシンドロームの概念や予防,各疾患のリハビリテーションも含め,高齢者運動器の臨床知見を網羅し,日常診療・在宅の観点からも役立つ考え方や知識をまとめた実践書をめざした.高齢者の運動器診療にかかわる整形外科医,リハビリテーション医だけでなく,プライマリケア医,研修医の方に座右において参考にしていただけば幸甚である.
本書の意図が広く伝わり,日本の喫緊の課題である健康寿命の延伸に貢献できることを願っている.
2014年4月
中村耕三
目次
第Ⅰ章 運動器の構成要素と疾患の現状を理解する
1 運動器と健康寿命
A 運動器の課題
B 超高齢社会の到来
C わが国の健康づくり対策
2 運動器の構成要素とメカニカルストレス
A 運動器とメカニカルストレス
B 運動器の構成要素
3 運動器疾患の現状
A 疾患調査
B 疫学調査
C 運動器疾患と介護
4 高齢者運動器の基礎
A 骨と骨代謝の特徴と診かた
B 関節軟骨・椎間板の特徴と診かた
C 腱・靱帯の特徴と診かた
D 筋の特徴と診かた
E 脊髄・馬尾神経の特徴と診かた
F 末梢神経の特徴と診かた
第Ⅱ章 高齢者運動器疾患の診かた
1 全身から捉える高齢者運動器の診かた
A 診察法
B 歩行の診かた
2 ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
A 定義と概念
B 徴候・症状と重症度
C 診察・評価法
3 各部位から捉える高齢者運動器の診かた
A 頚椎部
B 肩関節・上腕部
C 肘関節・前腕部
D 手関節・手部
E 胸椎部・腰椎部
F 股関節・大腿部
G 膝関節・下腿部
H 足関節・足部
I 末梢動脈性疾患
J 関節リウマチの運動器障害
K 骨粗鬆症関連骨折
第Ⅲ章 内科的側面から高齢者運動器を理解する
1 メタボリックシンドロームと運動療法
2 糖尿病と運動療法
3 心疾患と運動療法
4 認知症と運動療法
5 透析と運動器疾患
6 高齢者の検査値の診かた
7 高齢者の栄養管理
8 運動器慢性痛と高齢者における特徴
9 高齢者骨転移患者の運動器管理
第Ⅳ章 高齢者運動器のリハビリテーションを理解する
1 運動器リハビリテーションの総合的理解
2 ロコモーショントレーニング(ロコトレ)
A 概 説
B ロコモーショントレーニング
C 生活上の注意
3 各部位から捉える中高齢者運動器のリハビリテーション
A 肩関節拘縮
B 腰 痛
C 膝関節部
D 股関節部
E 足 部
F 脊髄損傷(回復期,慢性期)のリハビリテーション
G 関節リウマチのリハビリテーション
第Ⅴ章 在宅・介護の側面から高齢者運動器を理解する
1 脳卒中のリハビリテーション
2 パーキンソン病のリハビリテーション
3 肺炎予防対策
4 尿路感染対策
5 褥瘡予防対策
6 頭部外傷(高次脳機能障害含む)への対応
7 骨折が疑われる場合の急性期対応
第Ⅵ章 高齢者の薬物療法の留意点を理解する
1 高齢者における薬物動態と薬物療法の留意点
2 運動器疾患で使用する薬剤との相互作用
第Ⅶ章 病診連携を考える
1 退院支援
2 地域看護
日本語索引
外国語索引
1 運動器と健康寿命
A 運動器の課題
B 超高齢社会の到来
C わが国の健康づくり対策
2 運動器の構成要素とメカニカルストレス
A 運動器とメカニカルストレス
B 運動器の構成要素
3 運動器疾患の現状
A 疾患調査
B 疫学調査
C 運動器疾患と介護
4 高齢者運動器の基礎
A 骨と骨代謝の特徴と診かた
B 関節軟骨・椎間板の特徴と診かた
C 腱・靱帯の特徴と診かた
D 筋の特徴と診かた
E 脊髄・馬尾神経の特徴と診かた
F 末梢神経の特徴と診かた
第Ⅱ章 高齢者運動器疾患の診かた
1 全身から捉える高齢者運動器の診かた
A 診察法
B 歩行の診かた
2 ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
A 定義と概念
B 徴候・症状と重症度
C 診察・評価法
3 各部位から捉える高齢者運動器の診かた
A 頚椎部
B 肩関節・上腕部
C 肘関節・前腕部
D 手関節・手部
E 胸椎部・腰椎部
F 股関節・大腿部
G 膝関節・下腿部
H 足関節・足部
I 末梢動脈性疾患
J 関節リウマチの運動器障害
K 骨粗鬆症関連骨折
第Ⅲ章 内科的側面から高齢者運動器を理解する
1 メタボリックシンドロームと運動療法
2 糖尿病と運動療法
3 心疾患と運動療法
4 認知症と運動療法
5 透析と運動器疾患
6 高齢者の検査値の診かた
7 高齢者の栄養管理
8 運動器慢性痛と高齢者における特徴
9 高齢者骨転移患者の運動器管理
第Ⅳ章 高齢者運動器のリハビリテーションを理解する
1 運動器リハビリテーションの総合的理解
2 ロコモーショントレーニング(ロコトレ)
A 概 説
B ロコモーショントレーニング
C 生活上の注意
3 各部位から捉える中高齢者運動器のリハビリテーション
A 肩関節拘縮
B 腰 痛
C 膝関節部
D 股関節部
E 足 部
F 脊髄損傷(回復期,慢性期)のリハビリテーション
G 関節リウマチのリハビリテーション
第Ⅴ章 在宅・介護の側面から高齢者運動器を理解する
1 脳卒中のリハビリテーション
2 パーキンソン病のリハビリテーション
3 肺炎予防対策
4 尿路感染対策
5 褥瘡予防対策
6 頭部外傷(高次脳機能障害含む)への対応
7 骨折が疑われる場合の急性期対応
第Ⅵ章 高齢者の薬物療法の留意点を理解する
1 高齢者における薬物動態と薬物療法の留意点
2 運動器疾患で使用する薬剤との相互作用
第Ⅶ章 病診連携を考える
1 退院支援
2 地域看護
日本語索引
外国語索引