書籍カテゴリー:産婦人科学|臨床看護学

不妊治療・体外受精のすすめ
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未来の赤ちゃんに出会うために
不妊治療・体外受精のすすめ

第2版

  • 医療法人成田育成会理事長 成田 収 著

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

  • B5判 161頁
  • 2015年11月 発行
  • ISBN978-4-525-33172-6

概要

専門医がやさしく解説! これでわかる体外受精の基本ステップ

体外受精について専門医がわかりやすく,具体的にその手順を紹介.体外受精を考えている患者さん,不妊治療に携わる看護師,胚培養師,助産師の方にも読んで頂ける内容.改訂2版では,全体的な情報のupdateの他に, 不育症について加筆し,また「よく質問されるQ&A」や新出生前診断などの最新トピックも追加して内容を充実させた.

書評

菅沼 信彦 先生 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授)
長年にわたり不妊治療の第一線の現場に携わってきている筆者は,2010年にその集大成とも言うべき本書の初版を発刊した.... [ 続きを読む ]

序文

 2010年に『未来の赤ちゃんに出会うために─不妊治療・体外受精のすすめ』を出版してから5年が経過しました.本書は,不妊に悩むカップルの診察を通して感じたことや,体外受精について必要とされる知識・情報を,わかりやすく解説しながらまとめたものです.
 出版後,多くの方々のご支援を得て,2013年には若干の新しい知見と修正を加えて重刷を出すことができました.
 しかし,その後も生殖医療分野の進歩は目覚ましく,新しい出生前診断(母体血胎児染色体検査[NIPT])や着床前遺伝子診断およびスクリーニング,卵子・卵巣の凍結法の改良,抗ミュラー管ホルモン(AMH)測定の臨床応用面での普及,子宮移植などの革新的な技術が次々に発表されてきました.一方,第三者の卵子・精子の提供を受けたり,第三者に妊娠・出産を依頼する代理出産はどこまで許容されるのか,新たな社会的・倫理的問題も出てきました.
 振り返ってみると,日本の生殖医療は世界の進歩に合わせて発展してきました.体外受精の実施回数はアメリカを抜き世界第1位となり,2012年にはおよそ3万8,000人の赤ちゃんが生まれています.しかし,その治療成績は必ずしも世界に誇り得る満足できるものではありません.
 そこには,社会的・教育的問題がみえてきます.
 晩婚と晩産化は日本の少子化の最大の問題であるとともに,不妊治療においても加齢は妊娠・出産を阻む最大の壁となっています.不妊治療に取り組む年齢が先進国の中で最も遅れており,中学校・高校での保健体育の授業における妊娠・分娩についての教育不足が指摘されています.
 また,不妊治療と仕事の両立に悩む女性も多く,経済的負担も少なくありません.社会が一丸となり,これらの問題を一刻も早く克服して,赤ちゃん誕生のための力強いサポート体制が構築されることを期待したいものです.
 体外受精を考えられて本書を手に取ってくださった方々が,余計な不安に惑わされることなく,心にゆとりと希望をもって治療に臨まれ,かわいい赤ちゃんをその胸に抱かれる日が来ることを願っています.

2015年10月
成田 収

目次

はじめに

第1章 不妊症とは

A.不妊症の定義と実態
  参考:海外の学会などによる不妊症の定義
 ① 年齢とともに高まる不妊症の頻度
 ② 不妊症の原因としての環境汚染
 ③ 性の乱れが及ぼす影響
 ④ 高まる晩婚化の影響と高齢妊娠
  コメント:結婚前にライフプランを立てておきましょう

B.不妊症の治療はどのように進歩したか

C.不妊症の原因となる疾患─どんな疾患が増えているのか


第2章 不妊症の基本的な検査と体外受精に必要な検査

A.女性側の一般的な検査
 ① 基礎体温測定
  参考:黄体機能不全とは
 ② 卵管疎通性検査
 ③ 経腟超音波検査
 ④ 超音波下子宮造影検査
 ⑤ ヒューナーテスト(性交後検査)
 ⑥ 抗精子抗体検査
 ⑦ ホルモン検査
  参考:甲状腺機能の異常を疑う所見

B.女性側の特殊検査
 ① 子宮鏡検査(ヒステロスコピー)
 ② 腹腔鏡検査
 ③ 卵管鏡検査と卵管鏡下卵管形成術(FT)
 ④ 糖負荷とインスリンの測定
 ⑤ 自己免疫疾患,血液の凝固異常の検査
  参考:夫婦の染色体と遺伝子の検査の必要性

C.男性側の検査と治療
 ① 精液の検査
 ② その他の精子機能検査
  参考:特殊な精子機能検査
 ③ 男性不妊の治療
 ④ 人工授精(AIH,IUI-H)とは
  コメント:人工授精の種類
  コメント:女性性管内での精子と卵子の寿命


第3章 体外受精・胚移植法とは

A.体外受精の定義と適応
  コメント:生殖補助医療(ART)とは
 ① 体外受精を受ける前に
  コメント:体外受精を決心する前に
 ② 体外受精の適応

B.採卵前に必要な検査

C.体外受精の流れ


第4章 体外受精の実際① 調節卵巣刺激(COS)とは

A.なぜ卵巣刺激を行うのか
B.卵巣予備能の検査─卵巣刺激法の選択にあたって
 ① 抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定
  参考:抗ミュラー管ホルモン(AMH)の特徴
 ② 卵胞刺激ホルモン(FSH)の測定
 ③ インヒビンβの測定
 ④ 胞状卵胞(AF)数の測定

C.抗ミュラー管ホルモン(AMH)値を参考にした卵巣刺激法

D.卵巣刺激法の種類と方法
 ① GnRHアゴニストを使用する卵巣刺激法
  参考:GnRHアゴニスト使用時に知っておくべきこと
  参考:卵巣刺激を行う前に使用するピル(経口避妊薬)の役割
  コメント:FSH/hMG剤注射の通院の負担を減らすには
 ② GnRHアンタゴニストを使用する卵巣刺激法
  コメント:hCG剤に代わってGnRHアゴニストをトリガーに用いる利点
 ③ 自然周期採卵法と低卵巣刺激法(MOS)による体外受精
  コメント:採卵時期のモニタリング
  コメント:自然周期採卵法とその変法の費用対効果
  参考:クロミフェンとレトロゾール


第5章 体外受精の実際② 採卵・精液採取

A.採卵の実際

B.精液の採取─夫の出番
 ① 精子の凍結保存
  コメント:精子を凍結保存する場合の留意点


第6章 体外受精の実際③ 媒精・顕微授精

A.卵子・精子の培養と受精
  参考:異常受精とは

B.顕微授精
 ① 顕微授精の進歩と適応
  参考:顕微授精法の種類と変遷
  参考:顕微授精についてのその他の知識
 ② 1日遅れの顕微授精(1 day old ICSI)
 ③ 無精子症の場合
  参考:その他の精子回収法
  コメント:精子細胞を用いた顕微授精について
 ④ スプリット法


第7章 体外受精の実際④ 胚移植とその後

A.胚移植
  コメント:胚移植の際に懸念されること
 ① 胚の分類と良好胚─どんな胚が着床しやすいか
  参考:生殖補助医療に関する認定制度
 ② 胚盤胞移植法(BT)
 ③ 補助孵化─アシスティッドハッチング(AH)
 ④ 子宮内膜の状態と着床との関係
 ⑤ 移植胚数についてのガイドライン

B.胚移植後の生活と黄体期の管理
 ① 胚移植後の日常生活
 ② 黄体期の管理


第8章 凍結融解胚移植法と臨床応用

A.胚の凍結保存・融解法の問題点
 ① 胚を凍結保存した場合の奇形の頻度
 ② 卵子の凍結保存と倫理的問題

B.凍結融解胚移植の実際
 ① 整調な排卵周期を示す場合
  コメント:凍結融解胚移植時の注意点
 ② 排卵障害を示す場合


第9章 不妊の原因となる重要疾患

A.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
 ① 治療方針
  参考:多嚢胞性卵巣症候群とインスリン抵抗性への対策
 ② 生活習慣の改善
 ③ 体外受精の適応

B.高プロラクチン血症

C.クラミジア感染症
 ① 診断と治療

D.子宮筋腫

E.子宮奇形(子宮形態異常)

F.黄体機能不全

G.原発性卵巣不全(POI)
  コメント:早発閉経とは

H.子宮内膜症
 ① 妊娠を希望する場合の治療法の選択
  コメント:チョコレート嚢胞の悪性化
 ② 体外受精の適応

I.男性不妊
  参考:男性不妊の原因


第10章 体外受精の問題点

A.卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生
 ① 卵巣過剰刺激症候群が起こりやすいタイプ
 ② 予防策
  参考:コースティング法とは

B.多胎妊娠の発生
 ① 減胎手術とは

C.流産と子宮外妊娠(異所性妊娠)の発生

D.採卵後の合併症の発生
 ① 下腹部痛,発熱,出血


第11章 体外受精の治療成績と先天異常の発生

A.体外受精の成功とは─大切な生産分娩率の評価

B.世界の体外受精
 ① ヨーロッパの治療成績
 ② 日本の治療成績
 ③ 体外受精の治療成績の国際比較
 ④ 日本の体外受精の治療成績が低い理由はどこにあるのか

C.先天異常の頻度
  参考:遺伝性疾患に関する用語

D.顕微授精による先天異常発生への影響

E.出生前診断
 ① 母体血清マーカー検査?(トリプルマーカーテスト,クアトロテスト)
 ② 羊水検査─その安全性
 ③ 母体血胎児染色体検査(NIPT)

F.着床前診断(PGD)と着床前スクリーニング(PGS)


第12章 不育症

A.原 因

B.検 査

C.治 療


第13章 不妊症・体外受精に関するQ&A

抗ミュラー管ホルモン(AMH)について
 Q1-1 抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測ると卵巣年齢がわかると聞きましたが,抗ミュラー管ホルモンとは何ですか?
 Q1-2 抗ミュラー管ホルモン値が極端に低いと,卵巣を刺激しても採卵できないのでしょうか?
 Q1-3 抗ミュラー管ホルモン値と妊孕性は関係しますか?
 Q1-4 抗ミュラー管ホルモンを測定して,閉経がいつ起こるか予測できますか?
 Q1-5 20歳代に卵巣嚢腫で片側の卵巣を摘除しました.抗ミュラー管ホルモンが低下することはありますか?
 Q1-6 抗ミュラー管ホルモンの測定には健康保険を使えますか?
 Q 2 不摂生な生活習慣と妊娠しにくいこととは関係がありますか?
 Q 3 不妊治療中なのですが,セックスレスになってしまいました.?どうしたらよいでしょうか?
 Q 4 体外受精を決心するタイミングを教えてください.
 Q 5 体外受精と卵巣癌の発生とに関係はありますか?
 Q 6 体外受精は1年間に何回受けられますか?
 Q 7 結婚して3年間妊娠しません.超音波検査を受けたところ,6〜7cm程度のチョコレート嚢胞が見つかりました.腹腔鏡下手術をして自然妊娠を待つのと体外受精をするのとどちらがよいですか?

自然周期での採卵について
 Q8-1 自然周期での採卵を勧められましたが,自然周期採卵法とはどんなものですか?
 Q8-2 この方法の問題点は何ですか?
 Q8-3 この方法の長所は何ですか?
 Q 9 顕微授精で生まれた赤ちゃんに異常が起こることはありませんか?

胚移植について
 Q10-1 凍結融解胚移植はどのようなときに行うのですか?
 Q10-2 自然周期で胚移植する方法とホルモン補充周期で胚移植する方法があると聞きましたが,それぞれの長所や短所は何ですか?

着床障害について
 Q11-1 着床障害にはどんな原因があるのですか?
 Q11-2 繰り返す着床障害(反復着床障害)の場合,分割胚移植よりも胚盤胞移植の方が着床率は高まりますか?
 Q11-3 反復着床障害の場合,補助孵化(アシスティッドハッチング[AH])を行うと着床率が高まりますか?
 Q 12 体外受精を試みていますが,なかなか妊娠しません.?どのような原因が考えられますか?
  参考:BMI(body mass index)
 Q 13 体外受精は何歳まで続けられますか?
 Q 14 不妊治療をやめるのはどのような時ですか?
  参考:不妊治療を終わりにする時の動機


第14章 体外受精の社会的問題と未来への展望

A.卵子・精子・胚の非配偶者からの提供と代理出産による体外受精
 ① 卵子・精子・胚提供による体外受精
  参考:性同一性障害に対する最高裁の判例
 ② 代理出産
  参考:日本における代理出産に関する議論
 ③ 子宮移植による出産

B.体外受精の経済学
 ① 体外受精の費用
 ② 不妊治療に対する公的助成制度
 ③ 不妊専門相談センターの設置

C.体外受精の未来への展望
 ① 老化卵子に対する若返り法はあるのか
 ② 卵子の凍結保存
  参考:凍結保存技術と癌治療
 ③ 卵巣組織の凍結と移植─妊孕性保存の救世主となり得るか
 ④ 再生医療の導入


おわりに

引用・参考文献
参考資料
知っておきたい不妊治療関連の略語

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