書籍カテゴリー:皮膚科学

まるわかり創傷治療のキホン
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まるわかり創傷治療のキホン

1版

  • 京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授 宮地良樹 編

定価:5,400円(本体5,000円+税8%)

  • B5判 284頁
  • 2014年9月 発行
  • ISBN978-4-525-34051-3

概要

本書は,急性創傷から慢性皮膚潰瘍を網羅的にそのエッセンスを解説した一冊である.
急性創傷として小外傷,熱傷を,慢性潰瘍として褥瘡、糖尿病性潰瘍、下腿壊死を取り上げ、治療戦略とピットフォール、外科処置のポイントを解説.さらには,震災などの災害時の対処方法も解説した.
写真を多用し,“即実践で使える”一冊!

序文

外傷,熱傷,皮膚潰瘍,褥瘡などは日常診療で頻繁に遭遇する創傷であるが,医師も含めて医療従事者の多くは創傷治療に対する系統的な教育を受けた経験が少ない.しかし,創傷治癒をめぐってはMoist wound healing(創傷は乾かして治すのではなく,ウェットな状態にして治す)のコンセプトなど旧来の消毒と軟膏,ガーゼという標準治療神話を覆す意識の変革が起こっている.その意識改革をもたらしたのは褥瘡をめぐる議論であり,褥瘡は現在ではチーム医療の優等生といわれるほど多職種の医療従事者がその専門性とスキルを提供することで飛躍的に治療が進歩した領域である.その意味で,今後はレジデントや看護師を含め全ての医療職種が褥瘡治療チームの一員として,大きく貢献することがますます求められるようになろう.病院でも在宅でも患者さんに外用剤やドレッシング材の指導,予防を含めた生活指導をする機会が増加すると思われる.その際に,医療従事者として最新の正しい創傷治癒の知識を有することが必須である.
このような視点から,雑誌「薬局」で“小外傷・熱傷・褥瘡-創傷に対応する「ワザ」と「知恵」-”というタイトルで特集を組んだところ,幸いにして好評を博したので,この特集に糖尿病潰瘍と下腿潰瘍という頻繁に遭遇する重要な創傷管理を新たに加え,既存の執筆内容にも大幅な加筆訂正を経て完成したのが,本書『まるわかり創傷治療のキホン』である.
本書では,いままで創傷診療に関わったことがない医療従事者でも戸惑いなく始められるように,創傷治療のキホンをまずコンパクトにまとめ,さらに創傷治療をめぐる新しい息吹を感じていただけるように,急性創傷から褥瘡・糖尿病潰瘍・下腿潰瘍に至るまでこの領域の第一人者の先生方に極めて実践的に最新の情報をまとめていただいたので,全ての医療従事者に読み応えのある内容になったと自負している.本書が,全ての創傷患者さんのための明日からの診療に少しでもお役に立てれば編者として望外の喜びである.

2014年8月第16回日本褥瘡学会を控えて
京都大学大学院医学研究科皮膚科学 教授
宮地 良樹

目次

第1章 創傷治療

1 創傷の治癒過程
2 Moist wound healing
3 Wound bed preparation(TIME)

第2章 急性創傷

Ⅰ 小外傷
1 創傷とは
・ 創傷の分類
・ 創傷治療の目標
2 創傷に対する治療アルゴリズム
・ 創傷治療の手順
・ 各種創傷の治療戦略
3 創傷治療のピットフォール
・ 一見軽微な創傷の注意点は?
・ 異物を見つけるコツは? 何をどこまでやる?
・ 消毒は必要か? 創洗浄は生理食塩液か水道水か? 入浴させてもよいか?
・ 感染創か否か? 治療のポイントは?
・ 縫合が必要か否かの判断のポイントは?
・ 汚染がひどい創はどうするの?

Ⅱ 熱傷
1 熱傷とは
・ 診断
2 熱傷に対する治療
・ Ⅱ度熱傷
・ Ⅲ度熱傷
・ 熱傷後瘢痕拘縮
・ いわゆる低温熱傷
・ 特殊な熱傷
3 熱傷局所治療のピットフォール
・ 一見軽微な熱傷の注意点は?
・ 熱傷深度を見極めるポイントは?
・ 熱傷はどう冷やす? 水疱は除去した方が良い?
・ 消毒は必要か? 抗菌薬の選び方と使い方のポイントは?
・ 手術を実施するタイミングは?

Ⅲ 外用剤・ドレッシング材の種類と使い方
1 ドレッシング材の種類と特徴
・ 薬事分類
・ 製品特長
・ 保険償還・診療報酬
2 創傷状態・部位に応じた使い分け・使い方
・ 治癒過程に応じた使い分け・使い方
・ 創傷部位に応じた使い分け・使い方
・ ドレッシング材を使う場合の注意点
・ 創傷被覆材による実際の治療

Ⅳ 外科処置のポイント
1 顔面外傷を例に
・ 前処置
・ 創の性状による処置
・ 術後処置
2 頭部外傷を例に
・ 前処置
・ 創の性状による処置
・ 術後処置 
・ 外傷処置に際し心がけること

Ⅴ 災害時における急性創傷の応急措置とその手技
1 災害とは? 災害医療とは?
・ 災害=需要>供給:使える医療資源は限られている
・ 災害時にはできるだけ多くの患者にでき得る最善の医療を提供
・ 余計なことは行わない
・ 医療機関の復旧後は治療を継続できる形の治療を施す
・ フレキシブルな対応を
2 災害現場で有効な外傷患者のケア
・ 緊急処置に関わるもの
・ 感染症に関して
・ ドレッシングについて
・ 固定について

第3章 慢性潰瘍

Ⅰ 褥瘡
1 褥瘡とは
・ 褥瘡発症機序
・ 褥瘡の原因
2 褥瘡の創のみかた
・ 褥瘡と間違えやすい皮膚疾患
・ DESIGN-R・を用いた褥瘡状態の評価
3 各種ガイドラインの特徴と相違点
・ 「褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)」の概要と前版からの変更点
・ 日本皮膚科学会ガイドラインと日本褥瘡学会ガイドラインとの相違と特徴
4 局所治療スキーム
・ 「褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)」と「褥瘡診療ガイドライン」
・ 「褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)」の局所治療スキームの概要
・ 日本皮膚科学会「褥瘡診療ガイドライン」の局所治療スキームの概要
・ 日本褥瘡学会と日本皮膚科学会のガイドラインの相違
5 ドレッシング材の選び方と使い分け
・ 褥瘡におけるドレッシング材の使用
・ 褥瘡における滲出液管理の重要性
・ ドレッシング材の機能
・ 創部の状態によるドレッシング材の選び方
・ 褥瘡の部位によるドレッシング材の選び方
・ ドレッシング材使用時の注意点
6 局所治療のピットフォール
・ 外用剤・撥水剤の留意点は?
・ ラップ療法はどう考えればよい?
・ オムツ交換,便・尿汚染はどうすればよい?
7 体位変換の極意
・ 体位変換は諸刃の剣である
・ 体位変換には功罪相反する2つの効果がある
・ 体位変換による目で見る創の変化
・ 動的外力(褥瘡ケア)による創の変化・変形
・ 外力性ポケット
・ 創への影響をなくした新しい体位変換
・ 体位変換に関する現状と問題点
8 栄養管理戦略
・ 創傷治療に必要となる栄養管理
・ 栄養状態に問題を抱える患者へのアプローチポイント
・ 栄養スクリーニングと栄養アセスメントポイント
・ 栄養管理の基本ポイント
・ 褥瘡治療における栄養管理面での課題
9 外科処置のポイント
・ ポケット切開
・ 局所陰圧閉鎖療法
・ 物理療法(高圧酸素療法を含む)

Ⅱ 糖尿病潰瘍
1 糖尿病足病変とは
・ 糖尿病足病変の定義
・ 糖尿病足病変の病態
・ 糖尿病患者の足合併症の診察
2 患部のみかたとその評価
・ 患部のみかた
・ 評価のしかた
3 治療戦略
・ 壊死,壊疽,潰瘍
・ 神経障害による潰瘍を理解する
・ 治療の方針
・ 糖尿病潰瘍に対する治療法
・ 除圧,免荷
・ 高齢化社会への問題点
4 治療のピットフォール
・ 各病態における治療の注意点
・ 創治癒遅延時の対処法
・ 大切断の選択
5 フットケアのポイント
・ 糖尿病足病変の特徴
・ 実際のフットケア
・ 教育と啓発の重要性

Ⅲ 下腿潰瘍
1 下腿潰瘍とは
・ 下腿潰瘍とは何か
・ コモンディジーズとしての下腿潰瘍
・ 下腿潰瘍のスクリーニング検査とは?
・ 下腿潰瘍の将来像 
2 下腿潰瘍のみかたとその評価
・ 下腿潰瘍とは
・ 問診のききかた
・ 下腿潰瘍・下肢静脈瘤のみかた
・ 一次性下肢静脈瘤による下腿潰瘍
・ 深部静脈血栓症後遺症による下腿潰瘍
・ 治療前の検査のみかた
・ 治療後・経過観察のみかた
3 治療戦略
・ 静脈性潰瘍のCEAP分類
・ 下腿潰瘍の治療アルゴリズム
・ 圧迫療法の有効性と注意点
・ 手術療法の有効性と注意点
・ 硬化療法の有効性と注意点
・ 今後期待される治療法
4 治療のピットフォール
・ 弾性ストッキングはどう選ぶ? 弾性包帯の巻き方のコツは?

索 引