書籍カテゴリー:皮膚科学|免疫・アレルギー学

目で見るアレルギー性皮膚疾患
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目で見るアレルギー性皮膚疾患

1版

  • 大阪大学教授 片山 一朗 編
  • 和歌山県立医科大学教授 古川 福実 編

定価:9,720円(本体9,000円+税8%)

  • B5判 453頁
  • 2007年7月 発行
  • ISBN978-4-525-34121-3

概要

多くのアレルギー性疾患は,皮膚病変を観察することにより,他臓器の病態が類推できる.まさに皮膚は内臓の鏡であり,見れば見るほど面白い臓器である!本書は皮膚科のみならず,内科・小児科など他科の医師も診る機会が多いアレルギー性皮膚疾患を,多くのカラー写真とともに,平易に解説.実際の診療に役立てる内容であることは勿論のこと,最新の情報発信書の性格も持たせた.

序文

多臓器に症状が発現するアレルギー性疾患をいかに理解するかあるいは如何に教育するかは,簡単なようで困難な問題である.編者らは長年この問題に関わり,多くのアレルギー性疾患で,皮膚病変を観察することにより他臓器の病態が類推できることを学んできた.無論,他臓器の病態から皮膚病変の存在を知りうる場合もあるが,多くの場合,微細な皮膚の変化が全身状態を解明する糸口となるのである.まさに,皮膚は内臓の鏡といえる.それは,皮膚が解剖学的に自然免疫からはじまる獲得免疫を通して生体防御の最前線に位置しているからである.皮膚病変は,生検を行いやすい部位であることからサイトカインや炎症担当細胞に関するさまざまな医学的研究成果を入手,整理,統合しやすい.アトピー性皮膚炎やシェーグレン症候群などの研究結果にみるごとく,皮膚病変の解析が全身の病態のup-to-dateなアレルギー的理解に役立っていることは多い.また,各疾患で得られる末梢血液を通して得られた異常所見のいくつかは,皮膚病変の成立に直接的に関与しているが,一方で全身性(血液学的な)所見と皮膚(局所)所見の乖離もしばしば見出される.組織あるいは器官病変の独自の研究解析が必要とされる所以である.
したがって,皮膚は見れば見るほど面白いし,知的興味がわき続ける臓器である.このような皮膚病変への入門編として意図されたのが本書である.従来型の皮膚科学の成書は記載皮膚科学と呼ばれるように,皮膚病変の多彩さを強調する嫌いがあった.本書は,まずカラー写真を多く採用することで,アトラス的な構成として読みやすいものとした.取り上げた疾患も,アレルギーに関係した疾患をもれなく取り上げたわけではなく,アレルギー(科)の日常診療で念頭においておくべき疾患の採用を原則とした.記述内容も出来るだけ平易を心がけ,最新の情報発信書の性格を持たせた.特に,新たな治療方法や疫学的な項目は明日へ繋がるもので,皮膚アレルギー学の進展に寄与することは疑うべくもない.
本書は,すでに述べたように,皮膚科はもちろんであるが,皮膚科以外の医師や関係者に配慮した記載となっている.多くのアレルギー関係者の皮膚アレルギー学への知的好奇心を刺激し,さらには,日常診療に役立つのであれば望外の喜びである.編集に関係した二人は,日本皮膚アレルギー学会雑誌編集委員長であり日本皮膚アレルギー学会の理事長であった.2007年3月末日で35年の歴史を閉じ,新たに日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会として発展することとなった.これを契機に,学会の基本的理念であった学術性,専門性,公益性を念頭において,両名で企画編集したものである.当初,学会の企画書とて上梓することも考えたが時間的な制約などで果たせなかったのは残念であった.
最後に,極めて短時間に優れた原稿をお寄せいただいた執筆者の先生方と企画の段階から尽力いただいた南山堂の高見沢恵氏に心から感謝いたします.

2007年5月  片山 一朗
古川 福実


目次

I.蕁麻疹
総説
1.急性蕁麻疹
 1.食物
 2.薬剤
 3.感染症
 4.その他
2.慢性蕁麻疹
 1.物理性蕁麻疹
 2.内科疾患に伴う蕁麻疹
3.その他
 1.色素性蕁麻疹(肥満細胞症)
 2.血管性浮腫
4.新しいアレルゲン
 1.Oral allergy syndrome(OAS)の原因となるアレルゲン
 2.ラテックスアレルゲン
 3.豆乳アレルゲン
 4.ゼラチンアレルゲン
 5.食物依存性運動誘発アナフィラキシー

II.接触皮膚炎
総説
1.職業性接触皮膚炎
 1.理・美容師
 2.医療従事者
 3.農業従事者
 4.化学薬品工業従事者
2.日用品による接触皮膚炎
3.化粧品,毛染めによる接触皮膚炎
4.食物による接触皮膚炎
5.植物による接触皮膚炎
6.金属による接触皮膚炎
7.光接触皮膚炎
8.見逃しやすい接触皮膚炎

III.薬疹
総説
統計
1.蕁麻疹・アナフィラキシー型
2.紅斑,丘疹型(播種状紅斑丘疹型薬疹)薬疹
3.固定薬疹
4.SJS, TEN型
5.DIHS
6.光線過敏型薬疹
7.GVHD型薬疹
8.ざ瘡・多毛
9.特殊型
 1.自己免疫水疱症型
 2.乾癬型
10.生物製剤による薬疹

IV.膠原病
総説
1.ループスエリテマトーデス
 1.ACLE, SCLE,CCLE−多彩な皮疹とその分類
 2.全身性エリテマトーデス
 3.円板状エリテマトーデス
 4.亜急性皮膚エリテマトーデス
 5.新生児エリテマトーデス
 6.慢性皮膚ループスの特殊型
 7.補体欠損症とループスエリテマトーデス
 8.薬剤性ループスエリテマトーデス
 9.水疱性ループスエリテマトーデス
10.エリテマトーデスの病型分類
2.全身性強皮病
3.皮膚筋炎
4.シェ−グレン症候群
5.関節リウマチ
6.成人Still病
7.好酸球性筋膜炎(Shulman症候群)
8.ベーチェット病

V.血管炎
総説
1.皮膚限局性血管炎
2.結節性多発動脈炎
3.全身性血管炎
4.ANCA関連血管炎
 1.顕微鏡的多発血管炎
 2.アレルギー性肉芽腫性血管炎
 3.Wegener肉芽腫症
5.リベド疾患

VI.自己免疫性皮膚疾患
総説
1.尋常性天疱瘡,増殖性天疱瘡
2.落葉状天疱瘡
3.類天疱疹
4.瘢痕性類天疱瘡
5.GVHD
 1.急性GVHD
 2.慢性GVHD
6.自己炎症性疾患
7.脱毛症
 1.膠原病に伴う脱毛症
 2.円形脱毛症

VII.アトピー性皮膚炎
総説
1.乳幼児のアトピー性皮膚炎
2.思春期・成人期のアトピー性皮膚炎
3.高齢者のアトピー性皮膚炎
4.アトピー性皮膚炎への食物アレルギーの関与
5.花粉
6.ペット
7.感染症
8.金属
9.汗
10.シャンプー
Topics 中国でのアトピー性皮膚炎の調査

VIII.環境とアレルギー
1.シックハウス症候群
2.ディーゼル排気微粒子とアレルギー
3.喫煙と皮膚
4.花粉症と皮膚炎
5.アトピー性皮膚炎のチベットでの疫学調査

IX.炎症性角化症,膿疱症
1.掌蹠膿疱症
2.乾癬
3.関節症性乾癬

X.虫と皮膚病
 1.蚊
 2.シラミ
 3.マダニ
 4.疥癬
 5.毛虫
 6.ハチ
 7.ムカデ
Topics 重症の蚊アレルギー

XI.皮膚を場とする免疫アレルギー反応
1.皮膚に特異的な免疫担当細胞
 1.ケラチノサイト
 2.ランゲルハンス細胞
 3.マスト細胞
2.免疫の関与する皮膚疾患
 1.尋常性乾癬
 2.アトピー性皮膚炎
 3.アレルギー性接触皮膚炎
 4.尋常性天疱瘡
 5.悪性黒色腫,メラノーマ

XII.皮膚のアレルギー疾患の新しい治療
1.NFκBデコイによるアトピー性皮膚炎の治療
2.STAT6によるアトピー性皮膚炎の治療
3.STAT3デコイによる乾癬の治療
4.TNF-αを標的とした乾癬の新しい治療
5.CD20抗体による自己免疫性水疱症の治療
6.sFasL を標的とした重症型薬疹の治療
7.自己免疫性蕁麻疹の新しい治療