書籍カテゴリー:皮膚科学

毎日診ている皮膚真菌症
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毎日診ている皮膚真菌症
ちゃんと診断・治療できていますか?

1版

  • 東京女子医科大学皮膚科講師 常深祐一郎 著

定価:5,616円(本体5,200円+税8%)

  • B5判 171頁
  • 2010年4月 発行
  • ISBN978-4-525-34581-5

概要

皮膚科医にとって最も身近な疾患である皮膚真菌症─ちゃんと診断・治療できていますか?教科書にはあまり書いていなかった,意外と知らなかった診断・治療のコツやポイントが満載の一冊.明日からすぐに使える実践書!

序文

 皮膚真菌症は,皮膚科の中で古典的,伝統的な分野ですが,今でもその重要性は全く変わっていません.疫学調査によると,日本人は5人に1人が足白癬を,10人に1人が爪白癬をもっているといわれています.また,皮膚科外来患者の1割強が皮膚真菌症であり,大きな比率を占めています.そして,その大部分が表在性皮膚真菌症です.表在性皮膚真菌症は,臨床像から疑いをもち,鏡検を行って診断し,治療を開始するという一連の流れが,診察室で簡単にかつ短時間で行えます.病変を観察するのも,検体を取る場所を決めるのも,顕微鏡で菌要素を検出するのも,自分の「眼」であり,特殊な器具を必要としません.この視る「眼」を磨くことが,皮膚真菌症の診療の最も大切なことであり,それは,皮膚科そのものに通じています.
 医学の世界では,多くの検査が生まれ,日進月歩の進化を遂げていますが,皮膚真菌症においては,鏡検を上回る検査はいまだ現れていません.それほど優れた検査だということです.本書では,その鏡検の重要性を繰り返し述べ,実際の方法を詳しく解説しています.
 一方,治療の面から見ると,抗真菌薬は外用剤,内服薬ともに効果の高いものが数多く登場してきました.治療薬の選択肢が多いということは,有利なことですが,最適な治療薬を選ぶことができなければ,治療の効率が下がることを意味します.そこで,主な皮膚真菌症における治療薬の選択を,診療にすぐに役立つ形で整理し直してみました.さらに,大切なことですが,ただ薬を処方するだけでは,皮膚科医としては不十分です.その治療薬の効果を最大限に引き出す補助療法,患者指導をしなければ,治るものも治りません.この点にも重点を置き,多くのページを割いています.
 本書は,単著であり,皮膚真菌症に対する私の考え方や診療方針を一貫して述べています.私が理解し,日々実践していることを,できるだけわかりやすくすることを意識して,1冊にまとめました.図を多用し,あえて文章を大幅に減らし,読みやすさを追求する一方,大切な点は強調し,繰り返し述べることにより,どんどん読み進めながらも,要点は頭に残るように工夫しています.細かい知識については述べていませんので,いわゆる教科書としては役に立たないかもしれませんが,表在性皮膚真菌症の日常診療を行う上では,合格点がもらえる内容を盛り込んだつもりです.単著であるが故の思い込みや誤りがあるかもしれませんので,忌憚のないご意見を賜れば幸いです.
 また,これまで私に多くの知識を与えて下さった先生方や教科書にも深く感謝しています.さらに,私の気まぐれと乱筆にもめげず,本書が乱雑な原稿からきれいな1冊の書籍となるまでおつきあいいただき,支えてくださった南山堂の高見沢 恵様に深謝いたします.
 本書が,先生方の毎日の皮膚真菌症診療の一助になれば,著者冥利に尽きます.


平成22年4月 吉日
東京女子医科大学皮膚科
常深祐一郎



目次

Ⅰ.診 断
 総 論
 皮膚真菌症の診断
 鏡 検
 鏡検の意義
 検体の取り方
 使用する器具
 検体は複数箇所から多く採取
 鱗 屑
 水 疱
 趾 間
 過角化
 環状の皮疹
 爪の混濁
 中央が濁っている爪
 表面だけが混濁した爪
 毛
 検体の処理の仕方
 検体は細かくする
 適度に溶かす
 検体を軽く押しつぶす
 加熱は少しだけ
 顕微鏡の設定
 コンデンサー,しぼりの設定
 コンデンサー,しぼりの調節による見え方の違い
 レンズ
 ピント
 菌要素の観察
 白癬菌の菌要素
 マラセチアの菌要素
 カンジダの菌要素
 非典型的な菌要素
 菌要素ではないもの?①
 菌要素ではないもの?②
 菌要素ではないもの?③
 菌要素ではないもの?④
 鏡検陰性の時
 もう一度鏡検する
 前治療を問診する
 ステロイドを外用する

Ⅱ.治 療
 総 論
 皮膚真菌症治療の戦略
 皮膚真菌症の治療
 各真菌に効果の高い抗真菌薬を選択する
 医学的に効果のある薬剤を選択する
 最小発育阻止濃度(MIC)を考えて抗真菌薬を選択する
 白癬菌(=皮膚糸状菌)
 カンジダ
 マラセチア(癜風菌)
 病変の状態を考慮する
 びらん,湿疹,接触皮膚炎,二次感染合併時
 趾間に湿潤・びらんがある時
 外用剤は基剤も重要
 外用のトラブルを避ける
 浸 軟
 外用療法の患者指導
 外用の指示
 「水虫が治らない」と訴える患者には
 主な病型と治療
 足白癬
 角化の強い足白癬
 爪白癬
 頭部白癬
 顔面白癬
 体部白癬
 股部白癬
 手白癬
 頭,顔,体部,手,股部などの白癬を診断したら…
 カンジダ性間擦疹
 カンジダ性指間びらん症
 カンジダ性爪囲爪炎
 爪カンジダ症
 癜 風
 マラセチア毛包炎
 診療にさらに磨きをかける知識
 外用剤のコンプライアンス
 OTCに注意
 抗真菌薬内服療法
 イトラコナゾール
 テルビナフィン塩酸塩
 イトラコナゾールとテルビナフィン塩酸塩の比較
 難治な真菌症のチェックリスト
 難治な真菌症のチェックリスト

索 引

コラム
 白癬菌は角層に住んでいる
 真菌の染色
 真菌培養
 抗真菌薬の効力?静菌的なのか,殺菌的なのか
 なぜ足白癬は治療しないといけないか?
 足白癬はかゆくない
 爪白癬治療の必要性
 爪白癬と誤診しないように!?やはり鏡検が大切?
 イトラコナゾールパルス療法による高齢者の爪白癬治療
 イトラコナゾールパルス療法1クール(3サイクル)で
 治りきらなかった爪白癬には,2クール目を活用する
 軽度の肝胆道系酵素値異常のある患者への爪白癬治療
 「体部白癬らしくない」体部白癬
 外用コンプライアンスに着目したデータ
 イトラコナゾールの後発品