書籍カテゴリー:精神医学/心身医学

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第4版

  • 昭和大学教授 加藤進昌 編著
  • 九州大学教授 神庭重信 編著
  • 東京大学教授 笠井清登 編著

定価:7,020円(本体6,500円+税8%)

  • 四六倍判 439頁
  • 2012年4月 発行
  • ISBN978-4-525-38004-5

概要

医師国家試験出題基準に準拠した精神医学の教科書.改訂4版では,認知行動療法をはじめとする精神療法や自殺関連問題,サイコオンコロジーや精神科救急など,今注目のテーマについての記載を充実させた.第一線の研究者達による「コラム」も大幅に更新.定番教科書でありながら,精神医学の広がりと奥深さをも味わえる内容となっている.

序文

 厚生労働省は2011年,重点施策として取り組むべき疾患に新たに精神疾患を加え,がん・脳卒中・心臓病・糖尿病と合わせて「五大疾病」とする方針を決めた.精神疾患によって失われる社会資源の大きさは,欧米先進国ではすでに周知のことであり,わが国でもいよいよ地域医療の基本方針となる医療計画に,精神疾患対策が盛り込まれていく流れができたものといえよう.折しも2010年のNature新年号では,A decade for psychiatric disordersという論説が巻頭に掲載された.統合失調症をはじめとする精神疾患を科学する10年が始まったというわけである.この時代の流れに棹さすべく,ここに第4版をお届けする.
 第4版では,編者として笠井清登が加わった.これによって,基本的な構成は3版を踏襲しつつも,時代の流れに沿ったいくつかの章を新設し,内容にも最新の情報を盛り込むことができたと自負している.本書ではコラム担当者に第一線の研究者を配して,最新の知見をコラムで紹介することにかなり重点を置いていることを,読者諸氏には気づいてほしい.間違いのない事実を厳選して掲載するべきだという原則に固執するあまり,無味乾燥で言い古された文言が並ぶという教科書の通弊からの脱却を図ったつもりであるが,いかがであろうか.「本当かな?」という批判的精神をもって,少し頭の体操をしながらコラムを楽しんでいただければ幸いである.
 巻末の資料には研修の到達目標,医学教育モデル・コア・カリキュラムを収載した.特に医師国家試験出題基準の各項目については,本書で解説している章を引けるようにして,読者にとっての利便性を高めた.
 学問をする喜びはすべての学問に共通する.本書によって精神科臨床に興味を持ち,私たちとともに精神疾患を克服する戦いに,一人でも多くの読者が加わってくれることを切に願う.一世紀前に今日の日本精神神経学会を創設した呉 秀三が,学会誌創刊号(1902)に書いた序言をここに引用して結びとしたい.
「歳月は遷うつりて盡つくる所なく学藝げいは闡ひらけて窮きわまる所なし」

2012年3月
加藤 進昌
神庭 重信
笠井 清登

目次

総論

精神医学の世界にようこそ
精神医学とは何か
脳は世界である
精神科臨床で何をみるか
統合失調症の疾患単位 ―ドイツ精神医学の源流―
フランスにおける神経症研究 ―シャルコーとヒステリー―
日本の精神医学の夜明け
生物学的精神医学の台頭
解離現象の生物学
発達障害概念の登場 ―パーソナリティ障害とアスペルガー症候群―
おわりに

1章 心理・精神機能,主要徴候の捉え方
1 意 識
2 記 憶
3 見当識
4 知 能
5 知 覚
6 思 考
7 感情・気分
8 意志・欲動
9 自我意識
10 睡 眠
11 性 格

2章 精神疾患の分類および診断基準
1 精神疾患の分類と診断基準をめぐる略史
2 精神疾患の診断と分類の現状と問題点
3 精神疾患の分類と診断基準の今後の展望

3章 診察・診断・検査
1 診察・診断
2 検 査

4章 精神の発達とライフサイクル
1 脳神経系の発達
2 言語発達
3 認知発達(ピアジェの認知発達理論)
4 愛着(アタッチメント)の発達(ボウルビーの愛着理論)
5 心理・社会的発達(エリクソンの発達理論)
6 学習と社会経験
7 心の老化

5章 生活習慣,心理・社会的側面と精神医学
1 生活習慣と精神医学
2 心理・社会的側面と精神医学

6章 薬物療法
1 抗精神病薬
2 抗うつ薬
3 気分安定薬
4 抗不安薬
5 睡眠薬
6 抗認知症薬
7 注意欠如・多動性障害(ADHD)の治療薬
8 抗てんかん薬

7章 精神療法
1 精神療法全般の基本的事柄
2 精神療法とは何か
3 臨床場面における精神療法
4 まとめ

8章 精神障害リハビリテーションと精神保健福祉
1 精神障害リハビリテーション
2 精神保健福祉

9章 自 殺
1 用語の整理
2 自殺の疫学
3 自殺の精神医学的実態
4 自殺予防の基本的な考え方と医学的介入
5 わが国の自殺予防対策

10章 総合病院精神医学
1 コンサルテーション・リエゾン精神医学(CLP)
2 精神科救急医療

11章 精神医療の関連法規と司法精神医学
1 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)
2 障害者自立支援法
3 発達障害者支援法
4 知的障害者福祉法
5 成年後見制度
6 司法精神医学とは


各論

12章 器質性精神障害
1 概 念
2 症候学
3 原因疾患の分類と診断
4 治 療

13章 症状性精神障害
1 総 論
2 各 論
A 代謝・内分泌疾患
B 膠原病
C 肝疾患
D 腎不全,透析
E ビタミン欠乏
F 先天性疾患
G 一酸化炭素中毒
H 妊娠・出産
I 医薬品

14章 精神作用物質による精神および行動の障害
1 乱用,依存,中毒
2 アルコール関連精神障害
3 依存性薬物による精神障害
4 向精神薬以外の薬物・化学物質による精神症状
5 劇毒物中毒

15章 気分障害
1 概 念
2 症 状
3 国際診断分類
4 特別な気分障害
5 疫 学
6 経 過
7 気分障害の原因
8 治 療

16章 統合失調症,統合失調型障害および妄想性障害
1 統合失調症
2 統合失調型障害
3 妄想性障害
4 非定型精神病
5 統合失調感情障害

17章 神経症性障害,ストレス関連障害,および身体表現性障害
1 神経症性障害の概念
2 神経症性障害の発生機序
3 神経症性障害の診断
4 神経症性障害の類型分類
5 神経症性障害の治療

18章 摂食障害
1 定義・概念
2 疫 学
3 発生機序
4 症候学
5 ICD-10による診断と分類
6 経 過
7 治 療
8 予 後

19章 睡眠・覚醒障害
1 正常睡眠
2 睡眠検査法
3 不眠症
4 過眠症
5 睡眠・覚醒スケジュール障害(概日リズム睡眠障害)
6 睡眠時無呼吸症候群
7 睡眠時随伴症
8 睡眠関連運動障害

20章 心身症
1 定義・概念
2 発生機序
3 分 類
4 心身医学的治療

21章 小児の精神障害
1 精神遅滞
2 特異的発達障害(学習障害を中心に)
3 広汎性発達障害
4 注意欠如・多動性障害
5 素行障害
6 反抗挑戦性障害
7 小児期に特異的に発症する情緒障害
8 小児期に特異的に発症する社会的機能の障害
9 チック障害
10 小児期および青年期に通常発症するその他の行動および情緒の障害

22章 パーソナリティと行動の障害
1 パーソナリティ障害
2 習慣および衝動の障害
3 性同一性障害
4 性嗜好障害

23章 老年期の精神障害
1 認知機能障害,認知症
2 老年期気分障害
3 老年期精神病性障害,妄想性障害
4 その他の老年期にみられる精神障害

24章 てんかん
1 てんかんとは何か―概念と歴史―
2 てんかんはなぜ起こるか―病因と誘因―
3 てんかんの分類―てんかん発作とてんかん症候群―
4 てんかん発作各型の臨床的特徴と脳波
5 特殊なてんかん症候群
6 てんかんの治療―抗てんかん薬と外科的治療―

資料
1 医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成22年度改訂版)
2 医師国家試験出題基準(平成21年度版)
3 臨床研修の到達目標

日本語索引
外国語索引