書籍カテゴリー:精神医学/心身医学|保健/福祉/介護

精神保健マニュアル
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精神保健マニュアル

第4版

  • 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所名誉所長 清泉女学院大学学長 清泉女学院短期大学学長 吉川武彦 著
  • 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部長・自殺予防総合対策センター長 竹島 正 著

定価:4,212円(本体3,900円+税8%)

  • A4判 135頁
  • 2012年4月 発行
  • ISBN978-4-525-38134-9

概要

精神保健をできるかぎり整理し,簡潔な文章と図を用いてわかりやすく全頁表組で提示.4版では,精神保健福祉士国家試験の精神保健学の出題基準に沿った構成はそのままに,日本の精神保健のまさに第一線で活躍する新著者参加の下,全面的に最新の情報・概念に更新.それぞれの出典も明示し,今まで以上に「使いやすい」一冊となった.

序文

 本書の初版は 1993 年 1月であった. かつての 「精神衛生法」 は 1987 年に 「精神保健法」 と名称変更されていたにもかかわらず, まだ一般の方はもちろんのこと専門家筋にも“精神保健”という言葉に馴染みがなく, 従来からの精神衛生という言葉がよく使われたときでもある. そのときに本書を 「精神保健マニュアル」 と名づけて出版することはかなりの勇気が必要だった.
 しかるに, 本書を世に問うてから間もなく, 先の 「精神保健法」 は 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」, 省略して 「精神保健福祉法」 という名称に生まれ変わった. 1995 年のことである. そこで書名も 「精神保健福祉マニュアル」 と変えるかどうかかなり悩んだが, 出版するとともに多くの方々から受け入れられていたので書名は変えずにきたといういきさつがある.
 すでに初版より 20 年近くの歳月が経過したが, わが国の精神保健福祉領域にも大きな変革もみられている. 「精神衛生」 といえば精神障害者に関わる問題を指すものと思われてきたが, あえて 「精神保健」 という言葉にこだわってきた理由は, WHOのオタワ憲章にみられた 「ヘルス・プロモーション」 の考えを取り入れた 「精神健康の増進」 を目指す精神保健学を確立したかったからである.
  「精神保健」 に, こころの健やかさを大切にするとともにそれを高めていく“精神健康の増進”をおきたいという考えは, その後の精神保健福祉の実践面や精神保健福祉行政の変化をみても受け入れられてきたように思う. その最たる例示が自殺ないしは自死問題であろう. 精神障害であるうつ病が自殺・自死に深く関わっていることは明らかであるが, 自殺・自死に至る経過をみればうつ病という疾患に原因を求めるわけにはいかない.
 このような精神保健の内実の変わりようを本書に取り入れるため, 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の竹島 正部長に共著者になってもらうことをお願いしたところ快くお引き受け下さった. 竹島部長は研究所に附属する 「自殺予防総合対策センター」 所長でもある. 竹島部長はわが国の精神保健福祉行政に深くコミットするとともに自殺・自死防止の第一線で活躍中である. 本書の内容に厚みが増したのはこのためである.
 おわりに本書の改訂に深く関係していただいた国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所立森久照室長に感謝しなければならない. 立森室長は精神保健福祉に係る各種のデータに詳しい. 本書の改訂に際してデータを多く取り入れることができたのはそのためである. その意味では本書の第 4 版は 「精神保健マニュアル」 の新しい門出でもある. 多くの方のご批判とご叱正を期待したい.

2012年3月
吉川武彦

目次

1  精神保健の基礎知識

  1-1 精神保健の概要
  1-1-1 精神保健に関する基本概念
  1-1-1-a 健康に関する基本概念
  1-1-1-b 精神健康と精神障害
  1-1-1-c 障害に関する考え方
  1-1-2 精神保健の概念
  1-2 精神保健の定義
  1-3 精神保健の 3 側面
  1-4 精神保健相談の進め方


2  ライフサイクルにおける精神保健

  2-1 こころはどう育つか―目で見るこころ
  2-2 ライフサイクルにおける精神発達の特徴
  2-3 胎児期および乳幼児期における精神保健
  2-3-1 胎児期・乳幼児期の精神発達の特徴
  2-3-2 育児と精神保健上の問題
  2-3-2-a 育児状況の変化
  2-3-2-b 育児不安と児童虐待
  2-3-2-c 障害児の早期発見と障害幼児の育児
  2-3-2-d 精神発達の測定と精神発達遅滞の特徴
  2-4 学童期における精神保健
  2-4-1 学童期の精神発達の特徴
  2-4-2 学校不適応・いじめと精神保健上の問題
  2-4-2-a 子どもを取り巻く社会情勢と子どもの精神保健
  2-4-2-b 摂食障害, 登校拒否・不登校, いじめの理解
  2-5 思春期における精神保健
  2-5-1 思春期における精神発達の特徴
  2-5-2 思春期に見られる精神不安と社会的問題行動
  2-5-2-a 家庭内暴力と校内暴力
  2-5-2-b 思春期逸脱行動 (非行・犯罪) と行為障害
  2-6 青年期における精神保健
  2-6-1 青年期の精神発達の特徴
  2-6-2 アイデンティティの危機と精神保健上の問題
  2-7 成人期における精神保健
  2-7-1 成人期の一般的精神保健の背景
  2-7-2 中年危機と精神保健上の問題
  2-8 更年期・向老期における精神保健
  2-9 老年期における精神保健
  2-9-1 脳の老化と精神の老化の特徴
  2-9-2 老年期の精神保健上の問題
  2-9-3 老年期心性の特性


3  精神保健における個別課題への取り組み

  3-1 わが国における精神保健福祉の歴史
  3-1-1 江戸時代から明治, 大正時代
  3-1-2 太平洋戦争末期から 1965 年まで
  3-1-3 1965 年以降の精神保健福祉の展開
  3-2 精神保健医療の現状と展望
  3-2-1 精神保健医療福祉の改革ビジョン
  3-2-2 精神保健医療の更なる改革に向けて
  3-3 精神障害者対策
  3-3-1 わが国で用いられている 3 つの診断基準
  3-3-2 精神科医療の状況
  3-3-3 精神障害者のリハビリテーション (社会復帰)
  3-4 認知症疾患対策
  3-5 アルコール関連問題への対応
  3-5-1 アルコール関連問題
  3-5-2 アルコール依存症の理解
  3-5-3 アルコール依存症と自殺予防
  3-5-4 アルコール依存症と地域ネットワーク
  3-6 薬物乱用防止対策
  3-6-1 依存性薬物の特性と薬物乱用の現状
  3-6-2 薬物依存のケア
  3-7 思春期精神保健をどう進めるか
  3-7-1 現代的な思春期精神保健問題
  3-7-2 思春期問題に対応するためのシステムづくり
  3-8 ターミナル・ケアと精神保健
  3-9 自殺対策
  3-10 災害とメンタルヘルス
  3-10-1 災害時における心理的な反応 (災害時地域精神保健医療活動ガイドライン)
  3-10-2 自然回復の関連要因
  3-10-3 援助者のメンタルヘルス


4  精神保健活動の実際

  4-1 家庭における精神保健
  4-1-1 少子高齢化社会と家庭
  4-1-2 少子高齢化社会における育児支援
  4-1-3 母子保健活動を通じて
  4-1-4 少子高齢化社会における高齢・障害者支援
  4-2 学校における精神保健
  4-2-1 学校精神保健における課題
  4-2-2 学校保健と連携して精神健康の重要性を伝える
  4-2-3 特別支援教育と子育てに関する地域保健との連携
  4-3 職場における精神保健
  4-3-1 労働安全に関するシステム
  4-3-2 職場のメンタルヘルス
  4-3-3 ストレスと対策
  4-4 地域における精神保健
  4-4-1 地域保健活動の一環としての地域精神保健活動
  4-4-2 精神障害者の地域ケアの推進に向けて
  4-5 地域精神保健をどう進めるか
  4-5-1 地域精神保健をどのように進めるか
  4-5-2 精神障害に関する啓発・教育


5  地域保健と地域精神保健

  5-1 地域保健施策の概要
  5-2 地域精神保健施策の概要
  5-2-1 精神的健康の保持・増進に関連するもの
  5-2-2 精神障害者に関わること
  5-3 精神保健福祉に関連する法規について
  5-3-1 保健医療
  5-3-2 福 祉
  5-3-3 教 育
  5-3-4 労 働
  5-3-5 その他


6  諸外国における精神保健

  6-1 EBM と臨床疫学
  6-2 世界的にみた精神保健医療の動向
  6-3 精神保健の世界的な動き


資料 わが国の精神保健福祉の現状

  資料1 精神科医療の概況
  資料1-1 精神疾患の推計患者数 (医療機関にかかっている患者)
  資料1-2 精神疾患の有病率
  資料1-3 世界精神保健調査による各国の精神障害の有病率
  資料1-4 精神疾患入院患者の疾病別内訳
  資料1-5 精神疾患外来患者の疾病別内訳
  資料1-6 在院患者数 (疾患分類×年齢階級・入院形態×性)
  資料1-7 措置入院患者数および措置入院費の推移
  資料1-8 国民医療費に占める精神医療の割合
  資料1-9 推計 Disability-Adjusted Life Year(DALY)値が上位の疾患
  資料2 精神科病院
  資料2-1 施設の状況
  資料2-1-1 精神科病院数
  資料2-1-2 精神病床数
  資料2-1-3 人口万対精神病床数
  資料2-2 在院患者
  資料2-2-1 入院形態別在院患者数
  資料2-2-2 診断別在院患者数
  資料2-3 6 月新入院患者:新入院患者数
  資料2-4 6 月退院患者:退院患者数
  資料2-5 6 月新入院患者の動態の指標:平均残存率
  資料2-6 6 月退院患者の動態の指標: (在院期間が 1 年以上の在院者の) 退院率
  資料3 都道府県別データ
  資料3-1 都道府県別政令指定都市別精神科病院数, 精神病床数など
  資料3-2 都道府県別在院患者数 (年齢階級・入院形態×性)
  資料3-3 都道府県・政令指定都市別年間入退院患者数など (精神病床)

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