書籍カテゴリー:精神医学/心身医学|内科学一般

レジデントに贈る 心療内科の思考プロセス
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レジデントに贈る 心療内科の思考プロセス

1版

  • 聖路加国際病院心療内科 太田 大介 著

定価:2,592円(本体2,400円+税8%)

  • A5判 159頁
  • 2007年4月 発行
  • ISBN978-4-525-41541-9

概要

全人的医療の実践に欠かせない心療内科的アプローチ.その習得には心療内科医の「思考のプロセス」を身につけることが鍵となる.本書は問題形式の「症例編」と要点をまとめた「解説編」から構成され,効果的に「思考のプロセス」を習得することが出来る.研修医,身体科各科の医師に必携の一冊.

序文

臨床の現場では,原因不明の腹痛で病院を転々とする患者や,診断のつかない動悸で救急外来を何度も受診する患者が少なくない.新臨床研修カリキュラムの中で,専門的知識のみでなく,全人的に患者を診ていく力をつけることが重視されている理由のひとつだ.このような現状を考えると,心療内科の知識と技術は,身体科各科の一般臨床医にとってこそ不可欠と言える.できれば,研修の初期に心療内科的な知識と技術を学んでおくことが望ましい.
一方,今日,研修指定病院の中で心療内科を設けている病院がどのくらいあるだろうか?全国的に見てもごく少ないだろう.そのような中で,従来より心療内科が置かれている聖路加国際病院では,初期研修を終えた内科研修医や臨床心理系の大学院生などが毎年研修に来て成果を挙げている.その指導の経験を生かし,当院のみならず,心療内科に関心をもつ臨床医に,広く心療内科的な考え方を学ぶ機会を提供することを目的に本書は執筆された.
研修医を指導する中で最も難しいのは,思考のプロセスを伝えることである.経験的に診断をつけ,経験的に処方をし,生活指導を行う.経験的にしか学べない臨床の機微があることも確かだ.本書ではしかし,「経験的に」と片付けられがちな思考のプロセスをできるだけ記述するように心がけた.本書は症例を中心に構成されている.“Listen to the patient. He is telling you the diagnosis.”とWilliam Osler が述べているように,個々の症例の中に真実があるからだ.本書は主として,研修医,身体科各科の医師を読者対象に書かれている.研修医,身体科各科の医師が,本書を通して心身医学的思考法を身につけ,それぞれの専門に生かすことを期待している.さらにその中から,ともに心療内科の道を歩んでくれる医師が出てくれば望外の喜びである.

2007年1月  太田大介

目次

1.症例編

基本
 1.倦怠感,背部痛に苦しむOL
 2.イライラを訴える高齢者
 3.突然の呼吸困難を訴える主婦
 4.電車の中での呼吸困難を訴える女性
 5.常に動悸が消えない女性
 6.腹部のはりが気になる高校生
 7.胃の痛みのために食事がとれない高校生
 8.抑うつ状態が遷延した女性
 9.のどの違和感を訴える女性
 10.原因不明の吐き気を生じる会社員
 11.夕方の締めつけられるような頭痛に悩む会社員
 12.場所も時間もわからない術後の患者
 13.頑固な痛みに悩む主婦
 14.気力低下,健忘に悩む男性
 15.口腔内違和感に悩む主婦
 16.腹痛,緊張感に悩む会社員

応用
 17.「自分は悪い病気ではないか?」と心配する女性
 18.頭痛,めまいなど多愁訴の高齢女性
 19.隣人の嫌がらせに悩む主婦
 20.心窩部痛に悩む女性
 21.胸部圧迫感,めまいに苦しむ女性


2.解説編

 1.一般臨床でのうつ病診断と治療
  1.どこからうつ病を疑うか?
  2.診断のポイントは?
  3.治療の基本的な考え方
  4.専門医にいつ紹介するか?
  5.一般臨床医に勧められるうつ病の薬物治療
  6.うつ病の発病因子と治療

 2.パニック障害の診断と治療
  1.パニック障害とは
  2.パニック障害の診断
  3.パニック障害の治療

 3.神経性無食欲症患者に対する初期対応
  1.神経性無食欲症とは
  2.神経性無食欲症患者の臨床像
  3.神経性無食欲症患者への初期対応

 4.不定愁訴の診断と治療
  1.身体化とは
  2.不定愁訴の診断
  3.不定愁訴患者の分類と治療
  4.不定愁訴患者への対応の要点
  5.不定愁訴の背景を読む

 5.心身医学的治療の概略
  1.一般心理療法
  2.自律訓練法
  3.行動療法
  4.精神分析的精神療法
  5.森田療法
  6.カウンセリング
  7.診察時間について


 6.向精神薬の使い方
  1.抗不安薬
  2.睡眠薬
  3.抗精神病薬

 7.心療内科における患者理解の方法
  1.心身症とは
  2.心身相関の評価
  3.全人的患者評価
  4.自律神経系についての評価
  5.病態水準という視点
  6.ストレスコーピング
  7.インテーク面接
  8.医療モデルと成長モデル
  9.心身症を疑うポイント
  10.心療内科的な視点とは

解説

過換気症候群の治療
過敏性腸症候群の治療
警告うつ病とは
ヒステリー球とは
緊張型頭痛
対象喪失
せん妄の治療
慢性疼痛患者の治療
脳梗塞とうつ状態
口腔心身症へのアプローチ
社会不安障害
心気症


コラム

心療内科小史
広場恐怖
外傷後ストレス障害
裾野を広げよう
抑うつ状態
チーフレジデント,人を育てる
口腔異常感症
体感幻覚
優秀な臨床医はすべて心療内科医である
患者によって病名を変える

索引