オンコロジークリニカルガイド
消化器癌化学療法
改訂5版
愛知県がんセンター 副院長/薬物療法部 部長/
外来化学療法センター長 室 圭 編
上尾中央総合病院腫瘍内科 顧問 大村健二 編
定価
6,050円(本体 5,500円 +税10%)
- B5判 401頁
- 2021年2月 発行
- ISBN 978-4-525-42055-0
過去の臨床試験からASCO 2020, ESMO 2020の最新情報含めて、消化器癌薬物療法のすべてを網羅!
消化器癌のKey Drugsやエビデンスレベルの高い化学療法の最新知見を,コンパクトに解説.また,国内外の大規模臨床試験や米国臨床腫瘍学会ASCO,欧州臨床腫瘍学会などの情報もアップデートしている.各項目のポイントを箇条書きで解説してあるため,簡潔でわかりやすい.消化器癌領域のプロフェッショナルを目指す医療従事者に必携の書.
- 序文
- 目次
序文
本書のことは,発刊当時からよく存じ上げていた.消化器癌(食道,胃,大腸癌)化学療法のすべての重要な臨床試験とエビデンスの丁寧で幅広い解説,わかりやすい記述形式,注目薬剤においては作用機序など基礎的な部分まで網羅している,この業界の雄として君臨している成書であった.その後,自分自身が数編,消化器癌の化学療法本の編集や監修として関わらせていただいたなかで,常にこの「オンコロジークリニカルガイド 消化器癌化学療法」のことは気になっていた.
自分は自身の経験に基づいて,化学療法のことを知るには歴史から学べ,ということを常々若い医師に話している.そして,若いうちに,日本語でも英語でも依頼原稿でもよいので,レビュー論文を書くことを推奨している.これは,化学療法レジメンの歴史を学ぶこと,レビュー論文を書くことにより,現在の治療の位置づけが過去の臨床試験の積み重ねの結果であること,エビデンスやガイドラインの推奨がどのような経緯で決まってきたかを身体に刻み込む形で知ることができる,という考えからであった.そういう意味において,本書は,臨床試験の歴史的背景やその内容を確実に把握できる唯一無二の存在であったと思う.そして,当院当科のレジデントから,本書の新版を待望する声をしばしば耳にするようになっていた.
そんなところへ,大村健二先生から本書の編者としての参画を依頼された.そのことに何かしら強い縁を感じた.実は,大村先生と出版社から共同編者としての依頼があったのは2年以上前だったと記憶している.発刊がここまで延びてしまったのは,ひとえに自分の怠慢でしかなく,お詫びのしようもない.本書の最新版発刊を熱望している若いレジデントの先生たちの強い後押しがあったからこそ何とかここまでこぎ着けたと,この場で厚く御礼申し上げたい.
第5版では,第4版までに主としてとりあげた食道・胃・大腸癌とともに,膵臓・胆管癌,肝臓癌,GIST,神経内分泌新生物(NET/NEC)などの癌種まで幅広く解説し,消化器癌のすべてを網羅することができた.自分がもっとも信頼する,そして現場の最前線で診療に当たっている若手中心の医師たちに執筆を依頼した.2007年初版発刊当時からの伝統を引き継ぎ,最新の情報を盛り込んで成長した本書は,類を見ない成書になったと自負している.是非,医師をはじめ多くのメディカルスタッフに手にしていただきお役立ていただければ望外の幸せである.
さいごに,懲りずに見放さずに最後までお付き合いいただいた株式会社 南山堂の村井恵美さん,大村健二先生に深く感謝を申し上げます.そして,若かりし頃,消化器癌化学療法のいろはを学び敬愛していた故久保田哲朗先生に本書を捧げます.
2021年1月
編者を代表して
室 圭
自分は自身の経験に基づいて,化学療法のことを知るには歴史から学べ,ということを常々若い医師に話している.そして,若いうちに,日本語でも英語でも依頼原稿でもよいので,レビュー論文を書くことを推奨している.これは,化学療法レジメンの歴史を学ぶこと,レビュー論文を書くことにより,現在の治療の位置づけが過去の臨床試験の積み重ねの結果であること,エビデンスやガイドラインの推奨がどのような経緯で決まってきたかを身体に刻み込む形で知ることができる,という考えからであった.そういう意味において,本書は,臨床試験の歴史的背景やその内容を確実に把握できる唯一無二の存在であったと思う.そして,当院当科のレジデントから,本書の新版を待望する声をしばしば耳にするようになっていた.
そんなところへ,大村健二先生から本書の編者としての参画を依頼された.そのことに何かしら強い縁を感じた.実は,大村先生と出版社から共同編者としての依頼があったのは2年以上前だったと記憶している.発刊がここまで延びてしまったのは,ひとえに自分の怠慢でしかなく,お詫びのしようもない.本書の最新版発刊を熱望している若いレジデントの先生たちの強い後押しがあったからこそ何とかここまでこぎ着けたと,この場で厚く御礼申し上げたい.
第5版では,第4版までに主としてとりあげた食道・胃・大腸癌とともに,膵臓・胆管癌,肝臓癌,GIST,神経内分泌新生物(NET/NEC)などの癌種まで幅広く解説し,消化器癌のすべてを網羅することができた.自分がもっとも信頼する,そして現場の最前線で診療に当たっている若手中心の医師たちに執筆を依頼した.2007年初版発刊当時からの伝統を引き継ぎ,最新の情報を盛り込んで成長した本書は,類を見ない成書になったと自負している.是非,医師をはじめ多くのメディカルスタッフに手にしていただきお役立ていただければ望外の幸せである.
さいごに,懲りずに見放さずに最後までお付き合いいただいた株式会社 南山堂の村井恵美さん,大村健二先生に深く感謝を申し上げます.そして,若かりし頃,消化器癌化学療法のいろはを学び敬愛していた故久保田哲朗先生に本書を捧げます.
2021年1月
編者を代表して
室 圭
目次
第Ⅰ章 消化器癌化学療法と腫瘍学
がん細胞動態から考える化学療法の基礎的理論
第Ⅱ章 消化器癌化学療法のKey Drugs
1. フッ化ピリミジン製剤〔5-FU,DIF,5-FU(UFT)+LV,カペシタビン〕
2. 白金系製剤(シスプラチン,オキサリプラチン,ネダプラチン)
3. トポイソメラーゼ阻害薬(イリノテカン,エトポシド)
4. タキサン系製剤(パクリタキセル,ドセタキセル,nab-パクリタキセル)
5. ゲムシタビン
6. トリフルリジン/チピラシル
7. 抗VEGF抗体薬(ベバシズマブ,ラムシルマブ,アフリベルセプト)
8. 抗EGFR抗体薬(セツキシマブ,パニツムマブ)
9. トラスツズマブ
10. 抗VEGF系薬を含むチロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ,スニチニブ,ソラフェニブ,レゴラフェニブ,レンバチニブ,エルロチニブ)
11. エベロリムス
12. ソマトスタチンアナログ
13. ストレプトゾシン
14. 免疫チェックポイント阻害薬
15. トラスツズマブ デルクステカン
16. BRAF/MEK阻害薬(エンコラフェニブ,ビニメチニブ)
第Ⅲ章 消化器癌のレジメン
1. 食道5-FU/シスプラチン
2. 食道5-FU/ネダプラチン
3. 食道5-FU/シスプラチン/ドセタキセル(DCF療法)
4. 食道FOLFOX
5. 食道ニボルマブ
6. 食道パクリタキセル
7. 食道ドセタキセル
8. 胃S-1/シスプラチン(+トラスツズマブ)
9. 胃S-1/ドセタキセル,ドセタキセル単剤療法
10. 胃S-1/オキサリプラチン(+トラスツズマブ)
11. 胃FOLFOX
12. 胃カペシタビン/シスプラチン(+トラスツズマブ)
13. 胃カペシタビン/オキサリプラチン(+トラスツズマブ)
14. 胃パクリタキセル(nab-パクリタキセル)/ラムシルマブ
15. 胃イリノテカン
16. 胃ニボルマブ
17. 胃トリフルリジン/チピラシル
18. 大腸FOLFOX(+パニツムマブ,セツキシマブ,ベバシズマブ)
19. 大腸FOLFIRI(+パニツムマブ,セツキシマブ,ベバシズマブ,ラムシルマブ,アフリベルセプト)
20. 大腸FOLFOXIRI(±ベバシズマブ)
21. 大腸S-1/イリノテカン(+ベバシズマブ)
22. 大腸S-1/オキサリプラチン(+ベバシズマブ)
23. 大腸カペシタビン/オキサリプラチン(+ベバシズマブ)
24. 大腸カペシタビン/イリノテカン(+ベバシズマブ)
25. 大腸TAS-102/ベバシズマブ
26. 大腸レゴラフェニブ
27. 大腸セツキシマブ/エンコラフェニブ/ビニメチニブ
28. 胆道ゲムシタビン/シスプラチン
29. 胆道ゲムシタビン/S-1
30. 胆道ゲムシタビン/シスプラチン/S-1
31. 膵臓FOLFIRINOX
32. 膵臓ゲムシタビン/nab-パクリタキセル
33. 膵臓オラパリブ
34. 肝臓レンバチニブ
35. 肝臓ソラフェニブ
36. 肝臓ラムシルマブ
37. 肝臓レゴラフェニブ
38. MSI-HIペムブロリズマブ
39. NECシスプラチン/エトポシド
40. 肛門5-FU/マイトマイシン+放射線
41. 腹膜中皮腫シスプラチン/ペメトレキセド(+ベバシズマブ)
第Ⅳ章 消化器癌化学療法の大規模臨床試験
1. 食道癌一次治療
2. 食道癌化学放射線療法
3. 食道癌二次治療以降(化学療法)
4. 胃癌一次治療 HER2陽性(分子標的薬)
5. 胃癌一次治療 HER2陰性(化学療法)
6. 胃癌一次治療 その他の分子標的薬
7. 胃癌二次治療 化学療法
8. 胃癌二次治療 分子標的薬
9. 胃癌三次治療以降
10. 大腸癌一次治療 抗EGFR抗体薬
11. 大腸癌一次治療 VEGF阻害薬
12. 大腸癌一次治療 分子標的薬同士
13. 大腸癌二次治療
14. 大腸癌三次治療以降
15. 胆道癌一次治療,二次治療
16. 膵癌一次治療
17. 膵癌二次治療
18. 肝臓癌一次治療
19. 肝臓癌二次治療以降
20. GIST一次治療
21. GIST二次治療以降
22. 神経内分泌新生物
第Ⅴ章 周術期化学療法の大規模臨床試験
1. 食道
2. 胃癌
3. 大腸癌
4. 胆道・膵臓
5. 肝臓
6. GIST
第Ⅵ章 ゲノム医療
dMMR固形癌
第Ⅶ章 抗癌薬の臨床試験
「治療効果」を正しく解釈するための基礎知識
Topics
TAS-118—幻の標準治療薬?—
抗体薬物複合体—ADC—
irAE
アナモレリン
がん細胞動態から考える化学療法の基礎的理論
第Ⅱ章 消化器癌化学療法のKey Drugs
1. フッ化ピリミジン製剤〔5-FU,DIF,5-FU(UFT)+LV,カペシタビン〕
2. 白金系製剤(シスプラチン,オキサリプラチン,ネダプラチン)
3. トポイソメラーゼ阻害薬(イリノテカン,エトポシド)
4. タキサン系製剤(パクリタキセル,ドセタキセル,nab-パクリタキセル)
5. ゲムシタビン
6. トリフルリジン/チピラシル
7. 抗VEGF抗体薬(ベバシズマブ,ラムシルマブ,アフリベルセプト)
8. 抗EGFR抗体薬(セツキシマブ,パニツムマブ)
9. トラスツズマブ
10. 抗VEGF系薬を含むチロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ,スニチニブ,ソラフェニブ,レゴラフェニブ,レンバチニブ,エルロチニブ)
11. エベロリムス
12. ソマトスタチンアナログ
13. ストレプトゾシン
14. 免疫チェックポイント阻害薬
15. トラスツズマブ デルクステカン
16. BRAF/MEK阻害薬(エンコラフェニブ,ビニメチニブ)
第Ⅲ章 消化器癌のレジメン
1. 食道5-FU/シスプラチン
2. 食道5-FU/ネダプラチン
3. 食道5-FU/シスプラチン/ドセタキセル(DCF療法)
4. 食道FOLFOX
5. 食道ニボルマブ
6. 食道パクリタキセル
7. 食道ドセタキセル
8. 胃S-1/シスプラチン(+トラスツズマブ)
9. 胃S-1/ドセタキセル,ドセタキセル単剤療法
10. 胃S-1/オキサリプラチン(+トラスツズマブ)
11. 胃FOLFOX
12. 胃カペシタビン/シスプラチン(+トラスツズマブ)
13. 胃カペシタビン/オキサリプラチン(+トラスツズマブ)
14. 胃パクリタキセル(nab-パクリタキセル)/ラムシルマブ
15. 胃イリノテカン
16. 胃ニボルマブ
17. 胃トリフルリジン/チピラシル
18. 大腸FOLFOX(+パニツムマブ,セツキシマブ,ベバシズマブ)
19. 大腸FOLFIRI(+パニツムマブ,セツキシマブ,ベバシズマブ,ラムシルマブ,アフリベルセプト)
20. 大腸FOLFOXIRI(±ベバシズマブ)
21. 大腸S-1/イリノテカン(+ベバシズマブ)
22. 大腸S-1/オキサリプラチン(+ベバシズマブ)
23. 大腸カペシタビン/オキサリプラチン(+ベバシズマブ)
24. 大腸カペシタビン/イリノテカン(+ベバシズマブ)
25. 大腸TAS-102/ベバシズマブ
26. 大腸レゴラフェニブ
27. 大腸セツキシマブ/エンコラフェニブ/ビニメチニブ
28. 胆道ゲムシタビン/シスプラチン
29. 胆道ゲムシタビン/S-1
30. 胆道ゲムシタビン/シスプラチン/S-1
31. 膵臓FOLFIRINOX
32. 膵臓ゲムシタビン/nab-パクリタキセル
33. 膵臓オラパリブ
34. 肝臓レンバチニブ
35. 肝臓ソラフェニブ
36. 肝臓ラムシルマブ
37. 肝臓レゴラフェニブ
38. MSI-HIペムブロリズマブ
39. NECシスプラチン/エトポシド
40. 肛門5-FU/マイトマイシン+放射線
41. 腹膜中皮腫シスプラチン/ペメトレキセド(+ベバシズマブ)
第Ⅳ章 消化器癌化学療法の大規模臨床試験
1. 食道癌一次治療
2. 食道癌化学放射線療法
3. 食道癌二次治療以降(化学療法)
4. 胃癌一次治療 HER2陽性(分子標的薬)
5. 胃癌一次治療 HER2陰性(化学療法)
6. 胃癌一次治療 その他の分子標的薬
7. 胃癌二次治療 化学療法
8. 胃癌二次治療 分子標的薬
9. 胃癌三次治療以降
10. 大腸癌一次治療 抗EGFR抗体薬
11. 大腸癌一次治療 VEGF阻害薬
12. 大腸癌一次治療 分子標的薬同士
13. 大腸癌二次治療
14. 大腸癌三次治療以降
15. 胆道癌一次治療,二次治療
16. 膵癌一次治療
17. 膵癌二次治療
18. 肝臓癌一次治療
19. 肝臓癌二次治療以降
20. GIST一次治療
21. GIST二次治療以降
22. 神経内分泌新生物
第Ⅴ章 周術期化学療法の大規模臨床試験
1. 食道
2. 胃癌
3. 大腸癌
4. 胆道・膵臓
5. 肝臓
6. GIST
第Ⅵ章 ゲノム医療
dMMR固形癌
第Ⅶ章 抗癌薬の臨床試験
「治療効果」を正しく解釈するための基礎知識
Topics
TAS-118—幻の標準治療薬?—
抗体薬物複合体—ADC—
irAE
アナモレリン