南山堂

カートを見る

カテゴリー: 臨床看護学  |  癌・腫瘍学

立ち読み
注文数:

品切れ
2月下旬改訂予定

臨床で活かす

がん患者のアピアランスケア

1版

国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター センター長 野澤桂子 編
国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター
藤間勝子 編

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • B5判  310頁
  • 2017年7月 発行
  • ISBN 978-4-525-42161-8

現場で役立つ!がん治療に伴う外見ケアの実践書

がん治療は,脱毛や皮膚障害,爪の変化,瘢痕など,さまざまな外見の変化をもたらす.本書では,この外見に対するケア(アピアランスケア)について,ケアを行うための基礎知識,各症状の病態やそれに対する治療・ケア・カモフラージュ方法,事例をもとにしたケアの実際について,最新のエビデンスや臨床経験に基づいてわかりやすく解説する.

  • 目次
  • 序文
目次
第1章 アピアランスケアに必要な基礎知識
 1.アピアランスケアとは
 2.がんの治療とそれに伴う外見の変化
  1)薬物療法
  2)外科療法
  3)放射線療法

第2章 身体症状別 アピアランスケア
 1.毛髪の変化
  1)がん治療に伴う毛髪の変化
  2)頭髪の変化に対するケアとカモフラージュ法
  3)眉毛・まつ毛の脱毛に対するカモフラージュ法
  4)毛髪の変化に関する患者からの質問
   Q1:薬物療法が終わっても,思うように髪が生えて来ず,薄毛のままです….どうしたらよいですか?
   Q2:再発毛を促すために頭皮マッサージはしたほうがよいですか?
   Q3:再発毛を促したいので,育毛剤(ミノキシジル,ビマトプロストなど)を使ってもよいですか?
   Q4:脱毛しているときは,何か特別なシャンプー剤を使ったほうがよいのですか?
   Q5:治療中に髪を洗うときはどうしたらよいですか?
   Q6:治療後,髪が再び生えてきました.白髪が目立つので美容院でヘアカラーリングをしてもよいですか?
   Q7:再発毛してきましたが,髪が縮れてしまっています.縮毛矯正(ストレートパーマ)をしてもよいですか?
   Q8:眉毛やまつ毛のアートメイクをしても大丈夫ですか?
   Q9:まつ毛が少なくなったので,まつ毛エクステンションをしても大丈夫ですか?
 2.皮膚症状
  1)がん治療に伴う皮膚障害とは
  2)色素異常
  3)手足症候群
  4)ざ瘡様皮疹
  5)乾燥皮膚(乾皮症)
  6)放射線療法による皮膚障害
  7)日常整容のスキンケア
  8)皮膚症状に対するカモフラージュ法
  9)皮膚症状に関する患者からの質問
   Q1:薬物療法を受けたら,皮膚が色素沈着してしまいました.美白化粧品(ハイドロキノンなど)を使用してもよいですか?
   Q2:がんの治療中に「プチ整形」をしても大丈夫ですか?
   Q3:分子標的薬治療中ですが,ちょうど口の周りや顎にざ瘡様皮疹が出てきました.どうやってひげ剃りをすればよいですか?
   Q4:「治療中(薬物療法/放射線治療)は紫外線を防ぐように」と言われましたが,日焼け止めはできるだけ強力な製品を使った方がよいですか?
   Q5:ざ瘡様皮疹の出ている部分を洗うときは,泡を肌に乗せるようにして洗うよう指示されましたが,使用している軟膏が落ちていないようで気持ちが悪いです.これでよいのですか?
   Q6:薬物療法の副作用で手足症候群になる可能性があると言われました.靴はどのようなものを履いたらよいのですか?
   Q7:現在,放射線治療中ですが,制汗剤などのデオドラントは使ってもよいですか?
 3.爪の症状
  1)爪囲炎
  2)爪の変化・変色
  3)爪の変化に関する患者からの質問
   Q1:薬物療法で爪が変化してきました.ジェルネイルを試してもよいですか?
   Q2:足に巻き爪があります.爪囲炎を悪化させないためにはどのような靴や靴下を履けばよいでしょうか?
 4.外科手術後の変化
  1)手術の瘢痕など
  2)乳がん術後のケア
  3)頭頸部がん術後のケア
  4)外科手術後の変化に関する患者からの質問
   Q1:乳房切除後,人目が気になって好きだったプールや温泉に行けなくなってしまいました

第3章 事例からみるアピアランスケア
 1)復職時に不安や抑うつを呈した男性の事例─精神科医としてのかかわり
 2)七五三のお祝いを通じて多職種で連携し,患児とその家族へアピアランスケアを行った事例
 3)AYA 世代におけるアピアランスケアの大切さがみられた事例
 4)皮膚症状(色素沈着)に対し,プロセスに合わせて介入した事例
 5)職場で特別な配慮や説明が必要となった事例
 6)アピアランスケアに関する集合講習を行った事例
 7)外見の変化に関する訴えが心理的理由に起因した事例
 8)ストレス緩和とコミュニケーションの活性化のためにアピアランスケアを用いた事例

第4章 アピアランスケアの実践に向けて
 1.美容専門家・企業との連携
 2.施設内でのアピアランス支援体制の構築

資 料
 1.薬物療法の副作用に関わる資料
  症状別 外見に関わる副作用の発現頻度一覧
  薬剤別 外見に関わる副作用の発現頻度一覧
  外見に関わる有害事象一覧(CTCAE)
 2.香粧品に関する情報
 3.アピアランスケアに必要な準備
 4.アピアランスケアに関して活用できる社会資源
 5.患者指導用資料
  1)リーフレット
  2)爪症状に関する患者指導用資料
  3)ファンデーション色と肌色の関係

Column
 ライフイベントはプロセスに意味がある
 洗髪後,髪を濡れたままにしない方がよい理由
 ファンデーションについて
 マニキュア除去に使用する除光液の影響とネイルケアの効果
序文
 近年は医療政策が大きく変化し,医療者にも,治療のみならず広く患者が尊厳をもって望む生活を送れるよう支援することが求められている.すなわち,2007 年のがん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画では,がんによる死亡者の減少に加えて,「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」が目標とされた.そして,2012 年には,「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が追記されている.実際に,患者の生存期間が延長し,働く患者が増加した現代のがん医療においては,がん治療の継続や推進を,アピアランス(外見)問題への支援なくして語ることはできない.アピアランスケアは,いまや医療者が備えておくべき支持療法の一つであるといえよう.
 では,医療者が行うアピアランスケアとは何か.私たちは,「患者さんと社会をつなぐ」を標語とし,たとえ美容的方法を用いる場合であっても,「beautyではなくsurvive」を基準に,アピアランスケアに取り組んできた.というのも,外見の変化がもたらす患者の苦痛は,変化した部位そのものではなく,自分らしさの喪失や他者との関係性の変化に対する不安にあることがわかってきたからである.患者にとっては,日常整容行為はもちろん,再建手術もエピテーゼも皮膚症状の治療でさえ,社会のなかで自分らしく生きるための一つの手段に過ぎない.それゆえ,医療者は,外見変化に起因するがん患者の苦痛を軽減し,その人らしい生活を送ることができるよう支援するために,包括的なケアとしての「アピアランスケア」を構築してゆく必要がある.
 本書は,アピアランスケアを新たに提言するとともに,2016年にがん患者の外見支援に関するガイドラインの構築に向けた研究班が作成した『がん患者に対するアピアランスケアの手引き』(金原出版)を,臨床実践に向けて具体化した,医療者用のテキストでもある.本書には,各分野のエキスパートによる,外見に関する治療の理解から日常整容行為の指導までの詳しい説明はもちろん,外見に影響する抗がん薬の一覧や他分野の専門家との連携の際の注意点など,アピアランスケアを実践するに際して必要な情報が掲載されている.また,具体的なスキルに関しても,医療者が情報提供や施術を行うことを前提に,最も簡単で,かつ患者にも実施しやすい方法が選択されている.
 本書が,治療による外見の変化に悩むがん患者に関わる多くの医療者に活用され,アピアランスケアによる患者支援の一助になれば幸いである.
 なお,本書の作成にあたり,撮影や情報提供に協力くださった患者のみなさま,美容専門家のみなさま,および,大学や企業,NPO法人のみなさまには,この場を借りて心より感謝申し上げる.

2017 年5 月
編者を代表して
野澤桂子
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む