書籍カテゴリー:放射線医学/核医学|癌・腫瘍学

化学放射線療法プラクティカルガイド
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化学放射線療法プラクティカルガイド

1版

  • 国際医療福祉大学三田病院放射線医学センター教授 北原 規 編
  • 東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科教授 相羽 惠介 編

定価:9,504円(本体8,800円+税8%)

  • B5判 292頁
  • 2009年3月 発行
  • ISBN978-4-525-42331-5

概要

化学療法と放射線治療の併用により高い抗腫瘍効果を得る化学放射線療法(chemoradiotherapy)は,がん治療の新たな柱として期待されている.本書は,化学放射線療法に必要な支持療法などの基礎知識と,11のがん種の代表的なプロトコルを実践に即して解説.放射線腫瘍医,外科医,腫瘍内科医など集学的ながん治療に携わる医師に必要な共通知識を凝縮した一冊.

序文

現在,わが国のがん治療が低侵襲・低負担の方向に向かっていることは万人の認めるところです.特に最近進歩の目覚しい分野として,外科系では主に内視鏡下での縮小手術,内科系では化学放射線療法があります.時代の流れから,この傾向はしばらく続くものと考えられます.しかしながら,これまで化学放射線療法に特化した書物は,一部雑誌の特集号などを除きほとんど見られませんでした.
かねてから,腫瘍内科医・放射線腫瘍医が互いの分野に関して担当科に任せきりで,全体の治療の流れを実際はよく理解していないのではないかという危惧があり,その点で南山堂編集部と編者が合意して本書が企画されました.
分業の進んだ現代医学において,2つの領域のことを完全に理解するのは至難の技ですが,キャンサーボードなどが盛んに行われる現在,化学放射線療法に関する最低限の相互理解が必要であることは明らかです.そこで本書の基本方針としては,現在施行されている化学放射線療法の代表的なプロトコールをほぼ網羅したマニュアル的書物を目指すこと,難解な理論より実際の臨床上すぐ役立つ内容とすること,化学放射線療法を実践する際に必要な支持療法に関して詳述すること,専門家以外でも容易に理解できるよう可能な限り平易な記述とすることとしました.特に緩和ケア,疼痛管理,栄養管理,精神腫瘍学などの支持療法や,夫々の治療法による障害・副作用の対策を中心とする総論部分の充実は重要であると考えました.
著者に関しては,斯界の大御所というよりは現在第一線で活躍し,担当分野で論文・学会発表などが顕著である方を中心に依頼いたしました.編者の交友範囲・人脈にある程度傾いた人選になっておりますが,実力・知名度とも現在の日本を代表する執筆者をそろえられたと自負しております.各執筆者共,多忙を極める中執筆をご快諾いただいた上,締め切りを忠実に守ってご寄稿いただき感謝の念に堪えません.さらに執筆者の方々にはプロトコール完遂のための秘訣も記載していただきました.
本書が対象とする読者層は主としてレジデントを含む若い医師ですが,放射線腫瘍医,腫瘍内科医,外科系医師など,科を問わず読んでいただきたく,またコメディカルの参考書としても使用していただけると考えます.本書が,「がん」という人類の最強の敵に敢然と立ち向かおうとする若い医師に少しでも貢献できることを祈念しております.
本書は今までにないテーマの書物であったため,執筆者・編者・編集スタッフとも手探りの状態でやってまいりましたが,何とかここに完成させることができ,編者として喜びを禁じ得ません.化学放射線療法の実践にあたり,理論面・実践面でおそらくわが国における唯一の手引書として,極めて有用な書物であると考えます.ご意見・ご希望がございましたら,遠慮なく編集部にご連絡下さい.
最後に,編者の遅筆にも不平を露にせず昼夜を問わず超人的な編集力で本書を完成させてくださった南山堂編集部スタッフ(熊倉倫穂さん,窪田雅彦編集長)と,画像の提供や技術的な助言など労を厭わずご協力いただいた昭和大学藤が丘病院・岩井譜憲放射線部係長に心より深謝いたします.


2009年2月
北原 規
相羽惠介



目次

総 論―化学放射線療法を実施するためのコア知識―
 1 放射線治療
  1.放射線治療とは―効果発現のしくみ
   1.放射線とは何か
   2.なぜ放射線でがんが治るのか
   3.放射線治療の“わかりにくさ”とは
   4.放射線治療の効果を高めるには
  2.放射線治療と化学療法
   1.実験系における放射線と化学療法の併用効果
   2.実際の臨床における放射線と化学療法の併用効果の評価
   3.放射線治療と化学療法の併用方式
   4.放射線治療と化学療法を併用することのメリット
  3.放射線治療の適応
   1.放射線治療の対象となる疾患
   2.主な治療方針
  4.放射線治療装置・技術
   1.放射線治療装置
   2.外部照射治療装置の構成
  5.治療計画と線量分布
   1.三次元放射線治療計画
   2.三次元放射線治療の実際

 2 化学療法
  1.化学放射線療法の理念
  2.化学療法と放射線治療の相違
  3.化学放射線療法に頻用される代表的な抗がん剤
  4.細胞周期と抗がん剤
  5.酸素効果
  6.放射線によるDNA損傷
  7.放射線によるDNA修復
  8.放射線のDNA損傷・修復と抗がん剤の増感効果

 3 放射線治療の副作用とその対策
  1.線量率効果
  2.直列臓器と並列臓器
  3.容積効果
  4.放射線治療の副作用の評価法
  5.放射線治療による副作用の増強
  6.放射線照射による主な正常組織への影響
  7.放射線治療による副作用への対策と患者指導

 4 化学療法の副作用とその対策
  1.血液毒性
  2.消化器毒性
  3.粘膜炎
  4.血管外漏出
  5.脱 毛
  6.過敏症
  7.臓器毒性
  8.神経毒性

 5 がん治療における栄養管理
  1.がんと栄養不良
  2.がん患者における安静時エネルギー消費量
  3.がん患者の炭水化物,蛋白質,脂肪代謝における障害
  4.栄養療法における投与経路の選択
  5.がん患者に対する栄養療法の適応
  6.化学療法による栄養摂取への影響
  7.放射線治療による栄養摂取への影響
  8.新しい補助栄養療法―PEGとPEJ
  9.PEGの実際
  10.頭頸部がん,食道がんのPEGの注意点―がんのimplantation

 6 がん医療における緩和ケア―Overview
  1.緩和ケアの必要性
   1.緩和ケアとは
   2.がん医療における専門緩和ケアの必要性
   3.緩和ケアチームの発展
  2.がん患者とQOL
   1.QOLとは
   2.QOLの評価
   3.QOLの維持・向上のために必要なアプローチ
  3.インフォームド・コンセントの重要性
   1.インフォームド・コンセントとは
   2.インフォームド・コンセントと緩和ケアの関連性
  4.ホスピス・緩和ケア病棟,在宅療養までの流れ

 7 がん性疼痛管理
  1.がん性疼痛管理の基礎知識
  2.がん性疼痛の薬物療法
  3.骨転移痛の管理
  4.内臓痛の管理
  5.化学放射線療法が適応となる主ながん種の疼痛管理

 8 サイコオンコロジー
  1.サイコオンコロジーとは
  2.コミュニケーション
  3.がん患者の心理的苦痛
  4.抑うつのスクリーニング
  5.せん妄への対処
  6.アルコール,タバコ関連の精神医学的問題


各  論
 1 脳腫瘍
  I.脳腫瘍の化学放射線療法―Overview
  II.悪性神経膠腫の化学放射線療法
   1.多形性膠芽腫の化学放射線療法
   2.退形成性星細胞腫の化学放射線療法
  III.髄芽腫の化学放射線療法
  IV.中枢神経原発悪性リンパ腫および胚細胞腫瘍の化学放射線療法

 2 頭頸部がん
   1.頭頸部がんの化学放射線療法―Overview
   2.上咽頭がんの化学放射線療法
   3.上咽頭がん以外の頭頸部がんに対する化学放射線療法
   4.動注併用化学放射線療法

 3 肺がん
   1.肺がんの病期分類
   2.非小細胞肺がんの化学放射線療法
   3.限局型小細胞肺がんの化学放射線療法

 4 乳がん
   1.乳がんの術後照射,術後補助化学療法―Overview
   2.乳房温存術後,乳房切除術後の遂次併用術後化学放射線療法

 5 食道がん
   1.食道がんの化学放射線療法

 6 膵臓がん
   1.膵臓がんの化学放射線療法―Overview
   2.局所進行膵臓がんの化学放射線療法

 7 直腸がん,肛門がん
  I.直腸がんの化学放射線療法
    1.フルオロウラシル+ロイコボリン+放射線治療(EORTC22921)
    2.フルオロウラシル持続静注+放射線治療(German rectal cancer group trial)
  II.肛門がんの化学放射線療法

 8 子宮頸がん
  1.子宮頸がんの化学放射線療法

 9 悪性リンパ腫
  I.悪性リンパ腫の治療―Overview
  II.悪性リンパ腫の化学療法
    1.R-CHOP療法とCHOP療法
    2.DHAP療法
    3.ESHAP療法
    4.EPOCH療法
    5.ABVD療法(ABVd療法)
  III.悪性リンパ腫の放射線治療

 10 骨・軟部腫瘍
  I.骨腫瘍の治療
   1.骨肉腫の治療
   2.Ewing肉腫の治療
  II.軟部腫瘍の治療

 11 小児がん
  1.Wilms腫瘍の治療
  2.神経芽腫の治療
  3.横紋筋肉腫の治療

・付 表
 1.抗がん剤の取り扱い上の注意
 2.安全キャビネットが設置されていない施設での抗がん剤取り扱い時における実務対策
 3.化学放射線療法に頻用される主な抗がん剤一覧
 4.主な抗がん剤名一覧(本書に掲載した薬剤)
 5.略語一覧