書籍カテゴリー:癌・腫瘍学

抗がん薬の臨床薬理

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抗がん薬の臨床薬理

1版

  • 東京慈恵会医科大学内科学講座腫瘍・血液内科教授 相羽惠介 編

定価:16,200円(本体15,000円+税8%)

  • B5判 731頁
  • 2013年10月 発行
  • ISBN978-4-525-42341-4

概要

がん治療医が抗がん薬を真に使いこなすために必要な臨床薬理学的な知識を,各薬剤ごとに第一線の専門医が詳細に解説.この薬はなぜその投与経路・用量・スケジュールで使用するのか?血中動態は?細胞内の動態は?標的は?併用薬は何と相性がよいのか?副作用を低減して効果を最大限に引き出すためには?これらの根拠を理論的に理解できる1冊.

序文

 「抗がん薬の臨床薬理」の上梓を執筆者の皆さんとともに喜びたいと思います.
 抗がん薬の薬理について書かれた成書は,わが国のみならず海外でも非常に少ないと思います.がん薬物療法を料理に例えると,レシピ(レジメン)やテーブルマナー(臨床研究の方法論),あるいはハウ・ツーに関する本(マニュアル)は数多くあるものの,素材・食材(抗がん薬)そのものを扱った書籍は国内外を問わずあまり見かけません.レシピやテーブルマナーは料理をおいしくいただくためにはとても大切ですし,文化の栄華です.しかし食材の吟味も同様に大切で,腕の良い料理人も一番こだわるところです.
 このように,がん薬物療法でも私たちは自分の武器である「抗がん薬」にもっともっとこだわるべきと思います.どの薬をどの経路でどのような投与時間・投与スケジュール・投与様式で使用すべきか? その薬の血中動態は? 細胞内の動態は? さらに標的レベルでは? 併用薬はどれと相性がよいのか? なぜ効かないのか? もっと効かせるにはどうしたらよいか? ところで中枢神経系には到達するのか? 患者さんの副作用をできるだけ少なくして効果を最大限引き出すにはどうしたらよいか? こんなことを考えるだけで薬物療法の喜び,期待,厳しさ,責務,を実感しませんか?
 こうした考えの基盤となる書籍を作ろうと思いました.斯界の第一人者にご執筆をお願いして立派な書籍ができあがりました.執筆者の皆さんはその分野の第一人者です.ご覧になればすぐにおわかりになりますが,冷厳,客観的な科学的記述に加え,その方のひた向きなご研究,診療から勝ち得た思想とご経験に基づいた想いが余すところなく紙面に拡がっています.その行間に見え隠れするほとばしる情熱を全身で感じてください.その情熱ゆえに筆がどんどん進んだご様子がおわかりになると思います.そのようなご執筆の先生方とお知り合いになれたことにとても倖を感じますし,誇りに思います.
 これまで編集の労をお取りくださり,仕事が遅く要領の悪い私にお付き合いいただいた南山堂の熊倉女史をはじめとするスタッフの方々に深謝いたします.辛抱強い皆さんのご協力ご支援なしに本書は完成しませんでした.そして至らぬ私を温かく導いてくださった年長,同輩,後輩の皆様に感謝申し上げます.また家庭を持って以来,要領が悪く仕事が遅いために家族の時間を十分持てなかったにもかかわらず,終始支えてくれた妻と娘たちに感謝します.最後に私たちに勇気を与え,気概を与え,そして時間を共有しながらも今は幽玄界を異にした多くの患者さんと今これからの患者さんに本書を捧げたいと想います.

2013年8月
相羽惠介

目次

第I章 総論
 1 抗がん薬のスクリーニング
 2 抗がん薬とcell kinetics
 3 抗がん薬と細胞周期
 4 分子標的薬の概念と分類
 5 血管新生と標的治療
 6 抗がん薬の薬物動態学と薬力学(PK/PD)
   1)薬物の吸収,分布,代謝,排泄(ADME)
   2)特殊病態下における抗がん薬の投与
   3)抗がん薬の薬物血中濃度モニタリング(TDM)
 7 薬物代謝酵素
   1)シトクロム P450(CYP)─Overview─
   2)抗がん薬と薬物相互作用
 8 Pharmacogenomicsとpharmacogenetics
   1)Overview ─Pharmacogenomicsとpharmacogeneticsとは─
   2)Irinotecanの副作用
   3)Gefitinibの副作用
 9 抗がん薬の薬剤耐性 ─Overview─
 10 抗がん薬の毒性学
 11 抗がん薬における製剤技術の進歩 ─DDS製剤を中心に─
 12 抗腫瘍効果と腫瘍微小環境
 13 併用化学療法

第II章 化学療法薬およびホルモン療法薬の各論
 1 アルキル化薬
   1)ナイトロジェンマスタード類
   2)アルキルスルホン酸類
   3)ニトロソウレア類
   4)トリアゼン類
 2 白金製剤
 3 代謝拮抗薬
   1)葉酸代謝拮抗薬
   2)フッ化ピリミジン薬
   3)Cytarabine と類縁化合物,プリン拮抗薬
   4)Hydroxycarbamide,L-asparaginase
   5)Biochemical modulation
 4 トポイソメラーゼ阻害薬
   1)I型トポイソメラーゼ阻害薬
   2)II型トポイソメラーゼ阻害薬
 5 微小管阻害薬
   1)ビンカアルカロイド系
   2)タキサン系微小管阻害薬
   3)新規非タキサン系微小管阻害薬
 6 抗がん性抗生物質
   1)アンスラサイクリン系
   2)アンスラサイクリン系以外の薬剤
 7 ホルモン療法薬
   1)乳がんに使用される薬剤
   2)前立腺がんに使用される薬剤
 8 免疫調節薬
   1)Lenalidomide

第III章 分子標的薬の各論
 1 受容体・シグナル伝達系阻害薬(小分子化合物)
  1. HER阻害薬
   1)Gefitinib
   2)Erlotinib
   3)Lapatinib
  2. BCR-ABL阻害薬,c-KIT阻害薬
   1)Imatinib
   2)Dasatinib
   3)Nilotinib
  3. mTOR阻害薬
   1)Everolimus
   2)Temsirolimus
  4. ALK阻害薬
   1)Crizotinib
 2 血管新生阻害・多標的阻害薬
   1)Sorafenib
   2)Sunitinib
 3 抗体医薬
  1. 細胞表面抗原に対する抗体医薬
   1)Rituximab
   2)Mogamulizumab
  2. 上皮成長因子受容体に対する抗体医薬
   1)Cetuximab
   2)Panitumumab
  3. HER2に対する抗体医薬
   1)Trastuzumab
  4. 血管新生に対する抗体医薬
   1)Bevacizumab
 4 プロテアソーム阻害薬
   1)Bortezomib
 5 エピジェネティクス標的薬
   1)Vorinostat

第IV章 抗がん薬の特殊な治療方法 ・ 投与経路
 1 経口薬
 2 高用量化学療法
 3 持続点滴静注法 ─持続点滴 vs 急速静注 間欠投与─
 4 体腔内投与法
   1)腹腔内投与
   2)胸腔内投与
   3)髄腔内投与
 5 がんワクチン
 6 動注化学療法
 7 Drug Delivery System(DDS)

第V章 抗がん薬の治療効果予測
 1 胃がん
 2 大腸がん
 3 乳がん

付表 主な抗がん薬一覧