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カテゴリー: 癌・腫瘍学

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1ランクアップをめざす!がん疼痛治療

1版

北見赤十字病院 緩和ケア内科部長 後明郁男 編集
沼津市立病院薬剤部 副薬剤部長 真野 徹 編集

定価

5,280(本体 4,800円 +税10%)


  • B5判  305頁
  • 2013年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-42591-3

オピオイドやNSAIDsだけでなく鎮痛補助薬も使いこなし,通常の鎮痛薬だけではとれない痛み(侵害受容性疼痛に神経障害性疼痛が絡んだ痛みなど)にも対処できるようになる!処方時に役立つ薬物動態の知識や服薬指導,放射線療法,サイコオンコロジー,リハビリテーションまで,がん治療医がすぐに使えるノウハウ満載のがん疼痛治療の実践書.

  • 序文
  • 目次
序文
 少子高齢化が加速するなかで,がんは患者数の上ではごくありふれた疾患になった.男性の2人に1人,女性の3人に1人は,人生のどこかで,それが治癒するがんか,死に至るがんかは別として,がんという病に遭遇する.今はそのような時代である.
 がんの症状というと,激しい痛みがすぐに思い浮かぶ.事実,診断早期から問題となり,全身状態の比較的に良い時期にも多くの患者を悩ますのは痛みである.
 再発進行がんで病勢が進むと,多彩な心身の苦痛・苦悩が噴き出すので,臨床現場で痛みだけが問題になるわけではない.しかし,がん終末期では80%の人に痛みが生じ,さらにその3分の1は耐え難い激痛であることを思うと,痛みが最も重要な症状であることは間違いないだろう.
 1980年代半ばまでは難攻不落に思われたがん疼痛は,基礎疼痛学の進歩と臨床経験の蓄積,2000年代になって毎年のように矢継ぎ早に開発・上市された鎮痛薬や鎮痛補助薬,さらに放射線照射療法,精神腫瘍学,がんリハビリテーションなどの進歩・普及によって,今や適切に診断・治療すれば,その約8割の患者で本人が納得できる程度の鎮痛が,数日のうちに得られるようになった.がんという病で生ずるさまざまな症状のなかで,痛みこそが最も対処しやすい症状になったという事実は,がんに苦しむ患者と向き合う医療者は,がん疼痛に対する適切な診断法と治療法を身につけなければならないことを示している.
 本書は,ここ10年あまりの間に矢継ぎ早に上市された,がん疼痛治療領域のいわゆる新薬と,従来から使われてきたが近年再評価が進んだ薬剤を臨床ですぐに活用できることを重要な目的の一つとして,また,がん疼痛治療に優れた効果が期待できる,がん疼痛治療を支える関連領域のアプローチ法の活用をもう一つの目的として,第一線でがん疼痛と格闘している医療者によって執筆された.これらの目的は達成できたと思う.
 本書が,がん治療・がん緩和医療の臨床現場で,がん疼痛の治療に関わっている方々のお役に立つならば,編者・執筆者としてこれに勝る幸せはない.
 最後になりますが,本書は南山堂編集部の熊倉倫穂氏のひとかたならぬご尽力とがまん強さによって完成に至りました.深く感謝いたします.

2013年9月
執筆者を代表して
北海道オホーツク 北見赤十字病院にて
後明郁男
目次
PartⅠ がん疼痛治療のコア

1.がん疼痛の評価方法
 1.痛みの大きさの評価
  1)visual analogue scale(VAS)
  2)numeric rating scale (NRS)
  3)face scaleフェイススケール
  4)pain relief score (PRS)
  5)多面的評価ツール
 2.痛みの性質の評価
 3.発痛メカニズムの評価 ─ベッドサイドで発痛メカニズムを見抜く─
  1)「ふつうの痛み」(侵害受容性疼痛)の場合
  2)「ふつうでない痛み」の場合
  3)筋の攣縮(スパスム)による痛み
  4)オピオイド鎮痛薬に対する反応性による分類

2.がん疼痛の薬物療法
A.鎮痛薬の選び方・使い方
 1.がん疼痛の薬物療法の基本原則 ─WHO方式がん疼痛治療法─
  1)WHO方式の基本理念を実践するには
  2)WHO方式鎮痛薬使用の5原則
  3)WHO方式がん疼痛治療の目標と三段階除痛ラダー
 2.オピオイド鎮痛薬の剤形の種類と薬物動態の特徴
  ・徐放製剤
  ・速放製剤
  ・坐剤
  ・舌下錠
  ・貼付薬
  ・注射薬
 3.鎮痛薬を使いこなす
  ・アセトアミノフェン(パラセタモール)
  ・NSAIDsの定義と位置づけ
  ・NSAIDs
  <軽度から中等度のがん疼痛に用いるオピオイド>
  ・リン酸コデイン(コデインリン酸塩)
  ・トラマドール
  <中等度から高度のがん疼痛に用いるオピオイド>
  ・モルヒネ
  ・オキシコドン
  ・フェンタニル
  ・ブプレノルフィン
  ・メサドン
  ・オピオイドローテーション

B.鎮痛補助薬の使い方
  ─オピオイドが効きにくい痛み,とりわけ神経障害性疼痛の治療薬─
  1)総論
  2)神経障害性疼痛と鎮痛補助薬
  3)薬物療法の実際
  ・抗不整脈薬
   1.リドカイン塩酸塩
   2.メキシレチン塩酸塩
  ・抗てんかん薬
   1.カルバマゼピン
   2.クロナゼパム
   3.ガバペンチン
   4.プレガバリン
  ・抗うつ薬
   1.三環系抗うつ薬:アミトリプチリン塩酸塩,ドスレピン塩酸塩
   2.デュロキセチン塩酸塩
  ・抗血小板薬(血流改善薬)
   1.サルポグレラート塩酸塩
  ・その他
   1.NMDA受容体拮抗薬:ケタミン塩酸塩,
      デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物,イフェンプロジル酒石酸塩
   2.ステロイド(副腎皮質ホルモン)
   3.静注用マグネシウム製剤:硫酸マグネシウム・ブドウ糖配合,硫酸マグネシウム
  4)鎮痛補助薬の選択(筆者の場合)

C.鎮痛治療を支える薬剤の使い方
  ・ゾレドロネート
  ・オクトレオチド
  ・鎮痙薬
  ・向精神薬(嘔気対策として)

D.処方例の実際
  事例1.腹水貯留による呼吸困難感例
  事例2.脊柱転移による激しい腰痛例
  事例3.腰部の激痛を硬膜外モルヒネ持続鎮痛法で抑えた例
  事例4.頸椎転移による神経障害性疼痛をガバペンで抑えた例
  事例5.神経叢圧迫に神経損傷が加わった混合痛例
  事例6.典型的な侵害受容性疼痛例
  事例7.侵害受容性疼痛に神経障害性疼痛が上乗せした例
  事例8.軽度の侵害受容性疼痛に高度の神経障害性疼痛が絡んだ例
  事例9.軽度から中等度の侵害受容性疼痛に高度の神経障害性疼痛が絡んだ例
  事例10.高度の侵害受容性疼痛に高度の神経障害性疼痛が重なった例

3.がん疼痛の非薬物療法
A.持ち駒を使い果たしたとき
  1)医療人類学の効用
  2)東洋医学(伝統中国医学)に学ぶ
  3)自分を勇気付ける「この一言」(筆者の場合)

B.東洋医学の応用 圧痛点ブロック(経穴ブロック)
 1.おさえておくべき基礎知識
  1)「こり」とは何か?
  2)圧痛点と経穴
  3)圧痛点に局所麻酔薬を注入する意義
 2.圧痛点ブロックの実際
  1)筋緊張性頭痛と「天柱ブロック」
  2)肩こりと「肩井ブロック」
  3)背中(上背部)のこりと「肩外兪ブロック」,「膏肓ブロック」
  4)腰背部のこりと肝兪,脾兪,腎兪,大腸兪ならびに志室のブロック
  5)圧痛点ブロックの注意点

C.放射線治療
 1.骨転移
  1)がん性疼痛 —骨転移による疼痛—
  2)骨転移の頻度・分類
  3)骨転移における放射線治療の役割
  4)骨転移に対する放射線治療の特色
  5)病期分類
  6)治療方針 —治療方針のたて方と適応—
  7)放射線治療の方法
  8)放射線治療の標準的治療成績
  9)放射線治療の有害事象(急性・晩期)
 2.緩和ケア領域での緊急照射 ─上大静脈症候群(SVC症候群)─
  1)臨床症状,診断
  2)治療方針
  3)放射線治療の方法
  4)放射線治療の治療成績
  5)放射線治療の有害事象

D.補完・代替療法
 1.補完・代替療法とは
 2.リラクセーション
 3.アロマセラピー
  1)臨床でアロマセラピーを施行する方法
  2)アロマセラピーの利点と禁忌,注意すべきこと
 4.タッチング ─医師にもできるタッチング─
  1)タッチングとは
  2)タッチングの目的
  3)臨床で実際に行うタッチングの技術
  4)タッチングを行う際の留意点

PartⅡ がん疼痛治療を支える関連領域のアプローチ

1.サイコオンコロジー
 1.がん患者にみられる心理的苦痛の理解に役立つ知識
  1)心理的防衛機制とは何か?
  2)がんの経過における心理的変化
  3)がんの経過と医療者の関わりについて
 2.がん疼痛と精神症状
 3.がん患者によくみられる心理・精神的問題への対処方法
  1)不眠
  2)不安
  3)抑うつ
  4)せん妄

2.がんのリハビリテーション —理学療法からのアプローチ—
 1.がんのリハビリテーションとは
 2.がんのリハビリテーションの目的
 3.がんのリハビリテーションの対象,時期
 4.取り組みの実際
  1)リハビリテーション医,常勤整形外科医不在の中でのリスク管理
  2)がん患者におけるリハビリテーションの中止基準
  3)緩和ケアチームによる取り組みの実例
 5.症例

3.がん看護からのアプローチ
 1.がん看護からのアプローチの基本的ポイント
  1)がん疼痛緩和に関わる医療者の基本姿勢
  2)がん疼痛のアセスメント:うまくいかない要因と注意すべきポイント
  3)がん看護における疼痛マネジメント技術
 2.がん疼痛緩和におけるチーム医療
  1)チーム医療の必要性
  2)チーム医療の4つの要素
  3)チームコーディネーターに求められる要件
  4)チームで協働する際の注意点
 3.医師にもってもらいたい看護マインドとメソッド

コラム.患者,家族が望む緩和ケア —自分らしくあるために—

付表.オピオイド等鎮痛力価における薬価換算比較
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