書籍カテゴリー:臨床看護学|癌・腫瘍学

初心者も活用できる がん医療・がん看護
立ち読み

在庫状況:在庫あり

初心者も活用できる がん医療・がん看護
集学的治療・全人的ケアをめざして

第2版

  • 元 九州看護福祉大学大学院教授 阿蘇品スミ子 編著
  • 山口大学大学院医学系研究科保健学系学域教授 齊田菜穂子 編著

定価:3,132円(本体2,900円+税8%)

  • B5判 203頁
  • 2013年3月 発行
  • ISBN978-4-525-50222-5

概要

がん医療・がん看護の領域は近年,入院から外来治療へ,在宅ケア・訪問看護へと移行が進んでいる.また「がん=死」と直結しなくなった現状を踏まえ,がんと共に生きていくためのセルフケア支援や,がん患者の高齢化による課題などについても記載している.がん医療・看護の全体像をわかりやすくまとめた初学者のテキストとしてピッタリの書籍.

序文

 本書は,初学者が「がん医療・がん看護」の全体像を理解できるようにまとめられた書籍であり,本領域の入門書として 2002年に発刊した.その後,がん患者の増加とともに,がん医療も進歩し,「がん=死」の概念から,がんを持ち(治療し)ながら生きていくという考え方が普及しつつある.治療法もより身体への負担が少ない手術法へ,より入院日数の少ない治療法へ移行しており,がん治療も外来で行われることも多くなってきた.また,終末期においては,在宅での看取りや緩和ケア・ホスピスのニーズが増え,その重要性が認識されてきている. このような現状を鑑み,改訂2版では下記のポイントを踏まえ,がん医療・がん看護を取り巻く概念・情報などを整理し,内容のさらなる充実を目指して作成した.
①初版以降に変更のあった緩和ケア(WHO)の定義,がん医療・看護の概念や治療法の変化・進歩などを反映させ,薬剤についても最新の情報を掲載した.
②主ながん治療法の変化(手術療法から,化学療法・放射線療法中心の流れ)を踏まえ,各治療法に関する看護の実際を詳しく記載した.また,化学療法,放射線療法は外来治療が中心となり,その注目度を反映し,外来治療についての章を新設した.
③平成 18年度に「がん対策基本法」が国会を通過し,平成 19年度からその取組みが開始されて,がん医療の均てん化(どこにいても同様な医療を受けられる),緩和医療,放射線療法の教育,さらに看護教育では,看護系大学院において「がん看護専門看護師」の教育などが充実することとなった.これにより病名告知,入院期間の短縮,外来治療,本人の意向をくんだ在宅医療・在宅緩和ケアへ移行が進んだ.そこで「緩和ケア」「在宅ホスピス」を支える看護についての項目を充実させ,緩和ケアチームの体制づくりなどにも言及した.
④高齢のがん患者の増加を踏まえ,高齢者の特徴や,判別が難しい精神症状(抑うつやせん妄)への対応策を記載した.
⑤看護実践の場面には,その場でよく聞かれる患者の声(気持ち)と,それに対する看護師の具体的な対応・受け答えの実例も挿入した. がん医療・がん看護の領域の発展とともに専門も細分化され,各分野の専門書も数多く出版されているが,初学者にとっては少し難しいものも多いだろう.そのような中,「がん医療・がん看護」領域の基本的な事項が幅広く理解できる本書は有益ではないかと考える. 最後に,本書がこれからのがん医療・がん看護領域の発展を担う読者の一助となり,がん患者のこころに寄り添うことのできる医療者の育成につながれば幸いである.


2013年2月
阿蘇品スミ子

目次

第1章 がん医療・がん看護とは
 A.緩和ケアの定義
 B.がん医療・がん看護の基本
  1.全人的ケア
  2.QOL(生命の質,生活の質)
  3.患者とその家族のケア
 C.告知,インフォームド・コンセント
  1.告 知
  2.インフォームド・コンセント
 D.セカンド・オピニオンの活用
 E.医療を受ける患者の姿勢
  1.受診での戸惑いは遠慮なく尋ねること
  2.納得して医療を受けること
  3.自分の気持ちは,はっきりと述べること
 F.医療を提供する医療者・看護者の姿勢
  1.医療を受ける患者の気持ちの理解
  2.患者への説明
  3.ケアの対象は患者とその家族
  4.患者理解.全人的な観点

第2章 期待されるがん医療
 A.集学的がん治療
  1.がんは不治の病,単一の病気ではない!
  2.なぜ集学的治療か?
  3.久留米大学での頭頸部がんチーム医療
  4.チーム医療の概念
  5.頭頸部がんチーム医療の主なもの
  6.頭頸部がんチーム医療の成績
  7.久留米大学における集学的治療
  8.集学的治療の必要条件―むすび―
 B.免疫療法
  1.がんに対する免疫
  2.がん免疫療法の分類とその足跡
  3.がんに対する免疫療法の原則
  4.集学的がん治療における免疫療法の重要性

第3章 がん医療における倫理的問題
 A.生命倫理とは
 B.医師に関すること
  1.医の倫理綱領
  2.患者の権利宣言(リスボン宣言)
 C.看護に関すること
  1.看護者の倫理綱領
  2.ICN看護師の倫理綱領
 D.医療・看護にみられる倫理的問題

第4章 がん拠点病院における緩和ケアチームの役割
  1.がん対策基本法と緩和ケアチーム
  2.緩和ケアチームの活動の実際〜久留米大学病院緩和ケアチームの紹介〜

第5章 主ながん治療と看護
 A.がん全般の一般知識
  1.がんとは何か
   a)がんの発生
   b)遺伝性がん
   c)がんの特徴
   d)悪性腫瘍患者の現況と治療経済学
   e)がんの主な治療
  2.がんの早期発見・早期治療,および臓器機能の保持
   a)肺がん
   b)胃がん
   c)結腸・直腸がん
   d)肝細胞がん
   e)乳がん
   f)食道がん
  3.がんの種類
  4.治療にあたる医師の姿勢
   a)インフォームド・コンセントの方法
   b)情報開示と自己決定権
 B.化学療法を受ける患者の看護
  1.化学療法とは
  2.抗がん剤曝露予防対策
  3.副作用と看護(有害事象対策)
   a)悪心・嘔吐
   b)食欲不振
   c)口腔粘膜炎
   d)骨髄抑制
   e)末梢神経障害
   f)脱 毛
 C.放射線療法を受ける患者の看護
  1.放射線療法とは
  2.放射線療法が利用される疾患
  3.放射線療法の実際
  4.放射線療法による副作用(障害)とその看護
 D.手術療法を受ける患者の看護
  1.手術療法とは
  2.内視鏡下による手術療法
   a)肺がん
   b)大腸がん
 E.移植を受ける患者の看護
  1.移植とは
  2.肝臓移植を受ける患者の看護
 F.免疫療法の実際
  1.ペプチドワクチンとは
  2.ペプチドワクチン療法の実際
  3.ペプチドワクチンを希望する患者が,ワクチンの投与を受けるまでの流れ
  4.主なペプチドワクチンの投与スケジュール

第6章 外来における患者とその家族の看護
 A.外来における看護
  1.外来の特徴
  2.待ち時間対策
 B.外来において化学療法を受ける患者の看護
  1.外来化学療法における看護師の役割
  2.外来化学療法における看護の実際
 C.外来において放射線療法を受ける患者の看護
  1.意思決定のサポート
  2.有害事象に関するセルフケアの支援
  3.精神的支援

第7章 症状マネジメント
 A.身体的痛みのマネジメント(WHO方式がん疼痛治療法)
  1.痛みの定義
  2.痛みの分類
  3.がん疼痛の特徴
  4.痛みのアセスメント(評価)
  5.がんの痛みの種類と部位・性質のアセスメントとその治療
  6.がん疼痛に関する薬物療法
 B.セデーション(鎮静)
  1.緩和医療におけるセデーションとは
  2.セデーションと安楽死の相違
  3.セデーションの分類
  4.セデーション施行における倫理的要件
  5.セデーションの実際

第8章 ターミナルステージにおける患者とその家族の看護
 A.ターミナルステージとは
 B.ターミナルケアとは
 C.ターミナルステージのがん患者へのケア
  1.がん患者の心配や不安
  2.ターミナルステージ(終末期)のがん患者の心理プロセス
  3.患者へのケア
  4.患者へのケアの実際
 D.ターミナルステージのがん患者をもつ家族へのケア
  1.家族が抱えるストレス
  2.終末期患者の家族の心理プロセス
  3.終末期患者の家族のニーズ
  4.家族へのケア
  5.遺族へのケア
 E.判別困難な精神症状の見分け方とその看護
  1.がん患者の抑うつ症状
  2.抑うつ症状を呈するがん患者の看護
  3.がん患者のせん妄
 F.高齢患者とその家族の看護
  1.高齢者の特徴
  2.高齢がん患者の特徴
  3.終末期にある高齢がん患者の看護の実際
 G.スピリチュアルケア
  1.スピリチュアルペイン(霊的苦痛)の定義・意味
  2.スピリチュアルペインの感情表現
  3.スピリチュアルケアの実際
 H.ホスピス・緩和ケア
  1.ホスピス・緩和ケア
  2.ホスピス・緩和ケア病棟―入院の場合―
 I.在宅ホスピスケア
  1.在宅ホスピスケア
  2.在宅ホスピスケアを可能にするための条件
  3.在宅ホスピスケアの実践をとおしての学び
 J.ボランティアの必要性
  1.ボランティアの定義・役割
  2.ボランティアの活動内容
  3.病院ボランティアの心構え・注意
  4.ボランティアの存在意義

索 引