母乳育児学
1版
昭和大学医学部小児科 准教授 水野克己 著
定価
1,980円(本体 1,800円 +税10%)
- B5判 96頁
- 2012年11月 発行
- ISBN 978-4-525-50361-1
わが国初の母乳育児の教科書!!
本書は母乳育児の教科書として,すべての医療従事者に必要な最低限知識をコンパクトにまとめてある.
日本のどこにいても「標準的な」母乳育児教育を提供できるよう,本書をお使いいただきたい.
- 序文
- 目次
序文
医療者は,どの診療科が専門であっても授乳中の母親にかかわります.
したがって,母乳育児に関する正しい知識をもち,授乳中の母親をサポートする必要があります.しかし,多くの母乳育児の専門家は,女性の大多数が経験する「母乳育児」については,標準的な教育体系ができていないと感じています.なぜならば,これまで母乳育児に関する教育は,経験に基づいた知識の伝承がその中心となっていたからです.もちろん,先達の経験は大きな財産として,受け継ぐことは重要です.しかし,母乳育児もほかの医学教育と同様に,まずは母乳育児に関する基礎医学を学び,その後,臨床医学の知識をベースに,経験を積み重ねていくことで,それぞれのペア(母親と児)に対応できる能力が獲得できると思います.
本書「母乳育児学」は,母乳を産生するメカニズム,母乳の成分,母乳で育てることによる児・母親への好ましい効果,母乳育児中に遭遇することの多い問題点とその対策など,「標準的な」母乳育児の教育を可能とすることを目標に,医学部学生向けに執筆しました.医学部の学生は,本書に記載されていることが,医師になるにあたって母乳育児のminimum requirementと心得て欲しいと思っています.
各章に掲げている「学習するのに適した学年」や行動目標specific behavioral objectives(SBOs)は医学部のコアカリキュラムを参考にして掲載していますが,ここに掲載したSBOsは歯学,薬学,そして助産学や看護学などでも共通しています.職種によって,学習が必要な箇所を担当教員のご判断でお使いいただければ幸いです.
本書で学習することで,授乳中の母親に適切なアドバイスやエモーショナル・サポートができるたくさんの医療者が育つよう,医学教育の一助となれば幸いです.
2012年8月吉日
水野克己
したがって,母乳育児に関する正しい知識をもち,授乳中の母親をサポートする必要があります.しかし,多くの母乳育児の専門家は,女性の大多数が経験する「母乳育児」については,標準的な教育体系ができていないと感じています.なぜならば,これまで母乳育児に関する教育は,経験に基づいた知識の伝承がその中心となっていたからです.もちろん,先達の経験は大きな財産として,受け継ぐことは重要です.しかし,母乳育児もほかの医学教育と同様に,まずは母乳育児に関する基礎医学を学び,その後,臨床医学の知識をベースに,経験を積み重ねていくことで,それぞれのペア(母親と児)に対応できる能力が獲得できると思います.
本書「母乳育児学」は,母乳を産生するメカニズム,母乳の成分,母乳で育てることによる児・母親への好ましい効果,母乳育児中に遭遇することの多い問題点とその対策など,「標準的な」母乳育児の教育を可能とすることを目標に,医学部学生向けに執筆しました.医学部の学生は,本書に記載されていることが,医師になるにあたって母乳育児のminimum requirementと心得て欲しいと思っています.
各章に掲げている「学習するのに適した学年」や行動目標specific behavioral objectives(SBOs)は医学部のコアカリキュラムを参考にして掲載していますが,ここに掲載したSBOsは歯学,薬学,そして助産学や看護学などでも共通しています.職種によって,学習が必要な箇所を担当教員のご判断でお使いいただければ幸いです.
本書で学習することで,授乳中の母親に適切なアドバイスやエモーショナル・サポートができるたくさんの医療者が育つよう,医学教育の一助となれば幸いです.
2012年8月吉日
水野克己
目次
1章 母乳育児の利点
●母乳育児が児にもたらす利点
1.感染症の予防効果
2.アレルギー疾患の罹患リスクの低下
3.小児がん罹患リスクの低下
4.乳幼児死亡率の減少
5.将来の肥満と糖尿病の予防効果
6.認知能力の向上
7.顔面形成と歯並び
●母乳育児が母親にもたらす利点
8.短期的な恩恵
9.長期的な恩恵
2章 母乳分泌の生理
1.乳汁生成 の3段階
2.プロラクチンと乳汁産生
3.乳汁排出におけるオキシトシンの役割
4.乳汁分泌の開始から維持までをサポートする
5.母親への精神的支援
3章 母乳の成分
1.母乳と人工乳の成分の違い
2.初乳と成乳の成分の違い
3.前乳と後乳の違い
4章 授乳中に関連する病態
1.二次性の乳汁分泌不全
2.乳腺炎
3.乳頭痛
4.その他の乳頭痛,乳頭損傷を来たす病態
5.エモーショナル・サポート
5章 授乳中の母親と感染症
1.母親が感染したとき,授乳継続にあたって確認すべきこと
2.経母乳感染(母乳を介して感染すること)とは
3.母乳を介して感染する病原体・授乳によって感染しうる病原体
4.母乳そのものや授乳を行うことが児の感染症重症化を防ぐ
5.授乳中の母親と子どもへの対応
6章 母乳中への薬物移行
1.児の薬剤摂取を決定する因子
2.授乳中の母親に使用しやすい薬剤の情報
3.医師の説明義務
7章 児の哺乳行動
1.新生児の口腔の特徴
2.哺乳のメカニズム
3.適切な吸着
4.直接授乳とびん哺乳の比較
5.哺乳の評価
6.哺乳障害を伴う病態・疾患
8章 母乳で育っている児(正常な正期産児)と病態
●生後早期の注意点
1.低血糖
2.黄 疸
3.母乳で育つ児の生後の体重減少と脱水
●母乳で育っている児の1ヵ月以降の体重増加
5.身体発育の評価方法と注意点
6.母乳で育っている児が体重増加不良であると判断したときの対処
7.乳児健診において母乳育児を推進するために
9章 母乳育児を推進する活動
1.母乳育児成功のための10ヵ条
2.母乳代用品の販売流通に関する国際規準(通称:WHOコード)
10章 人工乳の医学的な適応と母乳育児がうまくできなかった母親への支援
1.人工乳の医学的適応
2.母乳育児ができなかった(行わなかった)母親に対する支援
参考資料
母乳育児と関連のある医師国家試験出題基準
学生時代に履修しておくべき内容
母乳育児と関連する医師国家試験出題問題(抜粋)
研修医の学習案
搾乳
索 引
Column
母乳のにおい・風味
医薬品添付文書と授乳
哺乳中の嚥下の確認方法
初期嘔吐
正常な血乳とは
●母乳育児が児にもたらす利点
1.感染症の予防効果
2.アレルギー疾患の罹患リスクの低下
3.小児がん罹患リスクの低下
4.乳幼児死亡率の減少
5.将来の肥満と糖尿病の予防効果
6.認知能力の向上
7.顔面形成と歯並び
●母乳育児が母親にもたらす利点
8.短期的な恩恵
9.長期的な恩恵
2章 母乳分泌の生理
1.乳汁生成 の3段階
2.プロラクチンと乳汁産生
3.乳汁排出におけるオキシトシンの役割
4.乳汁分泌の開始から維持までをサポートする
5.母親への精神的支援
3章 母乳の成分
1.母乳と人工乳の成分の違い
2.初乳と成乳の成分の違い
3.前乳と後乳の違い
4章 授乳中に関連する病態
1.二次性の乳汁分泌不全
2.乳腺炎
3.乳頭痛
4.その他の乳頭痛,乳頭損傷を来たす病態
5.エモーショナル・サポート
5章 授乳中の母親と感染症
1.母親が感染したとき,授乳継続にあたって確認すべきこと
2.経母乳感染(母乳を介して感染すること)とは
3.母乳を介して感染する病原体・授乳によって感染しうる病原体
4.母乳そのものや授乳を行うことが児の感染症重症化を防ぐ
5.授乳中の母親と子どもへの対応
6章 母乳中への薬物移行
1.児の薬剤摂取を決定する因子
2.授乳中の母親に使用しやすい薬剤の情報
3.医師の説明義務
7章 児の哺乳行動
1.新生児の口腔の特徴
2.哺乳のメカニズム
3.適切な吸着
4.直接授乳とびん哺乳の比較
5.哺乳の評価
6.哺乳障害を伴う病態・疾患
8章 母乳で育っている児(正常な正期産児)と病態
●生後早期の注意点
1.低血糖
2.黄 疸
3.母乳で育つ児の生後の体重減少と脱水
●母乳で育っている児の1ヵ月以降の体重増加
5.身体発育の評価方法と注意点
6.母乳で育っている児が体重増加不良であると判断したときの対処
7.乳児健診において母乳育児を推進するために
9章 母乳育児を推進する活動
1.母乳育児成功のための10ヵ条
2.母乳代用品の販売流通に関する国際規準(通称:WHOコード)
10章 人工乳の医学的な適応と母乳育児がうまくできなかった母親への支援
1.人工乳の医学的適応
2.母乳育児ができなかった(行わなかった)母親に対する支援
参考資料
母乳育児と関連のある医師国家試験出題基準
学生時代に履修しておくべき内容
母乳育児と関連する医師国家試験出題問題(抜粋)
研修医の学習案
搾乳
索 引
Column
母乳のにおい・風味
医薬品添付文書と授乳
哺乳中の嚥下の確認方法
初期嘔吐
正常な血乳とは