メディカルスタッフのための
基礎からわかるカウンセリングと心理療法
1版
神奈川大学 人間科学部人間科学科 教授 山蔦圭輔 著
定価
2,420円(本体 2,200円 +税10%)
- B5判 165頁
- 2022年4月 発行
- ISBN 978-4-525-50481-6
医療職を目指す学生に
カウンセリングと心理療法の基礎が学べるテキスト
カウンセリングや心理療法の技法は,心理専門職のみならず,医療職にとっても患者・家族との対人関係を築くうえで,非常に有用なものです.
本書では,医療職が日常の業務に活かせるカウンセリングや心理療法について,それらの基礎となる理論から具体的な技法・ケースまで,読みやすい文章とイラストで解説していきます.
各種医療職の養成校のテキストとしてだけでなく,カウンセリング・心理療法を学びたい医療職向けの入門書としても最適な一冊です.
- 序文
- 目次
序文
本書は,メディカルスタッフをはじめとする対人援助職を志す人々に向けて,心理的支援を行う際に必要な考え方や知識をまとめたものです.ここで紹介する内容は,いずれも実際の支援(医療をはじめとするさまざまな領域で行われる心理的支援やいわゆるカウンセリング)を行うとき,基本としておさえておきたいものです.
第1~3章では,カウンセリングの意味合いや考え方,第4章では伝統的な治療法である精神分析学,第5 章では特に行動面の修正を目指す行動療法,第6章ではカウンセリングの代名詞ともいえる来談者中心療法,第7章ではものの考え方やとらえ方に関与する認知療法・認知行動療法,第8章では対人交流を理解し豊かな交流を実現する交流分析,第9 章では今生じている対人関係に焦点化し調整を試みる対人関係療法,第10章では第4~9章で紹介した心理療法と同様に大切ないくつかの心理療法についてまとめました.これらの心理療法は,臨床心理学をベースとした支援を行う際に有用なものであり,その考え方やエッセンスは,メディカルスタッフをはじめとした対人援助職全般に求められるものです.また,第11~12章では子どもと大人の理解や関わり方について,第13章では心身の健康保持増進に関わる考え方についてまとめました.これらの知識は,実際の臨床場面で支援を行うときにも必要となるものです.さらに,第14章では心理検査法について,第15章では精神疾患について取り上げ,それぞれの特徴や留意点などをまとめています.これらはいずれも臨床で活躍する際には前提としておさえておきたい知識です.
以上のとおり,本書は臨床心理学的な支援やカウンセリング,心理療法の基礎を学ぶためのものとして構成され,初学者に必要な知識を十分にお伝えすることを目的としています.もっとも,実臨床の場面で活躍する際に必要な知識はこの限りではなく,継続した学習と技能のブラッシュアップが必要不可欠ですが,基本的な知識の獲得や蓄積した知識の整理を行う際に本書がお役に立てれば幸いです.
2020 年3 月にCOVID-19 が蔓延して以来,私たちの生活スタイルは大きく変化しました.カウンセリングをはじめとした対人支援のあり方も問われるようになり,こうした環境下でクライエントや患者とよばれる要支援者を支えるために,現在でもさまざまな工夫が続けられています.
「人を支えること」とはどのようなことなのでしょうか? このような環境のなかで私たち支援者に求められることは多様であり,また難しくもあります.要支援者を適切に支え,よりよい日常を送るためのお手伝いができるような専門家を目指すとき,私たちは日々勉強し,研鑽することが求められます.
カウンセラーや心理専門職とよばれ,その名の下に活躍できるようになるためには,勉強(知識の蓄積)に加えて実践がとても重要です.心理専門職を目指すプロセスでは,演習や実習の機会において実践を経験し,十分なトレーニングを積むことが求められます.しかし,こうした実践やトレーニングは,カウンセラーや心理専門職を目指す人に限定されることはなく,メディカルスタッフであれば誰もが求められるものともいえます.こうした実践をよりよいものとするためには,その実践の背景にある考え方や理論,方法論を十分に知り,実践を解釈しながら理解し,ときにはそれらを疑うことも重要です.こうしたプロセスのほんの一部であったとしても,本書がお役に立てることを願っております.
最後に,いつも支えてくださった南山堂編集部の松村みどり氏に深くお礼申し上げます.こうした支えがなくして本書を完成させることはできませんでした.よい支援者となってくださり,ありがとうございます.
自身も毎日の生活を精一杯生きているのと同様に,好きな他人も嫌いな他人も精一杯生きています.多様な人々が存在する世の中で,自身と同様である他者を純粋性をもって支えることを目指すとき,臨床心理学やカウンセリングの考え方が少しでも役立つことを願っております.
2022年2月
入学試験真っ盛りの研究室にて 山蔦圭輔
第1~3章では,カウンセリングの意味合いや考え方,第4章では伝統的な治療法である精神分析学,第5 章では特に行動面の修正を目指す行動療法,第6章ではカウンセリングの代名詞ともいえる来談者中心療法,第7章ではものの考え方やとらえ方に関与する認知療法・認知行動療法,第8章では対人交流を理解し豊かな交流を実現する交流分析,第9 章では今生じている対人関係に焦点化し調整を試みる対人関係療法,第10章では第4~9章で紹介した心理療法と同様に大切ないくつかの心理療法についてまとめました.これらの心理療法は,臨床心理学をベースとした支援を行う際に有用なものであり,その考え方やエッセンスは,メディカルスタッフをはじめとした対人援助職全般に求められるものです.また,第11~12章では子どもと大人の理解や関わり方について,第13章では心身の健康保持増進に関わる考え方についてまとめました.これらの知識は,実際の臨床場面で支援を行うときにも必要となるものです.さらに,第14章では心理検査法について,第15章では精神疾患について取り上げ,それぞれの特徴や留意点などをまとめています.これらはいずれも臨床で活躍する際には前提としておさえておきたい知識です.
以上のとおり,本書は臨床心理学的な支援やカウンセリング,心理療法の基礎を学ぶためのものとして構成され,初学者に必要な知識を十分にお伝えすることを目的としています.もっとも,実臨床の場面で活躍する際に必要な知識はこの限りではなく,継続した学習と技能のブラッシュアップが必要不可欠ですが,基本的な知識の獲得や蓄積した知識の整理を行う際に本書がお役に立てれば幸いです.
2020 年3 月にCOVID-19 が蔓延して以来,私たちの生活スタイルは大きく変化しました.カウンセリングをはじめとした対人支援のあり方も問われるようになり,こうした環境下でクライエントや患者とよばれる要支援者を支えるために,現在でもさまざまな工夫が続けられています.
「人を支えること」とはどのようなことなのでしょうか? このような環境のなかで私たち支援者に求められることは多様であり,また難しくもあります.要支援者を適切に支え,よりよい日常を送るためのお手伝いができるような専門家を目指すとき,私たちは日々勉強し,研鑽することが求められます.
カウンセラーや心理専門職とよばれ,その名の下に活躍できるようになるためには,勉強(知識の蓄積)に加えて実践がとても重要です.心理専門職を目指すプロセスでは,演習や実習の機会において実践を経験し,十分なトレーニングを積むことが求められます.しかし,こうした実践やトレーニングは,カウンセラーや心理専門職を目指す人に限定されることはなく,メディカルスタッフであれば誰もが求められるものともいえます.こうした実践をよりよいものとするためには,その実践の背景にある考え方や理論,方法論を十分に知り,実践を解釈しながら理解し,ときにはそれらを疑うことも重要です.こうしたプロセスのほんの一部であったとしても,本書がお役に立てることを願っております.
最後に,いつも支えてくださった南山堂編集部の松村みどり氏に深くお礼申し上げます.こうした支えがなくして本書を完成させることはできませんでした.よい支援者となってくださり,ありがとうございます.
自身も毎日の生活を精一杯生きているのと同様に,好きな他人も嫌いな他人も精一杯生きています.多様な人々が存在する世の中で,自身と同様である他者を純粋性をもって支えることを目指すとき,臨床心理学やカウンセリングの考え方が少しでも役立つことを願っております.
2022年2月
入学試験真っ盛りの研究室にて 山蔦圭輔
目次
第1章 カウンセリング,心理療法とは
第2章 心理学・臨床心理学とカウンセリングの展開
第3章 カウンセラーの資格とその専門性
第4章 精神分析学
第5章 行動主義心理学と行動療法
第6章 人間性心理学と来談者中心療法
第7章 認知療法と認知行動療法
第8章 人間関係と心理療法
第9章 対人関係療法
第10章 大切な心理療法と心理的技法
第11章 子どもを対象とした心理的支援
第12章 大人を対象とした心理的支援
第13章 予防的支援とカウンセリング
第14章 心理アセスメントと心理検査法
第15章 精神疾患と心理的支援
第2章 心理学・臨床心理学とカウンセリングの展開
第3章 カウンセラーの資格とその専門性
第4章 精神分析学
第5章 行動主義心理学と行動療法
第6章 人間性心理学と来談者中心療法
第7章 認知療法と認知行動療法
第8章 人間関係と心理療法
第9章 対人関係療法
第10章 大切な心理療法と心理的技法
第11章 子どもを対象とした心理的支援
第12章 大人を対象とした心理的支援
第13章 予防的支援とカウンセリング
第14章 心理アセスメントと心理検査法
第15章 精神疾患と心理的支援