書籍カテゴリー:基礎看護学

ナースのための生化学・栄養学

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ナースのための生化学・栄養学

第4版

  • 女子栄養大学副学長・自治医科大学名誉教授 香川 靖雄 著
  • 岐阜県国際バイオ研究所所長・岐阜大学名誉教授 野澤 義則 著

定価:3,780円(本体3,500円+税8%)

  • B5判 274頁
  • 2006年1月 発行
  • ISBN978-4-525-51754-0
  • ISBN4-525-51754-9

概要

生化学・栄養学の知識を「患者さんの身体をケアするつもりで読める」よう臨床医学と関連づけて図解した教科書.I.人体の構成,II.代謝,III.臓器の生化学,IV.疾患の栄養生化学 からなり,各章の初めの紹介文が理解を助ける.日本人の食事摂取基準(2005年版)に沿って内容を大幅に改め,巻末の看護師国家試験と解説は2003年度の問題を新たに追加した.

序文

本書の初版は,昭和から平成に移り変わる頃の1988年に出版されました.その頃生まれた人たちが現在,看護学生として勉強しています.初版の当時は看護師の多くは短期大学や専門学校で養成されていました.しかし,現在では看護師養成は四年制大学が中心となり,多くの病院で看護師の副院長が誕生するまでに看護師の地位も高くなりました.教科書もそれにふさわしい学識を身につける高度の内容が必要とされます.
そこで,本書では生命の根幹である生体物質と代謝をそれぞれ第I章,第II章で述べた後,第III章では各診療科が扱う臓器別に図説し,第IV章で病態を解説してあります.生化学は看護診断のための検体分析値や機能検査の理解に欠かせません.また栄養学は看護の基本となる人体の恒常性維持の重要な手段として,管理栄養士,医師,薬剤師と共にNST(ニュートリションサポートチーム)が編成されるようになりました.今後,社会の高齢化が一層進んで,生活習慣病の予防・治療に加えて,高齢者の介護と要介護予防に看護師の役割が重くなります.近年の看護師資格国家試験の内容も医学・医療の発展とともに高度なものとなりました.特に断片的な知識でなく,臨床看護の現場での病態の把握,その原因の理解,そして看護実践を具体的に問う状況設定問題が重視されるようになりました.さまざまな状況に接しても共通で確かな生化学・栄養学の知識があって初めて現場に応用できるのです.
振り返りますと,筆者は日本の看護学のメッカである聖路加国際病院で,卒後最初に勤務しました.そこで恩師の日野原重明先生から内科の臨床を熱心に教えていただきました.日野原先生は看護学生や筆者を連れて毎日病棟を巡り,重い病に悩む一人一人の患者さんの枕元で丁寧に訴えを聞き,温かく励まし,そして最善の医療を行う知識・技能を教えて下さいました.2005年には94歳で文化勲章を受章され,今も現役で活動しておられます.先日,筆者との対談を通して,若い看護学生にも多くの教訓を与えて下さいました.
その時の先生の詩の一節より
人間には選択の自由がある.
そして,意志と努力により,新しい行動を繰り返すことにより,
新しい自己を形成することが出来る.
上の言葉の通り,一人でも多くの立派なナースが育つことを念願しています.

2005年11月 著者を代表して 香川靖雄


目次

I 人体の構成
(1) 人体の組成と栄養素
 1.看護と生化学,栄養学
 2.栄養素
 3.単糖類
 4.脂質
 5.アミノ酸とペプチド
 6.ビタミンと補酵素
(2) 生体高分子
 1.多糖類
 2.タンパク質
 3.核酸
(3) 酵素
 1.酵素の本体
 2.酵素の分類
 3.酵素反応の速度
 4.酵素の阻害と活性化
 5.アイソザイムと酵素の臓器分布
 6.バイオセンサー,ドライケミストリーに
   よる臨床酵素学的分析
(4) 細胞
 1.細胞の構成
 2.細胞小器官
 3.生体膜
 4.受容体

II 代 謝
(1) 人体の代謝
 1.基礎代謝とエネルギー所要量
 2.栄養の流れ:飢餓と肥満
(2) 異化と同化
 1.代謝回転
 2.異化
 3.同化
 4.代謝経路とその調節
(3) 糖質代謝
 1.血糖と糖質の吸収
 2.主要糖代謝経路の役割
 3.解糖系と糖新生
 4.五炭糖リン酸回路(ホスホグルコン酸酸化
   経路)
 5.グリコーゲン回路と糖原病
 6.クエン酸回路(TCA回路)
(4) 脂質代謝
 1.脂肪の消化吸収
 2.遊離脂肪酸とリポタンパク質と
  その動態
 3.高脂血症
 4.脂肪の分解とβ酸化
 5.プロスタグランジン類
 6.脂肪酸の合成
 7.脂肪とリン脂質の合成
 8.コレステロールの合成と分解
 9.リピドーシス(脂質蓄積症)
(5) アミノ酸代謝
 1.窒素平衡とタンパク質所要量
 2.アミノ酸の一般代謝
 3.アミノ転移と脱アミノ
 4.尿素回路
 5.臓器間のアミノ酸交換
 6.糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸
(6) ヌクレオチド代謝
 1.ヌクレオチドの代謝における意義
 2.プリンヌクレオチドの合成
 3.ピリミジンヌクレオチドの合成
 4.ヌクレオチドの分解と痛風
(7) タンパク質の生合成
 1.転写
 2.転写産物の処理
 3.遺伝暗号━コドン
 4.突然変異
 5.翻訳
(8) DNAの複製と遺伝子組換え
 1.複製
 2.遺伝子組換えと医療
(9) 電解質代謝
 1.水と主要無機質
 2.細胞内液と細胞外液
 3.脱水症と浮腫
 4.Na+の体内分布
 5.K+の体内分布
 6.Cl−の体内分布
 7.Mg2+の体内分布
 8.Ca2+とPの体内分布
 9.酸塩基平衡の調節
 10.酸塩基平衡の異常
(10) エネルギー代謝と生体酸化還元
 1.ATP(アデノシン三リン酸)による
   エネルギーの授受
 2.電子伝達系

III 臓器の栄養生化学
(1) 総論
(2) 呼吸系
 1.肺胞におけるガス交換
 2.ヘモグロビンの酸素運搬
 3.炭酸の輸送
(3) 造血系
 1.血液
 2.血球の分化
 3.ヘムとポルフィリンの合成
 4.鉄の代謝
 5.赤血球RBC
 6.白血球WBC
 7.血小板と血液凝固
 8.血漿(プラズマ)
 9.リンパ
(4) 消化器系
 1.消化管
 2.膵臓
 3.肝臓‐‐胆汁の生成
 4.大腸
 5.消化管ホルモン
(5) 循環系
 1.心臓の特色
 2.心筋の代謝量と運動
 3.心筋梗塞の生化学
 4.血管の機能
 5.血管の代謝
 6.動脈硬化症
 7.高血圧の食事
(6) 泌尿系
 1.糸球体における濾過作用
 2.尿細管における再吸収
 3.体液pHと血圧の調整
 4.腎障害
(7) 内分泌系
 1.ペプチドホルモン
 2.アミノホルモン
 3.ステロイドホルモン
(8) 生殖系
 1.性分化
 2.性ステロイドとその合成
 3.男性ホルモンの作用
 4.女性の性周期
 5.受精と着床
 6.妊娠
 7.医療用の性ホルモン
(9) 結合組織,皮膚,骨
 1.コラーゲンとエラスチン
 2.プロテオグリカン
 3.結合組織の疾患
 4.皮膚とケラチン
 5.骨組織
(10) 運動系
 1.骨格筋の成分と構造
 2.筋肉のエネルギー供給系
 3.筋肉疾患
(11) 神経系
 1.脳:精神の座
 2.脳のエネルギー代謝
 3.ニューロンとその活動
 4.視床下部による代謝と食欲の調節
 5.代謝と意識障害


IV 疾患の栄養生化学
(1) 悪性腫瘍
 1.悪性腫瘍と良性腫瘍
 2.癌遺伝子
 3.発癌
 4.発癌物質(癌原物質)と予防
 5.癌の生化学的診断と治療
 6.放射線
(2) 炎症と免疫
 1.炎症と感染防御
 2.免疫応答とB細胞とT細胞
 3.免疫グロブリン
 4.過敏症
(3) 先天代謝異常
 1.先天代謝異常の基本型
 2.先天代謝異常の診断とスクリーニング
 3.先天代謝異常の食事療法
(4) 侵襲と内的環境の維持
 1.侵襲に対する人体の代謝反応
 2.ショックの生化学
 3.侵襲に対する内的環境の維持

(5) 老化
 1.高齢者の機能低下
 2.寿命の回数券:テロメア
 3.活性酸素と分子警察官

看護師国家試験問題
臨床生化学検査項目と正常値
約束食事箋(代表例)
生化学・栄養学の症例学習
体温表
参考書
インターネットによる文献検索法
和文索引
欧文索引